奈落の底より光へアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 3.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/18〜02/21

●本文

『忘れかけていた地上への道、開かれるのは、いつ?』

●奈落の底より光へ:アンダーシティ・ポリス13

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太陽のかけらが隕石となりて、地球に降り注いだ現象―‥熱砂。
生きる事に絶望した人間達は地下に己たちの世界を切り開いた。
その地下世界を守る警察‥アンダーシティ・ポリス
彼らは今日も地下世界の平和を守るために活動を続ける。
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●話の内容

「地上への門を開く?」

それは当然上司から言い渡された言葉だった。

学者の考えによれば、今の地上は人が住める場所ではないという。

しかし、それはただの『考え』であって実際はどうなのかは誰も分からない。

「それで私達に調査に行けってのね」

捜査員は小さくため息をついた。

「もちろん安全具などの支給はする。バムスの能力増幅機も渡す予定だ」

熱砂の影響により、今の地上はどうなっているのか分からない。

恐ろしい怪物が待っているかもしれないし、環境により体に影響が出るかもしれない。

それでも、貴方は調査チームに志願しますか?

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●募集事項

◎アンポリ13弾です、今回も出演者のみを募集します。
◎これはアクション映画で、出演者のみを募集します。
◎出演者は『バムス』と呼ばれる特殊能力を持っていますが、これは絶対持たせないといけないものではありません。
◎話に重要な役を演じる方がバムスなしだとアクションなしになる場合があります。
◎今回の役柄は『学者』『地下世界警察』になるかと思います。
◎現在の地上に人は住んでいません。よって地上人の役柄は出さないで下さい。

今回の話より、最終話まで話が続くかと思います。
今回の話では、地上を調査するチームを組み、地上へ向かう‥そこまでの話にしていただきたいと思います。
次の『失われし楽園の果て』で地上調査の話になります。
最終話『輝く楽園』の話の内容はまだ秘密です(笑)

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◎プレイングに書いて欲しいこと。
※役名/バムス/一人称/二人称/口調/
なるべくでいいのですが、プレイングは簡潔に書いてください。
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●今回の参加者

 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)
 fa2837 明石 丹(26歳・♂・狼)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3831 水沢 鷹弘(35歳・♂・獅子)
 fa4361 百鬼 レイ(16歳・♂・蛇)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4578 Iris(25歳・♂・豹)
 fa5428 両月昴夜(20歳・♀・兎)

●リプレイ本文

「北倉さん(明石 丹(fa2837))部屋が汚いんですけど‥」
「あー‥じゃ城田さん(両月昴夜(fa5428))が片付けといてくれる?」
 今日は、明日地上に調査に捜査員達が赴く。その為、今日は科学者と捜査員達を交えた壮行会を開くことになったのだ。
「え!手伝ってくれないんですか!?」
「うん、俺は捜査員達に渡す資料を纏めているから」
 けろりと言う北倉に城田は「キーッ」と怒りで叫びながら部屋の片付けを始めた。


「持っていくものは〜‥これとこれと‥あ!お菓子も持っていかなきゃ!」
 そう浮かれながら準備をするのはキリー(百鬼 レイ(fa4361))だった。明日の為にお菓子(三百円分)を購入し、愛用の銃の手入れも完璧にした。後は壮行会に出て寝て明日を待つのみである。
「あらあら、準備は万端なのね」
 キリーが準備をしているのを見て、草加(草壁 蛍(fa3072))が話しかけてくる。
「そりゃ夢にまで見た地上ですからね。行けるからには準備は万端で行かないと!」
「張り切ってるわねぇ‥でも、デスクワークの仕事よりかは面白そうだからイイんだけど」
 そういえば、と草加が思い出したように言葉を紡ぐ。
「どうかしたんですか?」
「エンジ(Iris(fa4578))よ。キラー事件で処罰されてるって聞いたけど、特例で戻ってくるらしいわ」
 草加の言葉にキリーは「へー‥そうなんですか」とさして驚く事もなく答えた。
「驚かないの?」
「別に驚く必要はないですよ。今の世界に過去なんて気にする必要はないですから」
 そう答えるキリーに草加は「‥そうね」と言葉を返した。その時にこちら側にやってきたのは噂の人物、エンジだった。
「あらぁ、エンジ。久しぶりね」
 草加がエンジに話しかけると「こ、こんにちは‥」と緊張気味に挨拶を返してきた。
「こんにちは、明日はよろしくお願いします」
 キリーも頭を下げながら話しかけると「こちらこそ」と短い返事を返した。
「さて、私達も壮行会の会場に行きましょうか」
 そう言って草加、キリー、エンジは学者達が用意した会場へと足を進めた。


「さて、どうしようか‥」
 そう困ったように鏡の中の自分を見て呟くのはエール(雅楽川 陽向(fa4371))、その姿を見たレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))が「どうしたのかね」と問いかけた。
「あ、レンズ。いや‥明日から地上調査に向かうんだけど問題が一つあるんだよ」
 ため息混じりにエールが呟き「問題?」とレンズは首を傾げる。
「ゴーグルがないと私は暴走しちゃうでしょ?地上へ向かう時は防護服を着るらしくて、ゴーグルをつけられないんだ‥」
 エールの言葉を聞いてレンズは「なるほど」と納得したように呟いた。
「暴走したまま地上へ向かうわけにも行かないし、どうしたものかな‥」
 う〜ん‥と悩むエールに「防護服のヘルメットをゴーグルだと思えばいいじゃないか?」と話した。
「‥ヘルメットを?大丈夫かな‥」
「大丈夫も何もそれしか思いつく事はあるまい」
 レンズの言葉に「‥そうだね、努力してみるよ」と自信なさげにエールは呟いた。


「とうとうこの日が来たか!」
 はははは!と豪快に笑うのは宮守(水沢 鷹弘(fa3831))、格好は白い白衣にメガネといかにも科学者といった風貌の男性だ。
「宮守さん、落ち着いてください。少し煩いです」
 何気に酷い事を言いながら北倉があしらうと「す、すまんな」とメガネを掛けなおしながら言う。
「早く資料を纏めないと壮行会の時間に間に合いませんね」
 北倉が時計を見ながら小さく呟く。
「今、何時ですか?」
 雑巾を片手に城田が問いかけると「あと三十分で壮行会の時間」と北倉が答える。
「それで資料纏めは終わりそうなんですか?」
「いや、さっぱり」
 宮守が答えると、流石に我慢の限界なのか「キーッ!早くしてください!」と研究室に城田の叫び声が響いた。
 結局、科学者達の遅刻によって壮行会が始まったのは一時間も後の事だった。


「お酒足りないわよ〜」
 壮行会が始まってから暫く経った後、草加が空の酒瓶を持ち上げて叫ぶ。それを聞いて城田が両手に酒を抱えて走り回る。
「あの‥」
 中身の減っていないグラスを持ちながらエンジが北倉に話しかける。それに対して「何ですか?」と北倉はにっこりと笑いながら返事をした。
「今の地上がどんな現状かとか‥調査に役立つ有益な情報とかありませんか?」
 真剣なエンジの顔に「そうだねぇ‥」と北倉は酒を飲みながら呟く。
「君たちは命がけで調査に行くんだから、曖昧な情報は渡せないよね。はっきり言って僕達には何も分からないんだ」
 北倉の言葉に「は?」とエンジが答える。
「僕達は科学者とは言っても、昔の資料を基に思いついたことを言っているだけ。だって今の地上に行った人なんていないから話も聞けないしね」
 力になれなくてごめん、と北倉は眉を下げて申し訳なさそうに呟いた。
「いえ‥そんな何も分からない場所で僕が力になれるのか‥」
 エンジは自分の拳を握り締め、小さく呟いた。


「でも台風娘のエールさんまで調査隊に入ってるなんて知りませんでしたよ」
 キリーの言葉に捜査員全てが『しまった!』と心の中で叫ぶ。エールは台風と呼ばれる事と過去の話をされるのを極端に嫌う。言われたら暴れてしまうほどに。
「なーに言ってるのよ。私だっていつまでも台風なんかじゃないんだからさ」
 しかし皆の予想を裏切ってエールは至って冷静にキリーの言葉を軽く流した。
「それにしても明日は楽しみですねぇ。自分が地上に行けるなんて思いもしなかったですから」
 キリーは言うと同時に目の前のグラスの中身をグイッと一気に飲み干した‥‥それが酒だとも気がつかずに。


「キミ達は希望の星だ!くぅ、私にも力があれば一緒に地上に赴く事が出来たのに!そもそも地球と言うのはだね―‥」
 酒が入った事によって宮守は酔っ払い、近くにいたレンズに絡み始める。しかし最初は大人しく聞いていたレンズも長い話に飽きがきてその席を立つことにした。宮守はレンズがいなくなったことに気がついていないのか一人で熱弁をしている。


「それにしても貴方達は本当に地上に行くつもりですか?」
 それまで雑用をしていた城田が突然呟きだした。
「どういう事かしら?」
 草加が疑問を感じたように言葉を返すと「死ぬかもしれないんですよ?」とまるで脅しのように城田が低い声で呟く。
「城田さん、あまり脅かしすぎないようにね」
 酒を飲みながら北倉が言うと「脅しじゃないですよ」と城田が答える。
「だいたい今の地上がどうなっているか分からない状態で調査なんて危険すぎます」
 私は反対です、と怒ったように言う。
「そうね。確かに危険だわ。だけどどうなっているか分からないから、誰かが調査に行かなきゃいけないんじゃないの?」
「そうだね、私もそう思うよ」
 草加の言葉にエールも同感だと言うように言葉を返した。
「残念だったね。彼らの決心は揺るがないよ」
「そんな事―‥私にも分かって―‥きゃあっ」
 突然城田が叫ぶ。何故なら先程間違って酒を飲んだキリーが城田の背後から抱きついてきたからだ。
「ちょ‥離れてください!」
「う〜‥無理。はきそう」
 キリーが「うぷ」と言いながら呟くと「離れなさいよ!キーッ!」と研究室の時と同じような叫び声が会場にも響き渡る。
「なーんて、うっそーん」
 けらけらと笑うキリーに少しだけ殺意が芽生えた城田だが、グッと我慢をする。
「アイツ、絡み上戸なのね。あ、泣き始めた」
 草加がキリーを見ながら面白そうに呟く。
 そして、壮行会が終わり、捜査員達は明日の為に早めに寝ることになった。宮守はしっかりと「地上の様子を撮ってきてくれ!」とレンズにカメラを押し付けながら‥。


「大丈夫でしょうか」
 片付けをしながら城田が心配そうに呟く。
「‥僕の名前、天藍って名前は空の青って意味らしい。今じゃ御伽話だけど、いつかそんな空を―‥その為には彼らの力が必要なんだよ」
「‥はい、それと一つ質問をいいですか?」
「何?」
「‥何で私だけが片付けをしているんでしょう?」
「それはあれだ、俺と宮守さんは資料集めで疲れたから」
 しれっと言う北倉に本日何度目になるか分からない『キーッ!』が響き渡った。


 地上に赴いて、何を見るのか。
 それは―‥明日の調査で彼らが報告してくれるだろう。



END