LUNA ―resolutionアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
水貴透子
|
芸能 |
3Lv以上
|
獣人 |
2Lv以上
|
難度 |
やや難
|
報酬 |
2.1万円
|
参加人数 |
8人
|
サポート |
0人
|
期間 |
06/22〜06/25
|
●本文
『月鬼として生きる事、それはいつか大事な人を置いて逝く事――‥』
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
それは月宮殿に赴いた時に見つけた古い文献から知った―‥月鬼の悲劇。
「最近、腐獣の行動が活発化しているようですわね」
月鏡を使った通信で月姫が悲しそうに呟く。
「我らの故郷‥月を滅ぼした憎き敵―‥この惑星の人間に同じ悲しみを、苦しみを与えるわけにはいきません‥」
月姫が言うには、腐獣はかつて月を後にした古い祖先が連れてきてしまった生物だという。
「‥生態系の狂いから現れ始めたモノではないのですか?」
一人の月鬼が問いかけると、月姫は顔を手で覆いながら「‥そう」と短く答える。
「蒼き惑星、この星に穢れを導いてきたのは他ならぬ‥私達なのです」
「月鬼が‥?どういう事ですか?」
「‥‥‥‥」
「異形のモノを消し去る能力を持つ‥月鬼という存在自体が穢れなのだよ」
月天子が話そうとしない月姫の代わりに答える。
「月鬼の能力の源は何か知っているかい?――‥この星の命だ」
月天子の言葉に、月鬼達は驚きで目を見開く。
驚くのも無理はない、腐獣が『悪』で自分達は『悪』から人間を守る『善』だと思っていたのだから。
「腐獣を絶滅させる方法は一つだけあります――永遠の炎を消すことです」
永遠の炎、聞きなれない言葉に月鬼達は首をかしげる。
「永遠の炎、それが何であるかは未だに解明されていない、文献もぼろぼろになっていて読みにくくてね」
月天子はため息混じりに呟き「でも」と言葉を続ける。
「永遠の炎を消さない限り――月鬼と腐獣の戦いは終わらないと言われている」
シンと静まり返った玉座前で一人の月鬼が「そういえば」と思い出したように呟く。
「月姫様は、最初に仰りましたよね?月鬼として生きるには覚悟がいると――‥」
「えぇ‥月鬼として生きて行く事、それは能力を酷使していくという事、本来備わるべきでなかった能力を持った故か、私と月天子以外の月鬼は――‥皆、短命とされています」
※※設定※※
月鬼は生まれつき『月天子』か『月姫』―‥どちらかの加護を受けています。
月天子の加護を受けている者は『攻撃系』の能力を持ち
月姫の加護を受けている者は『防御系』の能力を持っています。
同じ加護を受けている者同士は、互いの力を合わせて連携技を使う事が出来ます。
※月姫+月姫
※月天子+月天子はOK。
※月姫+月天子
※月天子+月姫はNG。
相対する能力同士は力が反発しあい、うまく力が絡まらず連携は出来ません。
※能力はそれぞれの系統に反しないのであれば皆様で好きに決めて下さって構いません。
前回までに質問が出たこと(全部掲載はしておりません)
・能力系
◎防御以外の能力(補助・束縛)なども月姫の加護を受けた者が使用可能です。
◎自分以外の存在を腐獣に感染させずに使役する能力は月天子の加護を受けた月鬼が使用可能です。
(その際は使役する存在について詳しく考えていただくことになります)
◎連携技は二人以上でも可能ですが、連携技自体が体力を大幅に消耗するので三人以上と連携しても、上手く能力を扱えない場合があります。
◎連携技を繰り出した場合、術者双方が使う事が出来ます。
・腐獣
◎腐獣の外見は特に決まったものはありません。大きい腐獣から小さな腐獣まで存在します。
(感染した場合は、感染者の姿を維持しており、記憶・知識すべてを所有しています)
◎感染者は腐獣であることを隠す事が出来るが、本能である『破壊活動』を抑える事は無理であり、我慢できなくなった破壊活動で正体がバレる事が多い。
◎自然に生まれた腐獣は知識がないので特殊能力は持っていませんが、感染者は特殊能力を持つ事が出来ます。
◎感染者(人間)は腐獣と人間としての意識を両方持っており、人格が入れ替わる事もある。
◎感染者の遺体は例外なく塵となって消えてしまう。
◎自然に生まれた腐獣は複数行動は滅多にしない。
(仲間だと判別する知性もないので、複数で行動しても仲間割れする事もある)
◎感染者は『使役する』という特殊能力を持たせる事で腐獣を使役する事が出来る。
(ただし感染者は自我があるので使役されることは滅多にない)
・その他
◎普通の人間が持っている『月鬼』『腐獣』に対する認識は、普通の人間が『幽霊』の事を考えている程度。
◎月姫、月天子は法律にまでは介入する事はできない。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
●募集事項
◎映画「LUNA」では出演者の皆様を募集しています。
◎今回の話に必要な配役は以下の通りです。
・月鬼(必須/何名でも可)
・腐獣(ただし、人間へと感染した場合のみ)
(自然に生まれた腐獣は知識など持っていません。逆に人間へと感染した腐獣は人間としての知識を持っているのでタチが悪いです)
※他に適役がありましたら、そちらを演じていただいても結構です。
※設定などに疑問などを感じたら、NPCユリアナに質問して下さい。
その際は別スレをたてていただけると有難いです。
今回のユリアナの配役:参加者の皆様でお考え下さい(汗)
(思いつかない場合は適当な役をあてがいますので大丈夫です)
●リプレイ本文
「月鬼が短命‥か」
朔夜(月 美鈴(fa3366))が経営する『暁闇』の月鏡で聞いた言葉に海唄(橘・朔耶(fa0467))が小さく呟いた。しかしその表情に恐怖の色は感じられず、予想していた‥そんな感じだった。
「短命ね‥まぁ私達の一族は、元々だし‥」
「今更、短命という事を知った所でどうなるワケもないわ、ウチは太く短く生きられればええし」
水鏡(シヅル・ナタス(fa2459))が呟くと「確かにな」と朱桜(ヴォルフェ(fa0612))も賛同する発言をした。
「気にしても仕方ないだろう‥どうせ寿命であれ戦闘中であれ死ぬわけだし‥」
そう呟く朱桜にも迷いはあった、それは自分の先の事ではなく、妹にこの事実を伝えるべきか否か‥という事で。
「それよりも‥永遠の炎の事を考えたらどうだ‥?」
二階から気だるげに降りてきたのは朔耶の弟・夜光(神楽坂 紫翠(fa1420))だった。
「永遠の炎、懐かしい名だわ」
懐かしいという言葉に「知っているのか?」と海唄が問いかける。
「名前だけならね、場所までは分からないわよ」
「手がかりナシ?んなもん本当にあるのか?」
何処にあるか分からない、どんな物かも分からない、それが本当に存在するのかという夜光の言葉は、その場にいる全員の心の中にあった。
「でも‥そんな物があるんやったら、とっとと使ってとっくの昔に腐獣は滅びている筈や、にも関わらず誰も知る者がいなくなるほど長い時間使わなかったのは‥何か理由があるんやろうな」
水鏡の言葉に「理由?」と朱桜が問いかけた。
「そう、使いたくても使えない『何か』があったとかな」
「短命上等!美人薄命って言うし、仕方ないってものよ!」
甲高く笑って呟くのは月鬼・綺羅(千音鈴(fa3887))だった。月鏡の通信で月鬼が短命だと聞かされた時、彼女の頭に浮かんだのは自分を残して逝ってしまった両親の事だった。
「‥父さん達は私を残して辛かったのかしら‥」
ポツリと寂しそうに呟くが「ま・過ぎた事は仕方ないかぁ!」と月姫からの通信を纏めたメモを取り出しながら叫んだ。
「それよりも‥永遠の炎の事が気になって仕方ないわ、月の文献にあったって事は月にあるって事?それとも地球にあるから月鬼や腐獣は地球に降りた‥?」
ぶつぶつと一人呟いて色々と思案するが、答えにはたどり着かない。
「‥うー、その文献、見・た・い!」
ボロくても古い物には夢と浪漫が‥何やら怪しげなことを呟きながら綺羅は一人トリップしている。
「‥炎‥アレも燃えているわよね‥そう言えば。ま・消したらヤバイけど!」
綺羅の視線の先には空高く浮かぶ太陽の姿があった。
「いてて‥最近不幸ばかりだ‥貧乏神でも憑いてるのかな、俺」
ベッドの上で激しい筋肉痛に見舞われながら呻くのは泰牙(天霧 浮谷(fa1024))だった、彼は腐獣と化している事に気づいておらず『貧乏神が憑いたせいで不幸』という楽観的結論に至ったようだ。
「湿布でも買いに行くか‥」
悲鳴をあげる全身を動かしながら、泰牙は薬屋へと向かい始めた。
「あれ、お兄さんは僕と同じなんだね」
薬屋に向かう途中で凶星(アルヴィン・ロクサーヌ(fa4776))と出会う。突然話しかけてきて「僕と同じ」と言う少年に泰牙は首を傾げた。
「‥同じ?」
コイツにも貧乏神が憑いてんのか?と考え、返事をしようとした時に「僕たち、仲間になれるよ、ねぇ、仲間になろうよ」と先ほど以上に意味の分からない話を始めてきた。
「あ?あぁ、仲間ね‥」
貧乏神の仲間なんていらねーよ、と思いながらもその場を凌ぐように泰牙はYESと答えた。
その途端、湧き上がる破壊衝動を抑える事が出来ずに泰牙は腐獣の人格と交代してしまう。
「‥まだ体が本調子じゃないんだけどな」
「でも抑えられないんだよね?分かるよ、僕もそうだから」
一緒に壊しに行こう、そう言って凶星と泰牙は本能のままに破壊を行う事にした――‥。
「あれ?この気配は‥」
永遠の炎の話をしている途中で夜光が呟く。他の月鬼も感じたらしく「最近、頻繁だな」と朱桜が呟いた。
「腐獣‥自分も暇じゃないんだが‥」
はぁ、とため息を吐いてチラリと朔夜を見る。
「いってらっしゃい、店番は任せて」
そう言って自分達を見送る朔夜の姿がある、店番は任せてと言いながら、店番『しか』する気がないのだろう。
「ほらほら、早く行かないと犠牲者が出ちゃうわよ」
そう言って朔夜は店から追い出すように海唄・朱桜・水鏡・夜光の四人を追い出した。
「なぁ、ウチの気のせいかな、腐獣の気配がどんどん増えてはるんやけど」
水鏡の言葉に他の月鬼も精神を集中してみると、確かに腐獣の気配が増えていく。
「泰牙とかいう腐獣の仕業‥かな、同じ能力を持つ他の腐獣という事も考えられるけど」
「‥他にもいると‥考えたくないな‥」
ボソっと呟く夜光に「同感や」と水鏡も呟いた。
「いた!」
四人が到着したのは公園の近くにある喫茶店、閉店時間も過ぎているせいか、人は誰もいない。
「またお前等か!腐れ縁だな、ご苦労なこった」
泰牙が腐獣を生み出しながら叫ぶ、いつも通りなら生み出された腐獣を倒し、泰牙を攻撃し、泰牙が撤退――‥というパターンなのだが今回は違った。
「ちょ‥この知能指数ゼロな腐獣!何でこんなに的確に攻撃してくるわけ!?」
水鏡が水で作った棍で攻防を繰り返しながら叫ぶ。
「これで‥どうだ!」
海唄が能力・炎で腐獣を攻撃するが難なく避けられてしまう。
「あははっ、泰牙‥奴らは見苦しい奴らなの?」
泰牙の後ろから姿を現したのは凶星だった。
「‥初めて見る腐獣だ、ちっ‥仲間を増やし始めたってワケか」
「僕の能力は『支配の声』――知能の低い腐獣を使役する能力さ、こんな風にね!」
ギッと凶星が睨みつけた先には、おそらく会社帰りであろうOL(ユリアナ・マクレイン(fz1039))の姿があった。
助けるには距離が遠すぎる、誰もが間に合わないと思った時、OLと腐獣の間に鏡が出現し、腐獣の攻撃を防いだ。
「腐獣と対立しているって事は月鬼よね、自己紹介は後でね♪」
先にあいつ等を何とかしましょ、そう言って綺羅は能力を発動させる準備を始める。
「私の能力は防御系のものよ、援護はするから宜しくね!」
綺羅の言葉を聞いて海唄が朱桜に「準備しといてね」と呟く。
「‥とりあえず‥自分‥暇だ」
隅っこで座って呟くのは戦いに参加していない夜光だった。
「‥まぁ‥頑張ってくれ‥」
「ちょ‥何でアンタは戦わないのよ!?」
後ろで見守る夜光に綺羅が叫ぶ――‥が泰牙と凶星のコンビが成す連携に余所見をする暇もなく、綺羅の視線は戦いの場へと戻っていった。
「ウチの前にさっきの能力を出せへん?」
綺羅に話しかけるのは水鏡、何やら策があるようで助力を求めている。
「出せるわよ、何をするつもりなの?」
「海唄と朱桜の二人が連携の準備を始めとる、ウチは囮になって連携技を発動させる隙を作るんや」
なるほど、と呟き「ちょっと疲れるけどイイ考えがあるわ」と答えた。
「任せたで!」
言うと同時に水鏡は棍の先端を刃に変え、槍へと作りかえる。その槍で腐獣を攻撃し、泰牙と凶星が立っている場所まで後退させる。
「何をしている!さっさと殺ってよ!」
凶星が叫ぶと同時に腐獣の腕が振りあがる。
「鏡は女の身だしなみっ!」
綺羅が間一髪の所で能力・月華鏡で水鏡の身を守る。
「そこの二人!森羅万鏡で威力倍増するから外さないでよね!」
泰牙たちには聞こえない程度の声で呟くと「任せろ」と朱桜が答える。
「準備は整った、焔影!」
海唄と朱桜が叫ぶと同時に泰牙・凶星の影から炎が舞い上がり、水鏡によって後退させられていた腐獣も炎を受けて消滅していく。
「くそ‥があああっ!」
焼ける体を押さえ、泰牙は忌々しげに叫ぶ。そして凶星と共に月鬼達の前から姿を消していった。
「‥まったく‥どうして人間に感染した腐獣って厄介な奴が多いんだか‥」
消えていく炎を見て海唄が呟いた。
「‥というワケで自己紹介するわね!私は綺羅!宜しくね!」
あれから『暁闇』に戻ってきた月鬼達は、綺羅の歓迎会(水鏡が決めた)を行っていた。
「そういえば知っとるん?月鬼が短命やて」
水鏡の言葉に「知ってるわよ」と綺羅は短く答える。
「それにこの地球も、腐獣が滅ぼすか、私達が力を吸い取るか――はたまた人間が壊しちゃうか、どれが早いかの違いでしょ」
簡単に言う綺羅に「その通りだな」と朱桜もクックッと笑いながら答えた。
「朱桜‥お前は残して逝く事になる彼女の事を考えていないのか?」
海唄が酒を飲みながらポツリと問いかける。
「気にしても仕方ないだろう‥どうせ寿命であれ戦闘中であれ死ぬワケだし」
「そう‥‥」
それよりも、と朱桜が言葉を続ける。
「永遠の炎、別の何かで聞いた気がするんだが‥気のせいかな?」
朱桜の呟きに海唄は言葉を返す事はなかった。
「色々と面倒な事になりそうな気もするんだけど‥この予感は外れて欲しいわ」
窓から月を見上げながら朔夜が呟く。
「嫌な予感、外れた事ないよな――」
夜光が朔夜を見ながらため息混じりに呟いた。
事態はこの後、急変する事になる―――。
END