ぐっじょぶ(スタッフ編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
水貴透子
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/22〜10/25
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●本文
『貴方の仕事活動を映画にしてみませんか?』
◎募集内容◎
これから先は本格的に進路を決定する時期になっていきます。
そこで、高校生や専門学生に仕事内容を見てもらう為の映画を作ろうと考えております。
映画の内容は貴方が普段している仕事を映画にするだけの簡単なものです。
別に着飾って撮影する事はありません。
普段の貴方を進路で悩む学生達に見せてあげればいいのです。
今回は『スタッフ編』という事で、募集するのはスタッフさん限定にしたいと思っております。
例)カメラマン、AD、スタイリストなど。
上記にあげたのは例えですので、スタッフさんでしたらどんな方でも大歓迎です。
これは学校の文化祭などで上映される簡単なモノなので、大掛かりなセットなどは作れません。
今回の映画について、簡単に纏めたものは以下の通りです。
◎募集はスタッフのみ。
◎映画の内容は、普段の仕事ぶりを見せること。
◎上映時間は30分〜一時間程度を目安にお考えください。
◎簡単な映画なので、大掛かりなセットは用意できません。
それでは、参加をお待ちしております。
●リプレイ本文
「‥ちゃんとスタッフです」
スタジオ入り口で警備員に呼び止められているのは大きな袋を抱えたアンリ・ユヴァ(fa4892)、外見年齢が低く見られるせいか必ずと言っていいほど呼び止められてしまう。アンリが首から下げたスタッフカードを見せると、警備員は気まずそうに頭を下げ、道をあけた。
その横を通り過ぎ、スタジオに着くと「ご苦労様」と一人の女性に迎えられる。それは中松・百合子(fa2361)だった。アンリが抱えているのは、今回の撮影で使われる衣装などだった。
今回はポスター撮影も実際に行うのだが、メインは進路に悩む学生達に向けたメッセージ映画を撮影する事だった。その為に芸能界‥今回はスタッフを集めての撮影になった。
「もう少ししたら撮影始めるよ〜」
カメラを片手に言うのは有珠・円(fa0388)、今回の撮影のカメラマンを担当する男性だ。
「どうせなら実際に使えるくらいのモノ、作っちゃおうぜー?」
今回のモデル‥因幡・眠兎(fa4300)が衣装に着替えている間にスタッフが準備を始めていく。スタイリストである中松は因幡にメイクを施す、今回はココアのポスターという事だからオレンジ系で纏めてみる。衣装はココア色の衣装で、秋を連想させるものだった。
「準備できたわ」
中松によって可愛らしく仕上げられた因幡がカメラの前に立つ。そこでアンリからココアの入ったカップを渡された。
「カップを両手で持って、幸せそうに笑ってね」
有珠がファインダー越しに話しかけると「はい」と因幡が答え言われた通りの仕草を見せる。カメラマンという仕事は百枚の写真を撮って一枚を使う、という事が当たり前の仕事だ。ベストを尽くしても完璧になり得ないと有珠は後に答えた。
「あら、何をしてるの?」
中松が話しかけたのは高遠・聖(fa4135)、椅子に座りメモ帳と睨めっこをしていた。
「あぁ、これはさっきの取材のメモだ」
ぴら、とメモを見せながら答える。そのメモは撮影が始める前に高遠が取材していた『子供の頃の将来の夢』や『生まれ変わって違う職業に就けるなら何になりたいか?』等を聞かれていた。もちろんメンバー全員に。
「これを記事にするのが俺の仕事だからな」
高遠の書いた記事が出版社に渡り、様々な人間の手によって形を得る。中松はメモを整理している高遠を見て「大変ねぇ」と呟いた。
「アンリちゃん、この写真を持って行ってくれる?」
有珠がアンリに写真を渡し、雨宮・慶(fa3658)に持っていくように指示をする。雨宮はクリエイターで、今回はCG関連の映像技術者として参加している。
「‥これ、有珠さんからです」
「あ、はい。ありがとうございます」
雨宮は受け取った写真をパソコンに取り込み、エフェクトやテロップの合成をしていく。今回は絵コンテをディレクターから渡されていたため、特に難しいことはなかった。
「へぇ、上手いモンだねぇ」
有珠がパソコンを覗き込みながら感心したように呟く。
「いえ、偶にもっと抽象的に仕上げろと言われる事もあるんですよ」
ふふ、と笑いながら合成を続けていく。雨宮の隣でパソコンと向き合っているのはスモーキー巻(fa3211)、今回の撮影の音楽を担当している男性だ。作曲してきた曲はココアのCMに相応しい甘く、スローテンポな曲に仕上げられていた。
「‥ここは、こっちの方がいいかな‥」
納得いかない箇所があるのかスモーキーは資料を確認し、視聴をしながら微調整を繰り返していた。
「これ、片付けていいんでしょ?」
中松が因幡が着ていた衣装を持ちながら有珠に問いかける。
「あ、言うの忘れてたね。ごめんごめん」
有珠が誤りながら言うと「いいわよ」と困ったような笑みで中松は返事を返した。
「アンリちゃん、手伝ってくれるかしら?」
「分かりました」
中松の荷物を半分持ちながらアンリが後をついていく。
「それにしても‥作り終わってなかったんですか?」
雨宮が作業を続けながらスモーキーに話しかける。すると「いや」と短い返事が返ってきた。
「映画で使う曲の仕上げをしているところなんだ。音なしというのも寂しいモンだろう?そっちこそ作業の進み具合はどう?」
「はい、何とか順調ですよ。今回は絵コンテを頂きましたから、さほど難しいものでもないんですよ」
雨宮がにこりと笑って答える。すると因幡が隣に立ってきて「何かお手伝いできませんか?」と言ってきた。
「キミもモデルで疲れてるだろう?休んでていいよ?」
スモーキーが言うと、因幡は首を横に振り「大丈夫です」と答えた。
「じゃあ、そこの机の資料を纏めてくれるかな?結構散らばっちゃったから」
スモーキーが指差すそこは、確かに資料などが酷く散らかっていた。因幡はくすくすと笑いながら「分かりました」と答え、片付けを始めた。
「これはここでいいですか?」
アンリが衣装を机に置きながら中松に問いかける。
「あぁ、ごめんね。ありがとう。重かったでしょ?」
中松が問いかけると「いいえ、体力はある方ですから」と答えた。
「仕事、大変ですね」
アンリがポツリと呟き、中松はきょとんとした表情でアンリを見た。
「大変‥そう言えばそうなのかもしれないわね。どの仕事にも当てはまるけどずっとセンスや技術を磨き続けなきゃならない。でも楽しいから続いているのよね」
クス、と笑う中松に苦労も見えたが、それ以上に仕事をしてて楽しいという事の方が大きく見受けられた。
「アンリちゃんは、この裏方業界をどう思う?ほら、これって学生が見る映画じゃない、何か伝えたい事とかー‥」
私は‥と作業をする手を止めながら小さく呟く。
「自分が何に向いているか探すのもいいけれど、私のように先に動き出して現場でそれを見つけるのも一つの道だと思います。出来る出来ないじゃなくて、やりたい気持ちが大切だと‥」
アンリがポツリと呟く言葉に中松は「そう、ね」と穏やかな笑みを浮かべながら相槌を打った。
衣装をきちんと綺麗にした後、アンリに手渡す。
「これを借りた店に返しに行ってくれる?」
「分かりました」
アンリは来た時と同じように大きな袋を抱え、スタジオを出て行く。
そこで「カット」という言葉がスタジオに響き渡った。どうやら『仕事内容を撮影する映画』を撮り終えたらしい。
「うーわー、完成映像は絶対に見たくないよ」
有珠が笑いながら言うと、何人かのメンバーもそれに賛同する。普段はスタッフという裏方存在から表舞台に出る事の少ない彼らにとっては、恥ずかしいという気持ちの方が勝るのだろう。
「さて、俺も帰って今回のメモを記事に起こさなくちゃな」
持っていたペンとメモをバッグに直しながら高遠が言う。ポスター撮影、映画撮影は終わったが、これからメモを読者が読みやすいように書き直し、それを出版社に提出する。高遠は今からが本番の仕事になるのだ。
『さて、これにて映画は終了です。最後に今回の撮影に協力してくださった方々を紹介したいと思います』
※有珠・円(35歳)‥カメラマン
※中松・百合子(34歳)‥スタイリスト
※スモーキー巻(27歳)‥音楽プロデューサー
※雨宮・慶(15歳)‥クリエイター
※高遠・聖(28歳)‥カメラマン
※因幡・眠兎(23歳)‥マルチタレント
※アンリ・ユヴァ(16歳)‥裏方
この映画が進路で悩む貴方の手助けとなる事をスタッフ一同願っております。
―終劇―