吸血鬼の花嫁 guerre1アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
10/08〜10/12
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●本文
――吸血鬼。
それは長い牙を持ち、その牙で人間の生き血を吸う化け物である。
不老不死とも蘇った死者とも言われ、見境なしに人間を襲い、血液を奪うと恐れられているが、それは伝説上の存在として一般に伝えられている、かつての吸血鬼像だ。
現在の吸血鬼は、ある『絶対なる掟』を守り、必要以上に人間の血を求めはしない。なぜなら、それは彼らを生かし、人間との調和を目指すうえで大切な条約だからである。
そう、彼らは伝説上の存在ではなく、人間の中で、人間と同じように生きている。
『花嫁の掟』という、ただ一つの掟を守りながら。
――って感じの、深夜特撮番組なんですが・・・・
ついに連続ドラマになりましたよ! いやー、嬉しいなぁ! これも皆さんのお陰です!
ってことで、連続して出演して頂ける人を探してるんです。あ、勿論、一回限りの方も大歓迎ですけどね。
最初のシリーズは『謎の犯罪吸血鬼組織イノヴェルチとアンバサッドの攻防』がメインで、全5話になります。
配役で必須と書かれているものは連続して出演頂ける人を、通常はできるだけ連続して出演頂ける人を希望しております。
その他については、この回のみの出演なので、希望者がいない場合は私が探して来ますから。無理に配役しなくても大丈夫ですよ。
それでは、ここに次回予告のコンテと設定がありますんで、是非見て行って下さいね。
●次回予告
キキーッという甲高いブレーキ音と、救急車のサイレンが響く。
「花嫁の連続事故死?」
不審な点のある事故について調査していくASと警察。
(※警察内でASの存在を知っているのは上部のみ)
ASの動きを警戒し、VPに対しての監視を強めるVH。
そんな中、怪しげなTVが動いている。その様子を見ている強力なTV。
怪しげな吸血鬼に迫るSC。
「花嫁を事故死に見せかけて殺した」
SCの前に、強力なTVが立ちはだかり、戦闘が始まる。
必須配役
AS:花嫁連続事故について調べていく(数名)
人間の刑事:事故死を他殺の線で調べている(2名)
VH幹部:吸血鬼は皆悪だと思っている(1名)
強力なTV:SCを凌げる程の強いTV ※イノヴェルチ幹部(1名)
通常配役
SC:TVを捕らえるために戦う(数名)
VH:VH幹部の部下。思いは様々だが、幹部の命令には絶対(数名)
その他配役
怪しげなTV:事故死に見せかけて花嫁を殺しているTV(1名)
設定
●セリバテール(略=CV)
吸血未経験の吸血鬼。
能力:人間の数倍以上の視嗅覚、身体能力。
体質:慢性的貧血症(3歳位で発症、特殊な薬でのみ回復)。他、人間と変わらず。
弱点:特に無し。ニンニク臭が苦手な者もいるが、害は無い。
補足:成長速度を考慮し、大抵20歳頃まではCV。CVで生涯を終えた者もいる。感覚で同士が判る。
●ヴァンピール(略=VP)
吸血経験済の吸血鬼。
能力:CV時の能力、動物への変身、翼(形は様々)での飛行、肉体及び血液の武器化、強力な再生治癒能力、個々の特殊能力。
武器:VPの想像力に寄り、様々に作成可能。但し、複雑な構造や大量失血を伴う巨大な物は不可。
体質:戦闘等で失血した場合、又は1ヶ月に1回の血液摂取(400CC程度)が必要。成長速度が極端に遅く、平均寿命200年、最長寿350年。
弱点:激しい太陽光、銀。触れると熱傷が起き、対処無しだと骨まで溶ける。
死因:弱点による全身50%の熱傷、頭・心臓の機能停止、失血死、寿命。
補足:花嫁死亡の場合、次の花嫁の発見までは薬で凌ぐ。その間、能力の変化は無いが貧血症再発。自らの花嫁の位置を感覚で探索可能。
●アンバサッド(略=AS)
各国で吸血鬼の統括をしている機関。
仕事:VPへの仕事や住居の提供、生活に必要な薬や太陽光対策商品の販売等。勧誘は無し。新人VP研修はボランティア。
仲介:TVやSFの調査・消去・逮捕等。戦闘人員を『サンクシオン(略=SC)』と呼び、一定以上の戦闘能力を持つ者を選出。
補足:仲介無しで人間同等の仕事をする者もいる。主に深夜や室内での仕事等。
●トレートル・ヴァンピール(略=TV)
花嫁の掟を破る、又は犯罪(人間社会の法律に基く)を犯した吸血鬼。
掟破り:被害者数に関係なく消去(死刑)。
犯罪者:逮捕後、ASで裁判(人間社会に酷似)を受ける。
補足:『イノヴェルチ』というTVの組織も存在するらしい。
●ヴァンパイアハンター(略=VH)
人間が独自に設立した、軍隊の様な対吸血鬼組織。一般人に認知なし。
活動:全てのTVの即消去。
補足:組織員の多くが吸血鬼に憎しみを持つ。その苛烈な活動内容によりASと仲が悪く、両者の小競り合いも多い。吸血鬼と協力しようとする者は稀。
●サクリフィス(略=SF)
吸血鬼が持つウィルスが感染した人間。牙から感染する。
ウィルス:潜伏期間は2時間。発病すると自我を失い、極度の貧血症となって人の血を求める。回復の見込みはない。
治療:潜伏期間中の抗生物質の投与。これで助かった人間が花嫁になる事はない。
●花嫁(ヌーヴェル・マリエ)
吸血鬼ウィルスに対する抗体を持つ人間。呼び方に性別関係なし。突然変異はなく遺伝的(隔世遺伝)なもの。第二次成長期に覚醒。
判別方法:吸血鬼の嗅覚により、体臭(匂いは様々)で判別。
花嫁の儀式:吸血鬼が花嫁の同意を得て首筋へ吸血行為を行うと、そこに吸血鬼の羽を模した痣が現われる。痣は花嫁の死亡か、花嫁の義務を放棄する事を吸血鬼に伝えた時点で消える。
抗体:ウィルスを造血剤へと変える作用があり、吸血によって消費された血液は3〜6時間の間に回復する。その後、抗体は20日間ほど能力低下状態となり、その間の吸血行為は危険とされる(SFにはならないが、負担が大きい)。
●吸血鬼の認知度
全世界の70%の人間が『伝説上の危険な化け物』と認識、20%花嫁、10%吸血鬼・花嫁の関係者。
混血児: VPと人間の子供は50%で人間か吸血鬼にわかれ、CVと人間との子供は100%人間。混血児の血も通常の吸血鬼と同等だが、貴族などの純血種による偏見(弱い、劣性等)は存在する。
●花嫁の掟(吸血鬼のみに伝わる)
ヴァンピールはヌーヴェル・マリエ(以下、花嫁)の血液のみ摂取を許され、血液を提供した花嫁を守る事を約束し、何らかの要因により花嫁が血液提供の義務を放棄する場合、それに従わねばならない。又、生涯において幾人の花嫁を持つ事が許されるが、同時期に1人以上の花嫁を持つ事は許されない。
花嫁は契約したヴァンピールに対し、定期的に血液を提供する義務を持ち、自らの意思で血液摂取の許可否をする事ができる。又、健康保持の為、1人以上のヴァンピールに血液を与えてはならない。
この掟を破りしトレートル・ヴァンピールは、サンクシオンの手によって消去する。
●リプレイ本文
●深夜、狭い道
歩いているルディリア(ユフィア・ドール(fa4031))の後ろから、車が走ってきて、ルディリアを弾き飛ばした。ルディリアが壁にぶつかり、崩れ落ちる。
車の窓が開き、首を出してルディリアを確認したのは悠羅(月白・蒼葵(fa4264))だった。何事かと周りの家々に灯りが点くと、車は走り去って行った。
●アンバサッド
セフィリス(月 美鈴(fa3366))が書類を捲っている。その横に、新しい書類を置いたのは洸耶(橘・月兎(fa0470))だった。セフィリスが溜息を吐く。
「全く、この忙しい時に‥‥貴方のパートナーは何をしているのかしらね‥‥」
「吸血鬼も風邪を引くんだな」
「病原菌への免疫は人間と同じよ‥‥ただ、回復力が高いから、重い病気にかからないだけで‥‥」
セフィリスが言いかけた時、電話が鳴った。受話器を取ったセフィリスの表情が、だんだんと険しくなっていく。
「‥‥警察の方はこちらで処理をします。あなたたちは調査を続けて‥‥また花嫁が事故にあったわ‥‥」
受話器を置き、呟いたセフィリスの言葉に、洸耶が息を呑んだ。
●早朝、轢き逃げ現場
警察と野次馬が集まっている。その中心でタイヤ痕の傍に屈んでいるのは神崎章吾(レイス アゲート(fa4728))と笠島智也(葛城・郁海(fa4807))だった。
「真直ぐ来てますね‥‥」
「避けられなかったのか、はたまた避けようとしなかったのか‥‥」
笠島の呟きに、神崎が言いつつ立ち上がる。それに続き、笠島が手帳を取り出した。
「今回の被害者は腕に擦り傷と打撲を負っただけですね。今病院で手当てを受けています。今までの被害者が全員死亡してるのを見れば、奇跡的って言っていいんじゃないですか?」
「犯人が同じとは限りませんよ」
「いやいや、これだけ轢き逃げが続いてるんですよ。これは連続殺人事件ですって‥‥今回ので未遂も入りますけど」
言いながら、二人は現場を離れ、車へと乗り込む。
「被害者や現場に共通点は一切見られない。これでも犯人は同じだと?」
「実はですね、今若者たちに流行っている噂がありましてね。まあ、都市伝説の類ではあるんですが」
笠島が車を発進させながら話し始めた。
「何でも、吸血鬼に魅入られた人間は数日のうちに死ぬっていうんですよ。死神じゃなくて、吸血鬼。変ですよね。でも、調べていくと、どうも被害者たちの恋人は皆、夜間業か屋内から出ない職業なんですよね。吸血鬼っぽいでしょう?」
「‥‥吸血鬼‥‥ですか‥‥」
ぽつりと呟く神崎を笠島が横目に見るが、神崎は何も言わずに窓の外を見つめていた。
一方、現場では、鑑識の様子をロスト(ヴォルフェ(fa0612))が眺めていた。
「いいのかい? あんなに派手に跡を残して」
「構わん。どうせ人間に我々の邪魔などできん」
ロストに答えたのは、建物の影に溶け込むように立っていたユストゥス(フェイテル=ファウスト(fa0796))だった。
「それより、貴公は工作部の事を気にしている場合ではないのではないか? ろくな戦闘員がいないという話ではないか」
「うわ、痛い所を突くね」
おどけるロストに、ユストゥスが冷たい目で睨み付ける。それにロストが肩を竦めて、現場に背を向けた。
「それじゃあ、俺は自分の仕事に戻るよ。君もあの方の期待に答えるよう、頑張ってくれ」
「その言葉、そっくり貴公に返そう」
ロストが苦笑し、野次馬たちの中に溶け込んでいく。それを見送り、ユストゥスが現場へと目を向けると、その近くに久遠(月白・緋桜(fa4265))を見つけた。厳しい目で現場を見ている久遠の様子を、ユストゥスが警戒しつつ見る。と、久遠が視線に気づき、ユストゥスの方を振り返った。だが、既にユストゥスの姿はなかった。
●病院の一室
ドアを洸耶が開けると、ルディリアの前に神崎と笠島が立っていた。ルディリアが「刑事の方よ」と洸耶に教える。
「それでは、私どもはこれで‥‥」
「ご協力有難う御座いました」
神埼と笠島が頭を下げて病室を出て行くと、洸耶がルディリアの前に立った。
「怪我は大丈夫なのか?」
「大丈夫。もう、あんな狭い道をスピードも落とさず走って来るなんて」
「警察は何と?」
「誰かに恨まれているような事はありませんか? ですって。そんなのあるわけないじゃない。あの人たち、彼氏の事まで聞くのよ。嫌になっちゃう」
「彼氏は来ないのか?」
「来たわよ。だけど軽い怪我だから、すぐに追い返したわ。仕事放り出して来てるんだもの」
肩を竦めながら話すルディリアに、洸耶が少し考えるような目をした後、にこりと笑いかける。
「もう帰っていいんだろう? 家まで送るよ」
言って、差し伸べられた洸耶の手を、ルディリアはにっこりと笑って取った。
●警察署内、署長室
「どういう事ですか!?」
「上層部からの命令だ。この件は、事故として扱われる」
苦い顔の署長に怒鳴っているのは笠島だった。その後ろで、神崎は何も言わずに床を見ている。
「事故に時間をかけるより、別の事件を解決しろ。いいな」
「‥‥判りました。行きますよ、笠島くん」
「ちょ、神崎さん!」
署長室を出て行く神崎を、慌てて笠島が追う。
●深夜、現場近く
既に鑑識もいない中、神崎にセフィリスが近づいた。
「久しぶりね‥‥」
「‥‥やはり、貴女方の管轄でしたか」
神埼がセフィリスに振り向く。セフィリスは無表情で神崎を見つめ、口を開いた。
「上から命令が下されているとは思うけれど、心配なのは貴方の部下だわ。彼を止めなさい。‥‥勝手に動いて、危険な目に会うのは彼よ」
言って、セフィリスはそっと溜息を吐いた。
「忠告はしたわよ‥‥」
セフィリスが闇に溶けて行く。神崎はそれを無言で見送った。
●同時刻、アンバサッド
書類を片付けていた洸耶の元に電話がなる。それは、怪しげな吸血鬼を発見したという連絡だった。洸耶は「判った」と一言伝え、部屋を出て行く。
●深夜の道路
急いで現場へと向かった洸耶は、そこでサンクシオンが倒れているのを見つけた。慌てて駆け寄ると、サンクシオンは気絶しており、血が流れ続けている。
「おい! しっかりしろ! ‥‥くっ!」
洸耶が携帯電話を取り出し、アンバサッドへ救援要請の電話を入れた。と、そこにざりっと足音が響く。洸耶がハッとして振り向くと、2本のサーベルを携えた久遠とレクサス(忍(fa4769))が立っていた。
警戒する洸耶をレクサスが冷たく一瞥し、歩き出す。それに続きつつ、久遠が洸耶を見る。
「‥‥あんた、花嫁だろ? ‥‥よくあんな化け物たちと一緒に過ごせるな」
言い捨てて、久遠がレクサスと共に闇に消えて行く。それに洸耶はサンクシオンを壁際に寄せると、二人を追いかけた。
猛スピードで走っていた一台の車の、後方のタイヤが破裂し、車は嫌な音を立てながら止まった。舌打ちをしながらゆっくりと悠羅が降りてくる。
闇の中から、銃を構えた久遠とレクサスが現れた。
「お前、吸血鬼だろ? 花嫁を次々と殺してるらしいな」
「‥‥だったら?」
久遠に対し、にやりと笑って答えた悠羅に、久遠がサーベルを抜く。
「消去するまでだ」
久遠のサーベルが、闇の中に閃いた。辛うじてそれを避ける悠羅だが、動きは鈍い。
「サンクシオンとやりあって、流石に疲れてるらしいな」
久遠が呟き、不敵に笑う。サーベルが悠羅の首を跳ね飛ばさんと迫った。が、サーベルはガキンッという高い音と共に宙を舞う。瞬間、レクサスが飛び出し、体勢を崩した久遠を抱き抱えて横に飛んだ。一瞬前まで二人がいた場所に、鎖のついた短剣が突き刺さる。
悠羅を背中に庇っているのはユストゥスだった。その姿に、レクサスが息を呑む。
「貴様‥‥!」
ギリッと歯軋りするレクサスに、久遠が怪訝な目を向ける。しかし、すぐにサーベルを構え直そうとしたとき、レクサスに止められる。
「レクサスさん?」
「‥‥奴は、お前では適わない」
レクサスが久遠を庇うように前に出た。その時、洸耶が走って来る。
「お前が‥‥犯人か! ‥‥沙流を殺したのも‥‥!」
憎しみを込めて叫ぶ洸耶に、悠羅が冷酷な笑みを向ける。その目線の先に、サンクシオンたちの足音が聞こえ、ユストゥスが短剣引き寄せる。
「分が悪い。今日の所は戻るぞ」
「判りました」
「待て!」
「いずれまた会うだろう‥‥貴公が我々イノヴェルチを追い続ける限り‥‥」
洸耶が静止をかけるが、悠羅はユストゥスの腕を取ると、一瞬の間に消え去った。
●イノヴェルチ
光の乏しい、暗い部屋の中で、悠羅とユストゥスを迎えたのはロストだった。その横には、ルディリアも立っている。
「ちょっと! 約束が違うじゃない! 怪我しちゃったじゃないの!」
「掠り傷だけだろ? そのくらい、すぐ治る」
「あんたたちと一緒にしないでよね! 乙女の肌に傷が残ったらどうするの!」
「まあまあ、ルディリア。落ち着きなさい」
悠羅に食ってかかるルディリアを、ロストが苦笑しながら宥める。それに、ユストゥスがロストに視線を向けた。ロストが肩を竦める。
「悠羅。花嫁を事故死させる作戦は終わり。今後は違う作戦で行くよ」
「違う作戦とは?」
「まさか、実行に移しちゃうの? 戦闘員もろくに揃ってないのに?」
首を傾げる悠羅の横で、ルディリアが目を丸くしてロストを見る。
「あの方の命令だからね。そろそろ派手に行きましょうってさ」
「‥‥そうか‥‥」
ロストの言葉に、ユストゥスが無表情で闇を見つめた。