動物使い 捌アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
水貴透子
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
2.5万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
06/17〜06/20
|
●本文
『全てを終わらせる、それは全ての再生という意味でもある』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「未だ眠り続けているのか‥」
統括府に龍の救出に向かった際、炯都は記憶を取り戻してしまったのか、気を失い、それから昏々と眠り続けている。
「ねぇ‥それよりも統括府に従属する気はないって言葉は本当なの?」
白坏がジュースを飲みながら小さく呟く。
「‥あぁ、さっきの話か――」
ダエグに到着してすぐ、白坏は妙な事を聞いてきた。
『本当に統括府を裏切るつもりですか――?』
「お前だって、そのつもりで此処へ来たんだろう?」
「裏切る、僕が――?僕は統括府を信じている、両親を失った僕が信じられるものが統括府だけだったのだから―‥」
そう呟くと白坏は携帯電話を取り出し、誰かと話を始めた。
「白坏です、えぇ‥炯都・翡焔の両名は統括府に従属する気はないようです」
「‥‥?」
ぴ、と電話を切った後に「もうすぐ此処に統括府の刺客がやってくる、サヨナラだね」
残酷な笑みを浮かべたまま白坏は言葉を続ける。
「今の貴方は動物使いも昏睡状態で、ツカワレとして役に立たない――‥逃げ切れるはずがないよね、統括府に逆らう者なんて―‥存在する価値ナシなんだよ」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
●募集事項
◎映画「動物使い」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回の話に必要な配役は以下の通りです。
OPに登場している『炯都』『翡焔』『白坏』の三人
白の動物使い&黒の動物使いは今回は必須配役ではありません。
※参加者の都合でツカワレと白の動物使いと二人一組にできない場合もあると思います。
ですので、今回からは『二人一組』でなくてもOKです。
ですが、相棒がNPCになると劇中の描写は出演者メインの視点になりますので、ご了承ください。
●動物使いの設定など
◎白の動物使いにはパートナーとなる『ツカワレ』が存在します。
◎『ツカワレ』を演じられる方は自分の戦闘形態になる動物をお書きください。動物の種類はPCの獣人の動物以外でも構いません。
例)羊、山羊などBNOで存在しない獣人でも構いません。
◎白の動物使いとツカワレには絆が存在します。絆が深ければ深いほどツカワレの能力も上がります。
◎白の動物使いは限りなく人に近い存在ですが、人ではありません。
◎ツカワレは普段、人の姿をしていますが限りなく獣に近い存在です。
◎必ず白の動物使いとツカワレは二人一組にしてください。
◎それとツカワレは動物となってますが、別に虫だろうが魚だろうが構いません。
◎ツカワレの方はパートナーと繰り出す必殺技を考えていてください。
例)ツカワレがサンマだった場合→自身を焦がしていい匂いをさせて敵の動きを止める‥など極端な話、こういうのでも構いません。
ですが、必ず描写されるという訳ではありませんので、その辺はご了承下さい。
◎それとツカワレの戦闘時についてなんですが外見は半獣化と思ってください。
(流石に完全に動物になってしまうとお笑いになってしまいそうな気がするので)
◎動物使いとツカワレの絆が最高潮になった時に『超必殺技』が使用可能となります。
◎ツカワレには動物使いは必須ですが、動物使いにツカワレは必須ではありません。
契約を済ませていない動物使い、まだ覚醒していない動物使いなどがいますので。
◎黒の動物使いですが、魔と契約した場合、契約した魔が何らかの理由で消失しない限りは契約は続行になり、次の魔と契約できません。
※ですが、イザナギは黒の動物使いの中で一番強い能力の持ち主で、彼の場合は複数の魔を使役する事が可能です。
複数の魔を使役できる能力ゆえに、彼は黒の中で最強となっています。
※イザナミはイザナギが人工的に作り出した魔です。それ故にイザナギ以外と契約を結ぶことが出来ません。
◎動物使いにも特殊能力はあります、ですがほとんどがツカワレの戦力を上げる能力になります。
◎黒の動物使いが魔を製作する時に必要なのは、己の魔力が満タン状態なのと、魔を生み出す赤い月が出ている事の二つのみです。
※プレイングの書き方※
例)動物使い
配役:白の動物使い
役名:水貴
一人称:私
二人称:〜さん
口調:です、ます、でしょうか?
対となるツカワレ:太郎
(出来れば台詞例も書いておいてほしいです)
例)ツカワレ
配役:ツカワレ
役名:太郎
一人称:俺
二人称:お前
口調:〜だ、〜じゃねぇ?
対となる動物つかい:水貴
(出来れば台詞例も書いておいて欲しいです)
‥‥と上記のようになりますが、あくまで例ですので皆様の書きやすい書き方でOKです。
●リプレイ本文
「炯都(橘・朔耶(fa0467))は‥まだ眠り続けるか‥」
翡焔(ヴォルフェ(fa0612))はため息混じりに呟き、昏々と眠り続ける炯都の顔を見ていた。
「‥炯都?」
突然、炯都の指がピクリと動き、慌てて翡焔が近づくと、襟を捕まれて引き寄せられた。「気ぃつけや‥あの小僧の陰謀詭計‥」
「炯‥いや――‥羅喉‥?」
炯都は三人で一つの肉体を共有するという特異な体質だった。多重人格の類ではなく、それぞれが異なる存在なのだ。
「‥小僧‥白坏(星辰(fa3578))の事か‥っ」
羅喉が眠りにつき、炯都は再び昏睡状態に陥る。ヤバイ、そう直感で感じた翡焔は炯都を家の一室にある隠し部屋に横たわらせた。
「絶対に死なせやしない――‥」
翡焔は呟くと、隠し部屋の入り口を閉ざし店の方へと降りていった。
「白坏‥」
「翡焔さん、白の動物使いは何の為に存在すると思う?」
突然の言葉に「‥何を言っている?」と言葉を返した。
「白の動物使いは――統括府に従う為に存在して、統括府の為に死んでいくモノなんだよ、それに疑問を持った貴方達は―――異端だ」
さよなら、白坏が呟くと同時に統括府が送りつけて来たであろう刺客・鴉(ベイル・アスト(fa5757))とそのツカワレ・拓磨(タケシ本郷(fa1790))がダエグの扉を壊して入ってきた。
「なっ――‥」
「ほぅ、たかが数人の抹殺の為に私達が赴く事になるとはな‥拓磨、此処に存在全てを破壊し‥抹殺しろ」
鴉が呟くと「行くぞ、俺の筋肉が唸って光るぜ!」と拓磨が叫び、翡焔に向かって突進をしてきた。
「翡焔!」
一階での騒ぎを聞きつけてやってきたのは、双牙(ガン=ブラッド(fa5756))だった。彼は状況だけで事態を把握し、鴉達に向けて破壊光線を吐き出した。
「何故分からない?統括府だけが黒に対抗できる唯一の存在なんだ!」
白坏は嘲笑うように笑う。其れに対して「違う!」と叫んだのは翡焔だった。
「統括府は自分達が世界を掴みたいだけだ、統括府さえなければ事態は此処まで悪くなっていなかったのかもしれないんだ!」
翡焔の言葉に白坏は表情を険しくし「‥お前のご主人様がどうなってもいいんだな?」と小さく呟いた。
「気づいていないと思ったか、隠し部屋の存在など最初から分かっていたよ」
そう言って白坏は炯都が眠る隠し部屋へと向かって走り出した。
「待て!」
翡焔が白坏を追いかけようとすると「何処へ行く気だ?」と拓磨が行く手を遮る。
「退け!」
翡焔は叫び、拓磨を蹴りつける。それでも拓磨は翡焔の行く手を遮ろうとしたが双牙が拓磨に殴りかかり「此処は任せていけ!」と先へ行くように促した。
「お前の相手はこの俺だ」
挑発するように双牙が呟くと「ならば本気で行くぜ」と拓磨も不敵に笑う。
「鴉、あの技を使っても構わないよな?」
「アレを使うのか?私は構わないがな」
鴉が答えた次の瞬間、拓磨は必殺技・ハンマーストライクを双牙に向けて発動した。
「なっ―――」
「この技で滅する事を光栄と思うがいい」
「やれやれ、白側は大変そうだな」
あまり興味のなさそうな物言いで翠嵐(レイス・アゲート(fa4728))はため息混じりに呟いた。
「まぁ‥黒側に被害がなければ別に構わないんだけどな」
それより、と翠嵐は氷煉(ユフィア・ドール(fa4031))に視線を向ける。その隣に立っているのはレイと龍、目を覚ました龍とレイは契約を結び――最強の動物使いとツカワレが誕生した。
「ナギから統括府を壊して来いって言われたんですけど‥手伝ってもらえませんか?」
氷煉の言葉に「‥マジかよ」と面倒そうに答えた。
「壊せねぇ‥色々と思い出がある場所だろ?やるなら思いっきりやるが‥いいのか?」
翠嵐の言葉に「構わないよ」とイザナギは短く答えた。
「後で文句を言うなよ」
それだけ言い残して翠嵐・氷煉・レイ・龍は統括府へと向かいだした。
「白坏っ!」
隠し部屋へと入り、炯都の喉にナイフをあてがう白坏に翡焔は動きを止めた。
「それ以上近づくな、ご主人様が大事なんだろう?」
ククク、と冷たい笑みを浮かべながら呟く白坏に「お前に人が殺せるのか?」と嘲笑うように呟く。
「子供だからと言って甘く見るな!」
翡焔の挑発は逆効果となり、白坏は冷たい切っ先を炯都の胸へと沈めた。
「炯都――――っ!!」
それと同時に炯都から発する物凄い気が白坏を壁へと叩きつける。
「愚人が!我らは滅びを司る者‥身を持って思い知れ!」
そう叫び、炯都――いや、三人目の九耀は翡焔に襲い掛かってきた。
「炯都っ!」
炯都の名を叫ぶ翡焔に「馬鹿め、炯都は死んだ」と言い残して店の方へと走り出した。
「ま‥て――」
横を通る際に鳩尾を殴られ、翡焔はその場に崩れ落ちた。
「炯都‥?」
双牙が突然現れた九耀に話しかける、しかし以前の彼女と雰囲気が全く変わっていて戸惑いを隠せなかった。
「炯都と翡焔‥お前達とは一度交えてみたいと思っていた、お前等なら私を‥」
しかしツカワレの翡焔が見当たらない為「相棒はどうした」と鴉が言いかけるが、それは九耀に殴られ、言葉として口から出る事はなかった。
「鴉!」
拓磨が駆け寄るが「煩い蠅どもめ、死するがいい」と九耀の能力でダエグが爆発した。
「漸く終れる‥」
爆発で死す瞬間、鴉は穏やかな笑みを浮かべて目を伏せた。そして拓磨も主人である鴉の意図を読み取ったのか敢えて逃げる事はせずに鴉と共に死出の道へと赴いた。
「どういう事‥」
統括府を始末している最中の氷煉が震える声で呟く。確かに統括府は破壊した、要人達も龍とレイによって始末された―‥しかしその時に異変に気がついたのだ。
「これは‥人形使いの傀儡です‥」
そう‥白の要人達は全て人形使いによって『傀儡』とされていたのだ。
「何故、人形使いが動くの‥?翠嵐、兄の所へ行っても構わないでしょうか?」
「兄――?」
「ダエグの翡焔です」
氷煉の言葉に翠嵐は驚きを隠せないまま、しかし事態が最悪なのだと悟り「構わない」と答え、氷煉と翠嵐の二人でダエグへと向かう事にした。
「これは‥一体何なの‥何があったのですか!」
ダエグに到着した二人が目にしたものは―‥破壊された店、原型を留めていない周辺だった。こんな事になっているなんて夢にも思っていなかった二人は言葉が出ずに呆然とするのみだった。
双牙のおかげで難を逃れ、爆発に巻き込まれずにすんだのだろう。
「もう‥どうにもならないよ‥あいつが阿修羅の武器に戻ってしまった以上‥」
もうどうでもいいんだ、そう呟く翡焔の姿はかつて見た事がないほどに弱っていた、もちろん体のダメージもあるだろうが‥それ以上に精神的な物の方が大きいのだろう。
「炯都が‥?人形使いに戻ったって言うの!?」
氷煉はその事を聞いて、その場に膝折れる。
「どういう事なんだ?俺にもわかるように説明しろよ」
翠嵐の言葉に「炯都は‥」と氷煉が話し始める。
「炯都は‥阿修羅の武器として作られた存在だったのよ――‥」
「何だと―‥?」
「偶然、炯都という『存在』が作られた時に龍の父親が奪い取り、炯都だけは白の動物使いとして‥」
「何だよ、それ」
髪をくしゃりと掻きあげながら翠嵐が呟く。
「どうしよう‥このままじゃ‥人形使いが‥阿修羅達の力がまた戻ってしまう――」
「力が戻る?」
「炯都は阿修羅の最強の武器なのよ、武器を失っていたからこそ、今まで大人しくしていたんだわ、炯都が己の手に戻ったら――」
「武器を駆使して、白も黒も潰す気か―いや、白は潰されていた‥次は‥」
「黒‥ナギ!」
氷煉はハッとしたように叫び、翠嵐を置いてイザナギの所へと帰っていった。
「お前はこれからどうするんだ?」
放心状態の翡焔に翠嵐が問いかけると「‥さぁな、どうするんだろうな」と自嘲気味に呟いた。
「ただいま、戻りました」
人形使いの本拠地で九耀がにっこりと笑って阿修羅に頭を下げる。
「お帰り、キミが戻ってきたおかげで凍結していたことを実行する事が出来そうだ。手伝ってくれるかい?」
阿修羅が問いかけると「もちろん、喜んで」と九耀は答える。
一つの事が終わり、一つの悲劇を生む。
最終的に『幸せ』を得る為に、いったい幾つ失えばいいんだろう‥?
END