うっちぃアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
0.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/27〜01/29
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●本文
『多分、僕なんか世界から必要とされていない―‥気がする』
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●話の内容
ここに一人の「鬱」な男がいる。
名前を鬱男‥というのは冗談で『峰 武則』という。
彼は小学生の時にいじめにあってから引きこもりになってしまったのだ。
それは成人してからも変わりなく職に就くこともなしに家でゲーム(ギャルゲーのみ)をしている。
鬱でヒッキーでニートなオタク、とにかく「うわっ」と思うのが全部当てはまる男だ。
そしてついたあだ名は「うっちぃ」だった。
鬱を可愛らしく、と言ってどこかのいじめっ子がつけたあだ名だ。
彼に普通の生活をさせようと両親が試みたが無理!
笑えといえば「ヒヒヒヒ」と魔女のように笑い
外に出ろといえば奇声をあげて近所を走り回る。
仕事をしろといえば引ったくり紛いの事をして警察に(両親が)土下座
せめてギャルゲーだけでも止めさせようと取り上げたら
「‥本物の人間でギャルゲーしちゃうよ?」と脅されて返す。
とにかく最凶最悪の「うっちぃ」なのだ。
さて、こんな「うっちぃ」に普通の生活をさせるべく
呼ばれたカウンセラーたち。
この最凶うっちぃを打ち倒せ!!
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●募集事項
◎これはコメディ映画で、出演者のみを募集します。
◎必要な役柄は「うっちぃ」「カウンセラー」の二つのみです。
最凶な「うっちぃ」なのでカウンセラーは何人いても構いません。
◎最後に「打ち倒せ」と書いてありますが殴り倒してはいけません。
どんなに殴りたくなっても殴ってしまっては犯罪になるので殴らないで下さい。
ちなみに「うっちぃ」は捻くれた奴なのでカウンセラーに対して嫌味攻撃をします。
◎うっちぃの嫌味攻撃をかわして彼に普通の生活を与えてください。
※私が決めた設定は上記のみです。他の参加者の皆様方と話し合って設定追加や役柄追加はOKです。
●リプレイ本文
「こういう若者がいるのは、親身になって話を聞く人がいなかったり、本気で怒ってくれる人がいなかったからだ」
峰宅にやってきたカウンセラーの金澤(マサイアス・アドゥーベ(fa3957))は両親に向かって話し始めた。
「とりあえず、ご子息と話をさせてもらおうか」
そう言って、金澤は二階へとあがっていった。
「アンタ誰?っつーか、人の部屋に勝手に入ってくんなよ」
部屋に入ると、テレビの前からこちらを見るうっちぃ‥武則(志波・武流(fa0669))がいた。部屋の中には『萌』と字だけ書かれたポスター(手書き)が貼られており、女の子の人形がびっしりと飾られていた。
「わしはカウンセラーの金澤だ、キミの両親に頼まれてカウンセリングを‥」
「帰れよ、ばーか」
まず、人の話を聞かない。殴ってやろうか、この小僧。そう怒りに震える金澤だがグッと堪えて話を続ける。
「何が不満だ?何でも話を聞くから、話してみなさい」
そう優しげに言うが、強面の金澤に言われても説得力はない。
「話したい事なんかねーよ、強いて言うなら出て行けよ」
自分に何度も罵声を浴びせる武則に、流石の金澤もブツンと何かが切れてしまった。
「ぶわっかもぉぉぉぉぉん!!」
家中がひっくり返るほどの大声に武則は一瞬だ驚いたように目を丸くするが、次の瞬間には最初の表情に戻っており「鼓膜破けたらどうすんだよ、訴えるぞ」と耳を押さえながら言葉を返す。金澤がどれほど熱心に話しかけても武則は冷たくあしらう。これでは話にならん、そう言って金澤は一人退場する事を決めた。
「事実から目を逸らさず、現状を正しく把握する事が社会復帰への道だ」
そう言ってやって来た二人目のカウンセラーは千葉(チェダー千田(fa0427))だった。彼も武則を社会復帰させるべく、意気揚々と二階へと上がっていく。
「また来たのかよ、今度は誰だよ」
「おぉーっと最初からこの発言は厳しい!しかし千葉は諦めません!ここで誠意を持って接したぁぁぁっ」
アナウンセラーという自称を持つ千葉はアナウンサー式にカウンセリングを行う事で有名なカウンセラーだ。
「きみがギャルゲーにハマる理由!それは女絡みと自分は思っておりますが、中継先の武則、いかがでしょう?」
マイクを渡す素振りを見せ、武則に問いかける。目の前にいるのに何で中継先だよ、という質問をしたかったが余計にウザくなりそうなので、武則は言うのを止めた。
「っつーか、生え際薄いんだよ」
「おーっと、図星でしょうか!武則は嫌味返しでズバッと斬ったぁぁっ‥‥気にしてるのにぃっ」
よよよ、と泣きながら千葉は撤退。
「こうなったら最終手段!リアルギャルゲー大作戦よ!」
自分の前にカウンセリングを行う姿を見て、三人目のカウンセラー佐伯(豊浦 まつり(fa4123))は叫んだ。今までのカウンセリングを見ていて武則が女絡みで、ああなってしまったのはほぼ間違いないと確信した佐伯は逆療法をする事に決めた。
「しかし、問題は誰が相手をするかよね」
「私は姉だから、まず除外でしょ?」
美智子(新井久万莉(fa4768))がため息混じりに呟く。しかし現状を見る限り、カウンセリングをしているなんて、とても思えなかった。どこの三流コントよ、そう思って美智子はまたため息を漏らした。
「‥何を始めたんだ?」
玄関から顔を覗かせるのは隣人の吉田(鶤.(fa3351))、彼は大学院生で武則の奇怪行動に悩まされている人物の一人でもあった。
「イイ人材見っけ!」
佐伯が叫び、吉田にリアルギャルゲー大作戦を説明する。そしてその為に吉田が女装しなければならない事も説明された。
「治療か‥うっちぃには困ってたんだ‥見学させてもらう‥って俺が女装するのか‥?」
面白半分にやってきた吉田は女装に暫く悩む、女装など出来ればしたくないが、それでうっちぃが静かになるのならと思い、リアルギャルゲー大作戦に参加する事となった。
「そして、強力な助っ人を紹介するわね。内神田くん(森里時雨(fa2002))」
佐伯が「こっちよ」と呼ぶと同時に入ってきたのが一人の男子学生だった。
「初めまして、内神田といいます」
丁寧に頭を下げて挨拶をする彼にその場にいた皆が首を傾げる。
「彼はもと‥うっちぃよ!今回のうっちぃ攻略に欠かせない人物なの!」
その言葉に全員が驚きで目を見開く。内神田は至って普通の学生にしか見えない。元うっっちぃという事は武則と似たような感じだったのだろう、その彼が今はここまで積極的、活動的になっているのだ。
「よし、ではギャルゲー大作戦開始よ!」
おー!と手を上げる姿を見て美智子は「アホらしい」と言ってリビングへと姿を消し、金澤は三歩ほど下がった場所から遠い目で見つめている。
「‥これははたして本当にカウンセリングなのか‥?」
金沢の呟きに返事をする者はいなかった。
「ハロー☆カウンセリングを始めるわよ!」
また来た、そう言ってため息を漏らすのは武則、しかし今度は今までと違って何やら気迫がある。
「生身のギャルゲーをやるわよ!」
「本当か!‥いや、嘘だ。騙されるものか。カウンセラーがそんな事をするわけがない!」
「いいから黙りなさい!」
そう言ってジャーンと紹介された吉田の姿は最初着ていたラフな格好だが、結ばれていた髪を解き、女性らしく髪をかきあげてみる。
「おおっ!何かどっかで見た顔だが、女だ!綺麗だ!」
武則のアホさ加減は人の顔すら覚えない所までいっているらしい。
「甘い!」
バシンと床をハリセンで叩くのは内神田だった。
「リアルギャルゲーにおいてメイド!巫女!ナース!眼鏡!妹!病弱!ツンデレは必須条件だろうがぁ!こんな事でいちいち反応するな!」
内神田の迫力に流石の武則も「は、はい。スミマセン」と素直に謝った。
「美智子さ〜ん、入るよ」
そう言って峰宅に入ってきたのは幼馴染のみゆき(美角あすか(fa0155))だった。しかし彼女の前には見知らぬオッサンが一人と鏡で自分の生え際を確認しているお兄さんの二人がいる。
「っつーか、誰!」
ビシッと突っ込みのように叫ぶと二人とも「カウンセラーです」と答えた。
「とうとうそこまで行ったの!アイツは!」
「今は上でカウンセリング中だけど、様子見に行ってみたら?」
美智子がリビングから顔だけを覗かせて言う。
「おーっと、何やら甘い恋の予感!密着取材をしようと思います!」
いつの間にか復活していた千葉はみゆきと共に二階へと足を運んだ。
「‥千葉の奴、作戦会議中はトイレで引きこもってたな‥」
リアルギャルゲー大作戦を見て驚かなきゃいいが‥そう思う金澤だったが係わり合いになりたくないのでほっとく事にした。
「武則!アンタついに‥って何やってんのよーっ」
みゆきの叫びが部屋中に響く、それもそのはずだ。ギャルゲーについて熱弁する男とそれを見て笑っているカウンセラーらしき人物、それに頭にリボンをつけ女装した隣人の吉田さん。カウンセリングとはとても思えない光景だったのだから。
「よ、吉田さん。アナタそういう趣味が‥」
冷たい目で見るみゆきに「ち、違う!」と一生懸命弁解するが今の姿では、どんな言葉も言い訳にならない。
「何やら波乱の予感!さぁこの後はどんな展開を迎えるのか!」
「何でお前がここに来るんだよ。元はと言えばお前のせいなんだからな。俺を苛めたりするから!」
武則がみゆきに向かって叫ぶ。しかし当のみゆきは「はぁっ!?」と全く身に覚えのない様子だ。
「私がいつアンタを苛めたって言うわけ!」
「小学校の時のバレンタインを忘れたとは言わさないぞ!隣のクラスの奴には出来のいいのをあげたくせに、俺には失敗作を寄越しただろ!」
みゆきは武則の言う『バレンタイン』の事を思い出そうと眉をひそめる。そして心当たりがあるのか「あ!」と叫んだ。
「ん?何か解決しそうじゃない?結果オーライだね♪」
「嘘付け‥完璧に楽しんでたろ‥」
千葉の突っ込みに「煩いわね」と呟き、今後の展開を見守る。
「あれは!アンタにだけ手作りをあげたのよ!」
「そんな事信じられるものか!あんな不味いモン」
「まずいですって!言ったわね!」
「愚弟、みゆきちゃんは私に作り方を教わりに来てたから間違いないよ」
もう既に何が何やらで、カウンセラー達は呆れて次々に帰っていく。その中、千葉だけが女装した吉田に惚れて「付き合ってくれ」と迫っていた。男だから、と断っていたがあまりにもしつこいので「生え際薄いから嫌だ!」と言って断った。千葉は泣きながらどこかへ消えたそうな‥。
そして、結論。
最凶うっちぃ、峰 武則の社会復帰は諦めるべきであろう、それがカウンセラーの出した答えだった。
END
〜打ち上げ〜
「でも鶤.さんって本格的に女装すると意外と似合いそうね」
撮影終了後、新井さんが笑いながら呟く。その言葉は果たして褒められているのか、貶されているのか、どちらなんだろうと思いながら撮影は終了したのだった。
本当におしまい♪