時狂いの街アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/23〜12/27

●本文

時狂いの街:アンダーシティ・ポリス10

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太陽のかけらが隕石となりて、地球に降り注いだ現象―‥熱砂。
生きる事に絶望した人間達は地下に己たちの世界を切り開いた。
その地下世界を守る警察‥アンダーシティ・ポリス
彼らは今日も地下世界の平和を守るために活動を続ける。

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●話の内容


封鎖された南居住区、ここでは昔‥住人同士の大きな争いがあった。
南居住区の中心には「核」と呼ばれる不思議な石が存在していて、常に淡い緑色の光を発光している。
何も影響がなければ居住区を封鎖する事はなかったのだが‥「核」は人々に眠るバムスの能力を増幅してしまう効力があった。
最初は「核」を利用して地下世界を豊かにしていけばいい、そう思っていたのだが溢れる自分の力に酔いしれた人間が後を絶たず、結局は「核」の能力を抑える事が出来ずに居住区ごと封鎖したのだ。
そして、誰もが「核」の存在を忘れた頃―‥事件は起きた。

「南居住区に異変?」
居住区の見回りをしていた捜査官からの報告に上司は眉間に皺を寄せる。
それもそうだろう、百年が近い年月、南居住区で問題は起きていなかったのだから。
「どんな異変なんだ?」
部下の話を聞けば、街が現れる‥のだという。
現れるとは言っても何か危害があるわけではない。蜃気楼のように現れては消えていくのだという。
「危害がないなら問題はないだろう?」
それが―‥口ごもる部下に苛立ちを感じながら「続きを話せ」と短く告げた。
「南居住区に現れる街、あれは確かに滅びた筈の地上世界の街なんです‥」
「地上世界?馬鹿な、地上との連結路は閉じているし、未だ地上世界は人の住める世界ではないと学者達は報告している」
だから人がいるはずがない、そう上司は叫ぶように話した。
そこで一人の学者がやってきて「もしかしたら‥」と呟いた。
「南居住区には核がありましたな、その核が見せている思い出の映像‥という事も考えられます」
「ふむ、ここで議論していても何も解決はしない、直ちに調査チームを作り南居住区へ向かわせる」

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●募集事項
◎毎度の如くアクション映画になります。
◎この話は出演者のみを募集します。
◎出演者はバムスと呼ばれる特殊能力を持っています。これはお好きな能力をお決め下さい。ですが必ずしも持たせる必要はありません。
◎話に大きく関わる方はバムスを持たせないとアクションなしになる場合があります。
◎今回の主な登場人物は『地下世界警察』です(汗)他に適役を思いつかない‥。参加者の皆様で適役を思いついた方はそれを演じてもらっても構いません。

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●アンポリの世界観
※今更かよ、と思われますが説明してなかったと思い、書かせていただきました。

◎熱砂によって地上に住めなくなり地下へと移り住んでいる。
◎ある程度は復興したものの、未だに荒廃している世界。
◎スラム(居住区)については以下の通りです。
※東居住区‥普通に人が住んでいるスラム。治安は少し悪い。
※南居住区‥ここは現在封鎖中です。
※西居住区‥普通に人が住んでいます。治安はどちらかというと良い方です。
※北居住区‥人が住んではいるものの、治安が悪い。
※上層地区‥どの居住区にも当てはまらない中央地区。治安は良くお金を持っている人間が住んでいる地区です。

◎今回の舞台は封鎖された南居住区です。
◎最初に書かれている「住人同士の争い」についてですが、この話の中では深く考えなくても結構です。

◎以上がアンポリ世界観についての説明です。

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◎プレイングに書いて欲しいこと。
※役名/バムス/一人称/二人称/口調/
なるべくでいいのですが、プレイングは簡潔に書いてください。
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●今回の参加者

 fa0611 蒼月 真央(18歳・♀・猫)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3579 宝野鈴生(20歳・♀・蛇)
 fa4361 百鬼 レイ(16歳・♂・蛇)
 fa4614 各務聖(15歳・♀・鷹)
 fa4807 葛城・郁海(20歳・♂・狐)

●リプレイ本文

「トコヨ、任務だ」
 そうレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))に声を掛けられたのは資料を両手いっぱいに持っているトコヨ(蒼月 真央(fa0611)は「任務、ですか?」と聞き返した。トコヨは情報収集班の駆け出しでまだ実地訓練もしていない状態だ。だから不思議で仕方なかったのだ。
「南居住区に地上の街が出現した事は聞いてるな?それの調査チームに加わるんだ」
レンズの言葉を聞き、トコヨはバササッと持っていた資料を落としながら「え、えぇ!?」と驚きながら叫んだ。
「せ、先輩じゃなくあたしですかぁ!?」
「今回は自分も行くし、チミの実地訓練も兼ねての参加だ」
 頑張りたまえ、そう言うレンズに「はいっ」と返事をして調査に行くための準備を始める。


「地上の街?そんなモンが出たって、害があるわけでもなかろうに‥」
 なぁ?と草加(草壁・蛍(fa3072))に同意を求めるのはソニア(ブリッツ・アスカ(fa2321))だった。
「確かにね。観光名所になっていいんじゃない?」
 ソニアと草加の暢気な言葉に「馬鹿なことを言うな」と上司が頭を抱えながら呟く。上司が言うには街が現れただけなら特に問題視しなかったという。しかし現れた場所は核の眠る南居住区、これが核と何らかの接点があって現れたのならこれは重要な問題なのだという。
「‥核ね、興味があったから見てみたい気もするわね」
「確かに。ま、俺も観光気分で行ってみるかな」
 そう言って草加とソニアは立ち上がり、調査の為に準備を始めた。


「え、地上の街の調査チームに?行ってみたかったんですよね」
 そう言うキリー(百鬼・レイ(fa4361))の手には、恐らく図書室にあったであろう昔の時代の本が多数持たれている。そして後ろで仕事をしていたラルム(各務・聖(fa4614))、ヴィエラ(葛城・郁海(fa4807))も調査チームに加わるようにと告げられた。
「え、あ‥はい‥足手まといにならないように頑張ります」
「調査って事で話が来るんじゃないかって思ってたよ。とにかく頑張るわ」

 七人のメンバーを集め、問題の南居住区へと向かう事にした。


「ここが‥南居住区か」
 ソニアが呟き、居住区内を見渡すとそれは悲惨なものだった。家であっただろう建物は崩れ落ち、燃えた跡も残っている。核によって奢り昂ぶった人間の手によって滅びた南居住区、それを納得できる十分すぎる光景だった。
「あそこから街が出現してます‥」
 ラルムが指差した先は少し蜃気楼のように空間に揺らぎが生じていて、その先から街が現れていた。
「ふむ‥全く昔と同じ、というわけではなさそうだな」
 街を見て呟くのはレンズだった。彼は『メトセラの子ら』という能力を所有している。効果は不老、つまり前時代を知る数少ない人間の一人なのだ。
「そう、なんですか?」
 トコヨが問いかけると「同じ時代に存在しなかった人物がいる」とレンズは答えた。
「とりあえず、俺とレンズさんでサポートするから前衛部隊は宜しく頼むよ」
 ヴィエラが言い、皆をサポートするために能力を発動させる。同時にレンズもシュレンディガーの猫を発動させる。ヴィエラは持ってきた雑誌を片手に周りの状況を見て他の五人をサポートしていく。
「おい、あれは何だ?それに書いてねぇのかよ」
 ソニアがヴィエラに問いかけると「東京タワーって書いてある」と答えた。
「とうきょうたわー?なんだ、それ?もっと分かりやすく説明しろよ」
 文句を言うソニアに「あのなぁ、俺は情報に秀でてるだけでこの街そのものを知ってるわけじゃないんだよ」と呆れ気味に答えた。
「ちょっと、ラルム‥あんまりうろうろするとはぐれちゃうわよ?」
 見る物全てに興味を惹かれるのかうろうろとして迷子になりそうな勢いだ。
「あ、ごめんなさい。昔の世界って興味あって‥つい」
 苦笑しながら答えて、草加の隣に立つ。
「あれは何でしょうね」
 トコヨが指差し、キリーが「自分も雑誌持ってきてる」と言って取り出す―‥が『デートならここ!グルメタウンマップ』と書かれていて、明らかに役に立ちそうにもない。
「‥キリー、それは‥」
「う、すみません‥って危ない!」
 キリーが突然叫び、トコヨの後ろから迫ってきていた怪物目掛けて発砲する。しかし弾丸は確かに当たっているのに、まるですり抜けたかのように怪物の後ろの壁に当たる。
「な、何?」
「怪物は‥幻‥?」
 その証拠に怪物の攻撃もこちらには当たらない。
「ほっといても大丈夫そうね」
 草加が戦闘態勢を解き、安心したように呟いたとき別の怪物の攻撃が壁を破壊した。
「なっ‥」
 キリーが驚き多用に呟き、怪物を見ると先程の怪物とは違って実体を持っていた。
「さっきのは半透明だったけど、こいつは‥」
「キリー先輩、危ない!」
 トコヨが叫び、自分の能力『トイボックス』を発動させて影の中に忍ばせておいた銃で攻撃をする。
「見分けは簡単につきますけど‥油断は出来ないですね‥」
 煌びやかな街の中、どこから怪物が襲ってくるかも分からない状況に緊張が走る。
「待て、ここから少し先に人の気配を感じる、それと同時に何か大きな力も‥」
 ヴィエラの言葉に「おそらく、大きな力とは核だろう」と答えた。
「じゃあこの騒ぎは誰かのバムスが核の力で強大になった誰かの仕業ってのか?」
 核の方へ向かい、ソニアが言うと一人の少女、ミラ(宝野・鈴生(fa3579))が封鎖装置の上に座って此方を見ている姿が見えた。
「綺麗でしょう?」
 突然ミラが捜査員達に問いかけてきた。
「街も、怪物も、全てが綺麗だったでしょう?」
「‥皆、あの子を、あの装置からすぐに引き離したまえ‥」
 突然レンズが呟き、トコヨとキリーが「え?」と聞き返す。レンズが言うには、ミラが座っている装置は核の封鎖装置として作られた物なのだとか。しかし核の力が強すぎて封鎖するまでに至らなかったのだという。
「草加さん、ソニアさん!」
 二人の後ろから怪物が襲ってきている事に気がついてキリーが叫ぶ。ソニアは能力『スーパーソニック』で怪物との距離を縮め、素早く攻撃をする。
「危なかったわ‥」
「これがあの子の仕業だとしたら、早めに保護しないとこっちがあぶねぇぜ‥」
 ソニアの言葉に皆が頷く。そこで作戦が立てられ、素早く動けるソニアがミラの所まで行って保護する役割になった。
「じゃあ、自分達は?」
 キリーが言うと「怪物が消えるまで死なないようにするだけよ」と草加が怪物に攻撃しながら答えた。
「あ、弾丸が足りなくなった‥」
 キリーが呟くと「これを使ってください」とトコヨが影の中からスペアの弾丸を取り出し、キリーに投げ渡す。キリーは「さんきゅ」と言いながら弾丸を受け取り、攻撃を再開する。


「お前、何をしてるんだ‥何がしたいんだ?」
 スーパーソニックで怪物の間をすり抜け、核の近くにいるミラに話しかける。
「昔の街が‥見たかったの‥私、逮捕されるんですよね?」
 抵抗はしませんよ、と言いながらミラは立ち上がる。それに驚きながら「何で帝王しないんだ?」と問いかけた。
「だって‥私が見たい物は見れたもの‥抵抗する意味がありません」
 ミラが言うと同時に他の捜査員を襲っていた怪物がスゥッと溶けるように消えていった。
「‥街自体は消えない‥?」
 ソニアの言葉にミラは多少驚きつつも「‥何で‥消えないの?」と独り言のように呟いた。
「これは‥消されるんですか?」
 問いかけてくるミラに「さぁな」と短く答える。
「だけど、こういうのもあっていいんじゃねぇのか?」
「‥‥消さないで、くれるの?」
「別に俺が決める事じゃねぇけど、消す方法がないならこのままなんじゃねぇのか?」
 ソニアの言葉に「ありがとう」と呟き、署へと連れて行かれることになった。


「あ!あの人、本で見たことある!うわぁ、握手してください〜」
 歴史上の人物に出会いキリーが握手を求めるも幻影のため、手をすり抜ける。がっくりと肩を落とし「本物だったら良かったのに‥」と呟いて少し前を歩いている先輩達の所にいった。


「なるほどねぇ‥」
 呟くのは草加。核の力に興味を持ち、触れてみると自分の力が急激に増幅されていくのが自分でも分かった。
「‥自惚れるのも分かる気がするわ‥」
 高まった自分の力を試したいという気持ちもあったが、メンバーの中に防御系の能力を持っている人間はない。
「今度は一人で来ようかしらね」


「消えない幻影、どう思う?レンズ」
 ヴィエラが問いかけると「核もクリスマスを味わいたかったんじゃないか?」と答えた。あの幻影を出した原因は紛れもなくミラだろう。しかし誰の心にもある『望郷』の思い。それがあの幻影を続けさせている原因なのかもしれない。
「寒い‥昔だったら雪が降ってホワイトクリスマスになっていたかもな‥」



END