LUNA ―Originアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/23〜05/26
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●本文
『それは月に全てを左右される種族――‥月鬼の物語‥』
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月の満ち欠けに『命』と『能力』を左右される種族が存在する―‥。
彼らは『月鬼(つくおに)』と呼ばれ、満月期に近ければ近いほど不死身に近い身体と無敵に近い能力を持つ事が出来る。
そして―‥彼ら・月鬼の持つ能力だけが『腐獣(ふじゅう)』と滅する事が出来るのだ。
腐獣は、大地・空気の穢れが具現化したもの――‥。
生物のようでありながら意思は存在しない。
ただ『破壊活動』という本能に従って動くだけのモノなのだ。
普通の人間が腐獣に触れれば、自分の身体が腐る。
普通の人間が腐獣の血に触れれば、自分が腐獣と化す。
腐獣を滅する事が出来るのは―‥月鬼だけなのだ―‥。
しかし―‥草木を削り、自然が破壊され続ける事で生まれ続ける腐獣。
それは自らの欲望のままに地球の生態系を壊し続ける‥人間へ与えられた罰なのかもしれない――‥。
※※設定※※
月鬼は生まれつき『月天子』か『月姫』―‥どちらかの加護を受けています。
月天子の加護を受けている者は『攻撃系』の能力を持ち
月姫の加護を受けている者は『防御系』の能力を持っています。
同じ加護を受けている者同士は、互いの力を合わせて連携技を使う事が出来ます。
※月姫+月姫
※月天子+月天子はOK。
※月姫+月天子
※月天子+月姫はNG。
相対する能力同士は力が反発しあい、うまく力が絡まらず連携は出来ません。
※能力はそれぞれの系統に反しないのであれば皆様で好きに決めて下さって構いません。
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●募集事項
◎映画「LUNA」では出演者の皆様を募集しています。
◎配役についての説明は以下の通りです。
・月鬼(必須/何名でも可)
・腐獣(ただし、人間から感染した場合のみ)
(自然に生まれた腐獣は知識など持っていません。逆に人間へと感染した腐獣は人間としての知識を持っているのでタチが悪いです)
※他に適役がありましたら、そちらを演じていただいても結構です。
※設定などに疑問などを感じたら、NPCユリアナに質問して下さい。
その際は別スレをたてていただけると有難いです。
※今回のユリアナの配役:突然襲われた哀れな一般人。
●リプレイ本文
「だ、大丈夫だ‥そのうちこの感覚も消える筈だ‥‥多分」
湧き出る破壊衝動と、それに伴って消えそうになる自分の意識を恐れながら泰牙(天霧 浮谷(fa1024))は小さく呟いた。
彼は数日前に腐獣に襲われ、その時に感染させられている。日が浅い為か人間の意識も残っているがいずれは消えてしまうだろう。
「とにかく‥帰ろう、風邪かもしれないし‥」
治まるどころか強まっていく破壊衝動に泰牙は、その場にガクリと膝を折る。
「大丈夫ですか?」
突然座り込んでしまった泰牙を心配して駆け寄ってきたのはユリ(ユリアナ・マクレイン(fz1039))だった。
「あぁ‥大丈夫だ」
顔をあげた泰牙の表情は先ほどと一変して残忍な笑みだった―‥。
「今日も一日ご苦労だった、俺!」
うーん、と伸びをしながら一人呟くのは海唄(橘・朔耶(fa0467))。仕事を終えて帰宅しようとしたその時―‥腐獣の気配を感じる。
「この気配‥腐獣!場所は‥近そうだな」
海唄は呟くと腐獣が出現している場所目指して走り出す。
「海唄(ちゃん)!」
聞き覚えのある声が背後からして後ろを振り返ると幼馴染の朱桜(ヴォルフェ(fa0612))と琥珀(ユフィア・ドール(fa4031))の二人だった。
「二人とも‥どうしたんだ?」
海唄が問いかけると二人も腐獣の気配を感じてやってきたと答えた。
「夕飯の準備をしている最中に迷惑な‥」
「そうよね、お兄ちゃんヒモだもんね、家事しないと追い出されるんじゃないの〜?」
兄をからかうように言う琥珀も工房での作業中に気配を感じて慌てて飛び出してきたらしい。
「さて、早く向かわないと被害者が出るかもな」
朱桜が呟き、三人は止めていた足を再び動かして腐獣の所へと向かい始めた。
「また腐獣みたいね」
コップを洗いながら呟くのは喫茶店・暁闇の店主である朔夜(月 美鈴(fa3366))だった。
「腐獣?自分も行くのか?」
カウンターに座っている朔夜の弟・夜光(神楽坂 紫翠(fa1420))は気怠げに呟く。
「無理しない程度に頑張りなさい、見送ってあげるから」
朔夜はそう言って半ば強引に夜光を店から追い出す。
(「行くのは‥自分なんだ」)
強引に見送られた夜光は気乗りしなかったが腐獣が現れている場所目指して歩き出す。
「貴方も月鬼‥この腐獣の気配を感じたのね」
氷月(神楽(fa4956))が腐獣の所に向かっている途中、同じ月鬼の彩蓮(帯刀橘(fa4287))と出会う。
「そういうキミも?」
彩蓮は氷月を見上げながら呟く、氷月は「えぇ」と短く答え「一緒に行きましょう」と言って腐獣の所へと急ぐ。
「きゃあああっ!」
「不味いな‥あの腐獣、彼女に感染させる気のようだ」
問題の腐獣はユリを感染させる気でいるらしく、朱桜は「チッ」と舌打ちをする。
「仕方ない、威力は落ちるが‥」
そう呟いて海唄は少し離れた場所にいる泰牙を燃やす為に能力を使う。
「うわああっ!」
突然、身を焼く炎に驚き泰牙は足を止めた。
「助けて、助けてください!」
此方に駆け寄ってきたユリを琥珀が抱きとめる。
「琥珀、感染しているのか?」
海唄が琥珀に問いかけると「傷は負っているけれど感染はしていないわ」とホッとしたように答えた。
「とりあえず後ろに下がっているんだ、巻き込まれないように」
そう言って朱桜はユリを安全な場所まで運び、戦線に戻る。そこに遅れて夜光、氷月、彩蓮が到着する。
「自分は‥戦えないので、此処にいる」
夜光はそれだけ言うとユリの隣に座り込む。
「え、貴方は戦わないの?」
「あぁ‥という事で宜しく」
変なの、そう呟いて氷月は腐獣の所へと走っていく。
「‥あたしに魅入られた貴方はもう逃げる事は叶わないわ、大人しく滅しなさい!」
氷月は氷雪の誘いを発動しながら泰牙目掛けて放つ。
「うわあっ!」
泰牙は攻撃を受けて、その場に膝をつく。
「俺を‥支配するな‥嫌だ、いいから‥悪い子は寝ておけ!」
突然、泰牙が頭を抱えて一人叫び始める。
「どういう事かしら‥?」
琥珀が身に纏っていたショールを掴みながら呟く。彼女の能力は『布糸を自由に操る』という能力を持っている。主に腐獣を拘束する時に使用する能力である。
「恐らくは‥感染した腐獣と本来の彼の意識とが鬩ぎ合っているんだろうね」
彩蓮が小さく呟き「だけど―‥」と言葉を続かせる。
「もし‥彼の方が負けるようなら、僕は容赦しない」
彩蓮はその生い立ち故に、例え相手が腐獣でなく仲間だったとしても切り捨てられる非情さも落ち合わせている。情に厚い者は確かに必要だが、冷酷な判断を出来る者も戦いには必要となるのだ。
「俺は―――‥クククク‥」
泰牙の声の質が突如変わったかと思うとけたたましく笑い始めた。
「止めとけよ、俺とお前等じゃ格が違いすぎるぜ‥?」
挑発するように泰牙が呟くと「試してみなよ!」と海唄が泰牙目掛けて走り出す。しかし自分の方に寄って来る海唄を見て泰牙は下卑た笑みを浮かべる。
「‥?」
余裕すら感じるその笑みに何かがおかしいと感じた朱桜は「海唄!深追いするな!」と叫ぶ。
「‥おせぇよ」
泰牙が呟いた瞬間、土中から腐獣が現れ海唄を襲う。
「‥なっ!」
咄嗟に避けようとするが反応が間に合わず、腐獣の攻撃が直撃する―そう覚悟した時に海唄の周りを包む結界が現れた。
「‥間に合った‥」
ホッとしたような表情で彩蓮は呟く。彼の能力は『月光結界』といい球状の結界を作り出すものだ。
「驚かせて‥消えてしまいな!」
ゴゥ、と泰牙が呼び出した腐獣に触れ、海唄は燃やし尽くす。しかし泰牙は次々に腐獣を作り出し、キリがない。
「キリがないね、せめて動かずにいたら倒しやすいんだけど」
氷月が所持しているサバイバルナイフに氷の属性付加させて腐獣を切り倒す。
「お兄ちゃん、私が行くわね」
琥珀は呟いた後に瞳を伏せ、精神を集中させる。
「‥貴方達は私の束縛から逃れる事が出来るかしら?」
クス、と笑みながら琥珀は能力を発動させる。すると、泰牙が作り出した腐獣達は琥珀が今まで身に纏っていたショールによって拘束されていく。
「な‥拘束の術者か‥しかし腐獣が封じられても次から次へと生み出せる!穢れ纏いの能力があるかぎりなぁっ!」
そう言って泰牙は新たな腐獣を作り出そうとした時、自分の身に異変が起きている事を始めて知る。
「体が‥動かない‥っ」
「言ってなかったかしらね♪私は全ての布糸を操る事が出来る、例え貴方が身に着けている服さえも‥ね?」
琥珀が呟くと、泰牙は拘束を解こうと必死に動く。
「無駄よ‥足掻けば足掻くほど、布は貴方に絡まって締め付けるの」
今よ!琥珀が叫ぶと同時に海唄と朱桜が行動を開始する。
「悪いね、ちょっと悪戯が過ぎたようだね!」
そう叫び、二人は連携技『焔影』を発動する。周囲全ての腐獣の影から炎を発火させて腐獣を燃やし尽くすという能力だ。
「終わりだ」
朱桜が呟くと同時に炎が発生し、全ての腐獣を燃やし尽くす――ただ一人を除いて。
「ククク‥おもしれぇ‥面白いよ、お前等」
未だ燃え続ける中、泰牙は発狂したように笑い続ける。
「今の炎で俺を縛る服も大半が燃えたな、仕方ない」
泰牙は月鬼の足止め用に腐獣を数匹作り出し、その場を立ち去った。
「逃がしたか‥厄介な事にならなきゃいいけど‥」
氷月は泰牙が残していった腐獣を倒しながら小さく呟く。
「さて、一通りは終わったな」
腐獣を倒して、ユリの治療を終えた後に朱桜が呟く。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん‥携帯電話が鳴ってない?」
琥珀が朱桜のポケットを指差しながら呟く。
「うわ‥携帯の着信&メールが凄い事になっているな‥」
びっしりと残る着信履歴、受信履歴を見て朱桜が引きつりながら笑う。
「何だ、嫁に言って来なかったのか?今から遊びに行こうって計画を立ててるんだけど?」
どうする?と海唄が問いかけると「俺はパスするわ」と朱桜は答えた。
「嫁も心配してるみたいだし、そろそろ俺は帰るよ」
朱桜は「じゃあな」と言い残して妻の待つ自宅へと帰っていった。
「いつまでも此処にいるのは気分が良くないわ‥気分直しが必要ね」
氷月が言うと「同感だね」と彩蓮も答える。
「じゃあ姉のしている喫茶店でも行くか?」
夜光の言葉に「それいいね、賛成」と海唄が答え、皆は暁闇へ向かい始めた。
「う〜‥頭がガンガンする。吐きそう‥」
喫茶店の二階・つまり自室で夜光は頭を押さえながらソファに横になり呻いていた。
「全く‥無理しすぎね?貴方は影響を受けやすいんだから‥暫く寝ていなさい」
朔夜がため息混じりに呟き、部屋を出て行こうとすると「そういえば」と夜光が思い出したように呟く。
「今日の戦闘時なんだけど‥なんか‥デカイ気を感じた。なんだろう?嫌な感じもする」
「そう‥今日は考えないで寝ていなさい、せっかく怪我を治してあげたんだから」
朔夜は先ほど、能力を使って夜光の怪我した部分を自分に移し、それを特殊な水晶に封じ込めた。すると身代わりとなった水晶は派手な音をたてて割れてしまった。
「朔夜〜、酒が足りないよー!」
「はいはい、今持っていくわ」
下から自分を呼ぶ声に朔夜は苦笑しながらも降りていき、皆の前に酒とジュースを差し出した。
これは始まりの夜―‥自らの存続さえもかけた戦いの序章だという事に、誰もまだ気がついていなかった―‥。
END