たまには休暇を‥2アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
2.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/06〜01/09
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●本文
たまには休暇を‥2:アンダーシティ・ポリス番外編
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地下世界警察、それは絶える事のない事件と書類整理に追われる人間達の事。
今日だってそうだ。
新年を迎えたというのに「あけましておめでとう」と言う暇もなく「事件だ!」の一言から新年を迎えることになった。
「もうやってらんない、本気でありえない」
新年だというのに机の上の書類に向き合いながらぶつぶつと呟く捜査官。
クリスマスの時も非常召集がかかり、ロマンチックなムードに浸る暇もない。
「あ〜〜っ、もう辞める。休みがもらえないなら辞める!」
机の上の書類を宙にばら撒きながらギロッと上司を睨みつける。
「分かった分かった、今回も仕褒美を用意してあるから」
上司がため息混じりに懐から数枚のチケットを取り出した。
そのチケットは『水楼館』と書かれた宿泊招待券だった。
「水楼館!?有名な温泉旅館じゃない!」
「前回のカジノは仕事を終わらせた順にチケットを渡していた―‥しかし今回は私の気分次第でチケットを渡そうと思う」
理不尽な上司の言葉に「は!?」と抗議の声が上がったが上司はにっこりと笑って、答えた。
「当然じゃないか。私は『上司』という立場の為、行けないんだぞ?どんなに温泉が好きでも!どんなに水楼館に憧れていても!だから、意地悪をしたくなるのは当然だろう?」
さて、今回は上司の印象が良かった捜査員のみ温泉旅館『水楼館』へ行く事が出来るのだ。
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●募集事項&簡単な説明
◎たまには休暇を‥2、略して『たま休2』はアンポリの番外編となるシナリオです。
◎本編とは全く関係ありません。前回のカジノ編に参加された方でもご参加いただけますので、お気軽にどうぞです^^
◎話の内容は温泉旅館で日ごろの疲れを癒してください。
◎旅館に設備されている施設などは参加者の皆様方で決めて下さって結構です。
例)卓球場、ゲーセンなどなど。
◎温泉の種類も皆様で決めて下さって結構です。
◎水楼館の露天風呂は午後11時を過ぎると混浴になります。お気をつけてください。
◎露天風呂には『下心チェッカー』という機械が設置してあり、混浴時間になると同時に作動を始めます。
◎『下心チェッカー』に反応された方は『お仕置き電撃』を受けてしまい、露天風呂にはいる事が出来なくなります。
◎その他の設定で疑問点などがありましたら、他の参加者の方と話し合って設定追加もOKです。
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●リプレイ本文
「私はカジノの方が良かったんだがな‥」
水楼館の門を潜りながらダイアナ(シヴェル・マクスウェル(fa0898))がため息混じりに呟いた。それを聞いていた草加(草壁・蛍(fa3072))は「そんな事言っちゃっていいの?」と笑みを浮かべて言葉を返した。
「この招待券をどれだけの人間が欲しがってたと思うのよ」
「‥ちなみに草加はどうやって招待券を手にした?」
お世辞にも上司から印象が良いとは思えない。何をしたのだろうと水楼館に来る前から疑問に思っていたのだ。
「ふふ、脅し‥に似たようなものかしら♪」
だって来たかったんだもの、そういう草加は温泉を満喫するために上機嫌で建物の中に入っていった。
「私は今回の温泉の方が嬉しいな」
招待券を見て呟くのはホーク(水沢・鷹弘(fa3831))だった。その隣にはレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))も立っており「確かに、奴らにしては奮発したねぇ」と呟いていた。
「私は最初、水族館の招待券かと思っていたよ」
笑いながら言うレンズに「流石にそれはないだろう‥」と苦笑混じりにホークが答える。
「俺は最初に温泉に行ってきますね」
既に温泉に入る為の準備を終わらせているのは時任(加羅(fa4478))で、彼は旅館の人間達に挨拶を交わしながら楽しみにしていた温泉へと向かっていく。
「じ、上司には気の毒ですが‥来たからには楽しまないと損ですよね‥って周防(日向翔悟(fa4360))さん‥その紙は何です?」
水楼館を見るのも来るのも初めてで、内心どきどきしていた西野(西村 哲也(fa4002))は隣で盛大なため息を吐く周防に話しかける。
「‥土産物リストだよ‥招待券を渡す時に涙を流して渡した上司だぞ?土産の一つもないと分かったら何をされるか‥」
その言葉に「あ」と西野も思い出したように呟き、バッグの中から一枚の紙を取り出した。
「そういえば俺もでした‥。水楼館に行くと決まった途端に名前も知らない親戚から土産の催促が‥」
そう言って西野が見せた紙にはびっしりと人の名前が書かれていた。恐らく親戚とは言っても血縁関係は薄い人間ばかりだろう。
「西野!わしと卓球勝負をするのじゃ!」
建物に入ると同時にラケットを持ったDarkUnicorn(fa3622))が西野に卓球勝負を申し込んできた。西野は「いいですね!」と言ってバッグをフロントに預けて卓球勝負をする事になった。
「じゃあ俺は土産でも見てくるかな」
周防は白熱している二人に話しかけるが『卓球勝負』に燃えている二人には言葉は届かなかった。
「はー‥やっぱり温泉はいいですねぇ‥」
かぽーん、と音が響く中で時任は貸切状態の露天風呂を満喫していた。この極楽気分を長く楽しむ為にバムス、タイムキーパーを使って時間を遅くしていた。範囲は他に迷惑をかけない為に露天風呂のみを設定してある。
「きっとこんな地下世界じゃなければもっと楽しい温泉旅行だったんでしょうねぇ‥」
星も見えない空を見上げて一人呟く。のぼせる前に能力を解き露天風呂を出ると卓球勝負に燃えている二人が視界に入ってきた。
「あ、すみません、コレ下さい」
茶店で梅昆布茶を購入し、卓球台の前に置かれた長椅子に腰掛けて卓球感染を始めた。
「‥っと」
購入したばかりの梅昆布茶に能力をかけて温くならないようにしてから啜る。
「流石は有名処と言ったところか、料理も上手い」
ダイアナは温泉に入る前に食事を取っていた。その場にはホークとレンズもいる。
「確かに。こんな休暇を過ごせるのなら真面目に仕事をする甲斐があるというものだな」
「そういえばラジウム泉に電気風呂、塩水浴もあるみたいだな」
レンズが『水楼館のススメ』というパンフレットを取り出しながら満足そうに呟く。
「さて、美味い物も食べた所でお楽しみの温泉に行ってくるとするかな。草加が帰ってきてないからまだ温泉にいるだろう」
そう言ってダイアナは席を立ち、草加のいる露天風呂(女性用)まで歩き出した。
「ややっ!あんな所に猫が!」
卓球勝負の最中DarkUnicornが突然叫びだす。もちろん指差された方を西野が見るが何もない―‥所を攻撃されてしまい点を取られてしまった。
「き、汚‥」
「勝負には汚いも綺麗もないのじゃ!」
そう言って突然10tハンマーを取り出して西野に襲い掛かる。もはや卓球勝負になっていないのだが、一人それを見てのほほんとするのは時任だった。
「卑怯な手だけならず凶器まで取り出すとは‥」
その時、西野の中で何かが弾けて能力『絶対防御』を使ってしまう。これには流石のDarkUnicornもびっくりしたようだ。
「あっちに裸の美女がいるのじゃ!」
これは嘘だ、嘘に決まってる。西野の頭の中にはその言葉で埋め尽くされている―‥のだが!
「これに振り向かずして男と言えるかぁっ!」
勢い良く、淡い期待を胸に抱きつつ振り返るが、もちろん誰もいない。
「やれやれ、熱中するあまりに幻覚まで見えてしもうたかの」
悪びれるそぶりも見せずに言うDarkUnicornとの卓球とは呼べない卓球勝負は暫く続き、勝利を手に掴んだのは―‥絶対防御を使いまくった西野だった。
「おのれ‥お遊びにバムスまで使うとはの、呆れた奴じゃ」
先程自分がしていた事は棚にあげてDarkUnicornがため息混じりに呟く。そしてそこまでして勝利を手にした西野は自己嫌悪に陥っていた。
「ふぅ、嫌な事は全部大地の恵みである温泉に温かく流してもらうのが一番じゃ。お、ダイアナも露天風呂か。わしもご一緒しよう」
途中でやってきたダイアナと共に露天風呂へと向かう。そして西野は土産を買い終わった周防と食事を終えたホーク、レンズと共に露天風呂(男性用)に向かう事になった。
「地上世界の露天風呂を模したプラネタリウム風呂とは、中々風情があっていいな」
草加は露天風呂に行く手前のプラネタリウム風呂にいた。
「それにしてもお二方は羨ましい限りじゃの」
DarkUnicornが自分の胸と草加、ダイアナの胸とを見比べてため息混じりに呟いた。
「どうしたら、そのような胸になれるのじゃ!」
頭に兎耳、手には洗濯板を持ち、草加に押しつけながら問いかけた。
「‥‥‥そうねぇ‥」
草加の目がきらりと光り、ダイアナは嫌な予感がして「‥露天風呂に行ってくる」と足早に逃げる。露天風呂に向かう途中、恐らくはDarkUnicornであろう叫び声が耳に入ってくる。中には「嫁に行けなくなるのじゃ!」という叫びまで。
「‥‥何をしてるんだ、あいつらは‥」
「これは非常にまずいと思わないか?」
「思いますね」
露天風呂に入っていた西野と周防だが、混浴時間になっている事に気がつかずに長湯をしていた。ホークとレンズは先に上がっており、二人は出るに出られない状況なのだ。目入り口近くの露天風呂にダイアナが入浴しているのだ。
「‥気がついてないと思ってるのか‥」
当のダイアナは後ろでおろおろする二人を見て笑みを零す。せっかくの混浴時間なのに女性がいないとがっかりさせる事もないと、ダイアナは気づいていながら出る事はなかった。実際に二人の反応を見るのも楽しかったのだから。
「休みに来たのにこんなに疲れたんじゃ本末転倒だな‥‥西野。俺は能力を使って出る!頑張れよ!」
言うが早いか周防は跳躍を使って露天風呂から出て行ってしまった。
「嘘!マジで!?俺にどうしろって言うんですか!」
大声を出すとダイアナに気づかれると思い、声はあくまで小さな声で叫ぶ。すると突然『下心チェッカー』が激しくなり始めた。
「え!俺!?疚しい事なん、て‥考え‥」
言うと同時に西野が倒れる。その原因は下心チェッカーに攻撃されたからではなく、単なるのぼせただけである。
「何をしてるんだか、あいつは‥」
盛大にため息をつくダイアナを余所にレンズが脱衣所で珈琲牛乳を飲みながらそれを見て、笑っていた。
「本当はここで酒でも飲みたい気分なんだが、正義の味方がそういう事をするわけにはいくまい‥」
もっと若かったらあ〜んな事やこ〜んな事をやってみたかった、レンズは思いながら残りの珈琲牛乳を飲み干した。
「お帰り!どうだったかね、水楼館は!私が行けなかった水楼館は!」
温泉旅行から帰ると、上司が引きつった笑みを浮かべながら出迎えてきた。
「あ、これお土産です」
全員が上司(機嫌取りの為)に土産を渡すと嬉しそうんそれを受け取っている。
「あ、私からも」
草加が渡すと、余程怖い目にあったのか「わ、悪いね」と少し後ずさって受け取った。
「もう一つ」
草加から渡されたのは‥請求書。しかも明らかに上司以外の土産物まで勘定に入っている。
「‥エステまでしたのか‥」
ダイアナの言葉に周防、西野、ホーク、レンズ、時任、男連中は草加を怒らせてはいけないと心に誓ったのだとか‥。
「うぅ、わしはこの旅行で嫁に行けなくなったのじゃ‥」
DarkUnicornは一人後ろで嘆いていた。
多分‥この温泉旅行で疲れを落とせた者は―‥いない。
END