傷魂癒アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 6.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/12〜04/14

●本文

『二つの一族が、傷ついた魂を救い、傷つけた魂を裁く―‥』

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傷ついた魂に哀れみを。

傷ついた魂に救いの手を。

傷つけて、許されぬ魂に裁きを―‥。

※※

強い未練を残したまま、この世を去った魂は悪霊へと姿を変え、生者を苦しめる。

しかし、苦しいのは悪霊になってしまった方も同じなのだ。

悪霊になる事を運命付けられていた者ならいざ知らず、悪霊になる業を持たぬ魂が負の感情に引きずられ、無理やり悪霊にされてしまうのだから。

しかし、それらを救う二つの一族が存在する。

『退魔の朝霧』

『破魔の夕月』

一見すると、退魔も破魔も大した違いはないように見える。

だが、大きな違いがあるのだ。

退魔は悪霊の中の負の感情を退かせ、魂を浄化する一族。

しかし破魔は存在そのものを砕き、無に帰す一族。

それゆえに魂を救う役目は朝霧、裁きを与える役目は夕月が行う事になっていた。

今宵も苦しめ、苦しんでいる魂たちが存在する。

彼らを救い、魂を汚す輩に裁きを与えよ!


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●募集事項
◎これは映画で、出演者のみを募集します。
◎今回の話に必要な役柄は以下の通りです。
 ・朝霧の一族(何名でも可)
 ・夕月の一族(何名でも可)
 ・裁きを与えられる者
 ・救われる者
※上記四つのみが今回必要な役柄ですが、他に適役がありましたら他の参加者の皆様と話し合っての役柄追加&設定追加はOKです。
◎朝霧、夕月の一族を演じる方は苗字はそれぞれの一族の苗字を使っていただきます。
◎それぞれの一族の能力は以下の通りです。
 ・朝霧→癒し系の能力であれば問題ありません。
 ・夕月→破壊系の能力であれば問題ありません。

●今回の参加者

 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa3487 ラリー・タウンゼント(28歳・♂・一角獣)
 fa3599 七瀬七海(11歳・♂・猫)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa4591 楼瀬真緒(29歳・♀・猫)
 fa4956 神楽(17歳・♀・豹)
 fa5345 ルーカス・エリオット(22歳・♂・猫)
 fa5556 (21歳・♀・犬)

●リプレイ本文

「あたしだけが悪霊として苦しい思いをしなくちゃいけないなんて‥そんな理不尽な事許される訳なんてないんだから」
 みんな苦しめばいいのよ、そう言って高らかに笑うのは悪霊・麗羅(姫野・唯(fa1463))だった。
「そう、思うわよね」
 クスリと麗羅が笑む先には、麗羅が苦しめる六海(七瀬七海(fa3599))が姉の麗羅が発する負の感情に引きずられて悪霊化を仕掛けている。彼は麗羅の実の弟であるにも関わらず、苦しめ続けられている。
「もっと、もっと苦しみなさいな。私のように」
 そう呟くと麗羅は六海をより一層苦しめる為に力を使っていく。


「この子が今回の被害者‥」
 依頼を持ってくる派遣者が渡してきた、被害者の写真を見て呟くのは遥(虹(fa5556))、同じくそれを見ていた司(ラリー・タウンゼント(fa3487))も頷きながら呟く。
「まだ幼い命なのに‥愚かしい事をした姉の為に巻き込まれて‥可哀想だ」
「子供の姿で愛らしいのに‥救えるなら救いたいわね‥」
 自分の子供である遥と司が寂しげに呟くのを見て、霞(楼瀬真緒(fa4591))は二人と同じように悲しげに呟いた。
「今回ほどの事になれば夕月も動くでしょう‥気をつけましょうね」
 そう言って朝霧の人間達は『救う』為に本家を後にした。


「夕月‥巧(タブラ・ラサ(fa3802))だよ。宜しく」
 巧は夕月本家の三男、まだ幼いゆえに使命の重さを理解していないが、能力はかなり高いのでたびたび前線に立たされているのだ。
「あたしは煉(神楽(fa4956))、こっちは従妹のヨク兄さん(ルーカス・エリオット(fa5345))よ」
 煉がヨクを紹介すると「どーも」と素っ気無く返事を返した。
「今回は姉が悪霊と化し、弟を苦しめるというケースだよ。もちろん僕たちは姉を滅すればいいだけの話だけど」
 巧の言葉にヨクは「弟を巻き込むなんて‥絶対に裁くべきだな」と少し忌々しそうに呟いた。
「そうね、救う者がいる以上は朝霧も出てくるでしょうし‥」
 煉の言葉に「邪魔をしなければどうでもいいよ」と巧が答え「同感」とヨクも頷いた。


 そして辿り着いたのは近場の公園、麗羅は六海を誘い出して苦しめて、うんと苦しめた後に殺してしまうつもりなのだろう。
「「待て!」」
 叫んだ瞬間、叫んだ二人は声がハモっている事に気づき、互いの顔を見合わせる。するとそこには自分達とは相対なる一族の人間が立っている。
「貴方達は夕月の‥そう‥あの子を裁きにやってきたのね」
 そう言って霞は麗羅に視線を移す。
「そういう事、邪魔はしないでよね」
 巧がそう言って攻撃を仕掛けようとした時に「待って」と霞が呼び止める。
「悪霊のあの子は、悪霊化しかけている少年と近すぎる位置にいるわ。こちらと共同戦線を張って、互いの目的を果たしましょう?」
 霞の言葉に「‥そうだね」と煉が最もだ、と言うように呟いた。
「‥仕方ないわね、あたし達は悪霊を救う気もないし‥救うなんて出来ないから」
 それでいいでしょ?と煉が巧とヨクに問いかける。ここでお互いが敵視したまま行動を取っても良い結果は得られないだろう。簡単な自己紹介を終えた後に行動に移ろうとするが、少し不満が残るのか巧はムスっとしたままだった。
「良かった、煉ちゃん、よっくん、巧くんも宜しくね」
 遥はそう言って手を差し出すが、よっくん‥というのが誰を指すのか分からずに三人とも首を傾げる。
「‥たぶん、キミだと思う」
 そう言って司はヨクを見る。見られたヨクは「俺か!?」と心の中で叫んだとか‥。


「貴方達‥あたしを苛めに来たのね?ひどぉい‥まだ子供なのに‥あたしだって好きでこういう事している訳じゃないのに‥クスン」
 ヒック、と泣き声を交えて話すが「‥その手は通じないよ」と司が答える。悪霊と戦う夕月、そして癒しの一族である朝霧には悪霊の本質を見抜く才能がある。それらを持つ彼らに泣き落としなど通じるはずもないのだ。
「うふふ、じゃあ‥あたしとイイ事しない?お兄さん達、カッコイイからあたしのタイプなんだよねぇ」
 そう言って擦り寄る麗羅の姿を見て、遥は騙されてしまうんじゃないかと自分の兄・司と夕月のヨクをドギマギしながら見ていた。
「悪いが‥女を選ぶ権利は俺にもある」
 そう言ってヨクは光を拡散させた攻撃を麗羅に仕掛けた。
「‥‥つまんない、つまんない!貴方達なんて大嫌い!貴方達も悪霊になって苦しめばいいのよ!」
 麗羅は叫ぶと、夕月達の方へと向かって攻撃を仕掛けてくる。その一瞬の隙をついて巧が攻撃を仕掛けようとするが、六海も巻き添えになろうとしている事に遥が気づき「駄目ぇっ!」と体当たりを食らわす。その際に巧が怪我をしないように横から抱きかかえ、地面に押さえつけるような形で巧を止めた。
「いたた‥なんで邪魔するんだよ!」
「あの子は駄目!苦しんでいるの、助けてあげなきゃ!」
「‥そう?僕にはどっちも悪霊に見えるけど」
 遥の言葉に巧は冷たく言葉を返す。確かに六海を見ると苦しそうに、助けを求めているように見える。
「大体、多少の犠牲を払ってでも悪霊は―‥」
「ほらほら、お止めなさいな。二人とも‥」
 霞が仲裁に入り、巧の頭を撫でながら「‥もう一人くらい子供がいてもいいわね」とポツリと呟く。
「絶対に助けてみせる」
 遥は呟き、麗羅の放つ負の感情を受けて一筋の涙が流れた。それと同時に能力練成をしていた司は閉じたまま、救うべき時を待つ。
「闇の迷い子、彼方に見ゆる、夢に誘い、運命(さだめ)の時まで、おやすみなさい」
 遥と司が行動を起こしやすいように、霞は子守唄を媒介にして霊を浄化する歌を六海に向けて歌う。その歌のおかげで悪霊化が落ち着いたのか、六海に能力が届くまで魂が弱り始めている。
「司、遥、今よ」
 霞の言葉を合図に「涙よ、河となれ」と司が呟き、閉じていた瞳を開く。
「救いを求める者よ、聞け!せせらぎの音を!そして受け入れよ、優しき水の乙女の抱擁を!」
 司が唱え終わると同時に六海の体が光に包まれる。そして身に纏っていた邪気が消え去り、六海は悪霊化から開放され、浄化された。

「あれが‥朝霧の力なの?あたしの力とは‥あまりに違いすぎる‥」
 六海が浄化される所を見て、煉が呟く。そして「ボーっとするな!」とヨクに叫ばれ、ハッと我を取り戻したように「ご、ごめんなさい」と謝る。
「あっちは無事に終わったみたいだね、後は―‥キミを滅するだけだ」
 そう言って巧は麗羅に視線を移す。
「せっかくイイ具合に悪霊化してたのに‥許せない、何で邪魔するのよ!」
 麗羅が叫び、こちらも悪霊にしようと襲い掛かってくる。
「苦しいからって‥周り傷つけていい理由になんねぇよ」
 ヨクが麗羅を破魔する為に光で徐々に行動範囲を狭めていく。
「うるさい、あたしの邪魔をするな!」
 そう言って攻撃を仕掛けようとするが、ヨクは避け「‥もう遅い」と煉に視線を移す。
「出よ!断罪の剣」
 能力解放準備をしていた煉は両手を広げ、その間から現れた剣を右手で握りしめ、麗羅に向かって振るう。
「‥この世界にあなたの居場所などないわ、早くあの世へ消えなさい」
 そう呟きながら麗羅を斬りつける、完全に消滅させるまでには至らなかったものの、致命傷を与えられた事で「後は任せたわよ、巧」と叫んで、剣を消した。
「闇は闇へ‥‥帰りなよ」
 巧は能力『闇』を発動し、深淵の闇へ麗羅を引きずり込ませ、消滅させた。
「‥おっかねぇ技‥」
 素直に感想を述べたヨクに「そう?」と巧は、さも当然と言わんばかりの口調で答えた。


「良かった、怪我はないんだね。お兄ちゃん」
 全てが終わった後に遥は司に駆け寄る。
「大丈夫、遥こそ怪我はないのか?」
「ん、大丈夫。強いて言えば‥お腹空いちゃった。泣くとお腹空くから‥」
 ぐー、と鳴るお腹を擦りながら遥は答えた。
「相変わらずのシスコンぶりねぇ」
 霞はクスクスと楽しげに呟いている。
「さて、互いの目的も終わったし‥帰らせてもらうわね」
 煉が呟き、巧は「疲れた‥」と呟く。
「うん、またね。煉ちゃん、巧くん、よっくん!」
 よっくん、そのよび方にヨクは「どうして俺だけ砕けた呼び方なんだろ」とため息混じりに呟いた。
「また‥会う時までお互いに壮健だといいわね」
 そう言って朝霧、夕月は互いの帰るべき場所へ戻っていった。


 救われる者は幸せ、消滅させてもらえるのも幸せ
 中には苦しいまま放置させられている不幸な存在もある
 そんな者達を『救う』一族が二つある
 一つは癒しの一族 朝霧
 一つは消滅の一族 夕月
 救い方は違えども、彼らは悪霊を救う‥解放する為に日夜与えられた仕事に励んでいるのだ



END


 ●おまけ●
「スカートが落ち着かないー‥」
 普段はパンツ系を履いているのか、虹さんが落ち着かない様子でうろうろするのを至る所で見られたとか‥。
「だけど、よっくんはナイス!僕もう笑いを堪えるのが大変で大変で‥」
 そう金平糖を食べながら、思い出し笑いをするのはルーカスさんだった。余程すきなのか反対の手には予備の金平糖が持たれていた。
 そんなこんなで撮影は無事に終了しましたとさ♪

本当におしまい。