神様の言う通り!2アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/26〜12/31

●本文

●神様の言う通り!2

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●話の内容

「下界には恐ろしい儀式があるようですね」
ここは神が住む場所、そこで一人の神が思い出したように呟いた。
その神が言うには12月24日と25日は『苦しみます』という儀式なのだとか。
「サタンという異国の悪神が人間たちを苦しめるのだそうですよ」
その神の言葉を聞いて、他の神々も「まぁ‥恐ろしい」と口々に呟いた。
「しかし、人間達を苦しめるあまり、サタン本人がベリー苦しみます、なのだそうです」
「ベリー苦しみます?」
女性の神が言葉の意味が分からずに聞き返すと、その神は得意げに答えた。
「べりーとは、非常に‥とかいう意味らしいです」
「つまりは、こういう事なのですね」
◎苦しみます(クリスマス)は人間達がサタンから苦しめられる日。
◎サタンは人間を苦しめるあまり、自分がベリー苦しみますになってしまう。
「これは非常事態ですわね。異国の悪神に我々が見守ってきた人間を好き勝手させては神の名折れですわ」

その女性神の言葉に、下界調査チームを作って下界の様子を見に行く事になった。

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●募集事項&話の簡単な説明
◎この話は出演者のみを募集しております。
◎出演者は日本古来の神々となって演技をしていただきます。
◎サンタ=サタン、メリークリスマス=ベリー苦しみます、と勘違いしている神々は人間がサタンに苦しめられていると勘違いをして下界に降り立ちます。
(その際は不自然にならぬように現代人の格好をしてください)
◎下界に降り立った後の行動は参加者の皆様にお任せします。
(勘違いしたままサンタの格好をしている人間を倒すのか、勘違いだったと気がついてクリスマスを堪能するのかは皆様にお任せします
◎以上が私の決めた設定になります。その他に疑問点などがありましたら、他の参加者の皆様と話し合って設定の追加もOKです。

それでは、皆様のご参加をお待ちしております。



●今回の参加者

 fa1083 狂闇式王子(18歳・♂・蝙蝠)
 fa1772 パイロ・シルヴァン(11歳・♂・竜)
 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa2748 醍醐・千太郎(30歳・♂・熊)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4047 ミミ・フォルネウス(10歳・♀・猫)
 fa4120 白海龍(32歳・♂・竜)
 fa4478 加羅(23歳・♂・猫)

●リプレイ本文

 ふとした事から『さたん』と『ベリー苦しみます』の話になり、人々を守る為に下界へと降り立つ事となった神々達。
 さてさて、そんな彼らの様子を見てみましょう。


「自身が苦しむなら、人を苦しめるのをお止めになれば宜しいのに‥」
 ねぇ?と天神(狂闇式王子(fa1083))に問いかけるのは忌神として知られている瀬織津姫命(千音鈴(fa3887))だった。
「人々に忌まれる事は悲しい事ですわ‥」
 自分の事と重ねているのか、うるっと瞳に涙を溜めながら呟く。
「そういえば‥わし等以外にも下界へと降り立った神々がいると聞いたのぅ」
 天神が思い出したように言うと「それはいけませんわ!」と天神を突き飛ばしながら叫んだ。
「悪行を止めに参るのも、人間達の苦しみを流すのもわたくしのお仕事ですもの!参りましょう!」
 そう使命感に燃える瀬織津姫命に引きずられながら天神は下界への門へと急いだ。するとそこで禍津日神(巻 長治(fa2021))と遭遇する。彼もどうやら下界へと降り立つようだ。
「お主も下界へと赴くのか?」
「えぇ、人を苦しめるのは私の役目ですからね‥苦しめすぎて自分が苦しむような頓珍漢とは格が違う事を見せてやりますよ‥」
 ふふふ、と不気味な笑みを浮かべて呟く禍津日神を見て天神は「歪んどるのぅ‥」と醒めた視線で見つめていた。
「さて、お二方!参りますわよ!」


「はて、苦しみます‥?」
 他の神々が口々に呟く儀式の名前を聞いてお菓子の神様として有名な田道間守(加羅(fa4478))が首を傾げながら呟いた。
「確か‥この時期、俺の所に訪れる人間達は幸せそうだったような‥」
 それに言葉が違うような‥と悩んでいると月読尊(ミミ・フォルネウス(fa4047))が部屋の扉から顔を覗かせた。
「おや、どうしました?ヨミ様」
「‥姉様に許可もらったの、下界に降りるなら‥一緒に行って欲しいの」
 申し訳なさそうに呟く月読尊を見て、田道間守は優しく微笑みながら「いいですよ、一緒に行きましょう」と答えた。


「何だ、これは‥」
 下界に降り立った雷神(醍醐・千太郎(fa2748))が開口一番で呟いた言葉がそれだった。天界で聞いた『苦しみます』は人々を苦しめる悪い儀式だと聞いていた。それを、民思いで悪を許さない気質の雷神が聞いて急いで下界に降り立った所―‥人々は苦しめられているどころか幸せそうな笑みを浮かべている。
「待てよ、こういうのは罠かもしれない‥」
 よく考えろ、自分‥と言い聞かせながら念入りに『苦しみます』を調べていると不自然な程に飾られた木、クリスマスツリーが視界に入ってくる。それを悪神の仕業だと思い、へし折ってやろうかと考えたがそれを囲む人間達が幸せそうなので思いとどまり、ツリーの周りを怪しげにうろうろとするハメになった。


「この時期は本来、来るべき新年に向けて備えなければナラヌ神聖な時ですタイ」
 人を苦しめる儀式など言語道断、と言って起こりながら歩いているのは大年神(白海龍(fa4120))だった。力士のような格好でぶつぶつと言う姿ははっきり言って、どんな悪神よりも不気味だった。
「ムムっ、あれは!」
 デパートの前に飾られているクリスマスツリーとイルミネーションを見て大年神は叫んだ。
「人を惑わす南蛮呪術ですタイ!禍禍シィーーっ」
 大年神はそう叫ぶと神通力でツリーとイルミネーションを巨大門松と灯篭に変えてしまう。
「‥‥で、出遅れた‥」
 そう物陰から呟くのは登美能那賀須泥毘古(パイロ・シルヴァン(fa1772))、彼は国を追われた軍神だが、人々が苦しんでいるという事を聞きつけて助けにやってきたのだ。しかし、大年神の神通力で暴れているのを見て自分も『正義の味方』として何かせねばと考え、赤い服を着ている男からケーキを引ったくり、門松方面に投げつける。
「ふぅ、これで俺が正義の味方だという事がアピール出来ただろう」
 満足そうに呟くと、未だ暴れる大年神をほっとき、苦しみますの調査に戻った。


「さて、わしは個別行動をさせてもらうぞ」
 下界につくと同時に天神は単独行動を取ってしまった。
「まぁ‥心細いですけど頑張りましょうね!(苦しみを流す為に)」
「そうですね、頑張りましょう(人間を苦しめるのは私なんですから)」
 明らかにお互いの目的が違う事に気づかずに『打倒!苦しみます』に向かった。
 暫く歩いていると禍津日神の視界に入ってきたのはヒイラギの飾りとクリスマスツリーだった。
「ふむ、あれを魔よけの一種だとするとサタンとは鬼のような奴か?」
 一人ぶつぶつと呟いていると瀬織津姫命は下界の人間に怪しまれぬように人間が来ている赤い服に着替え「貴方の苦しみを流してあげますわ!」と道行く男女に話しかける。
「‥ってお待ちになって!何故お逃げになるのですか!」
 どこかの宗教勧誘に間違われた瀬織津姫命は声かける全ての人間に逃げられていた。
「‥?瀬織津姫命?‥全く下界の一大事だというのにどこへ行ってしまったのか‥」
 しかし―‥とサンタ服を着ている人間をジーっと見つめながら禍津日神は疑問を隠せないでいた。サンタ服を着る奴らは間違いなく『苦しみます』に関係している奴ら、それなのに人間達の反応は皆幸せそうにしているのだ。
「意味が分かりませんね‥」
 とにかく消えた瀬織津姫命を探す為に人ごみの中へと消えていった。


「‥困ったの‥」
 田道間守と一緒に下界へ降りてきた月読尊だったが、人ごみの中で逸れてしまい、オロオロとしていた。
「は〜い☆可愛いお嬢ちゃん!素敵なクリスマスを過ごさないかい!?」
 いかにもモテなさそうな男に絡まれ、困っているとサンタ服を着た男の人に助けられる。大丈夫?と優しく問いかけてきて、ケーキの箱を一つ渡してきた。
「‥‥‥サタン、悪い神じゃなかったの‥」
 小さく呟き、ケーキの礼を言うと仲間を探しに走り去った。


「暫く来ない間に下界も変わったモンじゃのぅ」
 人ごみの中を歩いていると腕を組む若い男女を見て「ふむ‥恋人か‥わしも欲しいものじゃな」と呟いて視線を逸らす。逸らした先でサンタ服を着ている老人を見つけ、思わず天神は三節棍で攻撃を仕掛けようとするが小さな子供の「ありがとう!」と言う言葉にピタリと攻撃を止めた。そして疑問を直接聞くことにした。
「苦しみますは人を苦しめる儀式ではないのか?」
 天神の質問に老人は一瞬だけ目を丸くして、その後、豪快に笑い出した。老人が言うには『苦しみます』ではなく『クリスマス』だという事。全てが神々の勘違いだったのだ。
「成程!そういう事じゃったか、教えてくれてありがとう、ご老人」
 そう礼を言うと天神は逸れてしまった仲間を探しに歩き出した。


「いつも以上にきらきらとしてますね‥」
 逸れてしまった月読尊を探しながら街の中を歩いていると、いつもと違う光景に本当に何かあったのかと思ってしまう。
「‥ん?」
 流石はお菓子の神様と言うべきか、甘い匂いにつられてやってきたのはお菓子屋。そのお菓子屋では小さな子供を連れた親子や若い男女などがサンタ服を着た人間からお菓子を買っている。
「ありがとう!サンタさん!」
 子供が渡された箱を受け取り、満面の笑みで礼を言う姿を見て「成程‥」と全て二納得した。
「サタンではなく、サンタさんですか‥。それにしても―‥」
 商品棚に置かれている黒いお菓子に田道間守は興味を惹かれるのか食い入るように見つめていた。
「確か‥この黒いのは『ちょこれぇと』という物でしたね」
 田道間守は店主にブッシュドノエルの作り方を聞いて、再び月読尊を探すために人ごみの中へと消えていく。この時、店主が「買わないのかよ!」と叫んだのは言うまでもない。


「あら、皆様お揃いでしたのね」
 街の中の大きなツリーの下、偶然にも下界に赴いていた神々達が顔を合わす事になった。
「‥我々に余計な心配までかけておいて、結局はまた舶来の神の祭りですか‥‥かくなる上は私の力で本当に『苦しみます』にしてやりましょうかねぇ‥」
 誰よりも心配していた(そうは見えないが)禍津日神は不気味な笑みを浮かべて手に力を集め始める。
「いかんっ、待つのじゃ!」
 天神が叫ぶと同時に瀬織津姫命が「いけませんわ!」と禍津日神を突き飛ばしながら叫んだ。
「禍津日神!八つ当たりはなりませぬ!」
 苦しみを流すのはわたくしの役目、そう言いながら大量の雨を降らせる―‥はずが力が大きすぎたせいか雪へと姿を変える。
 そして「全く‥」と呟きながら天神が禍津日神を三節棍で殴り気絶をさせながら天界へと帰る準備を始めた。
「月読尊様、そのケーキはどうされたんです?」
「サタンに貰ったの、今度は姉様と一緒にサタンに会いに来るの」
 そう満足そうに呟く彼女を田道間守は微笑ましく見つめ「そうですか」と答えた。
 そして、最初はクリスマス誤解していた雷神も街灯テレビや親子連れの人間に話を聞いていく内に誤解が解けていく。そのうち勘違いしていた自分が妙におかしくなり笑いながら買ってきたケーキを食べていた。
「俺ら神々も下界について勉強をする必要があるな」
 豪快に笑う彼に皆はただ頷くばかりだった。


 そして、気絶した禍津日神が目を覚ます頃にはもう天界についており、未だにサンタ衣装を着ている瀬織津姫命を見てまた怒りが戻ってきたのだとか‥。


END