ぐっじょぶ!りた〜んずアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
1.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
12/21〜12/25
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●本文
●話の内容
最近の映画は有名な俳優、女優が出演していて初々しさに欠けるものがある。
もちろん、それが悪いというわけではない。
上手な演技で見る側を楽しませるという事は重要だと思う。
そこで、今回は一風違った映画をお送りしようと思う。
それは‥普段演技をしなれていない「スタッフ」を募集して映画を作ろうと考えている。
募集事項は以下に記載しておくので、目を通しておいて欲しい。
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「スタッフじゃなく出演者?」
映画の話だと言うから来てみれば、依頼内容はスタッフとしての仕事ではなく、スタッフが出演者として出る映画の話だった。
確かに面白そうな企画だとは思う。
‥自分が出るのでなければの話だ。
しかし、出演者が思うように集まらずに目の前のプロデューサーは思いっきり凹んでいる。
「話の内容は‥ギャグ?まぁ‥シリアスな映画よりはは幾分かマシかな‥」
仕方ないから出演してあげる、その言葉にプロデューサーは「恩にきる!」と言って台本を渡してきた。
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●募集事項
◎今回は職業が「スタッフ」の方を募集します。
例)カメラマン、スタントマン、裏方、スタイリスト、音響係などなど。
◎上記はあくまで例ですので、その他のスタッフさんでもOKです。
◎映画の内容は『ギャグ映画』です。
◎スタッフが出演者という事で簡単なギャグ映画で構いません。
例)「○○だよね〜」「何でやねん!(ハリセンで突っ込み)」などこんな感じでもOKです。
◎ギャグ映画の内容は私ではなく、出演者の皆様に作っていただこうと思います。
素敵なボケ、ツッコミをお待ちしております。
◎個人で突っ込み道具、ボケ道具は持ち込んで構いません。
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●リプレイ本文
ふとした事から映画出演する事になったスタッフ達。
しかし、裏舞台に立つのがメインであるスタッフ達が突然表舞台に立たされて演技をしろ、というのも無理な話で‥。
最初は大曽根ちふゆ(fa0189)と縞八重子(fa2177)が簡単な演技指導をして、撮影が始まる。
「撮影は明日の朝よ!分かってるの?」
修羅場で険悪な雰囲気の中、鬼プロデューサーの異名を持つ八重子が叫ぶ。叫ぶのも無理はない。何故ならドラマ撮影は明日の朝より開始。しかし脚本も何もかもまだ真っ白の状態。
「何としても間に合うように今から会議を始めるわ!」
八重子の叫びに放送作家である紗草みりん(fa2632)が「私も参加した方がいいかな?」と問いかける。
「貴方は脚本を書いてなさい!」
そう叫び、まだ真っ白の原稿用紙を指差した。みりんは八重子の気迫に負け「わ、わかった」と言って筆ペンを手に取り、真っ白な原稿と向き合い始めた。
「じゃあ俺はカメラの手入れでも―‥」
と呟いた有珠・円(fa0388)だったが「貴方も来るのよ」と引っ張られ会議室へと連行された。
「さて、脚本を書きますか‥」
色々な資料を基に脚本を書いていると、途中で筆ペンのインクが切れてしまった。
「あちゃー‥あ、樫尾・聖子さん(fa4301)悪いけど新鮮なインクを持ってきてくれる?」
インクをどうしようかと考えていた時に新人タイムキーパーの聖子が通りかかったため、彼女にインクを持ってきてくれるように頼んだ。
「新鮮な‥インク‥ですか?」
「そうそう、ぱぱーっと脚本が書けるくらい新鮮なインク」
真面目な彼女は、みりんの言葉を真に受けて新鮮なインクを探しに走っていった。インクを持ってきてくれるまでみりんは脚本用の話を固めるために資料を漁り始めた。
「もって来ました!」
聖子がインクを探しに行って数分後、息を切らせながら新鮮なインクを持って帰ってきた。
「‥‥わぁ、黒い液体ありがとー‥」
持ってこられたのは多分コーヒー、カップに入っているから間違いなくコーヒーなのだろう。
「いいえ、どういたしまして」
誇らしげに言うと聖子は自分の仕事へと戻っていった。
一方、コーヒー(恐らく誰かの飲みかけ)を渡されたみりんは「ちょうどコーヒーが飲みたかったっけ」と呟き、まだ熱さの残るそれを一気に飲み干した。
「う〜ん、ホッとする時はコーヒータイムに限るね〜‥って苦いわ!」
カップを投げながら叫ぶみりんの姿を見て「修羅場で壊れた‥」と口々に言っていたとか‥。
「はぁ‥コーヒーじゃ良い脚本は書けないよ‥あ‥」
インクをどうしようと考え込んでいた時にアルバイトの苅部・愛純(fa4350)が通りかかり、彼女にインクを頼むことにした。ここまできたら『誰か』に持ってこさせないと気がすまない。
「インク?」
「そう!脚本をずっと書いても大丈夫なように濃いインクをお願いね!」
分かりました、愛純は「すぐ持ってきますわ」と言ってみりんの指示した『濃いインク』を探しに行った。資料を読もうとすると「持ってきたで」と愛純が戻ってくる。
「早かったね―‥‥ええぇ!?」
振り返って愛純が持ってきたのを見て、みりんは驚く。
確かにみりんは『濃いインク』と言った。
「黒くて香ばしくて、濃いインクだわ♪ありがとう‥ってこれは醤油だーっ」
ボトルに入った黒い液体を見て、みりんは叫ぶ。一体愛純はどこから持ってきたんだろう?
「いくら修羅場だからって何でも出すぎだよ‥、私は少し休む事にする‥」
愛純に「お疲れ様‥」と言いながらみりんは仮眠室へとふらふらとした足取りで向かった。
一方、会議室では。
「遅くなりました〜。紗草さんにインクを届けていたので」
会議に遅れて入ってきたのは聖子だった。会議室の中は険悪な雰囲気で女性陣の中で唯一の男性である有珠は居心地が悪そうにしていた。
(「女子高に赴任した男性教諭の気持ちって、こんな感じなんだろうなぁ‥」)
有珠はため息混じりに呟き「さて、話を進めようよ」と提案する。
「分かってますよ。分かり切った事を言わずに内容を考えてください」
どちらかといえば『ボケキャラ』である聖子に厳しいツッコミを受け、有珠は「あ、あはは‥ごめんごめん」と引きつった笑顔で答えた。
「あ、そういえば来年のお花見はどうしましょう?」
内容を考えて、数秒前にそういった聖子が来年の花見の話を始めてしまい、有珠は「おいっ」と突っ込みを入れる。
「何を言ってるの!来年の花見は後で考えるとして、今は明日の撮影の事でしょ!」
「‥それでも考えるんだ、花見‥」
ボソと呟いた有珠の言葉に「何か言った!?」と八重子が眼鏡を光らせながら叫ぶ。
「まぁまぁ、そんなに怒ると小ジワが増えますよ、プロデューサー」
聖子が爆弾とも呼べる発言をし、その場の空気が一層険悪なものとなってしまう。
「はい!喧嘩する暇あったら話を進めましょうよ、ね?」
そう言って衣装の案を出してきたのはスタイリストの羽切 基(fa4630)だった。
「えぇと‥ヒロインのメイクなんですけど!‥三択です!」
全員が「は?」と間抜けな顔をしている中で基は淡々と話を進めていく。
「まずは一番!へビィメタル系、二番!隈取、三番!お歯黒ありの平安風!」
さぁ、どれだ!と自信満々に言う基だったがどれもヒロインのイメージに合うものはない。
「‥今風のはないの!?どこにヘビメタのヒロインがいるのよ!」
八重子はキレそうになるのを抑えながら基に言うと「‥‥‥今流行のメイクですか、じゃあ59番ですね‥‥‥ちぇっ」
「ちぇって本気だったんだ‥」
「さて次は衣装の三択です」
無視ですか、有珠は机に突っ伏しながら「俺、ここにいる意味があるのかな‥」と自問自答をし始めた。
「一番!来年の干支にかけて猪の着ぐるみ、二番!全身タイツ、三番!特攻服」
「じゃあ26番でお願いね」
基の言葉を無視した番号を八重子が言うと「それは裸の王様風ですね」と基の方が一枚上手だった。
「‥あ、あのメイクと同じで今風でいいと思いますよ」
ちふゆの言葉に「72番にありますけど、残念です」とうな垂れながらメモを取っていく。100番を超える衣装パターン全てに小物などもつけられていた。
「‥特攻服の小物が夜露死苦の旗って‥」
ちふゆが引きつりながら呟くと「自信あったのに」と基が呟く。
「じゃあ、連絡してきますね」
ちふゆがそう言って席を立ち、会議室の奥にある電話を使う。撮影は明日の朝開始なので少しでも早く連絡をしなければならないのだ。
「皆、疲れたやろ〜、お茶でも飲んでや〜」
愛純がお茶を持ってくると「ありがとう」と言いながら、ちふゆ以外の全員がお茶を口に含んだ―‥そして吐き出した。
「げほっ、何味のお茶!?これは」
「とりあえずリラックスできる成分の物を全部混ぜたんや、どや?」
ありがとうございます、永眠しそうなくらいの衝撃的リラックスでした。
そう言い掛けて皆は口を閉ざす。味の事は置いておいて愛純は疲れているスタッフの為に気を利かせて持ってきたのだから。その気持ち『だけ』は嬉しかった。
「じゃ、頑張ってや」
そう言って愛純が会議室から出て行く。それと同時にちふゆの叫ぶ声が部屋中に響き渡った。
「な、何があったんだ!」
有珠が駆け寄ると電話の所で蹲るちふゆの姿があった。
「わ、私うっかりして110番通報してしまいました‥」
どんなうっかりやねん!と関西人のノリで有珠は突っ込みを入れかけるが、とりあえず止めておいた。
「何をしてるの!今のは絶妙な突っ込みチャンスじゃない!」
八重子から意味も分からずに怒られ「ご、ごめん」と思わず謝ってしまう。そして皆は席へと戻っていったが110番通報の件はいいのだろうか?と思いつつも、また怒られるという思いがあり放っておく事にした。
「‥父さん、カメラマンにもギャグセンスは必要なんでしょうか‥」
この場にいれば自分が『カメラマン』から『新人芸人』に変えられてしまいそうな気がして怖い有珠だった。
「遅れてすみませんっ」
話が一向に進まない中、登場したのは雨宮慶(fa3658)だった。
「締切までまだ時間もありますし、大丈夫ですよね?頑張りましょう!」
「‥締切、今日中ですけど‥」
もう叫ぶ気力がない八重子に代わってちふゆが言うと「えぇ!どうしましょう!」と一人慌て始める。
「とりあえず、今から死ぬ気で頑張るわよ!」
「プロデューサー、そんなに頑張ると大ジワまで増えますよ」
のほほんと呟く聖子に「私はそんなオバサンじゃないわよっ」と八重子が叫び、話が纏まるまで更に遠くなっていくのを慶はオロオロしながら、有珠は諦め半分にため息をつきながら見ていた。
「もういいわ、紗草さんの方を見てくるから、話を進めていて頂戴ね!」
その後、脚本を書いてるはずのみりんが仮眠室で爆睡している事に八重子の怒りは頂点に達したのだとか。
「何を寝てるの!脚本がなければ番組が成立しないでしょう!」
そして、夜中まで騒ぎは続き、ようやく脚本も設定も出来たという時に聖子が恐ろしい発言をした。
「あ、これって隣の局の番組じゃありません?」
あはは、と笑いながら言う聖子に皆の怒りは頂点に達した。
「「「「「「「おいっ!!」」」」」」」
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