動物使い 参アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
2.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/07〜02/10
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●本文
『危険なんだよ、君たちの存在は―‥』
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目に見えぬ『絆』で結ばれた者達がいる。
片方は限りなく人に近い存在で『動物使い』と呼ばれ、もう片方は人の姿をしてはいるが限りなく獣に近い存在で『ツカワレ』と呼ばれている。
彼らは『魔』と『黒の動物使い』と呼ばれる存在と長きに渡って戦いを繰り返していた。
※※※第三夜※※※
白の動物使いと黒の動物使いの争いはいつから始まったのだろう?
それよりも『動物使い』はいつから存在しているのだろう?
それは誰もが思いながら、誰も問う事がなかった疑問。
統括府のお偉方は『動物使い』の歴史について多くを語ろうとはしない。
教えられるのは『黒の動物使い』と『魔』を抹殺せよ、それだけだ。
「自分達だけが正義だとでも思っているのかい?」
それは突然の出来事だった。
現れた黒の動物使い・イザナギと魔・イザナミは薄く笑みながら目の前に立つ白の動物使いに問いかける。
「ナギ、白に何を言っても分からないわ」
魔のイザナミが小馬鹿にするような口調で呟く。
「ナミ」
イザナギが『黙れ』という意味を含ませた口調で言うとイザナミから笑みが消え「ごめんなさい」としゅんとしながら謝った。
「さて、話を戻そうか」
イザナギが相変わらずの笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ。
「深すぎる闇が人に害をもたらすように、眩しすぎる光も、また害をもたらす」
イザナギは意味深な言葉を残し「さてと‥」とため息混じりに呟いた。
「僕とナミはこれから人を殺しに行く」
「私とナギは最強だもの、きっと一瞬で終わるわね」
「人間は増えすぎて淘汰されるべき存在となった」
止められるなら、止めてごらんよ。
最強と言われる黒の動物使いと魔がお相手するよ。
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●募集事項
◎『動物使い』はアクション映画です。
◎今回の映画に必要な役柄は以下の通りです。
・白の動物使い(必須/何名でも可)
・ツカワレ(必須/何名でも可)
・イザナギ(必須/一名・男性が好ましいです)
・イザナミ(必須/一名・女性が好ましいです)
◎白の動物使いとツカワレは必ず二人一組にしてください。
どちらかが欠けても戦力としては激減します。
◎あとイザナギが殺しに行く人についてですが、無理に出す必要はありません。NPC扱いで出来る役ですので。
●動物使いの設定など
◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。
◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。
◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。
◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。
◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。
◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。
◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
ですが、必ず描写されるという訳ではありませんので、その辺はご了承下さい。
◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)
◎動物使いとツカワレの絆が最高潮になった時に『超必殺技』が使用可能となります。
※前回出ていた質問や設定の追加など。
◎ツカワレには動物使いは必須ですが、動物使いにツカワレは必須ではありません。
契約を済ませていない動物使い、まだ覚醒していない動物使いなどがいますので。
◎黒の動物使いですが、魔と契約した場合、契約した魔が何らかの理由で消失しない限りは契約は続行になり、次の魔と契約できません。
※ですが、今回のイザナギは黒の動物使いの中で一番強い能力の持ち主で、彼の場合は複数の魔を使役する事が可能です。
複数の魔を使役できる能力ゆえに、彼は黒の中で最強となっています。
※イザナミはイザナギが人工的に作り出した魔です。それ故にイザナギ以外と契約を結ぶことが出来ません。
現在の設定はこのようになっています。
ですが、参加者の皆様方で話し合っての設定追加はOKです。
その際は次回以降のOPに記載させていただきますので、どなたかのプレイングに書いていてくださるとありがたいです。
※プレイングの書き方※
例)動物使い
配役:白の動物使い
役名:水貴
一人称:私
二人称:〜さん
口調:です、ます、でしょうか?
対となるツカワレ:太郎
(出来れば台詞例も書いておいてほしいです)
例)ツカワレ
配役:ツカワレ
役名:太郎
一人称:俺
二人称:お前
口調:〜だ、〜じゃねぇ?
対となる動物つかい:水貴
(出来れば台詞例も書いておいて欲しいです)
‥‥と上記のようになりますが、あくまで例ですので皆様の書きやすい書き方でOKです。
対となる動物使い&ツカワレが決まった時点でもいいので、仮プレを提出していてほしいです。
白紙となった場合は相方との連携が出来なくなりますので、ご協力お願いします。
●リプレイ本文
「最悪やわ‥」
店の開店準備をしている時に電話が掛かってきて、炯都(橘・朔耶(fa0467))は盛大なため息をつきながら電話を切った。
「どうした?何かあったのか?」
厨房から顔だけを覗かせて問いかけるのは翡焔(ヴォルフェ(fa0612))だった。
「黒と魔が現れたから現場に向かえやて‥店の準備をしてるのに‥」
はぁ、とため息をつく炯都を見て「準備、俺がしてるんだけど‥」というツッコミを入れたくなった。
「しかも、その黒と魔以外にイザナギ(西村 哲也(fa4002))がいるらしいで」
「‥イザナギ‥?また厄介な奴が出てきたな」
翡焔は少し驚きながら炯都に言葉を返した。
「とりあえず、命令やし現場に向かおか。他の動物使いも向こうてるらしいし」
炯都は「う〜ん‥」と伸びをしながら翡焔と共に『ダエグ』を後にした。
「遅かったね。さて‥改めて『初めまして』だろうか」
伊織(ミッシェル(fa4658))と雅桜(辰巳 空(fa3090))を見て不敵に笑むのは黒の動物使い最強であるイザナギと使役している魔・イザナミ(檀(fa4579))が立っていた。
元々、伊織たちは翠嵐(レイス・アゲート(fa4728))とその魔である蒼藍(ユフィア・ドール(fa4031))の話を聞いて動いたのだが、イザナギとイザナミを発見してそちらを優先する事になったのだ。
「うぜぇ‥」
イザナギに言葉を返すのは雅桜、彼はまるで裏切り者でも見るかのように身に纏った真紅の衣と同じ色の瞳で強く睨みつけた。そして伊織に小さく話しかける。
「‥雅桜‥?」
「‥イザナミの強さは半端じゃない‥きっと、俺でも勝てない‥だから離れていろ!」
そう叫ぶと同時に雅桜はイザナミに向かって走り出す。
「ナギ?」
「仕方ないな、少しだけ相手しておあげ」
は〜い♪とイザナミは返事をして向かってくる雅桜に拳を振り上げた。
「翠嵐、あそこに仲間がいるよ〜」
蒼藍が指差す方を見ると、白と戦う仲間がいた。
「殺気がすると思ったら、また白達かよ。最近はやりにくいねぇ。‥相手は‥」
珍しいな、と翠嵐が呟くのを聞いて「知ってる人?」と蒼藍が問いかける。
「知ってるけど、戦っているのを見るのは初めてだな」
そう呟いて、翠嵐と蒼藍はイザナギ達と合流した。
「また黒が‥雅桜‥」
新手の敵が現れ、雅桜の心配をしていると「もう始まってるじゃないかっ」と慌てて炯都と翡焔がやってきた。
「おやおや、一体何人現れるんだろうね、それと君は見ているだけかい?元々は君の追っかけでしょ?翠嵐」
イザナギは大して困った素振りも見せずに翠嵐に言葉をかける。それに対して翠嵐は「俺の追っかけじゃなく、目的はそっちみたいだぜ?」と言葉を返した。
「‥蒼藍?どうする?見ているだけじゃ退屈だろ、遊んでみるか?」
翠嵐の言葉に蒼藍は笑いながら「行ってきますっ」と言って翡焔に向かって走り出した。
「遊んどいで、翡焔♪」
炯都の言葉を合図に翡焔も蒼藍に向かって走り出した。
「ところで、哥々さんら、何やてこないな事するん?」
イザナミと雅桜の戦いを見ているイザナギに炯都が問いかける。
「‥それは私も聞きたいですね。黒の中で最強と言われる貴方達が何故現れたのか‥」
伊織と炯都の問いかけにイザナギが答えようとした時「ナギっ」とイザナミが声を掛けてきて、イザナギの所へとやってきた。
「ナミ、どうしたんだい?まだ戦いの途中だろう?」
自分の服の袖を引っ張るイザナミを諭すように言うと「ナギ不足〜‥」と疲れたように言葉を返してきた。
「ナミ、もう少し頑張っておいで」
「う〜‥わかったぁ‥」
そう言ってイザナミは再び雅桜との戦いに戻った。
イザナミと戦う雅桜、彼は焦っていた。戦いを始めてから雅桜は凄まじい程の攻撃を繰り出してイザナミと戦っていた。しかしイザナミに効果は見られない。
「隙ありね!」
どうしたものか、と考えていた雅桜の一瞬の隙をついてイザナミが攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を避ける事が出来ず、直撃を受けてしまい、雅桜は伊織の所まで吹き飛ばされてしまう。
「余所見して暇はあるのかな!」
翡焔に攻撃を食らわせながら蒼藍が楽しそうに叫んだ。
「くそ‥調子に乗るな!」
翡焔の鋭い爪が蒼藍の腕を掠め、血がぽたぽたと滴る。
「‥血‥」
自分の腕から流れる血を見ながらぶつぶつと呟く蒼藍を不審に思い、近寄ると強い力で殴られた。その力は先程の非ではない。
「な‥」
「気をつけろよ、そいつの能力は『狂戦士』でな。血が出るほどの攻撃を受けた時のみに発動するんだ」
翠嵐が茶化すように言うと「翡焔!」と炯都が叫んだ。
「‥炯都、あの技を使えるか?」
一時体勢を整える為に、翡焔は炯都の所へと戻ってきた。その言葉を聞いていた伊織と雅桜が「あの技?」と首を傾げながら問いかけた。
「俺と炯都の超必殺技、炯都が希望する全ての体内時間を操作する能力だ。これしかあいつらを倒す方法は―‥ない」
「だったら、攻撃をするのは俺がやる」
よろめく体を伊織に支えられながら雅桜が呟いた。
「俺にも超必殺技『終なるイカヅチ』がある。これを使えば何とか撃退できるだろう」
「雅桜、しかしそれは‥」
口ごもる伊織に「これしか方法がないだろ」とそっけなく言葉を返す。
「さて、そろそろ飽きたな。次でケリをつけようか」
イザナギが呟き、翠嵐も「同感だな」と短く告げる―‥と同時に黒側は自分達の体に異変が起きている事に気がついた。それが炯都と翡焔の超必殺技の効力だと気づく頃には、攻撃役の雅桜と伊織が繰り出す『終なるイカヅチ』が目前まで迫っていた。
「ナギ!!」
大事なイザナギを助ける為にイザナミは動くはずのない体を動かし、雅桜の『終なるイカヅチ』の前に立ちはだかった。
「ハハハ‥見てみろよ、蒼藍。あいつらのあの無様な格好を。笑えるな」
結局、雅桜の『終なるイカヅチ』はイザナミの能力のおかげでイザナギの左腕を掠める程度に終わった。そして術者である雅桜は技の終了と共に対消滅をしてしまう。
「‥何でや‥」
「‥これが私達の超必殺技です。頑張りましたね、雅桜‥」
彼が消えた場所を見つめながら伊織は一人、寂しそうに呟いた。
「今日のところはさっきのツカワレに免じて、このまま去っていってあげるよ」
イザナギが呟くと翡焔が「待て!」と叫ぶ。その言葉を聞いた途端にイザナギは今までの温厚な表情を消して呟く。
「諦めない事は素敵だけど、勘違いをしない事だね。君達は生かされたって事を弁えた方がいい。それに‥」
一度、口を閉ざしイザナギは何かを考えたように言葉を止める。
「‥それに、真実なんてものは表裏なんて単純なものじゃない。角度次第で表情を変えるものだよ」
時間切れだね、とイザナギは呟き『終なるイカヅチ』を止める事に能力を使い、疲れ果てたイザナミに声を掛ける。
「ナミ、そろそろ帰るよ」
「翠嵐もカッコいいけどナギもカッコイイね!」
きゃあきゃあと騒ぎ、イザナギの腕に自分の腕を絡ませる蒼藍を見て「ちょっと!」と疲れも吹き飛んだかのようにイザナミが蒼藍を引き剥がしにやってくる。
「私にナギなんだから触らないでよっ!」
騒ぐイザナミにため息をもらし、イザナギは「置いていくよ」と翠嵐と共にスゥッと夜の闇に溶け込んでいく。
「ま、待ってよ!ナギ!」
それを見たイザナミと蒼藍は慌てて二人の後を追いながら消えていく。
「はー、不快楽的話持ってきたで‥」
今回の件を連絡するために炯都と伊織は統括府へと来ていた。結局イザナギから何かを聞きだす事は不可能だったが、彼の言い方を聞いていれば、動物使いに関する何か重要な事を知っているのではないかと思ってしまう二人だった。
「そういや、あんたはどうするんや?」
ツカワレを失った伊織に対して炯都が問いかけると「そうですね‥まだ何も考えてません」と眉を下げながら答えた。
「再召喚が可能になるという事も聞いた事がありますので、その方法を探してみようと思います」
超必殺技で命を落としたツカワレは特殊な道具を使う事で再召喚が出来るという話を聞いた事がある。伊織はその方法を探すと言うのだろう。
「もしかしたら、別のツカワレと契約を結ぶ事になるかもしれませんけど‥。イザナギが出てきた以上は一人でも戦闘が出来る動物使いが必要になってくるでしょうから」
「‥せやな。どちらにしてもお互いに気をつけような。ほな、再見」
そう言って伊織と炯都は統括府で別れた。
そして、ダエグ―‥。
「なぁ、翡焔。忘れなや」
テレビを見ている時に突然、炯都が呟き「何がだ?」と翡嵐が問い問いかける。
「‥‥私の命も、体も、髪一本さえもお前の物なんやで?」
目の前で命を落としたツカワレを見たせいなのか、炯都の様子がおかしい。戦いの場に身を置いている以上、今度は自分の番かもしれないのだ。
「お前は何を信じている?‥いや、きっと何も信じていないんだろうな‥」
ソファでボーっとしている炯都の傍へ行き、翡焔は真面目な顔で呟いた。
「統括府も黒の奴らも‥‥そしてお前自身も信じなくていい。ただ―‥俺だけを信じていろ」
その言葉に「‥そんなクサイ台詞がよう言えるな」と笑いながら炯都は答えた。
END