アイドル強化合宿1アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 5.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/23〜07/31

●本文

 無人島を所有している。
 プライベートビーチだ。
 そんな特権は億万長者だけ‥‥などと思っていないだろうか?
 そんなことはない。
 実は無人島の値段もピンキリで、都心に土地付き一戸建てを買うお金が有れば、十分買えるのである。

 問題はインフラ整備がされておらず、電気、ガス、水道、電話などが完備されていない事が殆どで、交通も自力で船やヘリコプターで向かわなければならない。

 つまり、『住むには適さないがバカンス用の島なら比較的安く買える』のである。
 特に物価の高い日本ではなく、物価の安い海外ならなおさらの事である。

「っと言うわけで無人島使ってなかったら貸して貰えないでしょうか?」
 パパイヤ・パインの元にやってきたのは、スポーティなイメージを売りにしているアイドル、安導夏美。通称アンドーナツ。

 パパイヤ・パインは今年でデビュー11年目の超ベテラン。
 深夜番組の視聴率の女神と呼ばれているお色気アイドルである。

 安導夏美は今年3年目の歌唱力で売るまだまだ新人レベルのアイドルである。

「確かに昔安かったんで衝動買いした島が有ったような気がするけど、あんな人が住んでない様な島何に使うのかしら?」

 パパイヤ・パインが質問すると、安導夏美は静かに答えた。

「修行です。私NW退治のエキスパートに成りたいんです。だって、無人島なら獣化しても、銃を撃ちまくっても、誰にも迷惑をかけないじゃないですか?」

 そんな予想外の言葉を聞いて目をぱちくりされていたパパイヤ・パインだが、やがて静かに語り始める。

「そうね‥‥最近の若手アイドル達は根性が‥‥アイドル魂(スピリッツ)が足りないと思うわ。何人か引き連れて‥‥私もその強化合宿に参加しようかしら」

 そんなわけで無人島で
「アイドルに必要な物はナンですか?」
「根性!」
「NW退治に必要な物はナンですか?」
「根性!!」
 っと言う訳で根性アップの強化合宿を行いたいと思います。

 獣人化も可、パパイヤ・パインは主に発生練習、歌い込み、走り込み、水着撮影、寝起きどっきりを中心に特訓するよていです。

 安導夏美は、対NWの為に基礎体力アップと格闘射撃訓練を行うらしいです。

 無人島で自給自足の一週間。
 武器の持ち込み可、銃の持ち込み可ですが、自己責任で扱ってください。
 むやみやたらに人に向けてはいけません。

 自分を追い込みたい人以外は水と食料と替えの下着を持参で!!

 全員水着と1万円分までの持参品をリュックに詰めて参加する物とします。

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0768 鹿堂 威(18歳・♂・鴉)
 fa1357 結城 紗那(18歳・♀・兎)
 fa1526 フィアリス・クリスト(20歳・♀・狼)
 fa2370 佐々峰 菜月(17歳・♀・パンダ)
 fa3510 宝塚菊花(23歳・♀・一角獣)
 fa3671 風宮・閃夏(18歳・♀・虎)
 fa3982 姫野蜜柑(18歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●アイドル強化合宿1
 夜出発の飛行機でビジネスクラスでのんびりと移動。
 機内食など頂いて、気分は半ばバカンス気分。
 飛行機代はパパイヤ・パインのお財布から。

 飛行機を乗り継いで、大きなヨットに乗って2時間。
 船も彼女の所有物らしい‥‥こんなに金出して貰って良いのか? っと思うような至れりつくせりである。‥‥後で請求されたりしないだろうな?

 いつのまにか派手な黒のビキニに着替えたパパイヤ・パインが、サンオイルを身体に塗りながら、デッキから指さしている。地図にも載っていない様な小さな島だが、アレがパインのプライベートアイランドである。

 島にはヨットを止めるための桟橋と、コテージらしき建物が一つだけ。
 人の気配は無い。完全な無人島である。
「コテージは荷物置き場に成ってるわ。お風呂は無いけど、簡易トイレは用意してあるから、それを使ってね♪ もちろん電気・ガス・水道なんてしゃれた物は無いし、携帯電話も電波が届かないわ。これから一週間、無人島ライフを満喫して、心身共に鍛えてちょうだい」

 パパイヤ・パインの一言で、上陸作戦は開始された。

●無人島一日目
 時刻はお昼過ぎ、青い空、白い雲、真っ青で透き通るような海と、足跡一つ無い白い砂浜。
 照りつけるような太陽のもとで、彼らの合宿は始まった。

 安導夏美がテントや食料を肩に抱えてヨットを下りる。
 半獣化した彼女の姿は竜である。背中に翼が生えている。
「砂、焼けてるから気を付けて」
 彼女は砂浜から少し上がった林の木陰に、テントの準備を始めた。
 一方パパイヤ・パインはコテージの方へと向かって行く。
 もう何年も使われていないコテージの大掃除だ。

 ここで皆2組に分かれての作業と訓練が始まる。

 とりあえず水着に着替えて一同はプライベートビーチへと足を運んだ。遠浅の波の殆ど無い海岸はまさに天国と言っても差し支えない程だった。

「‥‥豪華客船の沈没から助かったのは、わずか10名!! からくも無人島にたどりついた彼女達を待ち受けていたものは!?」
 姫野蜜柑がナレーションを付けて、全員が島にあがる。
 誰も突っ込みを入れないが、皆、それを楽しんでいるかの様だ。


●パパイヤ班
 パパイヤ・パインと共にコテージに入ったのは、アヤカ(fa0075)、フィアリス・クリスト(fa1526)、佐々峰 菜月(fa2370)の3人である。
 この3人はこれから一週間、パパイヤ・パインと共に行動することとなる。
「こんにちは、初めての人もそうでない人も、私の名前くらいは聞いたことが有ると思うの。今日から一週間ヨロシクお願いするわね? さて、合宿の予定だけど、基本的に私はあなた達に何をしろとは言わないわ、守って貰うのは、午前中の体力トレーニングと深夜のレッスン。後は炊事と掃除だけ、簡単でしょう? それ以外は自由に好きなことをしてくれてかまわないわ」
 取っつきにくい高飛車キャラかと思ったら、案外話の分かる良いおねぇさん的な対応に少々ビックリである。

●安導班
「普段町中では迂闊に獣人になれないし、能力も使えないから、こういう人目を気にしない場所でこそ、その能力の訓練には最適だと思うんだ。基本的にはそれをベースに体力アップと格闘や射撃の訓練をやってこうと思う。みんな、一週間たっぷり楽しみましょう」
 テントを貼りつつ安導夏美が安導班に語りかける。
 安導班は鹿堂 威(fa0768)、結城 紗那(fa1357)、風宮・閃夏(fa3671)、姫野蜜柑(fa3982)、それにどちらに参加とも表明しなかった宝塚菊花(fa3510)の5人で構成されている。

 とりあえずサバイバルでハングリーな生活の始まりである。

 パパイヤ班の食事は主に自炊であり、逆に安導夏美班の食事はレトルトや缶詰ものが多い。
 実際料理は苦手、レーションで良い。
 っと言う安導夏美は、肉じゃがの缶詰やらタクアンの缶詰などを持ち込んでいる。
「それじゃ水くみヨロシクね」
 そう言ってバケツを渡される。佐々峰菜月。
 目の前には赤くさび付いた古井戸が一つ。
 手動で取っ手を上下させ、ポンプの力で水をくみ上げる物である。
 言わずもがな重労働である。
 しかし、この井戸を使わなければ真水を手に入れる事は出来ない。
 生水飲むべからずと言うことで井戸水は煮炊きに使用される事と成っている。
「あっ、身体を洗うためにもお水‥‥くみ置きしておいてね?」
 そう言ってパインが用意したのは18リットルはいるポリタンク4つであった。
「あの‥‥身体を洗うなら海の水でも良いでは? 別に組まなくても‥‥」
 佐々峰菜月の言葉にクスクスと笑うパパイヤ・パイン。
「それじゃ一緒に海水浴しましょうか? その後どうなるか‥‥試してみると分かるわよ?」
 言われるままに海水でのんびりと身体を浸す2人。
 佐々峰菜月は泳げないのでのんびりと水浴びだ。
 海から上がり、パインは井戸水で身体を拭う。
 佐々峰菜月はそのままだ。
 全身がかゆくて溜まらない佐々峰菜月が出来上がるのはそれからしばらくしての事である。

「空を見上げて〜♪ 雲を望めば〜♪ 不器用な私にも〜♪ きっとあの太陽は微笑んでくれる〜♪」
 フィアリス・クリストが砂浜で海に向かって唄を歌う。
 パパイヤ・パインから与えられた午前中の課題だ。
「大きな声を出し続けるのは、案外体力を使う物。腹筋を鍛えて、喉を鍛えて、体力も鍛えれる。まさに完璧な修行ねぇ?」
 パパイヤ・パインもカラオケマイクを片手に、海に向かって唄を歌う。
 どんなに大きな声を出しても他人に迷惑がかからない、無人島の特権だ。
「貴方、よく見ると結構良い胸‥‥良いプロポーションしてるわね♪ そうだ、人目を気にせず全裸で歌ってみると良いわよ? 度胸が付くわよ〜」
 パパイヤ・パインの強い説得に半ば折れるフィアリス・クリスト。
 もちろん半獣状態での事ではあるのだが。
「ありのままの自分を〜♪ さらけ出そう〜♪」
 2人は波の音に負けないように声を荒げていた

「とりあえず泳いでみると良いよ〜。先ずは全裸で、次に服を着て、靴を履いて、その違いが如実に分かるから。体力アップなら一日中泳いでれば良いんじゃないかな?」
 安導夏美が宝塚菊花に対して、海を指さす。
 救命胴衣を持ってきている宝塚菊花には楽しいレクリエーションだ。
「え‥‥それだけでええのん? もっとこう鉄下駄履いて砂浜を走ったりさせられるんかと思っとったわ」
 宝塚菊花の言葉ににっこり微笑む安導夏美
「それは筋力アップ。私達の目的は体力アップ。たぶん今から泳ぎだしたら、夕方には動けなく成ってると思うよ?」
 安導夏美がそう言ってにっこり微笑む。
 水泳とは全身運動である。
 浮力が有るため、腰や膝に負担をかけることなく全身の筋力を疲れさせることが出来る。
 それを知らずに、一日中泳いだりすれば、明日には全身筋肉痛に冴え成りかねない。
 しかし、それ以前に彼女は、自ら上がると、その自らの身体の重さに脱帽を感じていた。

 その日の夜。
 アヤカがパパイヤ・パインとビールを飲み交わす、そんな間にパパイヤから個人レッスンを受けている。
「アイドルと言うのはお客さんに夢を売る商売なの。寝起きドッキリだけど、コレに関しては普通に寝起きに受けることは無いわ、多少やらせの部分が入るわ、あくまでお客さんをがっかりさせないようにするのがポイントよ」
 ナチュラルメイクをして、青と白の縞模様の水着姿で、カメラマンであるパパイヤ・パインを待ちかまえる。
 本当は目が覚めていたとしてもカメラが寄ってくるまではガマンガマン。多少寝ぼけたような無防備な寝返りが、激しくアイドルアピールになる。

 次の日の早朝
 安導夏美がIMIUZI片手に岩の上に置かれた空き瓶を狙っている。
 狙いすました一撃が、空き瓶から1m近く離れた地面に当たり、土が舞い上がる。
「あれ?」
 立て続けに2発目、3発目と発射するが、やっぱり的に当たらない。
 その度に土が舞い上がっている。
「違うな、もっとこう脇を締めて、一気に的を射抜くように」
 鹿堂威のCappelloM92が火を吹く。
 音を立てて空き瓶が砕け散る。
「わっ、凄い、やっぱり私に銃は向かないのかな。格闘戦基本で考えた方が良いのかな〜」
 対NW戦は敵が人間であるとは限らない。
 巨大な動物だったり昆虫だったりするので、素手で戦うより獣人化して爪や牙、武器を持って戦う事がお勧めである。もちろん小さい物も多々いるのでそれに合わせて柔軟に臨機応変な戦闘方法が望まれる。それ故に苦手な銃も使わなければ成らない時もあるのだ。
「動かない的に当てられないのは、致命的だな。もう少し練習した方が良いだろう」
 鹿堂威はそう言って彼女に対して銃の指導を続けた。

「体力は大事だよ。相手との戦闘中にスタミナ切れで動けなく成ったらしゃれに成らないからね」
 結城紗那と安導夏美が砂浜で組み手を取る。
 お互いに半獣モード、実戦を視野に入れての戦闘である。
「それでは私から行きます!  俊敏脚足!」
 一気に地面を蹴り上げ、砂を巻き上げる結城紗那。
 右へ左へ、軽快な軽業で移動し、軽快な動きで翻弄する。
 安導は羽を羽ばたかせているだけで、動きは静かである。
 一気に間合いを詰める結城紗那。信じられないような跳躍で安導夏美の頭上に飛び上がると、空中から夏美に対してキックを繰り出した。
 かろうじてそれを受け止める夏美。
 キックの力を利用して、夏美を踏み台にして格闘間合いから一気に跳躍する結城紗那。
 っと彼女の口から高圧の空気の塊が夏美に対して追い打ちをかける。空圧風弾だ。
「それじゃ今度はコッチの攻撃いくよ!」
 彼女の爪が青黒く変色する。
 体勢を整え、地面を蹴ると、一気に低空飛行で結城紗那めがけて飛んで行く。
 結城紗那がとっさにその場を飛び退ける。
 安導夏美の爪が空を切る。
 結城紗那の腕にうっすらと細く赤い線が入る。
 爪が微かに触れた様だ。
 っと同時に結城紗那の動きが鈍る。
「あれ‥‥身体に力が入らない‥‥」
 全身が麻痺して動けない彼女を抱きかかえる安導夏美。
「毒手だからね。しばらくは動けないよ。‥‥さぁ、罰ゲームだよ? どんないたずらをしようかな〜♪」
 結局彼女は水着を脱がされ、砂浜に埋められることと成った。

「次は私のお相手お願いします」
 風宮閃夏が迷彩柄のハイレグカットのビキニで登場する。
 左手にアウトドアナイフ。右手にメリケンサックを装備している。
 それに合わせて安導夏美も右手に竹竿を構える。
「ナイフ戦と言うとナイフで相手のおなかや胸に突き刺して、一撃で相手を倒す‥‥みたいなイメージが有るけどアレは間違いよ。大降りに成るし、避けられたら大きな隙を作ってしまうからね。ナイフ戦の基本は腕の延長線として考えること。致命傷は狙わず、武器を持った分だけリーチが伸びる点。間合いが広がる点を美味く利用して、手数で相手にダメージを蓄積させていくこと」
 そう言って彼女は竹竿を槍の様に構える。
「じゃ私から行きますね!」
 風宮閃夏が地を蹴り、一気に間合いと詰めに入る。
 カウンターで放たれる安導夏美の竹竿の突き!
 しかし、風宮閃夏はそれを右手のメリケンサックで殴りつけ、軌道をそらせた。
 続いて左手のナイフのでの一撃。
 安導夏美がそれを竹竿で受け流す。
 密着状態に間合いが詰まる。
 風宮閃夏が夏美の腹に対してヒザ蹴りをたたき込む。
 それを避けぬ代わりに、夏美は風宮閃夏の顔面に掌底をたたき込んだ。
 しかし、風宮閃夏はそれと自らの額で受け止める。
「素手でやるときの基本だよ」
 風宮閃夏がそう言って夏美に語りかける。
「もちろん。分かってますよ」
 夏美が羽を羽ばたかせる。
 掌底がそのまま風宮閃夏を押し、砂浜に叩き付けるようにして、彼女を押しつける。
 密着した間合い。
 風宮閃夏のナイフが夏美の首元に押し当てられているが、夏美の右手の爪が風宮閃夏の胸元で爪を立てている。
「‥‥引き分け‥‥っと言うことにしておくか」
 2人はそう言って満面の笑みを浮かべた。

 夢の様な合宿が続く。
 夜になると打ち上げ花火等を楽しむ余裕などもあり、皆元気に合宿を楽しんでいる。
「‥‥おかしいなあ‥‥シケってたのかな? ‥‥うーん‥‥ぎゃあ〜!!」
 姫野蜜柑が調子の悪い打ち上げ花火を覗き込んで、突然の噴射に驚いて、その花火を投げ捨てる。
 それが設置されたばかりの打ち上げ花火の中に投げ込まれたからさぁ大変。
 皆めがけて、ロケット花火の水平発射の総攻撃を食らうこととなる!
「きゃ〜!」
「うぁ〜!!」
「ちょ! 勘弁してぇな!」
 飛び交う悲鳴の中で皆、夏の合宿を満喫していた。
「‥‥ユニコーンが居て本当に良かったわね‥‥」
 そう思う一同であった。

●そして
 黒のタンキニ姿で元気な安導夏美が浜辺で鹿堂威に語りかける。
「今回一人だけ男性だったけど、肩身の狭い思いはしなかった? コレに懲りなかったらまた次も参加してよね」
 夏美に言われて笑みを浮かべる鹿堂威。
「いや、可愛い女の子に囲まれて楽しかったよ。また次も参加したいと思う」
 鹿堂威がそう言って微笑する。
「今回は‥‥せっかく1万円分の食料持ち込みを許したのに‥‥みんな無難な食材しか持ち込まなかったわねぇ。もっとこう‥‥焼き肉セットとかくさやの干物とかイベントを盛り上げるような物が欲しかったんだけど」
 パパイヤ・パインがそう言ってスパゲティの缶詰を弄びながら苦笑する。

 体力の限界点を実感しながら、皆日本への家路につくのでありました。

どっとはらい。