動物使い 肆アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
8.4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/09〜04/12
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●本文
『とりあえずは‥共通の敵を倒さないか?』
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目に見えぬ『絆』で結ばれた者達がいる。
片方は限りなく人に近い存在で『動物使い』と呼ばれ、もう片方は人の姿をしてはいるが限りなく獣に近い存在で『ツカワレ』と呼ばれている。
彼らは『魔』と『黒の動物使い』と呼ばれる存在と長きに渡って戦いを繰り返していた。
※第四夜※
「や」
そう言って片手をあげ、突然現れたのは黒の動物使い最強のイザナギだった。
「へぇ、いい感じの店だね、今度ナミも連れてきてあげようかな」
イザナギはダエグ店内を見渡すと穏やかに呟いた。
その店にいた白の動物使い達は、いつでも戦闘に入れるように身構えるがイザナギは身構える事をせずにテーブルに置いてあるメニューを見て「何を食べようかな」と呟いている。
「実は、今日来たのは人形使いを一緒に倒さないか‥って話なんだ」
イザナギの言葉に白の動物使いは頭の上に「?」を浮かべながら「何を言ってる?」と短く問いかける。
「実はナミが人形使い側に連れて行かれてしまってね、取り返したいんだよ」
イザナギが何故イザナミにそこまで拘るのか分からなかったが、こちら側を騙そうという気はなさそうだ。
「白の統括府は何て言っているんだい?今回の状況を」
イザナギの問いかけに白の動物使いは「待機していろ‥だそうだ」と答える。
「そうだろうね、あいつらは自分達に害が及ばない限り動かないからね」
イザナギの言葉に「どういう意味だ?」と問いかけると「統括府はキミ達を捨て駒にしか思っていないんだよ」とつめたい笑みを浮かべながら呟く。
「そんな事―‥」
「あるんだよ、捨てられた本人が言うんだから間違いない」
イザナギの言葉に白の動物使い達は動きを止めた。
「捨てられた‥本人‥?」
「そう、僕は元々白の動物使いだったんだ。ナミを殺された時に黒へと堕ちた」
今、存在しているナミは僕の力を注ぎこんだクローンのようなものだね‥と寂しげに呟いた。
「まぁ‥今回はこの話はどうでもいい。今は人形使いを倒すために僕と協力する?しない?どっちさ」
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●募集事項
◎『動物使い』はアクション映画で出演者のみを募集します。
◎今回の必須役柄は以下の通りです。
・白の動物使い
・ツカワレ
・イザナギ(男性一名)
・イザナミ(女性一名)
※白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
(どちらが欠けていても戦力としては激減します)
※今回は黒の動物使いと魔は必須役柄ではありません。
●動物使いの設定など
◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。
◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。
◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。
◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。
◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。
◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。
◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
ですが、必ず描写されるという訳ではありませんので、その辺はご了承下さい。
◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)
◎動物使いとツカワレの絆が最高潮になった時に『超必殺技』が使用可能となります。
◎ツカワレには動物使いは必須ですが、動物使いにツカワレは必須ではありません。
契約を済ませていない動物使い、まだ覚醒していない動物使いなどがいますので。
◎黒の動物使いですが、魔と契約した場合、契約した魔が何らかの理由で消失しない限りは契約は続行になり、次の魔と契約できません。
※ですが、イザナギは黒の動物使いの中で一番強い能力の持ち主で、彼の場合は複数の魔を使役する事が可能です。
複数の魔を使役できる能力ゆえに、彼は黒の中で最強となっています。
※イザナミはイザナギが人工的に作り出した魔です。それ故にイザナギ以外と契約を結ぶことが出来ません。
◎動物使いにも特殊能力はあります、ですがほとんどがツカワレの戦力を上げる能力になります。
◎黒の動物使いが魔を製作する時に必要なのは、己の魔力が満タン状態なのと、魔を生み出す赤い月が出ている事の二つのみです。
※プレイングの書き方※
例)動物使い
配役:白の動物使い
役名:水貴
一人称:私
二人称:〜さん
口調:です、ます、でしょうか?
対となるツカワレ:太郎
(出来れば台詞例も書いておいてほしいです)
例)ツカワレ
配役:ツカワレ
役名:太郎
一人称:俺
二人称:お前
口調:〜だ、〜じゃねぇ?
対となる動物つかい:水貴
(出来れば台詞例も書いておいて欲しいです)
‥‥と上記のようになりますが、あくまで例ですので皆様の書きやすい書き方でOKです。
対となる動物使い&ツカワレが決まった時点でもいいので、仮プレを提出していてほしいです。
白紙となった場合は相方との連携が出来なくなりますので、ご協力お願いします。
●リプレイ本文
「ほんまに人形使いも難儀な子らやな」
イザナギ(神楽坂 紫翠(fa1420))の話を聞いた後に炯都(橘・朔耶(fa0467))が盛大なため息をつきながら呟いた。
突然、現れたイザナギはイザナミを人形使いに奪われ、取り戻す為に共闘しないかと話を持ちかけてきた。しかしヴィイ(ウィン・フレシェット(fa2029))は単純に共闘だけを持ちかけてくるはずがないと疑いを持っていた。
「それで?共闘する?しない?どっち?」
中々答えを出さない白達に少しイラついた口調でイザナギが問いかける。
「まぁ‥とりあえずは信用してもいいんじゃないか?」
翡焔(ヴォルフェ(fa0612))の言葉に、アニス(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))も「‥そうですね」と自身のツカワレである牙(木場修(fa0311))を見ながら呟いた。
「しかし、イザナミがいなくて戦力になるのか?」
翡焔がイザナギを一瞥して呟く。その言葉に「心配はいらないよ」と外を見る。イザナギの視線の先には使役している魔・玉響(白楽鈴(fa5541))が立っていた。
「入っておいで、玉響」
名前を呼ばれ、玉響はびくびくした様子でイザナギの横に立つ。
「最近、契約した魔でね。玉響、挨拶は?」
「はい‥玉響‥です。宜しく‥お願いします‥‥」
ちらりとイザナギ見ながら玉響は怯えたように挨拶をした。
「それで?イザナミを連れ去った人形使いの居場所は分かるのか?」
翡焔がイザナギに問いかけると「ナミの波動を感じるから分かる」と答えた。
「もうじき‥やってきますね」
捕えたイザナミを見て雪牙(辰巳 空(fa3090))が小さく呟く。彼が今回イザナミを連れ去ったのには訳があった。明らかになった白の動物使い最強の存在・龍。それに対抗する為のものだった。
「しかし‥愛した女のクローンまで作るとは‥哀れな男ですね」
クッと冷たい笑みを見せながら雪牙は呟いた。
「‥ここが‥?」
ヴィイが訝しげな視線でイザナギを見る。彼がイザナミの波動を感じてやってきたのは古ぼけた廃ビルだった。
「間違いない、ナミがいる。行くよ‥玉響」
「‥はい、イザナギ様‥」
「アニス様、俺の傍を離れないで下さいね」
「‥はい、気をつけて‥」
建物の中に入ると、ツンと鼻をつく異臭が充満していた。
「ようこそ‥と言っても招いた覚えはありませんけどね」
そう言って奥の部屋から現れたのは雪牙、さらにその奥には結界によって動きを封じあれたイザナミの姿もある。
「ナミ!」
イザナギが敵意をむき出しにして叫ぶ、それを見て雪牙はからかうように「哀れな男だ」と呟く。
「哀れ‥?」
哀れ、という言葉にイザナギがピクリと反応を返す。
「おや?気に障りましたか?愛した女にそっくりな玩具を作るくらいだ、哀れすぎて呆れますね」
グッと拳を握り、イザナギは「玉響‥攻撃開始だ‥」と呟き、玉響に攻撃命令を出す。
「はい‥イザナギ様‥あの者を攻撃すれば‥良いのですね‥」
そう言って玉響は雪牙へ向かって走り出す。
「翡焔、お前も行き」
炯都が呟き、翡焔も雪牙へと攻撃を仕掛けた。
「牙さん!無理は‥しないで下さいね」
一緒に戦いの場へ身を移そうとしている牙をアニスは止め、震える声で呟いた。
「大丈夫だよ、皆で戦えば何も恐れる事はないよ」
ヴィイも自身のツカワレを見送りながら呟く。
「そうですね‥私達が信じてあげないといけないんですよね‥」
アニスは経験の浅い動物使いだ、それに本来の性格があまり人を疑う事をしない。
「何でアニスは今回の事に協力を?」
「‥私だって牙さんが連れて行かれちゃったら凄く寂しいですから‥」
自分の事に置き換えて今回の事を考え、協力する結論に至ったのだとアニスは答える。
「牙さん‥どうか‥無事に‥」
アニスは牙の無事を祈り、呟いた。
「流石はイザナミを奪うだけあって相当な力の持ち主だな」
翡焔は舌打ちをしながら呟く。これだけの人数を相手に引けを取らない。
「もちろん、これが本気ではありませんよ」
そう言って雪牙は巨大剣を取り出した。そして肩には以前捕まえたツカワレから能力を引き出し、伸縮自在な触手を装備する異形の物。
「お前ら如きがこの私に勝てるとでも‥?」
そう言って雪牙は巨大剣でイザナギと玉響を攻撃し、白達には触手&結界で攻撃をしていた。
「く‥中々やりますね‥」
いつまでも進展しない戦闘に玉響はちらりとイザナギを見る。
「玉響‥?」
「イザナギ‥様‥」
そう小さく呟いた後、玉響は雪牙へと向かい走り出し、自身の必殺技である『核融合爆発』を発動させる。これは術者をも犠牲にする能力であった。
「玉響!」
「‥さよ‥なら、イザナギ‥様」
範囲を雪牙だけにとどめ、玉響は自身を爆発させた。彼女はイザナギに逆らった事はなかった。最後の最後で彼女は命令に背き、イザナギを救ったのだ。
「牙さん!」
戦闘が終わったと思ったアニスは慌てて牙へと駆け寄り、能力『急速回復』を使う。
「アニス様、大丈夫ですよ」
大方が回復したところでアニスに話しかけるが、牙の肩に頭をこてんと預け、もたれかかってきた。どうしたのだろう?と牙が見ると能力を使って疲れたのか眠るアニスの姿があった。
「‥くく、全く危なかったよ」
ほっと全員が胸を撫で下ろしたのもつかの間、煙が晴れていくと同時に雪牙も姿を見せた。
「今回は退いてあげますよ、中々楽しめましたしね‥では、さらばです」
雪牙はイザナミの結界を解き、姿を消していった。
「ナミ!」
結界から解放され、倒れこむイザナミを見て炯都はヴィイは本気で彼がイザナミの事を心配していたのだと理解した。
「共闘もここまで――かな?」
そう言ってヴィイはツカワレと共にビルを出て行った。
「俺もアニス様を休ませたいから先に帰らせてもらう」
牙も眠るアニスを抱えたまま、ヴィイと同じくビルを出ていった。
「とりあえず、イザナミをダエグに運んだらどうだ?ここよりはマシだろう」
翡焔の提案に未だに眠り続けるイザナミを休ませる為にダエグへと運ぶことにした。
「炯都、イザナミを看ていてくれるか?」
「‥えぇよ、無問題」
自分だけ向こうへ行け、と言われて少し納得していない炯都だったが仕方なく了承し、イザナミが眠る部屋へと移動していった。
「‥何か?」
それから暫く沈黙が続き、沈黙を破ったのはイザナギだった。
「いい機会なので、白の動物使い最強の存在『龍』の事を教えておきましょう」
「‥貴方と炯都という女性が龍なのでは?」
イザナギが問いかけると「違う‥」と下を俯きながら呟いた。
「確かに俺と炯都は『龍』に最も近い存在だが『龍』ではないんだよ」
では、誰が?とイザナギは腕組をしながら呟く。イザナギから見た翡焔と炯都は特別な存在に見えた。能力も他の動物使いと違った感じもある。
「‥『龍』は‥炯都が16歳の時に生んだ供なんだよ」
彼が語る真実はこうだ。
4年前に炯都の子供が持つ強力な潜在能力に目をつけて、炯都に無断で連れ去ってしまったのだと言う。その所為で炯都が発狂寸前になり、統括府の命令で超必殺技を使用し、子供が生まれる前、つまりは16歳まで時間を逆光させたのだ。
つまり、炯都の中では『子供』という存在そのものが消えているのだ。そんな彼女は『龍』の事を『翡焔の大事な人』という認識で覚えているのだ。
「ふぅん‥僕がいなくなっても、やる事は変わっていないんだね‥しかし、そんな事があってもなお、貴方は白に属すのですか」
その問いに翡焔は答える事はなく、黙ったままだった。
「お二人さん、お姫さんがお目覚めやで」
炯都が部屋に入ってきて、イザナミが目覚めたと言いに来た。
「‥なあ、何を話してたんや?」
イザナギに続いて部屋を出ようとする翡焔を呼び止め、炯都が呟く。
「別に?今後の人形使いはどうなるんだろうなって、それだけさ」
「‥‥ふぅん?」
「やっと、目が覚めたね。気分はどうだい?」
目が覚めたイザナミは「ナギがいなくて寂しかった‥」とイザナギの服の袖を握り締めながら呟いた。
「もう少し寝ておいで、僕が運んであげるから」
イザナギの言葉に「はぁい‥」とイザナミは再び眠りについた。
「さてと、この辺で帰らせてもらおうかな。何かあれば手伝うよ。それじゃ‥」
そう言ってイザナギは姿を消していった。ダエグを後にする際に翡焔をちらりと見て、捨て駒として利用されているのが、わかっていないのかな‥?と誰にも聞こえぬ程度の声で呟いた。
「翡焔、もしお前が死んでも私はイザナギのようにはならへんから‥」
愛する者を失い、新たなイザナミを作った彼は雪牙の言う通り哀れな男なのだろう。イザナミが死んだ時から、前にも後ろにも進めずにその場に立ち尽くすだけ。
「それにイザナミみたいに魔に作り変えても、それは『翡焔』とは他的人やろ?」
「‥そうだな、もしかしたら‥その事はイザナギも分かっているのかもしれないな?それでも彼は――‥」
止めよう、そう言って翡焔は言葉をとめた。自分達が何を言っても憶測でしかないのだ。イザナギが何を考えているのかなど、きっとイザナギ自身にしか分からないのだから。
END