The訓練・柔軟編アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
なし
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参加人数 |
15人
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サポート |
0人
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期間 |
09/26〜10/02
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●本文
とある郊外にある訓練所。それは特定の生徒を持たず、訓練や講義などを定期的に行う度に、一般人から既に活躍している芸能人まで幅を決めずに生徒を募集している、特殊な訓練所である。
その訓練内容もまた幅広く、さまざまな講師を呼んでさまざまな訓練をしている。それは総じて役者にとって必要な訓練であり、役者や、役者を目指す者にとって知る者は知る訓練所なのであった。
そんな訓練所が、また参加者を募集しているという。その訓練所のドアには、こんなチラシが貼られていた。
今回の訓練は『ストレッチ』。
柔らかい、自然な演技をするためには、柔軟性が必要です。
ストレッチをして柔軟性を高め、ついでに健康になりましょう。
ダイエット効果もありますので女性必見です。
今回は全員で同じ内容です。
家でも簡単にできるような、一人でできるものをご用意しておりますので、お気軽にご参加下さい。
定員がありますので、参加希望の方はお早めにご連絡下さい。
●リプレイ本文
「ストレッチには柔軟性を上げるだけでなく、新陳代謝を高める効果があるの。新陳代謝が高いということは、エネルギーの消費量が多いということであり、高ければ高いほど脂肪が燃えやすくなるのね。よって、ダイエット効果があるという事。ストレッチは柔軟での怪我の予防や血行の促進、疲労回復などにも役立つ、とてもお手軽で便利な運動って事ね」
そう説明する講師は、細身の身体に引き締まった筋肉を持ち、それでいて女性的な美しさも備えた女性だった。豊かに揺れる講師の胸を無意識にじーっと見つめてしまっていた織石 フルア(fa2683)は、ハッとして首を振る。
「柔軟って、腰痛とかにもいいんだろ?」
「そう、よく知ってるね。固まった筋肉を解して血行をよくする事によって、肩こりや腰痛にも効果があるのよ。逆に、身体が硬いと関節や腰なんかを痛めやすくなるわね」
講師に言ったのは志羽翔流(fa0422)だった。その言葉に楽しそうに答える講師に、シトリー・幽華(fa4555)が深く頷く。
「確かに。身体が柔らかい人間に関節技は効かないしな」
「そういうわけで、今日は皆に自宅でも楽屋でも、すぐにできるお手軽なストレッチをいくつか教えちゃうわね」
言って、講師は訓練を始めた。
「まずは身体を暖めるのも兼ねて、簡単なストレッチから入るわねー。はい、背筋を伸ばしてー真っ直ぐ立ちまーす。これが基本の姿勢ね」
言われて、参加者たちが講師と同じように背筋を伸ばす。そしてそのまま踵を上げ、両手を上げて全身を伸ばした。10秒ほどその状態で静止し、基本姿勢に戻ると、それを2、3回続ける。
「次に基本の姿勢から両足を肩幅に開きます。で、両腕を真っ直ぐ上に伸ばして、両手を合わせた状態で上体を横に倒して、この脇腹の部分を伸ばしまーす」
「うーいー、あたたたた」
講師に合わせて身体を伸ばしていた駒沢ロビン(fa2172)が、眉を寄せて悲鳴を上げた。それに講師が笑いながら答える。
「痛いのを我慢してやると筋を痛めちゃうから、気持ちいいなーって所で止めてねー」
「わ、わかりましたー」
その後、肩と足のストレッチをして、だいぶ身体も解れると、講師は目的に応じたストレッチへと入った。
「はーい、じゃあ皆、床に座って下さい。で、膝を曲げて両足の裏を合わせまーす。足は身体にくっつけなくていいからね。膝も無理に床につけなくていいから。肩を下げて、背筋は真っ直ぐ!」
言われて、参加者たちが床に座ると、講師はその姿勢のままで首を回した。肩を上げないように、左右前後に首を回した後、足の爪先を両手で持って身体を前に倒していく。
「息を吐きながらーゆーっくり、きつくない所まで倒してー。それから息を吸いながらゆーっくり戻るー。お? そこいいねー、その調子ー」
「ダンサーですからー」
「このくらいはやっぱりね。やれておかないと」
講師に褒められたのは鶴舞千早(fa3158)とクリスティ(fa4652) だ。爪先にぴったりと腹をつけ、顎も簡単に床につきそうである。その横で、講師のように背中が真っ直ぐに伸びず、猫背になってしまっているのは河辺野・一(fa0892)だった。それに講師がアドバイスをする。
「身体を倒す時は、頭を床につけるんじゃなくて、おへそを床につけるようなイメージでやるといいよー。身体が硬い人は、無理せずに高い位置で止めても大丈夫。長い目で見れば、充分効果が現れるから」
「なるほど‥‥こんな感じですか? 何か、ボストンバックとかに入れそうですねー」
講師の言葉を受けて、河辺が鶴舞ほどではないにしろ、何とか背中を真っ直ぐ倒す事に成功する。参加者たちがそのストレッチを5回程続けると、講師は姿勢を解いた。
「これひとつで股関節と太もも、ついでに首に腰と背中も柔らかくなるの。凄いでしょ? よーし、次は腕と肩と胸ね。正座みたいに両膝を床につけて、両手を前に出します。この時、両手の指先が自分の方に向くように床にぴったりつけます。そしたら、手のひらが浮かないように気をつけつつ、背中を引く感じで体重を後ろにかけてみて」
「あ、ピリピリする。筋肉が伸びてる感じ」
「そうそう、そんな感じがするならストレッチの効果が現れてるって事ね」
蓮 圭都(fa3861)の呟きに講師が満足げに頷く。次に講師は指先を外側に戻し、四つん這いの形になった後、身体を横に傾けて、肩と頭で体重を支えつつゆっくりと腕を上げていった。
「呼吸は止めちゃ駄目よー。ゆっくりねー。終わったらもう片方の腕も同じように」
「何や、ちょっと苦しくなると息止めそうになってしまうな。気ぃつけんと」
「確かに。静止している間が少し苦しいな」
ミゲール・イグレシアス(fa2671)が呟くと、守屋 要(fa4151)がそれに同意した。西村 哲也(fa4002)も何やら頷いている。
「呼吸って大切なんですね。やっぱり、講師の方に直接教えて貰うと、こういう大切な事がわかっていいですね」
「ソウデースネー。自己流でやってしまうと、どうしても無理をしてしまいますカラネー。無理は駄目デースネー」
西村の言葉に白海龍(fa4120)が神妙な顔で答えると、講師が四つん這いの状態に戻って身体を上に反らせて行く。「できる範囲まででいいからねー」と言う講師に、参加者たちも続いた。
「はい、次は下半身のストレッチねー。四つん這いのまま、片膝を胸の近くまで持って来て、後ろに高く上げまーす。これを左右交互にねー」
「わ、ちょっとこれキツイかも」
「休みながらでいいからねー」
叢雲 颯雪(fa4554)が真剣な顔で足を上げるのに、講師が笑いかける。
「よし、皆立ってー。上半身を左右に回すー。ぐるーんぐるーん。回したらスキップスキップー。なるべく膝を高く上げて、左右交互にねー。はい、スキップスキップらんらんらーん」
講師の掛け声に合わせて、参加者たちがスキップをする。やけに楽しげな講師に参加者たちも思わず笑い出した。
「セットとしてはこんなものかなー。これを毎日やっていれば、確実に身体は柔らかくなり、ダイエットに繋がります。でも無理は禁物ね」
「せやせや。無理して体重が落ちたって意味あらへん。運動すれば、一時的に体重は増えるけど、身体は締まる‥‥って睨まんでーなー。わい、ええこと言っとるのにー」
「あははは! まあ確かに筋肉は重いから最初は体重増えるけど、そこを超えれば大丈夫だから」
ミゲールの言葉に厳しい目を向けた女性陣に、講師がカラカラと笑う。そんな講師に、クリスティが手を挙げながら聞いた。
「ちょっと教えて欲しいんだけど、いい? 私、肩の関節が固いというか、可動域が比較的狭いのよね。どうしたら柔らかくなるかしら」
「そういう時はね、肩甲骨を意識してストレッチしてみて。肩の可動域は肩甲骨も重要だから。肩甲骨を動かすように腕を回して、これ以上回らないなーって所で一旦静止。それからゆっくり息を吐きながら元に戻す。これを繰り返せば、可動域が広がって行く筈よ」
「肩甲骨かぁ、なるほどね。やってみるわ。ありがとう」
クリスティが講師に礼を言うと、講師も満足気に頷いて訓練の解散を知らせた。
「ストレッチは風呂上りとか、身体が暖まってる時やると効果的だよ! それから、継続は力なり! 一日二日じゃ柔軟性は得られないからね。そこんとこ、よく覚えとくよーに! それじゃあ、おつかれ!」
講師に挨拶を交わし、参加者たちが部屋を出て行く。その中で一人、織石がこそこそと講師に近づいてきた。
「あ、あの‥‥豊胸できるストレッチなんてものは‥‥ないだろうか?」
「ん? 何? 気にしてるの?」
言われて、織石の頬にさっと赤みが差す。それに講師が微笑んだ。
「そうだねぇ。バストアップはやっぱり姿勢が大事ね。本を両脇に挟んで、落とさないように肘から先を水平の高さまで上げるの。最初は軽い本で、だんだん重くしていって。そうすれば、胸の筋力も上がって姿勢もよくなるし、バストもアップすると思うわ」
「な、なるほど‥‥やってみる」
「よし、頑張れ! 頑張れば私くらいにはなれるわよ。因みに私はEカップだけど」
そう言って講師が明るく笑う度に揺れる形のいい胸を、織石はじーっと見つめていた。