夢幻界廊 伍アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.3万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 02/28〜03/03

●本文

『力を失った夢喰い達、夢魔達がこの機を逃すはずもなく、無力な人間と化した夢喰い達に襲い掛かる―‥』

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それは突然起きた事だった。

夢喰いのほとんどが所持している特殊能力を失い始めたのだ。

ゆっくりと失うもの、突如失ったもの、形は様々だが確実に夢喰いの能力は失っていっている。

そこへ、本家からの緊急通達が届いた。

『夢喰い諸君、突如失った能力に驚いている事だろう。

現在は何故能力が消えていくのか調査中だ。

しかし、この機を夢魔達が逃すとは思えない。

能力を失った夢喰いなど、無力な人間でしかない。

そこで緊急に『筒』の使用を許可しようと思う。

同封しているものが『筒』だ。

簡単な説明書きも同封しておくので、読んでいてくれ』

その封筒の中には文書に書かれていた通り、銀色の筒と一枚の薄い紙が入っていた。

※『筒』の使い方と注意※
・筒は夢喰い本家が所持する緊急用の武器だ。
・筒を強く握り締めてイメージすれば、その通りの武器になる。
・しかし銃器などの複雑な物には変化できないので注意する事。
・自分にとって必要のない時は、強く握り締めて願えば元の筒型に戻るだろう。
・これはまだ夢喰い本家が未完成だと判断した物だから、どんな副作用が起きるか分からないので、多用はするな。
・後、最後に一つ‥死ぬなよ

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●募集事項
◎これは『アクション映画』で出演者のみを募集します。
◎今回の登場人物は以下の通りです。
 ・夢喰い(必須/何名でも可)
 ・夢魔(必須/何名でも可)
※とりあえず必須は上記二つのみですので、後は参加者様が演じたい役をしてもらっても構いません。
※もちろん夢喰いと夢魔しか出なくても構いませんので。
◎今回に限り夢喰いを演じられる方は『属性』と『技』を考えなくても構いません。
◎夢喰いには表の顔があります。
 例)教師&店員など
 ・夢喰いだからといって仕事をしなくてもいいという事はありません。社会人は仕事を学生は学校に行って生活をしています。
 ・逆に夢魔は人の生気さえあれば生きていけるので夢魔で仕事をしている人はあまりいません。

※夢喰いの仲介所:毎回「夢猫」が仲介所になっていますので今回も「夢猫」を仲介所とします。


※今回は特に目的もないので話作りが難しいかもしれませんが‥頑張ってください!

●今回の参加者

 fa1420 神楽坂 紫翠(25歳・♂・鴉)
 fa2772 仙道 愛歌(16歳・♀・狐)
 fa4031 ユフィア・ドール(16歳・♀・犬)
 fa4619 桃音(15歳・♀・猫)
 fa4786 K・ケイ(19歳・♂・鴉)
 fa4961 真紅櫻(16歳・♀・猫)
 fa5257 レーヴァ(18歳・♀・獅子)
 fa5307 朱里 臣(18歳・♀・狼)
 fa5450 皇 流星(18歳・♂・一角獣)
 fa5470 榛原 瑛(26歳・♂・猫)

●リプレイ本文

「ごめんね、遅くなったわ」
 大学の前で自分を待つ乃衣(桃音(fa4619))に梨花(朱里 臣(fa5307))が話しかける。
「いいのよ、そんなに待ってないから」
 だから気にしないで、乃衣は梨花に言葉を返す。最近、この二人は共に行動をする事が多くなった。何故なら夢喰いとしての能力が突然消えたからだ。夢魔からの攻撃を考えて二人は一緒に行動するようになった。
 そして、今日は夢猫に現在の状況を聞きに行く事になったのだ。


「こんな時に皆、何処行った〜!」
 夢猫の店内からは柚香(ユフィア・ドール(fa4031))の叫び声が聞こえてくる。彼女も能力が消えた事に関して聞きにやってきていたのだが、店の従業員達は本家へ向かっているらしく不在だった。それに対して柚香の怒りもヒートアップしてしまっていたのだ。
「どうやら予想以上に厄介な事になっているみたいだな‥」
 そう言って乃衣と梨花と一緒に夢猫に入ってきたのは八重樫(榛原 瑛(fa5470))で、彼は柚香の従兄弟になる存在だ。
「久しぶりだな、柚香?」
「亨ちゃん!?何でここに‥っと乃衣ちゃんと梨花ちゃんも来てたのね」
 とりあえず、奥で話しましょう。そう言って柚香を含めた四人は店内の奥へと足を進めた。


「それで、どうなっているのかしら‥」
 乃衣が淹れた珈琲を飲みながら梨花が八重樫に問いかける。すると彼は答える前に数個の筒を取り出し、テーブルの上に置いた。
「夢喰いの能力が無くなっている事には気がついているだろう?夢猫の従業員および本家に詳しい人物達は原因究明の為に動いてもらっている」
 そして―と八重樫は筒を渡しながら言葉を続けた。
「現在は夢魔の行動が活発になっている。これは夢喰いに配布された非常用の武器になる」
 武器?と柚香が筒を掌に乗せて不思議そうに見る。
「これは願えばその通りの武器へと形を変える代物だ。能力の代わり―‥とまではいかないが無いよりはマシだろう」
 そう八重樫が言い終わると同時に結那(レーヴァ(fa5257))が部屋に入ってきた。
「あれ?もしかして―ここにいる皆も能力が‥?」
 結那は四人を見ながら問いかけると、全員が首を縦に振った。
「あたしだけかと思ってたから、少しだけ安心したよ」
 乃衣が結那にも珈琲を渡すと「ありがと」と言って受け取る。
「安心もしてられないぞ。夢魔がいつ襲ってくるか分からない状況なんだからな」
 そう言い聞かせるように八重樫が言うと「能力は‥戻るのかしら‥」と梨花が不安げに呟く。
「とりあえずは調査次第って事ね‥」


「もう皆が知っとると思うが、夢喰い達の能力が失せておるらしいの、これはまたとないチャンスなんじゃないかのぅ?」
 その場に集まっている夢魔に話しかけるのは上位夢魔の法王(K・ケイ(fa4786))だった。
「ふむ‥いつも邪魔をされている仕返しをするというのも面白そうですね?」
 クス、と笑みながら呟くのは紫雲(神楽坂 紫翠(fa1420))。アリス(真紅櫻(fa4961))が義姉と慕う女性夢魔の弟にあたる夢魔だ。
「今回は私がおびき出しますので、後は頼みます」
 紫雲はそれだけ言い残し、夢魔達の空間『夢幻壊廊』を出て行った。
「法王さん、私も同行してもよろしいですよね?」
 静音(仙道 愛歌(fa2772))が法王に問いかける。彼女は法王を父のように慕い、プリンス(皇 流星(fa5450))という夢魔を捜し求めているのだ。しかし何故彼女がプリンスを追い求めるのかは誰にも話しておらず、詳細を知る者はいない。
「仕方ないのぅ、無茶だけはするでないぞ?」
 そう言って紫雲に続き、法王達も『夢幻壊廊』を後にした。


「はぁ〜‥今日も骨折り損かなぁ〜‥」
 はー‥と盛大なため息を漏らしてアリスが呟く。今日もアリスに与えられた役目は未覚醒の仲間を探す事、夢魔にとっての有益な情報探しをしていた。
「‥この気配‥紫雲兄様‥?」
 近くを通る紫雲の気配を感知し、アリスは与えられた役目を中断してそちらへと向かう事にした。


「へぇ‥もう少し豪華な所かと思ってましたよ、夢喰いの拠点は」
 夢魔達が散らばってから一時間ほどが経過した頃、紫雲は夢猫へとやってきていた。
「お前は‥夢魔‥?」
 八重樫が紫雲に問いかけると「そうですよ」と言って背中を向ける。
「何処へ行く気だ!」
 紫雲に叫ぶように問いかけるのは結那、その言葉を聞いて紫雲は一度足を止めて首だけを緩く後ろへ向ける。
「ここで戦闘を始めてもいいんですか?」
 その言葉を聞いて、夢喰い達は紫雲の誘いに乗らざるをえなかった。


「‥夢喰いみーつけた」
 紫雲を追う途中、突然現れたのはプリンスだった。全員で立ち向かおうとするが結那が「ここはあたしに任せろ!」と言って他の四人に先に行くように促す。
「‥でも‥」
 置いていく事を躊躇う乃衣と梨花に「今は考えている暇はないわ」と柚香が呟く。
「‥無理をしないでね」
 二人は結那に言葉を残すと、紫雲を追うために走り出した。


「やっと来たか、年寄りを待たせるでないわ」
 紫雲を追った先にいたのは法王と静音だった。紫雲も戦闘に加わるのかと思えば「私の役目はここまでですね」と言って一人どこかへと消えていってしまった。
「初めまして、私は静音と申します」
 ぺこ、と丁寧に頭を下げ、笑顔で挨拶をしてきた静音に夢喰い達は少々驚きを隠せなかった。今までの夢魔は問答無用で襲い掛かってくる夢魔ばかりだったのだから。
「わしは暴力が嫌いでのぅ、じゃから口で決着がつくコイツを愛用してるんじゃ」
 そう言って法王は『正義の剣』を取り出し、夢喰い達に見せる。夢喰い達も筒を利用し、それぞれ自分のタイプに合った武器を作り出した。
「お主等に問う。お主等にとって人間とは何ぞや?我らと人間、お主等のしている事に違いはない」
 そう問いかけると同時に剣が輝き、言葉に詰まった乃衣の左腕が勝手に裂けた。
「きゃあっ!」
「乃衣!」
 梨花は「よくも‥」と刀に変化させた筒を振り被りながら法王に攻撃を仕掛ける。
「誰の為に戦う?何の為に戦うと言うのじゃ?」
 法王に梨花の刀が直撃する間際、法王が問いかけてきて乃衣と同じように傷を負わされてしまう。
「法王さんの剣はやはり凄いですね」
 一人ニコニコとしながら呟く静音に「油断大敵よ!」と柚香が矢を放つ。
「うぅっ!」
 柚香の放った矢が静音の右肩を貫き、その場に崩れ落ちてしまう。
「静音!お主等にはやらせはせんぞ!‥法の壁よ‥小さき者を守りたまえ!」
 法王が能力を使い、柚香の二撃目から静音を救う―‥が、自分の防御を解いてしまい、その隙を乃衣と梨花によって攻撃されてしまう。
「法王さん!」


 一方、その頃の結那とプリンスは‥。
「ソイツが噂の新兵器なんだ?使ってみなよ」
 筒を青龍刀に変化させ結那が構えると、プリンスは拳法の構えを取ったまま涼しい顔で話して見せた。
「ボクはいずれ夢魔の頂点に立つ者、そんな脆弱な攻撃では倒せないよ」
 プリンスの言葉に怒り、結那は青龍刀で斬りつける―‥が大量の血が流れたのはプリンスではなく、斬ったはずの結那だった。
「な―‥ぜ‥?」
 カランと青龍刀を落とし、その場に倒れる結那を見てプリンスは楽しそうに笑む。
「このまま殺してもいいんだけど―‥何だかボクの好みなんだよねぇ」
 やーめた、そう言って結那に止めを刺す事をプリンスは止めてしまう。そして血で濡れた口元をシルクのハンカチで拭ってやり「いずれキミもボクを好きになるさ」と呟いて疾風のように消えていった。
「‥何だよ、これ」
 プリンスが立ち去った後、アリスが血まみれの結那を見て小さく呟いた。


「俺が今から隙を作る、その間に撤退だ」
 八重樫が槍を振り回していたが、これ以上はもたないと感じたのか柚香達に小さく話しかけた。
「はっきり言って今の俺達じゃ、夢魔に勝つ事なんて到底出来やしない、だから―‥」
 逃げよう、そう言い掛けた時に「待ちなよ!」とアリスが割って入ってきた。
「忘れモンだよ。何だよ、その惨めな姿は!そんなお前らを倒したって何の自慢にもなりやしない!」
 そう言ってアリスは抱えていた結那を夢喰い達に放るように渡す。結那がこちらへと戻ると同時に八重樫はかまいたちを発生させて逃走した。
「逃がしたか‥しかし夢喰いどもめ、老体なのに容赦ないわい」
 クッと笑いながら法王は斬られた場所を撫でた。
「あれは―‥!」
 突然、静音が叫んで走っていく。空間に消えていく刹那に「待ってください!プリンス様!」と静音が叫ぶが、彼はそれに気がつかずに消えていってしまう。
「せっかく見つけたのに―‥」
 静音が残念そうに呟くが「また、会えるじゃろう」と頭を撫でながら呟いた。


「お疲れ、能力がないからと言って油断は出来ないから次の手を打っておきました」
 紫雲兄様〜、と自分に飛びついてくるアリスを抱きとめながら紫雲は静かに呟く。


「結局‥筒があっても負けてしまいましたね‥」
 梨花が小さく呟く。
「私達―‥夢喰いはこれからどうなるのかしら‥」
 乃衣が震える声で呟いた時、本家に行っている夢喰い達から連絡が入った。
「あぁ、分かった。そっちも気をつけろよ」
 原因が分かった、と電話を切ると同時に八重樫が話す。
「次代の夢喰い当主が夢喰いの力の源である『夢心』を持ったまま行方不明だそうだ。恐らくそれが本来あるべき場所にない為、能力が一時的に消えてしまった―‥だとさ」


END