アンダーシティ・ポリスアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 水貴透子
芸能 1Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/24〜10/27

●本文

『地下世界に蔓延る悪を打ち破れ!』


時は西暦3×××年。
遡ること千年前、太陽と小惑星が衝突するという現象が起きた。
その時は誰も思わなかっただろう。
太陽が小惑星に砕かれてしまう事なんて。
砕かれた太陽は、隕石となって地球に降り注いだ。
その現象を『熱砂』と人は呼び、辛く厳しい世界が訪れた。
隕石が降り注いだ地表には住む事が出来なくなり、人間達は地下世界を作り出した。
この話は、地下世界を守る警察‥『アンダーシティ・ポリス』の話である。

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募集事項
●今回の映画はアクション映画になります。出演者は『バムス』と呼ばれる特殊能力を持った人物達です。
●出演者全員が『バムス』を持っている必要はありません。
●出演者は『地下世界警察(アンダーシティ・ポリス)』という警察に所属している。
●『地下世界警察』に出演者全員が所属している必要はありません。所属したい方のみで結構です。
●『地下世界警察』は悪を掃討する為に作られた組織です。

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話の内容

最近、スラムでの人死にが増えていた。
発見された全ての人間から『エンジェル・ウィズ』と呼ばれる薬が検出されている。
『エンジェル・ウィズ』はまだ使用許可の出されていない薬品で製造元は『青い鳥』と呼ばれる小さな会社だった。
この会社は表向きは薬品製造会社だが、裏ではドラッグを売りさばいているという情報が入っていた。
今回の任務は『青い鳥』が『エンジェル・ウィズ』を多くの人間に売りさばいている事を明らかにし、会社そのものを叩き潰すというものだった。
その為に選ばれたポリスが、出演者になります。

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●今回の参加者

 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)
 fa2604 谷渡 うらら(12歳・♀・兎)
 fa2825 リーベ・レンジ(39歳・♂・ハムスター)
 fa3280 長澤 巳緒(18歳・♀・猫)
 fa4035 尚武(20歳・♂・牛)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)
 fa4391 夜野月也(25歳・♂・犬)
 fa4907 CRazy bone(19歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

「だる〜いっ」
 大きなため息と共に叫ぶのは高原(竜華(fa1294))、今回は『エンジェル・ウィズ』に関する捜査の為に動き回っている。
「文句を言わないの、仕事でしょ?」
 呆れたように言うのはマリナ(長澤・巳緒(fa3280))、後ろをついてくるのは見習い捜査官のドミニカ(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))だった。今回の仕事はエンジェル・ウィズを出回らせている『青い鳥』の処理なのだが、証拠がないため簡単にポリスが動けない状態にあった。
「めんどくさ〜‥」
 高原が呟くと同時に壁から一人の子供が抜け出てきた。
「え?うわっ!」
 突然の事で避けきれずに子供は高原と派手にぶつかってしまう。
「いたた、ったく邪魔な所にいるなよ‥わっ、ちょっ‥」
「失礼なお子様ね、全く‥ってコレ‥」
 現れた子供‥メル(谷渡・うらら(fa2604))を高原が持ち上げ、軽く揺さぶる。すると服の中から簡素な袋に入れられた薬がバラバラと地面に落ちた。
「‥これエンジェル・ウィズじゃない!」
 マリナが地面に落ちた袋の一つを手に取り、中身を確かめる。それは世間を騒がせているドラッグだった。一方、メルは「あちゃ〜‥」と頭に手を置きながら呟いた。
「こんな子供が‥」
 ドミニカは売人が子供だった事にショックを受け、言葉が続かなかった。それを見て高原とマリナは大きなため息をついた。育ちの良いドミニカはスラムの状況を把握していない。そのためいちいち大げさな態度で驚くのだ。
「さて、話を聞かせなさ―‥」
 マリナが言うと同時に背後からの襲撃を受けた。マリナもメルを抱えながら攻撃を避ける。砂埃がはれていくと一緒に見えてきたのは数人の男、いかにも雑魚といった感じの男達だった。高原は「こういう仕事の方がやる気でるわ」と言って己の力のみでなぎ倒していく。男達を倒し終えた所で拍手が起こり、そちらに視線を向けると黒いスーツを着た男、ウルフ(夜野・月也(fa4391))が人の良さそうな笑みを湛え、立っていた。
「ブラボー、強い強い」
 さて、と呟きメルの方へ視線を向け「メルちゃん、だったっけ?トラブル起こすのは構わないけどさ、処理する僕の身にもなってよ〜‥」としくしくと泣き真似をしながら言う。
「マリナ、その子を頼むわね」
 そう言って高原がウルフの前に立つ。背後で「危ないですよ!ホワイトさん!」と叫んでいる。どちらにせよ、この男は自分達を生きて帰す気はないのだ。殺られる前にと考えた。
「ホワイト?お前があのホワイトライトニングか?相手にとって不足はない」
 ククとウルフは突然口調を変え、着ていたスーツを自分で引き裂いた。スーツの下にはライダースーツを着込んででいる。
「俺の名はムーンライト・ウルフ‥それだけを刻んで逝け!」
 水面蹴りを放ちながらウルフが叫ぶ。高原もカウンターとして素手で殴りかかるが避けられてしまい、ウルフは逃げ出すように走っていった。
「あいつ、誘ってるわね」
 あれだけの自信を見せつけておいて逃げ出すという事は考えられなかった。高原は「後で追いかけるから、先に行って」とだけ言い残し、ウルフを追って行く。
 辿り着いた先は使われていない倉庫で、電気が通っていないのか真っ暗だった。
「どこなの?」
 叫んだと同時に左腕に痛みが走る。同時に殴りかかるが視界が悪いため空気を切る音しかしなかった。
「クク、自分が今までどれだけ視覚に頼っていたか分かるだろ?お前から俺は見えない、だけど俺からお前は感じ取る事が出来る、こんな風になぁ!」
 ザクと再び斬りつけられる。高原は「ふぅ‥」と深呼吸をし、壁に背中を預けて眼を閉じた。
「諦めたのか?惨めだな、これで終わりだぁっ!」
 ウルフが高原に飛び掛り、真っ暗な中に鈍い音が響く。攻撃をくらったのは‥ウルフだった。
「‥馬鹿な‥お前には俺が見えないはず‥」
「馬鹿はあんたよ。背中を壁に預けていれば横、正面からの攻撃しかない。あたしに飛び掛ってくる時の風を切る音を見逃しさえしなければ、あたしはアンタに勝てる」
 お分かり?と言ってウルフに背を向けた。派手に倒したようには見えるが致命傷は与えていない。
「次は‥躊躇う事なく殺るわよ」


「‥というわけだよ。約束は守ってもらえるんだろうな?」
 メルはジロリとマリナを見る。あれから本部に連れてこられたメルは青い鳥の情報を渡す代わりにメルの母親と自分の安全保障を申し出た。マリナは「もちろんよ」と短く答える。その時に高原が戻ってきた。
「あ‥ホワイトの姐ちゃん。おいらの為に怪我して‥ごめん」
 メルがしゅんとなりながら謝ると「気にする事ないわよ」と頭を撫でながら言う。
「これで青い鳥の殲滅に動き出せるようじゃの」
 扉を開けて部屋に入ってくるのは捜査官の長老的存在のレンズ(リーベ・レンジ(fa2825))だった。しかし彼の表情は浮かないものだった。
「どうしたんです?」
 マリナが問いかけると「これじゃ」と言って大きな紙を広げて見せた。それは青い鳥の社内図面で驚くべき事実が晒されていた。
「何、コレ‥まるで要塞並みのセキュリティじゃない!」
「確か小さな会社‥のはずですよね?」
 ドミニカが確かめるように問いかけると「そうじゃ」と返事が返ってくる。
「逆を言えば、コレほどまでに固めなくてはならん事情があるんじゃろ。まずセキュリティの電源を切らねば」
 その場にいる全員が唸りながら思案する中で「あのっ」と沈黙を破った人物がいた。それはメルだった。
「おいらがセキュリティの電源を切るよ」
「何言って‥あっ」
 子供には無理だと言おうとした時、メルのバムス能力を思い出した。メルの能力は物質透過、彼女の前に壁は存在しないのだ。
「決まりじゃな」
 そう言ってレンズは眼を閉じ、バムスを開放する。彼の能力は『シュレンディがーの猫』といい確率論を上下させるものだ。簡単に言えば幸運をアップさせるもの。
「ないよりはマシじゃろ、気をつけるんじゃぞ」
 はい、そう言って四人は青い鳥本社へと足を向けた。


「危ないから来なくて良かったのに」
 高原はドミニカを見ながら呟く。彼女の「私も捜査員です!」と叫ぶ迫力に負けて同行を許可したのだ。
「あら、番犬がいるわよ」
 マリナが言うと同時に視線を移すと体格の良い男、越野(尚武(fa4035))が立っていた。
「ここを通す訳にはいかんのぅ」
 攻撃を仕掛けながら叫ぶ。高原が相手をしている隙に近くにあったバイクにメルと共に乗る。「任せたわよ」そう言ってバイクを駆って会社内へと侵入した。
「あんたの相手はあたしよ」
「ぬぅ‥女風情が!」
 追いかけようとした越野を殴り、挑発する。越野は女に馬鹿にされた事に腹をたて奇声をあげながら襲い掛かる。高原は相手の能力を確かめる為に防戦のみだったが越野がバムスを使う気配は一向にない。
「あんた、バムスなしなのね」
 残念そうに呟くと高原は己のバムスを解放し、力を増幅させて鋭く伸びた爪で攻撃し、越野を簡単に倒して見せた。もちろん致命傷は与えていない。


「ここで下ろして!」
 メルが叫び、バイクがキキィと急ブレーキで止まる。何事かと思えば、メルの視線の先には『動力室』と書かれた看板があった。鍵が掛かっているがメルならば通り抜ける事が可能だ。中に入るのを確認してみていると‥。
「へぇ、良く辿り着いたモンだ」
 低い声が響く。マリナは声の方へ視線を向けるとロングコートを羽織った男、デモンズ(CRazy bone(fa4907))が立っていた。
「警察も馬鹿には出来ないね」
「‥排除する」
 ウィップをパシンと鳴らし、戦闘態勢をとる。デモンズも手のひら雷を集め、此方に向けて攻撃をしてきた。雷がマリナの腕を掠める。
「危ない!」
 ドミニカが突然叫び、バリアーを展開する。壁に反射して跳ね返ってきた雷がマリナを襲おうとしていたのだ。バリアーのおかげで難を逃れ、マリナは再び攻撃を開始する。
「ありがと、助かったわ。ドミニカ」
 そう呟くと「私もポリスの一員ですもの」とドミニカは笑顔で答えた。
「これ以上の好き勝手はさせるかっ!」
 そう言って両手に雷を集め始める。大技だと判断したマリナも自身の大技に精神を集中させる。
「消えてなくなれ!!」
「これで終わりよ!!」
 技は同時に発動したが、命中したのはマリナのエア・スラッシャーだった。カランとナイフが地面に落ちる。メルが電源を切った後、危機に瀕してるマリナを見て、デモンズの足をナイフで刺したのだ。それがなかったら今頃倒れていたのはマリナの方だったかもしれない。
「ありがと、メル」
 そう言ってバイクに再び乗り込む。セキュリティの電源が切られたという事は社長室のロックも解除されているという事。上に向かうたびに雑兵が攻撃をしてくるが「退きなさい!」と叫びながら壁を走る。マリナの能力があってこその技術だろう。

 やがて最上階に到着し、マリナは静かに扉を開けた。そこにいたのは逃げ出そうとしていた青い鳥の社長だった。
「逃がさないわよ!」
 マリナはウィップを社長の首に絡ませ、吊るしあげた。
「Mission completion!」
 ウィップを引き抜くと同時に小さく呟いた。



「私達がこの世界を良くしなくちゃいけないんですよね」
 ドミニカが小さく呟き、続けて言った。
「ここが、私達に残された最後の世界なんですから‥」





           END