突撃!廃病院(裏方)アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/12〜05/14

●本文

『その廃病院は‥幽霊が出ることで有名な場所だった――‥』

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「‥すげーな‥」

土下座芸人・山吹 嵐は目の前の廃病院を見あげながら呟いた、

今回は『土下座DE芸能人』の新コーナー『突撃!』の第一回目。

今回の突撃!は芸能人を廃病院へと呼び出し、肝試しをさせようという企画だ。

しかし、今回集まっているメンバーは不気味な廃病院を、更に怖くさせる為に集められた裏方達。

「‥と言うワケでー、張り切ってガンバロー」


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●募集事項
◎『突撃!廃病院』はコメディ番組です。
◎ですが、こちらは出演者を怖がらせる演出などをしてくれる『裏方さん』を募集しています。
◎NPC『山吹・嵐』は裏方手伝いの為に参加しています。どんどんこき使ってやってください。
◎『こんな演出考えたけどどうですかー?』などがありましたら『山吹・嵐』に聞いてください。
※その際は別スレッドを立てていただけると有難いです。

それでは、皆様で廃病院を怖く演出してくださいませ!
(もちろん、脅かし役を出すのもOKです)

●今回の参加者

 fa0914 キャンベル・公星(21歳・♀・ハムスター)
 fa1533 Syana(20歳・♂・小鳥)
 fa2529 常盤 躑躅(37歳・♂・パンダ)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa3135 古河 甚五郎(27歳・♂・トカゲ)
 fa3797 四條 キリエ(26歳・♀・アライグマ)
 fa5302 七瀬紫音(22歳・♀・リス)
 fa5615 楽子(35歳・♀・アライグマ)

●リプレイ本文

「この辺を板で塞いで‥と」
 出演者が危険な箇所に行かないように、さり気無く進行ルートを作るのはセット職の古河 甚五郎(fa3135)、手には設備配置図が持たれていて電源設備、配線一般、避難経路を予め記憶している。
「頑張って出演者の皆さんを脅かしましょう!」
 そう話すSyana(fa1533)だったが、頑張ろうと言う彼の方が怖がっているように見えるのは気のせいだろうか‥?
「ここからはそれぞれの担当に別れて行動した方が良さそうですね」
 七瀬紫音(fa5302)が呟き、各メンバーは担当別に別れて行動を始めた。


●メイク
「今回は宜しくお願いしますね、誰も怪我せずに撮影が終わりますように」
 ペコリと丁寧に頭を下げるのは楽子(fa5615)、しかし彼女の前には誰もいない。むしろ壁しかない。
「楽子様、誰にご挨拶をしているんですの?」
 不思議に思ったキャンベル・公星(fa0914)が楽子に問いかける、
「本物の幽霊さんですよ?」
 にっこりと笑って答える楽子に紫音とキャンベルは「‥そ、そう‥」としか言葉を返す事が出来なかった。
「紫音ちゃんは幽霊患者で、キャニーちゃんは病院を漂う幽霊ナースさんね」
 ばっちり任せて、そう言いながら楽子はメイクの準備を始めた。
「あ、紫音ちゃん、貴方の小道具よ」
 そう言って楽子は前もって作っておいた生首をポイと紫音に手渡す。抜け落ちた髪の隙間から覗かせる落ち窪んだ瞳が余計に恐怖心をかきたて、あまりのリアルさに紫音は生首を落としそうになる。
「首の切断部分もきちんとリアルに仕上げてあるんですね‥」
 鮮やかな血糊のついた首の切断部を見てキャンベルが呟く。
「そういえば、あとお二人脅かし役がいると聞いているんですけど‥」
 周りを見渡しながら紫音が呟く。そう、名無しの演技者(fa2582)と常盤 躑躅(fa2529)の二人も脅かし役で参加している。
「彼らのメイクは先にしてしまったのよ」
「さて、貴方達のメイクをしてしまいましょうか♪」
 道具を手に持ち、楽子は楽しげに呟いた。


●セット
「流石に電気は生きてませんね、局の電気作業車を呼んでいて正解でした」
 古河は院内地図を見て、肝試しルートの死角に作業車群を停めさせ、死角になる箇所や天井裏、壁際暗所に配線や機器類を配置する。その際に出演者から見えにくいようにカモフラ柄に塗った物を使用する。
「コガ、何で此処はガムテなの?」
 壁に貼り付けられたガムテープを見て四篠 キリエ(fa3797)が首を傾げながら問いかける。
「自分がガムテ職人だからです!‥と言うのは冗談でこういう風にするのも怖いと思いません?」
 確かに不自然にガムテが貼られていたら怖いと思う、しかも驚かされて恐怖心を煽られた出演者達ならなお更だ。
「此方は何とかなるので、四篠さんはご自分の仕事をされて結構ですよ?」
「そう?何かある時は手伝うから呼んでね」
 そう言ってキリエはSyanaの所へと向かった。
「えーと、後はこの薔薇を活けた花瓶を霊安室に設置‥ですね」
 古河はネームレスとの仕掛けをしに霊安室へと向かう。流石に不気味な雰囲気が漂っている。
「おーい、古河さん、写真を用意したケド何に使うんだよ」
 そう言って本編に参加する出演者の顔写真を古河に渡すのは山吹 嵐(fz1050)だった。嵐は仕掛けに使うからと言って出演者の顔写真を頼まれていたのだ。
「霊安室での仕掛けに使うんですよ」
 そう言って霊安室に向かった彼は仕掛けを設置し始める。既に機能していない霊安室を稼動させ、寝台に人数分の人形を置き、出演者の遺影を施し、その奥には先程の薔薇を活けた花瓶を置く。
「あ、触らないで下さいね」
 嵐が人形に触ろうとした時に古河から注意を受ける。触ると同時に血糊が吹き出る仕掛けになっているらしいのだ。
「‥匂いまでリアルだな、まさか本物か?」
 嵐が笑いながら問いかけると「香料を使って創っているんですよ」と古河も笑って答えた。
「自分の仕事はコレでほとんど終わりましたねぇ、ゴミ拾いをしながら仕込みの廃品に置き換えちゃいましょうか」
 手伝ってくださいね、と嵐に廃品を渡しながら呟いた。


●音楽
「さてと‥僕も始めないと‥」
 Syanaが効果音作りの為にパソコンを起動させる、その時にキリエもやってきて一緒に効果音作りを始める。
「あのー‥」
 何から始めようかな、と考えていた時にSyanaは背後から紫音に声をかけられ振り向く――‥。
「ぎゃああっ!」
 振り向いた先にいたのは紛れもなく紫音、ばっちりしっかり幽霊メイクをした姿で。
「し、Syanaさん?!大丈夫ですか?」
 青白い顔でSyanaを心配する紫音に、キリエは声を押し殺して笑っている。
「出演者驚かす前にシャナっちを驚かせてどうするのさー」
 キリエが未だ治まらない笑いに腹を抱えながら話す。
「え、え、そんなつもりじゃなかったんですけど‥」
「だ、大丈夫、僕は大丈夫、出来れば次からは後ろからじゃなく前から来て欲しい‥」
 それはそれで怖いだろう、キリエは心の中で呟いたが、あえて口にする事はなかった。
「それでどうしたの?」
「あ、効果音を作る勉強をさせてもらおうかと‥」
 紫音の言葉に「私は構わないよ」とキリエが笑って答える。
「今回はパソコンでの打ち合わせがほとんどだから、あまり見る所はないと思うけど‥僕も構わないよ」
 二人の言葉に紫音は「ありがとうございます」と頭を丁寧に下げて椅子に腰掛ける。
「小児病棟の所で使うオルゴールはこれでどう?」
 キリエが鳴らしてみると「場違いな感じが更に恐怖心をかきたてるね」とSyanaが呟く。
「シオの演技に合わせて使う足音はこれでどうかな?」
 カツーン‥とパソコンから響く足音に「うーん、紫音さんの演技次第だけど‥もうちょっと強調してもいいんじゃない?」と編集した音を鳴らしながら呟く。
「あ、確かにこっちの方が雰囲気が出るね」
 目の前で音を作る二人を見て「打ち込みってこうするんだ‥」としみじみ思ったとか。


●そして、本番へ向けて
「もうすぐ出演者が来る時間だな」
 キャンベルが予め用意していたおにぎりを頬張りながら躑躅が呟く。
「自分も頂きます」
 仕事の事ばかり考えていて夜食を誰一人持って来なかった事に先ほど気がついた。その時にキャンベルが「私が持って来ていますわ」と大きな包みを出しながら言った。
「本番中にお腹が合唱しては大変ですものね」
 誰もいない廃病院、鳴り響く腹の音――‥それはそれで怖いな、と全員が思った。
「最後のリハでそれぞれの出番を確認しておこうか」
「ネームレスさんの出番は霊安室ですね、血糊が吹き出る人形、生臭い匂い、全て仕掛けておきました」
 古河がメモを取り出しながらネームレスと確認をし合っている。その隣では楽子、キャンベル、紫音が確認をし合う。
「私は手術室近辺で待機しておきますね、小道具の生首を持って。四篠さん、効果音の方を宜しくお願いします」
「私は車椅子を押しながらの行動ですね」
「あ、途中で車椅子を持たないといけないだろうから軽めの物を用意しておきましたよ」
 古河の言葉に「ありがとうございます、助かりますわ」とキャンベルが礼を述べた。
「忘れてました、談話室に紙コップを置いておかなくちゃですね」
「それなら僕が置いておきましたよ」
 Syanaがにっこりと笑って答えた。
「出演者と同じ数を置いておけばいいんですよね?」
 えぇ、キャンベルは笑って答えるのだが顔には焼け爛れたメイクがしてあり‥怖い。
「あ―‥出演者達のバスが見えてきました。皆さん頑張りましょう」
 それぞれ破位置につく為に行動を開始する。

 裏方達によって恐怖という名の色に染められた廃病院に出演者達が驚くまで―‥あと少し――‥。



END


●収録中
「流石に怖いみたいですねぇ‥」
 モニターを見ながらSyanaとキリエが、その場にあった効果音を流し呟く。
「申し訳ないとは思うけど――‥めいっぱい怖がって驚いてね♪」
 モニターの向こうにいる出演者に向けてキリエが呟く。
「‥怖いですね」
 笑うキリエを見ながら古河が小さく呟いた。その『怖いですね』が幽霊役を見てなのか、鬼のような発言をしたキリエに対してなのかは‥本人にしかわからない。
「それにしても‥廃美容院というのも面白いと思いません?」
 古河の問いに嵐は「‥美容院は大して広くないから幽霊役同士が鉢合わせるんじゃないか?」と言葉を返す。
 しかし、その言葉を聞いていた監督は――‥「それもいいな‥」と一人呟いていたとか‥。


おしまい。