盗まれた心臓アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/20〜01/24
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●本文
※盗まれた心臓:アンダーシティ・ポリス11※
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太陽のかけらが隕石となりて、地球に降り注いだ現象―‥熱砂。
生きる事に絶望した人間達は地下に己たちの世界を切り開いた。
その地下世界を守る警察‥アンダーシティ・ポリス
彼らは今日も地下世界の平和を守るために活動を続ける。
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●話の内容
とある噂がアンポリ本部へと流れてきた。
東居住区の一角にある小さな村、その村の住人には‥心臓がないのだという。
実際に調べたわけではない。
噂が本当なのかも分からない。
だけど、そんな噂が流れている以上、誰も村に近づこうとしないのだ。
「心臓ねぇ‥そんなモノをどうやって調べろって言うのよ‥」
噂の内容を纏めたメモを見ながら、一人の女性捜査官が気だるそうに呟いた。
「しかし‥噂となる以上は原因が何かあるはずだ。調べてくれそうな捜査員を集めてくれ」
上司の言葉に女性捜査員は「はいはい」と返事をして、メモに視線を移した。
「‥夜間は住人の凶暴さが増す‥まるでゾンビのように‥か」
攻撃を重視にしたメンバーにした方がいいかしら、女性はため息混じりに呟いた。
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●募集事項
◎これはアクション映画で、出演者のみを募集します。
◎出演者は『バムス』と呼ばれる特殊能力を持っていますが、これは絶対持たせないといけないものではありません。
◎話に重要な役を演じる方がバムスなしだとアクションなしになる場合があります。
◎今回の主な役柄は『地下世界警察』『心臓のない村の住人』などでしょうか。他にも適役がありましたら、そちらを演じてくださっても構いません。
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●アンポリの世界観
※今更かよ、と思われますが説明してなかったと思い、書かせていただきました。
◎熱砂によって地上に住めなくなり地下へと移り住んでいる。
◎ある程度は復興したものの、未だに荒廃している世界。
◎スラム(居住区)については以下の通りです。
※東居住区‥普通に人が住んでいるスラム。治安は少し悪い。
※南居住区‥ここは現在封鎖中です。
※西居住区‥普通に人が住んでいます。治安はどちらかというと良い方です。
※北居住区‥人が住んではいるものの、治安が悪い。
※上層地区‥どの居住区にも当てはまらない中央地区。治安は良くお金を持っている人間が住んでいる地区です。
※今回の舞台は東居住区です。
◎以上がアンポリ世界観についての説明です。
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◎プレイングに書いて欲しいこと。
※役名/バムス/一人称/二人称/口調/
なるべくでいいのですが、プレイングは簡潔に書いてください。
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●リプレイ本文
「さて、心臓がないとはまた妙な噂だが‥」
問題の村についてダイアナ(シヴェル・マクスウェル(fa0898))がため息混じりに呟く。
「心臓があろうとなかろうと大した問題じゃないけど、住人が凶暴になるのは問題だな」
ダイアナの言葉に答えるように呟くのはソニア(ブリッツ・アスカ(fa2321))だった。
「下らぬ。一昔前のホラーではあるまいし、そんな事があるわけないのじゃ。その村の医者が持っている聴診器が壊れたとか言うオチじゃろう」
わしが証明して見せるのじゃ、と意気込むのはDarkUnicorn(DarkUnicorn(fa3622))だった。
「あらあら、元気ねぇ」
クスっと笑みを浮かべながらやってきたのは草加(草壁・蛍(fa3072))だった。前回の休暇で嫌な思いをしているせいか、草加の顔を見た途端にDarkUnicornはズザッと後ずさりをする。
「あら、そんな露骨な態度しなくてもいいじゃない」
「わ、わしにそんな趣味はないのじゃ!」
そう叫びながらダイアナの後ろに隠れる。その反応を見て草加はクスクスと笑っている。
「とりあえず、問題の村に向かうしかないですね」
聴診器と携帯血圧計をバッグに入れつつ呟くのはキリー(百鬼・レイ(fa4361))だった。彼もDarkUnicornと同じように村人の心臓の音を聞こうという作戦のようだ。
「でも‥本当だったら怖いですね‥」
震えながら呟くのはドミニカ(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))、その姿を見てダイアナが「皆が守ってやるから大丈夫だよ」と安心させるように答えた。
「では、私の能力でこの犯人を見つけるとしようか。いたら、の話だが」
そう言ってレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))は持っていたダーツを投げる。壁にはこの事件に首謀者がいるか、いないかと書かれた紙。レンズの能力ならば間違った方へダーツが刺さる事はない。それが彼の能力『シュレンディガーの猫』なのだ。
「‥犯人は、いる‥と出ましたね」
ドミニカが結果をポツリと呟く。
「そうと分かれば、問題の村に向かうとしましょう」
草加の言葉に、捜査員は首を縦に振り、問題の村へと向かう事になった。
「普通の村、だな」
あれから暫く時間が経過して、到着した村には至って普通の村だった。
「そうじゃ、キリー。例の聴診器で村人を調べて回ろう」
DarkUnicornの提案にキリーは聴診器を取り出し、二人で村人の所まで走っていってしまう。
「若い子って元気ねぇ」
草加が二人を見ながら呟くと「そんなに年は食ってないだろう、お前も」とダイアナが静かな突っ込みを入れる。
「貴方達は‥?この村の人じゃないよね?」
村の奥からやってきたのはシュタイナー(伊達・斎(fa1414))と名乗る住人だった。
「いや、この村で嫌な噂を聞いたモンでね、一応捜査に来たんだ」
ダイアナの言葉にシュタイナーは「あはは」と笑い出した。
「この村で嫌な事なんてないよ。良い所だろう?君達もゆっくりしていくといいよ」
シュタイナーは頭を軽く下げると、捜査員の前から姿を消した。
「どう思う。ドミニカ」
ダイアナと草加が後ろにいるドミニカに問いかけると「‥何か違うんです」と言葉を返してきた。その言葉の意味が分からずに首を傾げると、ドミニカは一生懸命に説明を始める。
「何がおかしいのか分からないけど、この村は‥怖いです」
直感的に村の異変を感じ取ったのだろう。
「でも、何か村人は不自然なのよね。皆ニコニコしてるけどさ、表情の固まった笑顔って言うか‥、まるで人形に無理やり笑顔作らせているみたい」
草加の言葉にダイアナも村人を見る、やはり二人が言うように上手く説明は出来ないが違和感を覚える。普通の人間が見ただけでは気づかないのかもしれないが、捜査員という仕事をしているせいか妙な事には敏感になっているのだ。
「キリーとDarkUnicornはどうしているだろうな‥」
「‥この聴診器も壊れているんじゃろうな、うん‥そうとしか考えられぬわ」
DarkUnicornは村の子供の心音を確かめようと聴診器を胸に当てたが、音など全く聞こえない。そう―‥まるで本当に心臓がないかのように。
「いてて‥」
そこにキリーがやってくる。顔には引っかき傷のようなものを作っている。
「どうしたのじゃ、その傷は」
「や、胸の音を聞かせてって頼んだらダメ!って引っ掻かれてしまったんですよ」
そう言って傷を擦るその姿は痛々しかった。
「実はわしが調べた子供は心臓の音がしなかったのじゃ」
「おいおい、あの話はマジだったのかよ」
二人が遅いと心配したソニアが聞き込みがてらに探しに来ていたのだ。
「俺も聞き込みをして思ったんだが、この村はおかしいぜ。直感的なモンだけどな」
その後、全員は合流して村の宿屋に泊まる事になった。
そして―‥夜。
「ちょっと起きてください」
時間は夜中の二時を少し過ぎた頃、外から大きな音が聞こえてきた。一番最初に気づいたキリーが皆を起こす。
「何、この音―」
草加が呟いた時、宿屋の主人が手に凶器を持って入ってくる、そして襲い掛かってきた。
「きゃああっ」
突然の出来事にドミニカが叫ぶ、その時DarkUnicornは能力を開放し「動く→動かない!」と叫び愛用の10トンハンマーで主人を殴る。彼女の能力は二つの言葉を結び、それに触れた対象をその通りにさせてしまうという能力だった。彼女の能力を受けた主人は動けなくなり、その隙にソニアに殴られ気絶をした‥。
「ソニア、あまり強く殴ると首の骨が折れるぞ」
ダイアナが呟くと同時に主人の首がゴトリと床に落ちた。
「うわわわわわっ、マジで折れた!」
焦るソニアをよそにドミニカが「違います、それは‥」と指差しながら呟く。宿屋の主人だったのは―‥人形だった。
「人形‥?でも昼間は普通に話してましたよ」
キリーが首を傾げながら言うと、皆の頭の中に一人の男性の姿が浮かぶ。
「シュタイナー‥って言ったっけ。あの人の良さそうな男」
シュタイナーに話を聞くべく、宿屋の外に出るが―‥そこには暴走した人形、もとい村人の姿がある。もちろん手には凶器。
「これじゃ、シュタイナーさんの家に着くまでに結構時間がかかりそうですね」
ドミニカが呟く中、草加は一人ため息を漏らしていた。
(「あ〜‥せっかく能力を制御出来るようになったのに、こういう無機物に効くか分からないわねぇ‥」)
夜中、しかも寝起きで機嫌の悪い草加は段々と腹がたってきて、持っていた拳銃で自分に襲い掛かってくる人形を攻撃し始める。
「危ないっ!」
突然、ドミニカが叫ぶ。それもその筈、皆の後ろから人形が襲い掛かってきていたのだから。咄嗟の事でドミニカはバリアーを展開し、攻撃を防ぐ。攻撃を仕掛けてきた人形はソニアとダイアナによって破壊される。キリーも能力を使い、銃弾を確実に標的へと当てる。彼の能力を使えば、当たらないなど絶対にないのだから。
「多分、私の能力はもうお役には立てないです‥二度目が出るなんて奇跡でも起きない限りないでしょうから‥」
震える体でドミニカが小さく呟く。
「さっき助けてくれたので十分よ」
草加が答え、人形達へ銃を発砲する。キリーも威力をマグナム並にして発砲し、シュタイナーの家に着く頃には一時間が過ぎようとしていた。
「‥結局、一時間も人形に手間取らされたワケか」
最後の一体を、ダイアナは能力『アウトリガー』を使い破壊する。今までに左手で受けてきた衝撃は大きく、右手から繰り出される衝撃波は人形を瞬時に破壊してしまった。
シュタイナーの家に入るとベッドの上で魘される姿が見えた。ソニアが起こすとハッと目を覚まし「‥貴方達は‥」と眉間に皺を寄せて呟いた。
「何故、放っておいてくれなかった。こんな事‥思い出したくなかった‥」
シュタイナーの言葉に捜査員達は首を傾げる。彼の話を聞けば、彼が村を離れている間に村人が全滅してしまったのだと言う。その事が切欠となりバムス『ピュグマリオン』に目覚め、無意識のうちに発動していたのだ。事件の記憶だけがショックで失われた彼にとって、さっきまでの村人達は生きていると思い込んでいたらしい。
「夢なら覚めたくなかった!こんな辛い現実など受け入れたくなかった!」
まるで捜査員達を責めるかのように叫ぶシュタイナーにソニアは能力を使い、彼の近くまで行き軽く頬を叩いた。
「そんな事を村人が望んでいるとでも思っているのか」
ソニアの言葉に少し落ち着きを取り戻したのか、彼は涙を流すばかりだった。
「連れて帰って制御法をぶち込んどく?」
草加の提案にソニアは「そうした方がいいだろうな」と答えた。今は村だけの暴走で留まっていたが、これからもそうとは限らない。大きな犠牲が出る前に制御法を教え込むのが得策だと感じたのだろう。
「これからは‥お前次第だな‥現実を受け入れるか否か、だが‥村人が何を望むのかだけは間違えるな、それが生き残ったお前に出来る事なのだから」
その後、署にシュタイナーを連れて帰り、レンズに後の措置を任せることになった。
「‥出番少ない上に、仕事まで押し付けられるのか‥」
がっくりと肩を落とすレンズにキリーは少しだけ同情したとか。
そして、草加はDarkUnicornをからかって遊んでいて、他の捜査員もあえて止めないといった事が日課になりつつあるらしい。
END