夢幻界廊 捌アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
8.8万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
04/11〜04/14
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●本文
『崩壊していく夢幻壊廊、それにより起き始めた様々な異変―‥」
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「夢幻壊廊が消失した―‥?」
本家からの連絡を受けた夢喰い達は夢猫へと足を運んでいた。
「それはそれで別に良い事なんじゃない?夢魔達の世界なんてなけりゃ、それに越した事はないのだから」
しかし、本家からやってきた人間は重そうに口を開く。
「光と闇、それらは常に表裏一体でなければならないのです。最近、自然災害が多いことをご存知ですか?」
本家からの使者はテレビをつけながらため息混じりに呟く。
そういえば、最近は原因不明の災害などがテレビを騒がせていた。
「そういえば‥地震とかも多くなりましたね。後は突然大雪が降ったり‥」
「それらは全て今回の夢幻壊廊消失と関係あります。朝がなければ夜に意味がない、光がなければ闇に恐れることはない、それと同時にこちらの世界には夢幻壊廊という邪悪な存在がなければ、この世界も意味がないのです」
とりあえず、何を言っているかは置いておいて、夢幻壊廊を何とかして元の状態に戻さなくては、この世界が危険という事だけは分かった。
「でも、何で、どうやって、どこに消えた夢幻壊廊を探すのよ」
一人の夢喰いの言葉に、全員が黙り込む。
それもそうだ、何の情報もないのだから。
「もしかしたら、こちら側にいる夢魔がいるかもしれないわね。まずはそっちを探した方が早いんじゃない?」
そう言って、夢喰い達は夢幻壊廊を出て、こちらに来ている夢魔を探す事にした。
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●募集事項
◎「夢幻界廊」はアクション映画で出演者のみを募集しています。
◎今回の話に必要な役柄は以下の通りです。
・夢喰い(必須/何名でも可)
・夢魔(必須/何名でも可)
※今回の話に必須なのは上記二つのみです。
※他に適役がありましたら、他の参加者様方と話し合っての役柄追加&設定追加はOKです。
◎夢喰いには『属性』と『属性系統に技』が一つあります。それらは参加された皆様が決める事ができるのですが『技』は必ず属性系統のものにしてください。
◎夢喰いには表の顔があります。夢喰いと言えど特殊な能力を持った『普通の人間』と変わりありません。生活をしていくのに仕事をしたり、学生だったら学校に通っていたりとしています。
◎逆に夢魔は人の生気をさえあれば生きていけるので、表の顔を持つ夢魔はほとんど存在しません。
※夢喰いの仲介所:毎回『夢猫』になっていますので今回も『夢猫』になります。
●リプレイ本文
「やれやれ‥最近は落ち着く暇もないな‥」
夢魔の領域、夢幻壊廊が消失した事を本家から聞き、久樹(橘・月兎(fa0470))が小さく呟く。
「そうですね‥僕らの力は夢魔を抑え込むことは出来ても、天災は防げませんから」
平静を保ちながら夢幻壊廊の崩壊を食い止める事に納得をしている三守(ウォンサマー淳平(fa2832))は呟くが、その心中は穏やかではなかった。世界が壊れてしまわない方法、それは夢喰いと夢魔が戦いを続けるという事が条件になっているのだから。
「えらく話が大きくなっているわね」
柚香(ユフィア・ドール(fa4031))が本家から話を持ってきた鉄(Uranus(fa5040))を見ながら呟いた。
「そういえば‥漣から連絡があったんだったわ」
柚香が思い出したように言い「何かあったのか?」と久樹が問いかける。
『あれは所詮捨て駒‥愚鈍であればあるほど都合が良い、それに―‥夢幻壊廊の為にならぬ者など、私の息子ではない』
「‥だってさ。その女性は誰かと話していたらしいんだけど、相手の顔までは分からなかったらしいよ」
柚香が漣の見た夢の内容を呟き「今後の事に関係あるのだろうか‥」と三守も呟く。
「とりあえずは夢魔を探して話を聞かないと話は進まないな」
鉄が呟き、夢喰い達はこちら側へ来ている夢魔を探しに、夢猫を後にした。
「あの我侭も、導火線としては上等だったようだな」
クッと壊れた牢から出てくるのはトレイター(天霧 浮谷(fa1024))、彼は夢幻壊廊の中間部に住んでいた夢魔だったが、深層部へと侵入し『見てはいけないモノ』を見てしまった為に幽閉されていたのだ。
「上位夢魔がのさばる夢幻壊廊なんぞ、滅びてしまえばいいんだよ」
暴動によって壊れた牢を蹴り、久しぶりの外へと出る。今回の暴動は後継者であった王子の王位剥奪による王子派が起こした暴動だった。
「むぅ、ここも崩壊が激しいのう。表層部は完全に崩壊しておるし、ここもいつ崩壊するか分からん」
そう言って能力『節制』を使い、崩壊を食い止めようとするのは法王(K・ケイ(fa4786))だった。トレイターは崩壊を防ぐ法王の姿を見つけ、ニィと笑い攻撃を仕掛ける。
「はははっ!久々じゃん、おいぼれ!」
「くっ‥貴様、トレイター!そうか、崩壊で牢も‥」
法王は壊れた牢を一瞥すると、トレイターの攻撃を防ぐ。
「貴様を幽閉した張本人だから恨んでいるじゃろうの」
「そう思うならさっさとやられてくれよ!」
そう叫び、法王を攻撃しようと手を振り上げるが上空から落ちてきた瓦礫によってそれを阻まれる。
「じゃあな、この崩壊で死んでなかったら、また会おうぜ?」
そう言ってトレイターは法王の前から颯爽と姿を消していった。
(「ヤツは‥原因究明に走っているじゃろうの‥ぼちぼち受け継ぎ時かの」)
法王はその場に座り、大きなため息をついた。
「隠者よ‥わしの後を継いで皆を護ってやれよ‥責任を取るわけじゃないが、ここがわしの死に場所らしい」
そう言って法王は静かに目を閉じていった。
「どうしよう、帰れない‥」
ポツリと呟くのは木蓮(森ヶ岡 樹(fa3225))、夢幻壊廊が完全に消滅したと思っている彼は途方にくれていた。お腹も空いていたが、人間達は皆おきているので能力『卵ノ見ル夢』をばら撒きながら現実世界を物見遊山していた。
「あ、あれ美味しそう‥」
そう呟いた時に数人の人間が自分の方へ向かってくるのが見えた。それが夢喰いだと分かり、逃げようとした彼だったが見事に捕えられてしまう。
「ぼ、ぼぼ僕を食べても美味しくないよ〜!」
「食べやしないわよ、ちょっと話を聞きたいだけ」
柚香が木蓮の首根っこを捕まえ、半ば脅し口調で話す。
「あらあら、何をしているのかしら、あんまり仲間を苛めないでもらいたいわ」
木蓮の叫びに現れたのは紫雨(月 美鈴(fa3366))とアリス(真紅櫻(fa4961))、彼女達もこちら側へ来ている夢魔だった。
「聞きたい事がある、夢幻壊廊に何があったのかを教えてもらおう」
鉄が紫雨に詰め寄ると「‥さぁ?」と紫雨はクスと笑いながら答えた。
「お願いです、どうか教えてください。このままでは―‥」
「情報、欲しいなら誠意を見せないとね」
クスと紫雨が呟くと、アリスも「そーそー」と茶化すように言っている。
「おーや、夢喰いと夢魔が仲良くお喋りとは珍しい光景だな」
突然、声が響き空間を裂いてトレイターが現われた。
「‥トレイター‥?」
彼の姿を見て、紫雨が小さく呟く。
「貴方も夢魔‥では、今回の事について―‥」
「ストップ、残念だけどそういう話は言わない。お前らにとってお呼びでない夢魔さ」
知らないのではなく『言わない』というあたりが何か知っているのだろうかと夢喰い達に思わせた。
「なら―‥力ずくでも聞くまでだ」
呟いたのは久樹、それに「同感」と賛同したのは柚香で能力『弓』を展開させる。
「はーん、音さえも追えない雷の速さ‥果たしてお前達に捕まえられるのかな?」
トレイターは不敵に笑み、能力『迅雷』を使い、雷光を体に纏う。
「争う時間すら惜しいというのに‥」
三守の言葉に鉄も「全くだ」と呟き、攻撃態勢を取る。紫雨と木蓮は我関せずで戦いを傍観していた。アリスに至っては紫雨が傷つけられた場合のみに動く考えだ。
「何て身体能力なのよ、私の矢が掠りもしないなんて‥」
次々に矢を放つ柚香が忌々しげに呟く。迅雷を発動させたトレイターは余程の事がない限りは攻撃を受け付けない。
「ちっ、攻撃は効かない、こっちは防戦一方じゃ不利だぞ」
久樹がトレイターの攻撃を避けながら呟く。しかしトレイターの攻撃が紫雨の頬を掠めた時、紫雨、アリスも戦闘に参戦する事になった。
「よくも姉様を傷つけたな!」
アリスが火球を放ち、紫雨は被害が来ぬように風系で自分と木蓮、そしてアリスを防御した。
「ちっ‥夢魔まで加わったんじゃ多勢に無勢だな」
トレイターは舌打ちをすると「じゃあな」と言って何処かへと飛び去って行ってしまった。
「さて、邪魔者がいなくなった所で話を聞かせてもらおうか」
鉄が日本刀を納め、木蓮を見ながら低い声で呟いた。木蓮は紫雨をチラリと「話していいの?」的な視線を送る。
「仕方ないわね、状況が状況だし‥」
紫雨の許しを得て、木蓮は夢魔の暮らしぶりなどを話す。そして紫雨は今回の異変が王子派の暴動によって夢幻壊廊の『核』となる存在が破壊された為に起きてしまった事を語る。
「そう、だから私達は新王を迎えねばならないのよ」
バチ、と空間が裂ける音が響き、それと同時に姿を現したのは輝夜(紅雪(fa0607))だった。
「お前は‥この間の‥もう面構えが夢魔そのものだな」
輝夜は夢魔と夢喰いの両方の素質を持った存在だったが、先日の事件で夢魔として完全に覚醒してしまったようだ。
「新王を迎えれば、異変は止められるのですか?」
三守が輝夜に問いかけると「そうだ」と短い言葉が返ってくる。
「しかし―‥その為には」
そう言って輝夜は手をすっと挙げる、それと同時に久樹と紫雨の体が宙に浮いた。
「姉様!」
アリスが一番に叫び「何をする!」と輝夜に食って掛かる。
「これが異変を止め、夢幻壊廊を再生する唯一の方法だ」
輝夜は冷淡な口調で言葉を続ける。
「亡き王妃が残した本来の王位継承権を持つ存在を復活させる為に秘術儀式を行わねばならんのだ」
「だからって何で姉様が!」
アリスが今にも攻撃を仕掛けそうな勢いで叫ぶが、輝夜は表情を崩さずに「器だ」と答える。
「時期王の強力な能力に耐えられる器が紫雨しかいないのだ、そして久樹‥お前には生贄となってもらう」
チラ、と冷たい目で輝夜は久樹を見た。
「何で久樹ちゃんなのよ!」
柚香が弓を構えながら叫ぶ。輝夜の行動は器となる紫雨に目をつけたのは納得できるとして、久樹を標的にする意図が分からずにいた。
「時期王は一度、十数年前に覚醒していた。しかし―‥覚醒直後に久樹、お前に殺されたのだ」
もしかして、と柚香は呟く。ワケが分からない三守と鉄は互いの顔を見合わせながら首を傾げた。
「久樹ちゃんの恋人ね」
「そう、それ故に久樹は時期王を覚醒させる為の生贄に選ばれた」
ではな、そう言って二人を連れ去り消えようとする輝夜にその場にいた夢魔・夢喰いは止めるべく戦いを挑む。
「半人前の分際で私に逆らうか、小癪な」
「アリス!」
「お前も煩い、黙っていろ」
そう言って輝夜は紫雨と久樹に催眠効果のガスを吹き付ける。
「久樹さん!」
一斉攻撃を受けながらも輝夜はひらりと攻撃をかわし、空間の裂け目へと消えていった。
(「夢魔・夢喰い、二人の犠牲で世界が平和になるなら尊い犠牲だろう?」)
消えた後に輝夜の嘲笑すら感じる声が辺りに響いていた。
「‥では、今回の事を含めて全て本家に報告しておこう」
久樹・紫雨を拉致された為にアリスと木蓮は一時休戦して互いの大切な人物を奪還する為の作戦を立て始める。
「まだ食べてるの?姉様の一大事だって時に、しっかりしてほしいよ」
アリスは目の前で甘味を頬張る木蓮を見て呆れたように呟く。
「生贄が本当なら久樹ちゃんをすぐに助けないと危ないって事よね」
「おそらく‥向かった先は夢幻壊廊でしょうね」
三守がため息混じりに話す。
「行き先は決まったわね、早く夢幻壊廊に向かうわよ!」
END