文化祭を盛り上げようアジア・オセアニア

種類 ショート
担当
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 11/03〜11/08

●本文

●文化祭を盛り上げよう。(アイドル)

 売れている売れていないを問わず、芸能界には沢山のアイドルがいる。
 そして、アイドルと一言に言っても様々な芸で売っている者達が居る。

 歌で売っているアイドル。
 容姿で売っているアイドル。
 トークで売っているアイドル。
 お色気で売っているアイドル。
 ギャグで売っているアイドル。
 バラエティで売っているアイドル。
 ロケで売っているアイドル。
 オタク心を掴んで離さないコスプレアイドル。

 ここにハイパープロジェクト所属で、無謀にも第二のシャイニングっ娘を目指す一人のアイドル娘が存在する。
 名前は『バナナ・プリン(芸名)』。アイドル2年目の新人で、余り売れておらず、仕事を取ってくるのも大変な時期のアイドルである。

 そして彼女が今最も当てにしている事務所の先輩が、『パパイヤ・パイン』深夜番組にこの人有りと言われるお色気アイドルで、デビュー10年目のベテランだ。

 今日も彼女は先輩の使いっ走りで、ミルクティーとベーグルを買いにテレビ局前のパン屋まで走っていたりする。
 ノリ的には『売れてるお笑い芸人』と『若手お笑い芸人で鞄持ち』の様に思ってくれて良いだろう。

 今日も今日とて彼女は先輩に顎でこき使われながら、荷物持ち兼使いっ走りの仕事が続いた。

 そんなある日の事‥‥。
「プリン! チョットお願いが有るんだけど」
 そう言って後輩を呼ぶ先輩。
「はい! パパイヤ先輩! なんでしょう!」
 にやりと笑ってパパイヤがつぶやく。

「実は急遽、大学の文化祭に呼ばれる事に成って‥‥ちょっとトークをすることになったんだけど‥‥私ってほら、この美貌だけで売ってるでしょう? トークだけじゃ間が持たないのよねぇ。そこで貴方‥‥若手を連れて行って、場を盛り上げてぢょうだいな。私が気持ち良くお仕事出来るように‥‥よろしくね?」

 相変わらずの先輩風だが、お仕事が貰えて有頂天のバナナ・プリンちなみに紹介では『事務所の後輩のバナナ・プリンとそのお供達』っと言う紹介文に成っているらしい。

 そんなわけで今日から君たちは売れないアイドル『バナナ・プリン』とお友達だ。
 さぁ文化祭で場を盛り上げるんだ!

●今回の参加者

 fa0045 (16歳・♀・鴉)
 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0077 羽柴朋(17歳・♂・猫)
 fa0453 陸 和磨(21歳・♂・狼)
 fa0585 畑下 雀(14歳・♀・小鳥)
 fa0587 猫美(13歳・♀・猫)
 fa0608 ミント・シルフィール(7歳・♀・猫)
 fa1766 AD(24歳・♂・豚)

●リプレイ本文

●文化祭へようこそ。
 11月3日は文化の日
 その日大学では、文化祭が行われていた。
 屋台の露天、各部活の発表展示、盛りだくさんのイベント。
 その中でもアイドルを呼んでのフリートークは文化祭の目玉と成っていた。

「先輩! たこ焼きとミルクティ買ってきました!」
 新人アイドルバナナ・プリンが、大先輩のパパイヤ・パインにたこ焼きとアイスミルクティを差し出す。
 パインはプリンの差し出したそれを、軽くお礼を言って受け取った。
「ありがとう、良くできた後輩を持って私はうれしいわ」
 パパイヤ・パイン。芸歴と立場と礼儀に厳しいが、案外後輩思いなアイドルである。

「今回司会をやらせて頂きます。本日はヨロシクお願いします!!」
 体育会系のノリでパパイヤ・パインに一礼する。羽柴朋(fa0077)。
 腰の角度は90度深々と頭をさげ、相手が返事をするまで頭を上げない。
 低姿勢だが、芸能界で生きていく物に必要なライセンスの一つである。

 頭一つ下げられなかっただけで、それを知らなかっただけで、芸能界から消えてしまった数多くのお笑い芸人やアイドル達を彼らは知っている。

 芸能界で生きていくのに必要なのは、運と必要とコネクションである。
 だが、礼儀一つ知らない人間にコネクションは力を貸してくれたりはしない。
 大抵は鳴かず飛ばずで消えていくか、一発屋として終わって行く。

「貴方‥‥なかなか良い声してるわね? 若手としては有力よ? 名前‥‥なんて言ったかしら?」
 パパイヤ・パインがそう言って静かに言葉を返す。
 羽柴朋はここで初めて、名乗りを上げることを許された。

「私は宇宙人♪ ほとんとは火星人♪ 地球の海と引き替えに♪ 鯨に丘を譲って貰った異星人♪ 明けの明星が私の故郷♪ 鯨の捨てたこの大地が私のフロンティア♪」

 体育館に用意された特別ステージに、なんじゃそりゃというような音楽が流れ出す。
 聞き慣れないのも無理はない。バナナ・プリンの唯一の持ち歌「がんばれ! 日本海!!
」で有る。
 歌もそこそこ、容姿もまずまずの彼女が売れないとんでも無い理由が、この歌である。

「この星を歴史ごと焼き尽くす為に〜♪」
 彼女の歌に合わせて、ステップを踏んで、彼女の『お友達』が登場する。
 胸の大きく開いたノースリーブ、ひらひらのミニスカート。
 背中に付けているのは羽‥‥であろうか?
 畑下雀(fa0585) が軽やかにステップで踊り出す。

「人類抹殺計画発動! 日本海に冥王星を落とせ!」
 曲の間に入るセリフさえも、突っ込み処満載であるが、それでもプリンに取っては一番のお気に入りの歌である。
 それに合わせて一緒に歌う畑下雀。
 熱唱するバナナ・プリンとは裏腹に、ステップで踊りながら歌う畑下雀。
 半獣化したバナナ・プリンの歌に歓喜さえ憶えることは出来るのだが、彼女は歌を歌い出すと全く踊らなく成る癖がある。
 それをカバーするように畑下雀が踊ってステージの上を動き回る。

 織(fa0045)がその歌に合わせて演奏する。
 今回はキーボードではなく、シンセサイザーを使用しているが、彼女の技量的にそれは許容範囲の問題であった。

 陸和磨(fa0453)がそれに合わせて、ベースを弾き出す。
 シンセサイザーとベースの音楽に合わせて、2人のアイドル達が歌を歌い始める。

 ミント・シルフィール(fa0608) が音楽に合わせて、2番からの登場である。
「空は晴れて澄み渡り♪ 風は優しく流れてる♪」
 歌詞は全く異なる。音楽はそのままで歌詞は彼女の持ち歌というなんともトリッキナーな演出である。しかも2フレーズ置きに交互に歌うのである。

「街には人が沢山居て♪ 店には物が並んでる♪」
 猫美(fa0587) がその音楽に合わせて参加する。
 ミント・シルフィールとのデュエットで歌を歌い始める。

「今だ! 木星! タイタン落とし!」
 本当にアイドルの歌なんだろうかという疑問の有る歌と、全くの正当派閥アイドルの歌の交互のコラボレーションに観客は目を丸くしている。
 しかし、予め観客に手渡された2枚の譜面にはそれぞれの曲が書かれている。
 順番通りに演奏されると思いきや、両方同時に交互に歌うことに、観客達は驚きの色を隠せない。

「日常の事から開放されて♪ 楽しまなくちゃ♪」
「そうだ! 南極の氷を全部溶かしちゃえ!」

 不穏当な歌の後は、何とかトークで場を繋ぐ。

「はーい、皆さんこんにちは〜。アヤカですにゃ〜。さて、今回私は色々な露天を見て回ったんですニャ。その中でも特に目立ったのが、軟式テニス部さんの作っていたたこ焼き! にゃんと、その大きさが、軟式のテニスボールの大きさのたこ焼きですニャ!」
 アヤカ(fa0075)がそう言って軽い話題で会場を盛り上げる。
 彼女のそれは素人の口調であったが、パパイヤに予め手直ししてもらった原稿を読んでいるため、何とか問題なくそれを乗り越えることが出来た。

「それでは、現場からの中継ニャ。猫美さ〜ん?」
 校内放送を利用して、現場の猫美さんから中継が入る。
 だが、絵は無い。音だけである。カメラは来て居ないのである。

「なかなか面白い演出ね。貴方の作戦?」
 パパイヤ・パインがそう言ってADに語りかける。
「いや、そう言う訳じゃないんですけどね」
 AD(fa1766)がそう言ってパパイヤ・パインの質問にしどろもどろで返す。

「まぁいいわ 場を温めてくれてありがとう。良い仕事が出来そうよ」
 プロの貫禄満載で、パパイヤ・パインがステージに上がる。
 ロングのキャミソール。見た目下着ではないかという黒紫の衣装でステージにあがる。

 コレがテレビなら深夜枠に成るだろうと言う演出満載である。

 それから3時間、難なく事なきを得た。
 文化祭といえば、ギャラは少ないといえど、仕事は仕事、その辺きっちりこなす所にパパイヤ・パインのプロ根性をかいま見る。

 全てが終わった後でパパイヤ・パインの一言が彼女達の胸に響いた。

「お疲れ様。次もよろしくね」