Oriental Darkness 火アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
10.4万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
1人
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期間 |
02/20〜02/24
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●本文
『それはこの世界に落ちた小さな希望なのです』
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遥か東に黄金の都あり
かの都は『ジパング』と呼ばれていて、人と妖しの者が共存する平和で不思議な都
しかし―‥今、その平和を打ち崩そうとする者が現れた
※※※
「黒き星が各国に降り立ちました」
空の国の中央塔で祈りを捧げる『星詠姫(ほしよみひめ)』の予言から一週間が経とうとしていた。
予言と同時に火の国、水の国、大地の国、風の国に魔物が降り立ち、各国を支配していた。
それぞれの国には、国を平和に導く『輝玉』があり、魔物は輝玉を奉る奉納殿を拠点としていた。
輝玉は周りの気によって性質を変える不思議な玉で、心清き者が祈りを捧げれば平和をもたらし、心悪しき者の手に渡れば魔物を生み出す恐ろしい物へと姿を変える。
星詠姫はジパングを救うための勇者を選び出した。
果たして彼らはジパングを救えるのか!?
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●募集事項
◎この話は出演者のみを募集します。
◎この話は一章が二話完結になります。ですがどなたでも参加できるショートの連作になります。
◎今回の出演者の方が演じることが出来る役柄は以下の通りです。
・火の国『輝玉』に祈りを捧げていた姫巫女(男性可)
・星詠姫に選ばれた勇者(何名でも可)
・火の国を支配するボスキャラ(一名)
・ボスキャラに従う手下
・火の国の住人
※他にも適役がありましたら、そちらを演じてもらっても構いません。
※今回『星詠姫』の役は出さないで下さい。
●ジパングの設定
◎ジパングには人間の他に『妖しの者』と呼ばれる天狗や妖狐などが存在します。
星詠姫が選んだ勇者の中に『妖しの者』がいても問題はありません。
◎選ばれた勇者のうち『人間は神通力』を『妖しの者は妖術』を使う事が出来ます。
(一部を除く)
以下に種族設定を書いておきますので、ご参照下さい。
●人間‥扱える術は『神通力』
特に秀でた部分はないが、劣る部分もない種族。
●妖狐‥扱える術は『妖術』
腕力は強くないが、身軽な動きで敵を翻弄させることが出来る。
また、敵を己の虜にして操る事も出来る。
鞭や軽武器を扱うことに長けている。
●天狗‥扱える術は『妖術』
力、防御共に低いが、豊富な知識の持ち主で妖術の威力が高い。
扇子や羽団扇を扱うことに長けている。
●鬼‥扱える術はありません。
力は抜群の種族。
ずば抜けた力の代わりに妖術を使う事が出来ない。
斧などの重武器を扱うことに長けている。
※人間だけは種族以外に職業があり、それによって能力が変わっていきます。
『神通力』『妖術』は参加者の皆様が自由に決めて下さって構いません。
※今回は始まりの話であり、参加者の皆様が話を全部作るという結構難しいものになります。
※今回参加したからといって、次回も必ず参加しなければならないという事はありません。
●リプレイ本文
火の国、奉納殿‥普段なら神聖な空気に包まれ、清廉な姫巫女が輝玉を守っている場所‥しかし今は。
「出せよ!」
時間から遮断された不知時の鳥籠を蹴り、叫ぶのは火の国の姫巫女である緋織(千架(fa4263))。
「勝気な姫巫女もこうなっては可愛いものだな。我が身の力なさを悔やみ、せいぜい歎くがいい。その慟哭すらも我等が同胞の力となる‥」
クッと笑いながら緋織を見るのは蒼黒主(橋都 有(fa5404))、火の国を支配する魔物だ。
「可愛く優雅で美しいとは賞賛光栄だ、だが歎いているように見えるのなら貴様の目はとんだ節穴だな」
緋織が呟くと、一人の手下(倉橋 羊)が蒼黒主に耳打ちをしてきた。それを聞いて青黒主は不敵な笑みを見せ、緋織に話しかけた。
「どうやら、星詠姫によって選ばれた勇者がこちらへ向かっているらしいな。輝玉が闇に染まるまでに間に合うといいがな」
そう言いながら蒼黒主はけたたましく笑いながら緋織のいる部屋を出て行った。その隙に神通力を使って外の様子を見ようとするが檻の特殊な制御によって邪魔をされて神通力を使う事が出来なかった。諦めた緋織はその場に座り、助けが来る事を信じて静かに瞑想を始めた。
「さて、どうしたものかな‥」
手の甲に現れた紋を見ながら渡(高柳 徹平(fa5394))はため息混じりに呟いた。どうやら紋は勇者の証らしい。それを見た家人達から追い出されるように旅立たされた。
「火の国を救えと言われても一人なんだけど‥」
そう呟いた時、近くにいた疾風(七瀬・翔(fa5454))の紋と渡の紋が共鳴を始め、強く光りだした。
「何だ?光ってるぞ‥」
疾風は自分の紋と渡を見比べながら小さく呟く。とりあえずお互いに驚きつつも渡が『勇者の証』だという事を疾風に教えるが、完全には信じていないような感じがした。
「そういえば、すぐそこの村にも同じ紋を持つ鬼がいたな」
疾風の言葉から、その鬼に会いに行く事になり二人は足を進め始めた。
「これでいいのかい?」
籠に盛った山菜を村人に渡しながら然(ティタネス(fa3251))が話す。そこへ疾風と渡がやってきた。見慣れない人達に然は首を傾げながら二人を見ていた。
「珍しいな、この村に人が来るなんて。何か―‥」
用か?と然が問いかけようとしたが己の手にある紋が輝き始めて言葉を中断せざるをえなかった。
「やっぱり貴方も勇者なんですね」
「え?勇者?何の事?」
状況を飲み込めない然を余所に二人はどんどんと話を進めていく。
「あー‥悪いんだけど、あたしにも分かるように説明してくれないか?」
然の言葉に『手に紋を持つ者は火の国を救う勇者』という事を言うと「難しい事は分からないな‥」と首を傾げながら然は呟いた。
「つまり‥悪い奴がいて放っておくと皆が困るから一緒にやっつける、でいいのかな?」
然の言葉に「まぁ、そんな事だな」と疾風が言葉を返す。
「とにかく奉納殿の緋織姫を助けない事には火の国を救う事にはならないんだろう?途中の街で装備を整えて奉納殿に向かう事にしよう」
疾風の提案に二人は意義がないらしく、その街を目指す事になった。
「弥生(姫乃 唯(fa1463))、緋織様にお渡しする護身刀が出来たから持ってきただよ」
そう言って弥生の家の扉を開けるのは鍛冶師の多々良(伝ノ助(fa0430))だった。
「ありがとうございます、多々良様‥ですが‥奉納殿に納められないですね‥」
弥生は渡された護身刀を悲しそうに見つめながら呟く。
「そだなぁ‥」
ため息をついて多々良は愛用の槍を手に取る。
「多々良様?何処に行かれるんですか?」
「街の近くに魔物が潜んでいると聞いただよ、だからおらが追っ払ってくる」
弥生が止める間もなく多々良は街の外へと行ってしまった。
「あーもー‥次から次へとキリねぇだ!」
槍に炎を纏わせて魔物を突き刺す。昔から多々良には不思議な力があった。この力を使って緋織を助けたいと思っていたが、一人で行動しては無駄に命を落とすだけだと思って行動を起こせずにいた。
「あーあー‥雑魚とはいえ、よくもやってくれたな」
巨大な斧を持って現れたのは蒼黒主の手下である哭(グリモア(fa4713))だった。
「蒼黒主様から、俺にしか出来ない事だと言われて来てみたが‥成程、俺のように強くなきゃ倒せねぇもんなぁ」
ズシンと重そうな音をたてて斧を担ぐ哭に多々良は身構える。
「そんな柔な武器で俺に勝てるとでも思うのか!?」
流石に軽武器と重武器の差は大きいらしく多々良は少し押されるが―‥。
「面白そうな事をしていますわね」
そう呟き、現れたのは十尾流(トール・エル(fa0406))だった。肩を出した妖艶な服装が特徴的な妖狐だった。
「貴方、誰の手下ですの?」
妖しく笑みながら十尾流が哭に問いかける。妖狐は『魅了』の能力を備えており、その瞳に捕えられた者は意のままに操られるのだと言う。しかし十尾流は本気でしていないのか哭を操るまでには至らなかった。
「元天狗の蒼黒主様だ‥」
しかし呟いた後に我に返り、巨大な斧を再び振り被る。
「予告しますわ、貴方はその斧を振り下ろす事なく意識を失うわ」
クスと笑いながら十尾流は扇子をぱしんと閉じる。
「カカカっ!そんなヒッカケが俺に通じるとでも―‥ぐはぁっ!」
勢いに任せて哭が斧を振り下ろそうとした時、背後から渡達に殴られて気絶してしまう。
「だから言いましたのに」
楽しげに十尾流が呟くと、多々良と十尾流の紋が強く輝き出した。
「うわ、何だべ!」
驚く多々良と十尾流に渡が何度目かの説明を二人にする。
「は?俺が勇者?確かにそんな夢を見たような気がするけど‥」
「わたくしが勇者に選ばれるなんて‥。まぁ、楽しければ問題ないのですけど」
十尾流は自分の紋を見て不思議そうに言いながらも、どこか楽しんでいるような雰囲気があった。
「俺に出来る事さあるなら、それが火の国の為になるなら俺も強力させてくんろ」
その後、新たな仲間と共に街へと赴き、多々良が働く鍛冶屋で武器を見繕う事にした。
「多々良様?その方達は‥?」
「弥生!俺、勇者に選ばれたみたいだ!早く緋織様と輝玉さ、とっかえしに行くだ」
多々良が勇者に選ばれた事、そして目の前に勇者が集まっている事に弥生は驚き、そして縋るように懇願した。
「勇者様がやっと来てくださったのですね」
弥生はその場に崩れ落ち、泣きながら言葉を紡ぎだしていく。
「一週間ほど前に魔物が現れ‥奉納殿を占拠してしまったのです‥姫巫女様も囚われ、輝玉も奪われてしまいました‥」
「あんたは姫巫女の知り合いなのか?」
然が問いかけると「弥生は緋織様のお世話をしたりする役目だよ」と多々良が答えた。
「このままでは、火の国は魔物が支配する国になってしまいます!どうか‥火の国をお救い下さい!」
弥生の言葉に「急いだ方がいいかもな」と疾風が答える。
「待って!奉納殿まで私が案内します!危険なのは承知ですが‥私も何かしたいのです!」
そして勇者一行は準備を素早く整え、弥生の案内で奉納殿へと向かう事になった。
「よく来たな、勇者共」
奉納殿の前にやってくると、鬼の仮面を被った男‥焔刃(雨堂 零慈(fa0826))が立っていた。
「この先に行かせる訳には行かない、ここで大人しく死んでもらう!」
そう叫ぶと同時に焔刃は火を纏った石礫を一行に向けて放った―‥そして次に骸骨や火蜥蜴を召喚して襲い掛からせた。
「俺が後方から援護してやるから上手く戦えよ」
そう言って疾風は後ろに下がってしまう。そして十尾流も「わたくし、戦闘は得意ではないので」と言って疾風と共に下がってしまった。
「ええ!?それはないだよ、二人とも!」
多々良が槍で戦いながら叫ぶ、その様子を見て焔刃は豪快に笑い出した。
「勇者と言っても所詮は烏合の衆か!こんなもので勝てると思っているのか!」
焔刃は間欠泉のように地面にあいた穴から火柱を吹き上げる。
「くそ‥」
渡と然、そして多々良は苦虫を噛んだような表情で焔刃を見る。そして一瞬の隙をついて三人が攻撃を仕掛け、焔刃を倒すが―‥。
「残念だったな、それは鬼火だ」
背後に焔刃が立っており、炎を纏った剣で一行を斬りつける。そして―‥。
「姫巫女を助けたかったら、奉納殿に来い。ただし―‥今よりは強くなっていてもらわないと張り合いがねぇな」
そう言って焔刃はスゥ‥と消えてしまった。
「やれやれ、つまらないな」
焔刃が消えたと同時に、現在火の国を支配している蒼黒主が羽団扇を持って現れた。
「勇者が進撃してきたと聞いて、待ち構えていた俺が馬鹿のようだな」
ため息をついて蒼黒主は「いい事を教えてやろう」と呟く。
「輝玉は時を待たずして暗黒に染まろう。もはや一刻の猶予もないぞ?」
その言葉に全員が顔を青ざめる。その表情を見て蒼黒主は楽しそうに笑う。
「輝玉が暗黒に染まれば、もはやあのような猛獣姫などに用はない。ははっ、慌てるがいい!助けに来た時に、助ける人物がこの世にいない‥という事にならぬようにな!」
そう言って背中を見せた蒼黒主に渡が襲い掛かろうとするが、持っていた羽団扇で軽くあしらわれてしまう。
「焔刃も先程言っていたろう?今より強くなってからにするんだな、力無き者が歯向かうなどおこがましいにも程があるわ!」
そう言って羽団扇で強い風を起こしながら消えていった‥。
END