突撃!廃病院アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 0.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/12〜05/14

●本文

『その廃病院は‥幽霊が出ることで有名な場所だった――‥』

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「肝試しに私が同行するの?」

プロデューサーから企画書を渡されたユリアナ・マクレインは不思議そうに呟いた。

今回は『土下座DE芸能人』の新コーナー『突撃!』の第一回目。

内容はとても簡単なもので、廃病院で肝試しをする―‥これだけだ。

しかし、先に向かった裏方チームが元々不気味な廃病院を更に素敵に怖く演出しているとの事。

「仕掛け人として行けって事ね、分かったわ」

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●募集事項
◎『突撃!廃病院』はコメディ番組です。
◎こちらは『肝試しに参加する『出演者』の方を募集しています。
※1人〜2人はユリアナと同じ仕掛け人として同行してください。
◎映画とは違い、実名(芸名)が出ますので気をつけてくださいませ。
◎『こんな風に参加者を仕掛けたらどうですかー?』というのがありましたら、ユリアナに聞いてやってください。
※その際は別スレッドを立てていただけると有難いです。

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0164 篠森 露斗(19歳・♂・鴉)
 fa0640 湯ノ花 ゆくる(14歳・♀・蝙蝠)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3371 豊浦 あやね(15歳・♀・狸)
 fa4181 南央(17歳・♀・ハムスター)
 fa4396 葉桜リカコ(16歳・♀・狸)
 fa4578 Iris(25歳・♂・豹)

●リプレイ本文

「この廃病院は、夜な夜な看護士の幽霊が現れては人々を患者として引き込んでしまうらしいよ」
 そう静かな声で呟くのはIris(fa4578)だった。そして俯きながら「‥生きて戻った者はいないんだって‥」と呟く。
「は、幽霊とかありえねぇって!」
 そう茶化すのは篠森 露斗(fa0164)で彼は怖いと感じていないのか余裕すら感じさせた。
「でも‥もしかしたら本当かも‥」
 口元に手を当てて困ったように呟くのはユリアナ・マクレイン(fz1039)、少し怯え気味の彼女に「大丈夫だって!」と笑いながら話しかけるのはティタネス(fa3251)だった。
「さ、時間も押してるし先発班はそろそろ行こうか」
 Irisは自分と同じ班の人間・南央(fa4181)とアヤカ(fa0075)と湯ノ花 ゆくる(fa0640)、そしてユリアナを連れて廃病院の中へと入っていく。


●A班
「‥中に入ると‥一層不気味ですね‥」
 メロンパンを持ちながらゆくるが小さく呟く。まだ幽霊は出ていないのだが、今にも出そうという雰囲気に体を震わせ、Irisの後ろにしがみついている。
「ニャは☆皆怖がりニャ☆あたいはお守り持って来ているから大丈夫ニャよ☆」
 そう言ってアヤカが見せたのはお守り!お守り!お守り!と物凄い数のお守りだった。
「これだけあれば怖くないニャ☆」
 本当に怖くないのかアヤカは一人平気な顔で前へと進む。
「南央さんは怖くないの?」
 ユリアナが南央に問いかけると「‥大丈夫です」と答える。実際、彼女は怖い物が苦手という事実がある。しかし妙な意地で平気さを保っているのだ。
「怖くないんだったら前に行く?あ、後ろでもいいけど」
「いいえ、お断りします!」
 Irisの言葉に南央は勢い良く断る。その行動で『怖いんだな‥』と誰もが思ったが口にする事はなかった。
「何か‥聞こえない?」
 突然Irisが呟く。確かにキィキィ‥と何かが軋む音が響き、ナースコールの音も聞こえる。
「あ、あれ‥」
 ユリアナが驚いたように前を指差す。すると‥顔が焼け爛れたナースが誰も乗っていない車椅子を押しながら、此方を見て‥ニィ‥と笑みを浮かべた。
「きゃあああっ!」
 そのナースの姿に今まで平静を保っていた南央が叫ぶ。そのナースはゆっくりと廊下を車椅子を押しながら歩き、次第にその速度は上がっていく。
「に、逃げよう!
「これはまずいニャ―――っ!」
 平気そうだったアヤカまでもが叫び、ナースから逃げるように走る。
「‥‥あれは‥足があります‥偽者の幽霊です‥だから怖くありません」
 そう言いながらもゆくるは皆と同じように走ってナースから逃げる。
「もうすぐで中庭だ、とりあえず外に出よう!」
 中庭への扉を開けて外に出る、するとナースはそのまま通り過ぎていって階段の方へと走っていった。窓からそのナースを見ていたユリアナが「嘘でしょう‥」と呟く。
「どうかしたんですか?」
 Irisがユリアナに問いかけると「‥今のナース‥消えたわ」と呆然としながら呟いた。
「でもナースは消えましたし、外は大丈夫なんじゃ――」
 南央が呟いた瞬間「きひゃはははは!」と奇怪な声をあげて皆を追いかけてくる。
「獲物だ‥獲物を見つけたぁ!」
 そう嬉しそうに話す蝙蝠男は輸血パックの血を飲み干し、空になったパックをアヤカ達の前へと投げ捨てる。
「あの蝙蝠男は病院とは関係ないのじゃニャいかーっ!?」
「いーーーーやあああああっ」
 南央は叫びのあまり役者だと言う事を忘れたような引きつり顔、アヤカは叫びながら、蝙蝠男から逃げる為に身近にあった部屋へと入り込んだ。
しかし入り込んだ部屋は―‥霊安室だった。
「きしゃしゃ!我が力を見よおおっ!」
 霊安室に飾られていた薔薇の花瓶がパンと弾け、遺影のように飾られたメンバーの写真も破れる。そして蝙蝠男は薔薇に近寄り、急激に枯れさせる。その後は不気味な笑みを浮かべたまま何処かへと飛び去っていってしまった。
「‥何はともあれ‥此処がA班の中間地点みたいだね‥」
 Irisは人形を置き「あ、あれは!」と右方向を指差して叫ぶ。そして次の瞬間―‥置いた人形から血が噴出してしまう。
「あ、あ‥あく‥悪霊‥退散‥デス」
 ゆくるは聖なるメロンパンを血が噴出した人形の前に置き、早々に部屋を出る。
 その後も落下物などの仕掛けがあり、アヤカが肩をビクと震わせながら怯える姿が見られた―‥。


●B班
「ばあ!」
 B班の出発が近くなった頃、篠森が懐中電灯を下から照らして葉桜リカコ(fa4396)を怖がらせていた。
「はは、それにしても―‥万が一マジで出るとしたら‥大丈夫かね、あいつら‥」
 廃病院の建物を見ながら真剣な顔で篠森が呟く。
「にゃぁ‥縁起でもない事いわんといてやぁ‥」
 持ってきたハリセンでぺちぺちと叩きながら呟くのは豊浦 あやね(fa3371)だった。基本的に怖がりな彼女は常に武器(ハリセン)を持ち構えている。
「さて、時間だな。B班突入するぜぇ」
 A班が入ってから数十分が過ぎ、B班も建物内に入っていく。A・Bは進行ルートが微妙に違っている。これは出演者同士が鉢合わせをしない為だ。
「こっちは小児病棟なんだね」
 埃で見えにくい看板をティタネスが見て呟く。
「子供の幽霊なら怖くないかもです〜」
 リカコがそう呟いた瞬間、場違いなオルゴールが鳴り響いた。
「な、なんや!?」
 オルゴールが鳴り始めた途端に子供達の笑い声も聞こえ始め、次第にそれは奇声じみた声へと変化していった。
「おわ!何だあれ!」
 篠森が指差した方向には人形があり、人形の首が突然ポトリと落ちる。しかし首が落ちながらも踊り続けるオルゴール人形。
「‥一緒に、踊りましょうよ、ねぇ?キャハハハハハハハ!」
 後ろを向いていた人形が此方を向き、落ちた筈の首もガタガタと動き始める。
「怖いーっ、怖いーっ!」
 ハリセンをぶんぶんと振り回しながらあやねが震えながら呟く。その姿を見て「手、握ってもいいよ?」とティタネスが手を差し出した。
 結局、皆で逃げ回り人形から解放されてホッとしたのも束の間、次の幽霊が姿を現した。
「グヒヒヒ‥」
 厭らしい笑みを浮かべ、涎を撒き散らしながら現れたのはゾンビパンダだった。
(「捕まったらヤバイ!何かがヤバイ!」)
 本能にも似た直感が全員に告げたのか、全員はゾンビパンダから逃げる為に走る、その際女性を庇う為か篠森が最後尾を走る。
「無駄ああああ!」
 突然ゾンビパンダは叫ぶと、ブリッジで這って女性のスカートの中を覗きこもうとする。
「何でやね―――んっ!」
 スパコーン!と気持ちの良い音を出してゾンビパンダを撃退するのは、あやねのハリセンだった。
「‥幽霊を退治するとは頼もしいな」
 篠森が驚いたように目を瞬かせ、引きつりながら呟く。
「後は‥手術室だね、これもまた‥ベタだねぇ」
 ティタネスが苦笑しながら呟き、それと同時に響く足音―‥。
「‥誰か置いてきたか?」
 篠森が人数を確認するが、全員揃っている。慌てて後ろを見るが誰もいない。
「何だ、気のせい――おわっ」
「どうしたんだ‥って」
 ティタネスも言葉を失う、何故なら目の前には生首を抱えたネグリジェ姿の女性の姿。首からはピチャン‥と血が滴り落ちている。素足で歩いていて、最初はゆっくりと歩いている彼女だったが、次第に歩く速度が早くなる。
 その時に一度電気が消え、再びついた時には彼女の姿はなかった―‥。手術室の中もティタネスが確認したが人の気配はない。
「‥何だったんでしょうね〜、今のは〜‥」
 リカコが呟く、その姿に「あんまり怖くなさそうやね」とあやねが問いかけるが「しっかりばっちり怖がってますよ〜」と答える。
「あ、此処が中間地点だな」
 しかし、A班の人形を見て全員が絶句する。何故なら血に塗れていたからだ。そして点灯されたまま転がっている懐中電灯、A班に何かがあったとしか思いようが無い。
「何だ、これ―‥」
 流石に冗談を言う余裕がなくなってきたのか篠森が呟く。そして突然B班が置いた人形が血を噴出させる。
「きゃああっ!」
 突然の出来事に全員が驚き、叫び声をあげる。

 そこに―――。

 パーンっとクラッカー音が鳴り響き「大成功〜!」と声が聞こえた。
「‥な、な?」
 訳も分からないB班だったが「ごめん!実はドッキリ!」と篠森が顔の前で手を合わせて謝る。
「えー‥とつまりは‥騙されてた‥ってワケ?」
 ティタネスが混乱する頭で問いかけると「その通りだよ」とIrisとユリアナが姿を現す。
「僕達三人は仕掛け人だったんだ」
 ごめんね?とIrisが申し訳なさそうに謝る。
「私たちも最初聞いてびっくりでした、でも‥良かった‥」
 南央は心からホッとしたように涙目で答えた。
「‥メロンパンの‥お化けだったら‥良かったです‥」
 美味しかっただろうな、とゆくるが呟く。どうやら幽霊でもメロンパンが出たら彼女は食べる気だったらしい。
「オホン、最後に―‥」
 Iris、篠森、ユリアナがメンバーの前に立ち「ごめんなさい!」と大きな声で叫んで謝る。
 しかし彼らは忘れてはならない。メンバーは芸能人なのだ、企画とはいえ驚かせた事を怒るファンが存在するという事を。特に女性陣、今をときめく彼女達を怖がらせた男達という事でファンに睨まれるのは間違いないだろう――‥。


―お疲れ様でした!