突撃!学校の怪談アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/09〜06/11

●本文

『今回の舞台は夜の学校!夜の住人が貴方達を襲う!?』

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「今回は学校‥ベタねぇ‥」

女優・ユリアナはため息混じりに呟いた。

今回は「突撃!」の第二回目の撮影で、舞台は夜の学校となっている。

「それで私は今回も仕掛け人なのよね‥?バレなきゃいいけど‥」

前回も仕掛け人、今回も‥となれば薄々と感じる芸能人もいるのではないだろうか‥とユリアナは小さく呟いた。

「そこは、ホラ‥キミは女優なんだから何とかしてよ」

無理矢理なプロデューサーの言葉に「‥あんまりだわ」とユリアナはガクリと肩を落とした。

「さて、今回の被害者達はこの人達なのね‥」

ユリアナは出演者リストを見て「どうしようかしら」と呟いた。


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●募集事項
◎「突撃!学校の怪談」はコメディ番組です。
◎此方は実際に、夜の学校に入って肝試しをする「出演者」の方達を募集しています。
◎NPC「ユリアナ・マクレイン」は出演者を誘導する「仕掛け人」として参加します。
※ユリアナの他にも1人〜2人は同じ仕掛け人を出して欲しいです。
◎何か質問がありましたらユリアナに聞いてやってください。
(その際は別スレッドをたてていただけるとありがたいです)

それと突撃!は裏方と出演者、両方の話がリンクしています。


それでは、肝試しを楽しんでくださいませ!!

●今回の参加者

 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2640 角倉・雨神名(15歳・♀・一角獣)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3306 武越ゆか(16歳・♀・兎)
 fa3411 渡会 飛鳥(17歳・♀・兎)
 fa3846 Rickey(20歳・♂・犬)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa5556 (21歳・♀・犬)

●リプレイ本文

 ユリアナ・マクレイン(fz1039)がメンバーを見ながら「じゃあ、出発しましょ」と呟き古びた学校の中へと入っていった。
 そして他のメンバーが入るのを見て、渡会 飛鳥(fa3411)とRickey(fa3846)に「仕掛け人として頑張りましょうね」と皆に聞こえない程の小さな声で呟いた。


「見かけもボロイけど、中も本当にボロなんだな‥」
 歩くたびにぎしぎしと軋む廊下にブリッツ・アスカ(fa2321)が呟く。
「だ、大丈夫よ」
 予防は持って来ているもの、と両手にお守りを持つのは武越ゆか(fa3306)だった。
 しかし―‥。
「‥こういう事言っちゃ悪いのかもしれないが―‥『必勝!』と『交通安全』のお守りじゃ役にたたないと思うぞ‥?」
 ブリッツの言葉に「え!?」とゆかはお守りを見てがっくりと肩を落とす。
「大丈夫だって、幽霊なんていやしないんだから――‥って思いたいけど!無理無理無理!怖い!怖いよ!夜の学校!」
 そう叫ぶのは賢い子を演じたかったけれど、やっぱり無理だった虹(fa5556)。
「虹さんも怖いもの好きだけど、怖がりなんですね」
 慌てふためく虹に話しかけるのは、何故か巫女さんルックで現れた角倉・雨神名(fa2640)だった。
「そう!怖いけど怖いものが気になる!」
 分かります!と叫び、ひしっと抱き合う二人に「‥そろそろ進みたいのだけどいいかしら?」と苦笑しながらユリアナが呟く。
「あら、校内放送を知らせる音ですね」
 ぴんぽんぱんぽん〜♪とスピーカーから音が響く。夜の学校に校内放送なんてありえない、そう思った出演者はゾクリと鳥肌がたつのを感じた。
「‥何も言わないね、何だったんだろ―‥そういえば日本の学校って恐ろしい七不思議があるらしいね、この学校にもあるって聞いていたんだけど―‥」
 リッキーが呟いた瞬間、スピーカーからザザザ‥とノイズ音が響き始める。

 下校の時刻になりました。
 まだ校舎内に残っている人は、すぐに下校してください。
 帰りは寄り道せずに、真っ直ぐ家に帰りましょう。


「‥じ、自動で鳴る設定だよね―‥きっと」
 夜の校内に?と誰もが心の中で呟くが、それを口にする者は誰一人としていなかった。そして、次に進もうと足を動かした時に再びスピーカーからノイズ音が響く。

 そういないと‥‥お家に帰れなくなっちゃうよ―――‥僕みたいに。

 その言葉を最後にスピーカーはブツンと切れ、再び夜のシンとした静寂が出演者達を包む。
「‥う」
 う?とブリッツが虹の方を振り向きながら呟くと――‥。
「うわあぁぁぁぁぁっ!何!今の何!?」
 先ほど以上に慌てながら虹が叫ぶ。
「この学校は元々墓地だったそうです、きっと戦死者の声です‥でも大丈夫!うかながお払いします!」
 お払い棒を振り回しながら雨神名が「悪霊退散〜!」と叫ぶ。
「おーい、さっさと来ないと置いてくぞ〜」
 二人を残して他のメンバーは少し離れた場所に立っている。
「「ま、待って〜〜!置いてかないで〜〜!」」
 虹と雨神名は情けない声を出しながら先を進むメンバーを追いかける。しかし最後を歩いていたリッキーにドンとぶつかり、虹は鼻を打つ。
「っと‥急に止まんないでよ」
 鼻を擦りながら「どうしたの?」と問いかける。
「そろそろ何か来るとは思ってたけど―‥な」
 ブリッツも渇いた笑いを零しながら呟く。
「どうしたん―‥きゃあああっ」
 雨神名が前を覗きこみ、そして悲鳴をあげる。何故なら―‥黒く長い髪を前にたらして、白目の部分も真っ黒な少年だった。
「まだ帰ってなかったの‥‥?言ったよね?お家に帰れなくなっちゃうよって――――僕みたいに、さ」
 にぃ、と不気味な笑みを浮かべて裸足で此方へと歩いてくる。
「逃げなきゃ!」
 リッキーが叫び、皆に逃げるように促す。混乱状態に陥った皆はそれぞれ悲鳴をあげながら来た方向へと逃げていく。
「うわーん、うかながお払いを〜‥」
 そう泣き叫びながらお払い棒を振る雨神名に「逃げなきゃ駄目よ!」と飛鳥が腕を引っ張って一緒に逃げる。
「近所の子供なのかな、きっと、そうよ、こんな時間に出歩いちゃ駄目だよ〜〜〜っ」
 飛鳥が叫ぶが、話すべき少年から必死に逃げている今では、飛鳥の声は届かない――筈だったが。
「こ、こっちにもいる!」
 リッキーが走る足を止め、此方を向き直る。
「あっちにもいるんだろ?とりあえず廊下から離れた方が良くないか?」
 皆が騒ぎ立てる中、ブリッツだけは冷静だった。
「そ、そうね、とりあえず二階の教室にでも隠れましょう」
 飛鳥の言葉にメンバーは二階へと行き、何処か隠れやすそうな教室を探す。
「あ、ここ理科室だ‥中には人体模型も置いてある」
 懐かしいな、と虹が呟く。恐怖から逃げ切った為か至って冷静に呟く。
「定番としては、あの人体模型が動き出したり〜なんてね☆」
 ゆかが「まさかね〜」と言いながら笑う――しかし、その瞬間にガタと理科室の中から物音がした。
「‥つかぬ事をお伺いしますが今のはもしや‥」
 過ぎ去った恐怖が舞い戻って混乱している虹の口調が少しおかしい。そして視線だけを理科室に向けると‥人体模型がドアを開けようとしている姿が視界に入ってきた。
「ぎゃー!動いた!」
 サッとブリッツの背後に隠れながら叫ぶダルメシアン。
「おお、今どきの人体模型はドアを自分で開けるんだな」
「感心してないで頑張れ!ファイッ☆おーっ!」
 ブリッツを盾にしながらゆかも人体模型から隠れる。
「しかしなぁ‥どうしろって‥」
 べしょっとブリッツの頭に何かがぶつかる。何だ?とそれを手に取ると――。
「うわわっ!何だこれ!」
 べし、と床に叩きつけたのは蠢く―‥内臓だった。驚くブリッツに人体模型は次々に色々な内臓を投げてくる。
「きゃーっ、内臓、小腸、胃が飛んできます〜!」
 何故かぴったりと臓器を当てる雨神名、ある意味一番怖いのかもしれない。メンバーは全速力で近くの教室に飛び込む、人体模型は鈍い動きでメンバーを探しているのか、廊下ではがたがたと音が絶えない。
「うわーん‥皆成仏してください〜‥」
「流石に必勝と交通安全じゃ身を守ってくれない‥」
 しかし、メンバーに安息の時間はない、がたん!と窓を打ち付ける音がして其方に目を向けると‥。
「うわぁ!窓に手形が‥ここ二階なのに!」
 リッキーが驚きながら窓を指差し、叫ぶ。
「もう嫌ぁっ!」
 飛鳥が半べそで教室から出ようとドアに手をかける。
「開かない‥」
 何で!?と飛鳥は何度もドアを開けようとするが、ガタガタと空しく音が響くのみだった。半分以上パニックを起こしている飛鳥に「退いて」とリッキーがドアに手をかける。
「あれ‥開くよ?」
 飛鳥の時は開かなかったドアがリッキーに代わった途端に簡単に開いた。
「‥そういえば‥ここにいると初主演の映画を思い出すわ‥此処みたいに古い小学校に入って肝試しをして‥出られなくなっちゃうの」
 当時を思い出してか飛鳥の体が震えている。
「ドアも開いたし、移動しましょうか」
 ユリアナが呟き、メンバーは音楽室へ向かう為に一階へと降りる。しかし踊り場の大きな鏡を見てゆかが「ひっ」と短い悲鳴をあげた。何故なら、鏡の中に血まみれの少女の姿が映っていたからだ。
「は、早く音楽室に――」
 飛鳥が震えながら呟き、メンバーは音楽室へと向かった。
「とりあえず、此処に6つ目の不思議があるんだよね」
 リッキーが呟き、音楽室の中を色々と見回った。
「な―‥何か聞こえませんか?」
 飛鳥がポツリと呟き、メンバーは声を潜める。
「この曲―‥エリーゼのために‥じゃない?」
 ゆかが耳を澄ませながら話す。
「‥なぁ、アレ。勝手に演奏してないか?」
 ブリッツが指差したのは入り口付近に置いてあるピアノだった。鍵盤を見れば確かに一人で演奏しているように見える。そして天井から滴る赤い血―‥。
「わっ――‥楽聖の目が――」
 ゆかが音楽室に飾られた楽聖の絵を見て驚きの声をあげる。暗闇に光る白と赤の瞳、その中でもベートーベンの赤い瞳は一層恐怖をかきたてた。
「‥これで6つ―‥七つ目は一体‥」
「これから私が7つ目を話すわね―――‥」
 ユリアナが呟くと同時に頭から血を流して、その場に倒れた。
「きゃあああっ!」
 叫んだのはゆか、流石に目の前で血を流して倒れた事に驚いたのだろう。
「‥‥ユリアナ姉様?」
 倒れたユリアナに飛鳥が直に駆け寄る。
「ユリ!?まさか7つ目の不思議を知ったせいでこんな事に――?」
 リッキーが震えながら呟く。
「ぐす‥呪いが此処まで強力だったなんて‥うかながお払いを‥‥きゅう」
 雨神名は恐怖が限界まで来ていたのだろう、ばたんと倒れてしまった。
「おい、直に病院に――」

 ぱあーんっ!

 ブリッツが叫ぶと同時にリッキーが隠し持っていたクラッカーを取り出して鳴らした。
「え‥?」
「こういう時は言うべきなのかな――大成功!って」
 笑いを堪えながら言うリッキーに飛鳥もクスクスと笑っている。それでもキョトンとしているメンバーに「実は‥どっきり?」とリッキーが呟く。
「ま、マジ!?はー‥もー、本気で怖かった!」
 安心したのか虹は大爆笑で答えた。一人納得いかない顔をしていたのはブリッツだった。
「どうしたの?」
「や、これがどっきりなら、さっきから度々顔を見せている女の子は誰なんだ?窓の外を歩いてた女の子」


 ブリッツの言葉で、再び撮影所は悲鳴があがったとか――。


END