花鳥風月アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/24〜02/27
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●本文
※花鳥風月※
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その街は昼と夜とで全く正反対の顔を持つ―‥。
朝は爽やか街も、夜になれば一変する。
その中でも独特の雰囲気を持つ店が1軒存在した。
『花鳥風月』
今まではホストクラブ「destiny」をメインに経営しておりましたが
このたび、男性の方にも楽しんでいただけるように
クラブ「花鳥風月」をオープンしました。
綺麗なホステス達が、貴方が来るのを待っています。
もし、お時間がありましたら遊びにきてやってくださいませ。
記念チケットを貰った俺はどうしようかと、暫くの間チケットを眺める。
「‥行ってみようかな、オープン記念だし」
そう言って、俺は『花鳥風月』へ向かうことになった。
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●募集事項
◎これは映画で出演者のみを募集します。募集役柄については以下の通りです。
・花鳥風月に在籍するホステス(女性/何名でも可)
・OPの俺
・他にもクラブにいそうな人(笑)
例)バーテン、専属ピアニストなど
※大まかな役柄しか書いていないので、他に適役がありましたらそちらを演じていただいても結構です。
◎destiny同様に自由度が高く、話し作りが難しいかと思います!頑張ってください!
※私が決めた設定等は上記のみです。何か疑問点などありましたら他の参加者の皆様と話し合って、設定追加するのはOKです。
●リプレイ本文
「ここか‥結構雰囲気の良いクラブじゃねーか」
招待券を手に持ってクラブ『花鳥風月』の前に立つのはカイン(カイン・フォルネウス(fa2446))、彼はクラブに出入りするような軟派者だが、これには理由があった。
カインには最近、気になる娘がいる。だけど、その娘を前にしてしまうと他の女の子たちと同じように接する事が出来ないのだ。
このままでは想いを告げる前に『何、この人‥怪しいわ』と思われてしまうのも時間の問題だ。そこでカインは花鳥風月のホステス達に聞き出そうとしてやってきたのだ。
「おや、お客様ですか?」
クラブの中に入ろうとした時にカイ(ミッシェル(fa4658))が外へとやってきた。恐らく客を店内に案内する為に外で待とうとしていたのだろう。
「招待券をお持ちでしょうか?」
カイが問いかけると「あ、これ‥」と呟いて少しクシャっとなった招待券を渡す。
「確かに、それでは中へどうぞ」
カイに促されるまま店内へと入ると―‥「ようこそ!花鳥風月へ」と何人ものホステスがカインに向かって頭を下げた――‥とそこに。
「えーっと、今日はこの曲でいこうかな‥」
楽譜を見ながら独り言を言っているのはミオ(朱里 臣(fa5307))だった。彼女は楽譜ばかりを見ていたせいかカインが入ってきた事に最初は気がついていなかった。
「ミオさん、お客様の前よ」
まだ気がつかないミオに注意をするのはソラ(両月昴夜(fa5428))、注意を受けたミオは慌てて「いらっしゃいませ♪」と笑顔で挨拶をする。
「お客様、私がご案内しますわ」
そう言ってにっこりと笑みながらカインに近づいてきたのはアキラ(楊・玲花(fa0642))だった。シックな黒のドレスを身に纏い、妖艶な感じのアキラにカインは不覚にもドキ☆としてしまう。
「アキラ姉、私はソラ姉に髪の毛結ってもらってくるね!」
そう叫ぶとミオはソラの腕を掴みながら控室へと向かっていく。
「全く‥もうすぐ開店だって言ったでしょ?」
ソラが呆れたように呟くと「だってぇ‥」と拗ねたようにミオが言葉を返してきた。
「今日、演奏する曲の勉強してたら遅くなっちゃったんだもん」
「次からは気をつけなさいね」
そう言いながら、ソラはミオの髪を結うのが毎日の楽しみになっている。開店前の掃除の時に、今日はどんな髪型にしようかしらと考えるほどに。
「はい、出来た。今日も可愛いわよ」
結われた髪を鏡で見ながら「ソラ姉、ありがと!」と言って慌しく控室を出て行った。
「今日もソラさんに髪を結ってもらったのですか?」
フロアに戻ろうとするとグラスを出しているカイとばったり出会う。
「うん、可愛いでしょ」
くるりと回って見せながらミオが言うと、カイは「そうですね」と表情を緩ませながら答える。カイはミオを妹のように可愛がっており、つい構いたくなるのだ。
「オホン、カイ君。グラスが足りないのだが‥」
そう言って顔を控室横の倉庫に顔を覗かせたのはバーテンダーの鈴木(田中 雪舟(fa1257))、グラスが足りないから持ってきてくれと頼んだきり戻ってこないカイを探しに来たのだ。
「あ、鈴木さん‥」
カイは当初の目的を忘れてミオと喋っていた引け目があるのか少し困ったように言葉を紡いだ。
「私、演奏があるから行くね。今日も張り切って頑張ろうね〜!」
そう言いながらミオは手を振り、ピアノの所へと小走りで行った。
「お客様にまだ注文を聞いていないだろう?聞いてきてくれますか?」
鈴木が言うとカイは「すぐに行きます」と言ってカインに注文を取りに行く。
「へぇ、それでエリーさん(富垣 美恵利(fa1338))はどんなタイプの男性が好きなんだ?」
あれからアキラ、エリー、沙世(結城 紗那(fa1357))と他愛のない雑談を交わして、そろそろ本題に入ろうとカインが話を切り出してくる。
「好きな男性のタイプですか?」
アキラが問い直すと「それかどういう感じの男に女性はクラッと来るか‥とか?」ともう一つの質問も切り出す。
「そういう難しいお話は分かりませんわ‥分かりやすく貴方の例えで教えてくださいます?」
アキラは困ったように笑み、少しマニュアル気味で質問に答える。その時、カイがカインの注文を聞きにやってきた。
「あ‥っと」
自分の思う答えをくれないホステス達に少しがっかりしながらため息をつくと、肘がテーブルの上に置いてあったグラスに当たってしまい、派手な音をたてて割れてしまった。
ごめん、そう言いながら割れたグラスを片付けようとカインがしゃがみ込むと「俺が片付けますから気になさらないで下さい」とカイがそれを制止した。
「沙世さん、お客様のご注文を聞いて、鈴木さんの所まで行ってもらっていいですか?」
カイがグラスを片付けながら言うと「OK」と短い返事が返ってきた。
「え、と何を飲まれますか?」
沙世がメニューを見せながらカインに問いかけると「じゃ、カルーアミルクで」と答える。
「鈴木さん、カルーアミルクをお願いします」
カインの注文を聞いて鈴木の所までやってくると「未成年なんだから‥」と呆れたようい呟いて珈琲牛乳を渡される。
「ち、違います!私のじゃなくてお客様の!」
そう叫ぶと「何だ、そうでしたか」と言って注文されたものを作り始めた。
カルーアミルクがカインの所へ届くころ、前のステージがライトアップされる。そこに現れたのはオミ、これからピアノ演奏を始めるようだ。
「‥ソラさん、アキラさんと席を変わってもらえますか?」
カインがステージに意識を集中している時にカイが小さな声で耳打ちをする。
「何だか、お客様が元気がないみたいですので‥」
「分かりました」
ソラはにっこりと笑い、答えるとアキラと席を代わり「どうかしましたか?」とカインに問いかける。
「え?」
突然問いかけられて「何が?」と言うような表情でカインはソラを見た。
「元気がなさそうですので、何かあったのかと思いまして‥」
「ソラ‥さんはどんな男が好みだ?」
直球の質問に「あら、私ですか?」と驚いたように答える。
「私は‥しっかりと自分の考えを持っている人かしら。信念を持っていらっしゃる方は素敵ですものね」
何かありました?ソラが逆に質問をすると、カインは言葉を濁しながら気になる娘がいる事を白状した。
「何か元気の出る曲をお願いします」
演奏を始める前にカイがミオに話しかけると、小首を傾げながらも「まっかせて♪」と答えて少しテンポの速い曲を演奏し始めた。その曲は煩いほどではないが、場を盛り上げ弾むような楽しい雰囲気に店内を変えていく。
カイは何も事情は説明しなかったが、ミオはカイの心中を察してくれたようで軽くウインクをしてきた。
「まぁ、お好きな方がいらっしゃるんですね」
ソラの言葉に他のホステス達も「どんな人?」「綺麗な人?」などとカインに質問攻めをしてくる。
「ほらほら、お客様が困っているでしょう‥」
苦笑をしながらホステス達を宥めるのはエリーだった、オープンしたばかりのクラブで皆が対等なはずなのに、いつの間にかエリーはリーダー的存在になっていた。彼女が持つ包容力のせいだろう。
「きっと貴方の思う通りに行動するのが一番良いかと思いますよ。私達は私達で、貴方の思い人ではないのですから」
ね?とエリーが言うと「‥そうだな、頑張ってみるよ」と少し元気が出たように言葉を返した。
「そうだ、今からショータイムなんです、楽しんで行ってくださいね」
沙世が言うと「ショータイム?」とカインが不思議そうに問いかける。
「花鳥風月ではホステスのファッションショーをしているんです」
カイがカクテルを運んできながらカインの質問に答える。
「‥とは言っても実際のファッションショーと違って、皆が好きな服を着て歩くだけなんですけどね」
カイが笑いながら話していると「カイ、手伝いをしてください」と鈴木の声が聞こえ、慌てて「失礼します」と頭を下げて足早に戻っていった。
その後、クラブ『花鳥風月』に在籍するホステス達のファッションショーが行われた。MCをしているのは先程カインの相手をしていた沙世だった。ピアノ演奏をしているミオもノリの良い曲を演奏し、本物のファッションショーを見ているようだった。
「じゃあ、今日はありがとう」
そう言ってカインは花鳥風月を後にする。最初来た時とは別人のようにすっきりした顔をしていた。
「私のピアノもあのお客様を元気付けられたかな?」
カイとソラに飛びつきながら呟くと「もちろんです」と二人は笑顔で答えた。
「だったら嬉しいな♪」
少し子供っぽい事をしてしまったと照れたが、今日くらいは良いだろうと思い、二人の腕にギュっとミオは抱きついた。
「ふー‥色々と面倒がかかるボーイがいるから気苦労が絶えませんね。どこかに美味しいスイーツの店はないものですかね‥」
バーテンダー鈴木、彼はこう見えて大の甘党だった。休憩時間などにはホステス達とスイーツの話で盛り上がっている所をカイは結構見ていた。
〜ご来店、ありがとうございました〜