夢幻界廊 HIGEアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 易しい
報酬 6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/11〜06/14

●本文

「全ては占いと‥HIGEが決める!?」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「は‥?」

夢猫にて夢喰い達が集まり、本家からの使者が持ってきた連絡を聞かされていた。

「だーかーらー、強力な能力を持つ夢魔が現れたって言ってるんだよ」

それも二人、使者・充はため息混じりに呟いた。

「強力な能力って何ですか?」

「能力‥‥それは占いだよ」

充の言葉に夢喰い達は盛大に笑いだし「大した事なさそうじゃない」と口々に言う。

「占いとは言っても、詐欺だよ。自分が占った内容‥つまりは口にした事が全て現実のものになってしまうんだ」

「は‥?」

「貴方は一分後に水難事故にあう、そういわれたら本当に水難事故にあうんだ」

何て厄介なんだ、一人の夢喰いが呟く。

「貴方は死ぬ、貴方の後ろに霊がいる‥とかはできないみたいだけどね」

充は調べた内容を纏めた紙を見ながら言う。

「その二人を早急に捕縛・もしくは殺す、それが本家かた与えられた事だよ、今回は僕も同行するから」

現れた二人の夢魔。

占い(詐欺)の能力を持つ厄介な夢魔だった。

夢喰い諸君、どうやって彼らに対処する―‥?

「あ、ちょい待ち。一つ言い忘れ!能力を一個言い忘れていたよ、もう一つの能力‥‥HIGEらしい。こっちは調査不能だそうだ」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
●募集事項
◎映画「夢幻界廊」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回の話に必要な役柄は以下の通りです。
 ・夢喰い(必須/何名でも可)
 ・夢魔(必須/何名でも可)
 ・占いとHIGEの能力を持つ夢魔(必須/二人)
※必須配役は上記三つになります。このほかにも何か適役がありましたら、そちらを演じていただいても結構です。

◎夢喰いには『属性』と『属性系統に技』が一つあります。それらは参加された皆様が決める事ができるのですが『技』は必ず属性系統のものにしてください。
◎夢喰いには表の顔があります。夢喰いと言えど特殊な能力を持った『普通の人間』と変わりありません。生活をしていくのに仕事をしたり、学生だったら学校に通っていたりとしています。
◎逆に夢魔は人の生気をさえあれば生きていけるので、表の顔を持つ夢魔はほとんど存在しません。


●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa1420 神楽坂 紫翠(25歳・♂・鴉)
 fa4031 ユフィア・ドール(16歳・♀・犬)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)
 fa4287 帯刀橘(8歳・♂・蝙蝠)
 fa4961 真紅櫻(16歳・♀・猫)
 fa5625 雫紅石(21歳・♂・ハムスター)
 fa5810 芳稀(18歳・♀・猫)

●リプレイ本文

「困ったわぁ‥」
 夢魔・ケイ子(雫紅石(fa5625))はため息混じりに呟いた。
「どうしたんだ?」
 ケイ子に問いかけるのは同じ夢魔・黒杜(かいる(fa0126))だった。
「夢魔王様に喜んでもらう為に一人でも多くの夢喰いを不幸にしたいんだけど―――‥夢喰いってイイ男が多いじゃない?」
 どうしましょう、真面目に話しているつもりなのだろうが話の内容を聞く限り、とても真面目には聞けない。
「王、失礼するぞ」
 二人がしんみり(?)している時に王の間に入ってきたのは紫雲(神楽坂 紫翠(fa1420))だった。
「ちょっと姉さんを探しててな、話が―――」
 そう呟き、紫雲がケイ子と黒杜に視線を移した瞬間、彼の表情が変わった。
「あら♪紫雲ちゃんじゃない、今日もイイ男ねぇ」
「な、何でお前が此処に!ち、近づくな、鳥肌が立つ、それにお前に関わるとロクでもない事が‥」
 そう言いながら彼はじりじりと後ずさりを始めた。
「あら、逃げなくてもイイじゃない、少しくらいお話しましょうよ♪」
 ケイ子が紫雲に飛び掛ろうとした時「何しとんじゃああっ!」とアリス(真紅櫻(fa4961))から蹴りが入る。
「い・痛〜〜い!何するのよ!」
 ストン、と軽やかに着地しながら「ケイ子先生こそ、義兄様に何してるんだ!」とビシッと指差しながら叫ぶ。
「あら、私は悪くないわよ?イイ男な紫雲ちゃんがいけないんだから♪」
 そういう問題じゃなかろう、誰もが心の中で呟いたが『仕返し』が怖い為、言葉として発する事はなかった。
「それにしても、アリス、少しは大きくなったか?」
 どれどれ、と言いながら黒杜はアリスの頭をわしゃわしゃとする。
「放せよっ――義兄様‥っていない!?」
 アリスが叫ぶと「人間界へ逃げてったぞ」と黒杜が短く言う。そしてケイ子の悔しそうな奇声だけが夢幻壊廊内に響いていた。


「此処が夢猫‥」
 夢猫の前で立ち止まる女性は宝生(芳稀(fa5810))だった。
「何してるの?早く中に入れば?」
 夢喰いでしょ?と問いかけるのは柚香(ユフィア・ドール(fa4031))だった。
「貴方も今回の夢魔の件で捜査に狩りだされたクチでしょ、夢喰いって大変よね〜‥」
「そうね‥‥今回は宜しく」
 無愛想な人、柚香は心の中で呟くが、実際はそうではなかった。
(「自己紹介がどうして上手くいえないの〜!?」)
 無表情に見えるが、心の中では頭を抱えて叫んでいる。簡単に言えば宝生は不器用な人間なのだ。
 店内に入ると浩人(帯刀橘(fa4287))と煉(ウィルフレッド(fa4286))の二人がジュースを飲みながら待っていた。
「とりあえず、聞いたとは思うけど厄介な夢魔がいるから全力で探すわよ」
 柚香の言葉に宝生・浩人・煉は首を縦に振り、外へと出て行く。


「でも、外見とかわからないんじゃ探しようがないですね」
 煉の呟きに浩人も「そうだよね‥」と唸るように答えた。
「夢喰いなら気配で夢魔の場所や能力を探れるわ、その辺は経験するしかないとしかいいようがないわね」
 柚香は苦笑混じりに呟き――‥それと同時に感じた気配に表情を強張らせた。
「な‥何て事なの!?」
 甲高い声と共に現れたのはケイ子先生と黒杜の二人だった。
「紫雲ちゃんを探しに来て、夢喰いに遭遇したまではいいわ‥でも!何でイイ男がいないのよぉっ!」
「そんな事を俺に聞かれてもな」
 黒杜がため息混じりに呟き「こうなったら八つ当たりよ!」とケイ子が叫び、能力・占いを使用する。
「アンタ達は」
「男に振られる」
 ケイ子と黒杜が呟いた言葉に夢喰い達は首を傾げる――しかし。
 ピピピ
「あ、メールだわ」
 柚香が携帯電話を取り出し、メール画面を開いてみると――。

 キミとは付き合えない、ごめん

 ‥と短い文章が表示されていた。送ってきた男性は柚香が片思いしている相手だった。
「‥ちょっと待て、私は告白なんかしてないわよ?何でフラれるわけ?‥何か、ムカつく」
 今にも携帯電話を壊してしまいそうなほど強く握り締める柚香に「お、落ち着いて」と宝生が話しかける。
「そういう貴方は何も影響ないの?」
 柚香の問いに宝生は挙手しながら「‥私、恋人も好きな人もいない」と寂しそうに呟いた。浩人と煉も相手がいないのか影響はないようだ。
「効果は私だけって事ね、ふふふ‥上等じゃない、生きてきた事を後悔するくらいにギタギタにしてやるわよ」
 柚香は弓を構え、二人に向けて放つ。怒っているという事も影響しているのか矢の早さは今まで以上だ。
「友達に」
「嫌われる」
 再び二人が占いという名の詐欺言葉を呟き、柚香が矢を放とうとするが宝生によってそれは遮られる。
「ちょ‥」
「‥‥嫌わないで‥?」
 ワタシトアナタハ、トモダチダッタンデスカ――!?
 柚香の心の中の叫びは傍目の浩人と煉にも読み取れた。
「そっちの坊や達にはどんな占いをしてあげましょうか?」
 クスクスと笑いながらケイ子が言うと「いらないよ」と浩人が短く答える。
「建前だけど未来は自分の力で切り開くものだしね」
 ふっと笑いながら答えると、ケイ子が怒ったように「生意気ね」と呟き、鋭い爪で浩人の頬を切り裂く。それに対して怒ったのは煉だった。
「よくも弟を傷つけたな〜!手足ちぎってバラバラにしてやる!」
 そう言って煉は能力・動を使用する。浩人と煉、二人に夢喰いとしての実績こそないが、能力は二人で遊び半分に使用していたこともあり、そこそこ扱う事ができる。
「私だって結構怒っているのよ!おかげで新しい恋を探さなくちゃいけないじゃない!」
 叫びながら柚香も矢を放つ。
「私だって、友人をなくしました!」
 貴方の場合、出来ていないんだから失う事もないでしょう、柚香は心の中で呟くが、ため息だけを口から吐き出した。
 宝生は斬の能力で、場を結界化して両手刀でケイ子に攻撃を仕掛ける。それにあわせるように浩人・煉、柚香は黒杜に攻撃を仕掛ける。
「人で遊ぶようなマネするからこうなるのよ!」
 柚香の言葉にケイ子は「ふ、ふふ‥」と笑い始める。
「私、もう一つ能力があるのよね――使いたくはなかったけど―――」
 そう言ってケイ子と黒杜は能力『HIGE』を発動し、その場に倒れて意識を失った。
「あちゃ〜‥ケイ子先生を倒しちゃったか」
 ご愁傷様と言いながら現れたのはアリスだった。
「ご愁傷様ってどういう意味?」
 煉が問いかけると「ぷっ」とアリスから笑みがこぼれ、無言で鏡を差し出された。
「‥!?」
 鏡で見た自分の顔に声も出ないほど驚いて、超びっくりポーズで固まる宝生と‥。
「いやあああああっ!これは一体何なのよぉっ!」
 柚香の悲痛な悲鳴があがる、それも無理はない。何故なら――‥みょいーんと動物の髭が生えているからだ。
「え〜と‥夢喰い達‥とりあえず、それは時間が経てば消えると思うから、多分――その、強く生きてくれよ?」
 アリスが哀れみを込めながら呟くと、空間を裂いて紫雲が現れた。
「おーい‥生きてるか?かろうじて生きてるな」
 仕方ないな、そう呟いて黒杜とケイ子を担いで「帰るぞ」とアリスに向けて呟く。
「あれ、助けるんだ?嫌いじゃなかったっけ?」
「一応仲間だからな、これは貸しにしとくぞ」
 紫雲の呟きに「‥紫雲ちゃんに抱きかかえられるなんて」と感激しているケイ子の姿があった。
「‥元気あるようだから自分で歩くか?」
「いやん、つれない事言わないで〜、今回は夢喰いにイイ男いなかったんだから!」
 ぎゅうーっと首を締めそうな勢いでケイ子が抱きつく。

 しかし、夢喰い達は夢魔の漫才を見る余裕もない、自分に生えた髭をどうするか、その考えでいっぱいなのだ。
「男には(一方的に)フラれるわ、髭は生えるわ‥こんな依頼をしてきた本家をうらむわよ‥」
 夢魔達は夢喰い達の悲鳴を聞きながら、夢幻壊廊へと帰還していったのだった‥。


 補足:夢喰い達の髭が消えたのは、二週間後の事だったとか―‥。


END