トラッパーズ!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/23〜01/25
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●本文
※トラッパーズ!※
『天が裁かぬ悪漢共、神が許しても我らが許さぬ、裁いてみせよう』
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●話の内容
TO
松沢・水葉様
貴方は多くの女性の心を弄び、傷つけてきましたね。
その行為、目に余るものがあります。
明晩九時、裁かぬ天に代わり
我々トラッパーズが
貴方に正義の鉄槌を下します。
お覚悟の程を宜しくお願い致します。
FROM:トラッパーズ
これが今朝方、松沢・水葉の自宅郵便受けに入れられていた文書だ。
水葉の父親は有名な貿易会社の社長の一人息子で、両親から可愛がられて育てられてきた。
何か不祥事を起こしても、父親がお金にものを言わせて揉み消してきた。
だから水葉は反省するという事を知らずに、そのまま成長してしまったのだ。
「‥こんな物‥」
水葉はその文書を忌々しげにぐしゃりと握りつぶし、ゴミ箱へと捨ててしまう。
「俺は何をしてもいいんだ。跡継ぎは俺しかいないんだからな、こんなくだらない奴らに俺が負けるものか」
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●募集事項
◎これは映画で、出演者のみを募集します。
◎今回の話に登場する役柄については以下の通りですので、ご参照下さい。
・松沢 水葉(必須/男性一名)
・トラッパーズ(罠士・動師/必須)
・解士(解士は警察側の人間です/必須)
・トラッパーズを追う警察たち(必須ではありません)
◎トラッパーズについての説明は以下の通りです。
・トラッパーズは最近世間を騒がせている『お仕置き集団』です。彼らは『罠』を仕掛けて標的を懲らしめる義賊のようなものです。
・トラッパーズは標的を殺害したり、大怪我をさせたりはしません。怪我をさせたとしても軽症です。
・警察は彼らを捕まえるために日々、走り回っていますが何人組なのか、男なのか女なのかすら消息をつかめていません。
・警察側には『解士』と呼ばれる『罠を強制的に解除できる』特殊能力者が存在します。
・罠士の罠は解士のみと仕掛けた罠士のみが解除できます。
・罠士が仕掛けた罠は『動師』の能力があって初めて発動します。
・動師はどの罠士が仕掛けた罠も発動させる事が出来ます。
※大まかな説明は以上です。この他に疑問点がありましたら他の参加者様と話し合って設定追加はOKです。
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●リプレイ本文
「今回の標的はこの男や」
葉隠(ゼフィリア(fa2648))が水葉(レイリン・ホンフゥ(fa3739))の自宅構造図を広げながら言う。
「こういう奴には精神的な苦痛を与えた方が効き目あるんや」
既に仕掛ける罠を考えているのは、葉隠はフフと笑みながら呟いた。
「久しぶりの仕事ですね」
パソコンを操作しながら呟くのは影山(神楽坂 紫翠(fa1420))だった。
「今回の相手は‥‥また仕置きがいのある人のようですね」
罪状などを見て影山は呆れ半分で呟いた。
「酷い奴、遊ぶなら、きちんと遊び方を覚えてからにして欲しいものだね」
奏(ユフィア・ドール(fa4031))が怒り半分の声色で呟いた。彼女が感情を表に出すのは稀で、それだけご立腹という事だ。
「私達も目立ってきてますから、準備は万全じゃないといけませんね」
影山の言葉に皆が「確かに‥」と呟く。お仕置きをしに行って捕まった、じゃお笑いにもならないのだから。
「またトラッパーズから予告状が来たんだ‥」
はぁ、とため息をついてモーニング二人前を食べながら喫茶店の店長に愚痴るのは須津(モヒカン(fa2944))だった。彼は警部でトラッパーズの事件を担当する事が多い。悪人に仕置きをするというトラッパーズの考えには好意的解釈も持てるが、それはそれ。重症人などが出ていないとはいえ、犯罪者の集団には違いがないのだから。
「さて、今回も解士を呼ばなくちゃならんだろうな‥」
そう呟くと、携帯を取り出して電話を始めた。
「犯人逮捕と警護は警察の仕事、俺は罠の解除しかしないからな」
思い切り不機嫌顔で呟くのは風間(橘・月兎(fa0470))、依頼とはいえ突然の呼び出しに不機嫌さは増している。
「分かってるよ、それともう一人、解士がいる」
須津が呼び、やってきたのは侑子(リリン(fa4550))だった。
「よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げ、にこりと笑う侑子に風間も頭を下げ返す。
「つまんねぇー‥」
ソファに尊大な態度で腰掛けるのは渦中の人物・水葉だ。彼は予告状など大して気にしていなかったのだが、彼を心配する親からの言いつけで外出禁止とされてしまったのだ。おかげで水葉を警護する為に集まった警察の人間達が屋敷のあちこちにいる。
そして、時刻は予告された九時になろうとしていた。
「それじゃ、始めましょうか♪」
楽しげに呟くのは菊池(紅雪(fa0607))だった。
現在九時少し前、仕置き決行まで‥あと僅か―‥。
「警備の方は?」
奏が影山を見ながら呟くと「もうすぐ電気が落ちますよ」と答える。その数秒後に屋敷の電気が落ち、真っ暗になった。
「中の警備システムも狂わせてますから、苦労なく侵入は出来ると思いますよ」
影山の言葉に「警察に捕まらないように」と葉隠が呟き、それぞれは行動を起こし始めた。最初に罠師が屋敷へと侵入して罠を仕掛けるために、葉隠と影山が屋敷へと入っていった。
「うちはこっち側に罠を仕掛けるわ、影山さんはあっち側をお願いな」
それだけ言うと、葉隠は身軽な動きで走っていく。風魔の末裔という事もあり、俊敏な動きだった。
「さて、俺も罠を仕掛けるとしますかね」
そう言って一人、道具を取り出して罠を仕掛け始める。影山の仕掛ける罠は見た目も綺麗で細かい罠が多い。丁寧で綺麗な罠が仕上がるのだが、毎回手間と時間が掛かるという欠陥もある。
「炎系と電気系‥念の為に両方作っておくか」
細工はどんな物にしようか、そう考えながら影山は罠を作っていく。
「この辺でいいかな」
屋敷を走り回り、適当な所を見つけて罠を仕掛け始める。警察の人間は水葉の身辺を警護しているのか、走り回っている間に警察の人間と会う事はなかった。葉隠が仕掛ける罠は相手の精神的消耗を目的とした罠が多く、罠の王道をいくような物がメインになる。
「女を泣かすなんて最低な男には容赦はせぇへんで」
そう言って葉隠は罠にハマった時の水葉の姿を思い浮かべ、顔を緩ませて罠の製作を始める。
「はー‥やってらんねぇって」
あまりの退屈さに水葉は部屋を出る―‥と扉を開けた所で頭上から黒板消しが落ちてきた。しかもチョークの粉がこれ以上ないくらいびっしり。
「げほっ、な、何で黒板消し!?」
水葉はむせながら落ちてきた黒板消しを手に取り、思い切り投げた。
「やれやれ、現れたようだな、トラッパーズが」
ため息混じりに呟くのは風間で、部屋から出て行こうとする。
「ちょ、どこ行くんだよ!」
「俺が受けた仕事は罠の解除のみだ、貴方の身は自分で守るか警察に守ってもらえ」
それだけ言うと風間はすたすたと部屋から出て行ってしまった。
「あ、大丈夫ですよ。水葉さんがどこか行く時は私もついていきますから。罠がありましたら解除します」
侑子がにっこりと笑いながら言う。侑子は結構な美人で水葉の好みだ。侑子も落としてやろう、そう思った矢先に「反省の色が見られないわね」と冷たく呟く言葉が聞こえた。
「誰だ!」
「誰だっていいでしょ」
呟き、まるで水葉を誘い出すかのように走るのは菊池だった。案の定、追いかけてきた水葉を見て「さぁ‥時間よ」と菊池が呟く。するとカッと光り罠が発動する。
「これは葉隠ちゃんの罠ね」
罠が発動され、現れた罠は‥王道的な金タライだった。かっこーんと響の良い音をたてて水葉の頭に落ちていった。
「大丈夫です―危ない!」
侑子が叫び、水葉を突き飛ばす。その後、発動した罠のタライが侑子の頭に落ちてくる。
「お、お前は解士だろう!何で解除しないんだよ!」
水葉に言われ「あ!解除すればよかったんだ!」と思い出したように叫んだ。大丈夫かよ、水葉は心配しながら何とか外に出ようと屋敷の入り口へと向かう。
「ふー、この辺は大丈夫みたいだな」
須津は一通り目立った場所に罠がないかを調べまわっていた。もちろん屋敷に近づく人間は注意を怠らない。その時、かっこーんという音が響き、須津はそちらへ急いで走る。途中で罠を解除する風間の姿があった。
「随分と簡単で、解士を舐めた罠を仕掛けるモノだな」
ふん、と鼻で笑いながら風間は仕掛けられた罠を淡々と解除していく。
「水葉の坊ちゃんはどこに行きやがった‥。部屋で大人しくしてろって言ったのによ」
部屋を見ると、中には警察の人間ばかりで肝心の水葉の姿はなかった。慌てて須津は水葉を探しに屋敷の中を駆け回ることになった。
「馨、まだ罠は仕掛け終わらないの?」
痺れを切らしたように奏が呟くと「ここの細工が‥」と彫り物をしながら影山が返事を返す。
「どうせ発動させたら細工なんか見えないんだし、拘る事はないでしょう」
標的がこちらへ来るぞ、多少イラついた声で言うと「今‥終わったところだ」と影山が満足するように呟いた。
「よし、じゃあ発動させるぞ」
奏は罠にソッと手を差し伸べると「いい子だね、さぁ‥目覚めろ」と呟く。その時にちょうどやってきた水葉は発動した電気の罠にかかり、痺れて動きを止められてしまう。
「うわああっ」
びりびりと電流が体を流れて、水葉はその場に膝を折る。
「おや、ちょうど皆さん仕事を終わらせたんやね」
バラバラに散っていた仲間が集まり、脱出を試みる。
「ねぇ‥?反省も後悔もしなくていい。その代わりに‥恐れなさい。私達トラッパーズを」
そう呟きながら笑う菊池の姿はどんな罠よりも恐ろしく思えた。
「は〜‥どうでもいい、お腹すいた‥」
奏は伸びをしながら呟く。その所に須津がやってきた。
「トラッパーズ!?待て!今日こそは捕まえてやる!」
そう言って飛び掛ろうとしたが、蹲る水葉の姿に気がつき慌てて駆け寄る。怪我は大した事なかったが、何かに恐れるように震えていた。
「あら、警部さん。毎回お仕事ご苦労様。でも残念ね、今回も私たちはお暇します」
そう言ってトラッパーズは屋敷の窓から出て行く。追いかけようとしたが、炎の気紅遮られて須津では捕まえることはできなかった。
「ちくしょう、おい―‥誰か!」
外の警官を使って捕まえようとしたが、庭に配置していた警官は全て眠られていて、動ける人間は一人もいなかった。
「ほら、立て、傷の手当をしなきゃならんだろう」
そう言って水葉を立たせると、何か紙のようなものが天井から落ちてきた。
「何だ、こりゃ‥」
そこに書かれてある事を見て須津は目を丸くした。
「横領疑惑、暴行事件‥」
全ての疑惑に証拠がつけられており、須津は水葉とその両親を逮捕しなくてはならなくなった。
「葉隠、それは何?」
奏が葉隠の持っているカメラを見て不思議そうに呟いた。
「これは水葉の情けない姿を撮った写真や、これを被害者全員に送ったろ思ってな」
楽しそうに笑う葉隠に「ふ〜ん‥」とさして興味もなく奏は答えた。
「でも暫くはテレビのお世話になると思うわ。全ての悪事を公表した紙を置いといたから♪」
菊池が楽しげに笑う。悪人を懲らしめる為ならば、どんな手間も厭わないのだ。
さぁ、次はどこへ行こう?
悩むことはない、だって‥世の中に悪人は山ほど存在するのだから。
そんな奴らが存在する限り、トラッパーズの存在も消える事はないのだから。
END