ElDorado/RojoCantar 1アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
10/11〜10/15
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●本文
龍によって守られ、魔法によって栄えている世界、エルドラード。
その世界には5つの国があった。
氷雪の国、ノルド・ノルテ。
常夏の国、ユーク・スール。
鉱山の国、デュシス・オエステ。
芸術の国、オスト・エステ。
そして、その4つの国の中心に位置する、セント・セントロ。
蒼穹の空の日。セント・セントロにある魔法学校では、卒業式が行われていた。
この魔法学校は世界中から魔法使いの素質ある者が集まり、魔法を学ぶ場所である。その授業内容は厳しく、卒業できないものは一人前の魔法使いとして認められる事はない。
双頭の龍が金色に輝く旗の下で、過酷な試練を乗り越えた魔法使いたちが凛とした表情を並べている。彼らはこれからまた、新しい試練へと向かうのだ。
魔法使いたちは卒業した後、学校から充分な金を渡される。それは通常の人間であれば、一ヶ月は遊んで暮らせるほどの量だ。しかしそれは彼らに遊べと言って渡しているものではない。
彼らはその金を使い、護衛の戦士を雇って旅に出る。自らが住みやすい国を探す旅に。自らを求めている人々のいる国を探す旅に。自らの力を確かめる旅に。
そしてまた一人、魔法使いが旅支度を始めた。胸に緋色のペンダントを揺らし、蒼穹の空を見上げる。
「我らに、龍の加護を」
魔法使いは旅立つ。自らの出生の謎を知る為に。
第1話『ハジマリ ノ ソラ』
旅支度を進める主人公。だが、スリに大切なペンダントを盗られてしまう。
ペンダントを探してスリを追う主人公たち。だが、そんなとき、盗賊同士の小競り合いに巻き込まれてしまい‥‥
●必須キャスト(連続出演者を望む)
・主人公の魔法使い
何事にも動じない、飄々とした性格の魔法使い。魔法学校を主席で卒業し、得意魔法は炎系だが、他の攻撃魔法や補助魔法も使う事が出来る。体力はそれなりにあるが、武芸は護身術程度で、力はない。戦闘は後方援助。施設育ちで、その出生に謎がある。魔法学校を卒業後、謎を解く鍵であるペンダントを携え、謎の答えを求めて旅をする。
・主人公の護衛
主人公の幼馴染で、兄(姉)的存在。幼い頃に事故で両親を亡くしており、主人公と共に施設で育つ。主人公が魔法学校に入ると同時期に戦士を目指し、主人公の護衛をして旅をする事を決める。魔法は一切使えないが力が強く、身の丈ほどもある大剣を軽々と振り回す。
・主人公について回る弟分(妹分)
第一話で仲間になる、元スリ。盗賊の揉め事に巻き込まれ、命を取られそうになった所を主人公に助けられる。以来、主人公を兄貴(姉貴)と慕い、役に立とうとついて回る。身軽な動きを駆使しての戦闘や、情報収集が得意。魔法の勉強はした事はないが、素質はあるらしい。
・主人公のライバル
魔法学校時代から何かにつけて主人公をライバル視してくる魔法使い。得意魔法は風系で、学校時代の成績は常に2番目。貴族の出身で、本来なら家を継ぐ為に旅に出る事はしないのだが、勉学の為と親を誤魔化し、主人公に「ぎゃふん」と言わせる事を目標に旅に出る。嫌味な事を言いつつも、主人公を助けている。実はいい人?
・ライバルの護衛
ライバルの世話役兼護衛。ライバルが幼い頃から仕えているので、その性格には慣れている。主人公たちに対しては「主人がいつもお世話になっております」な感じ。照れ隠しのように主人公へ突っかかる主人を、和やかな目で見守っている。遠い異国の細剣(日本刀)を持ち、『居合い』という技の強力な使い手である。
(性別は役者の方々に合わせようと思っています。それに応じて、名前も決めて頂けると嬉しいです。名前はカタカナで、名・姓として下さい。貴族の場合、名と姓の間に『フォン』が入ります)
●通常キャスト
(連続出演でない為、希望者がいない場合は無理に決めなくてもいいです。複数形の場合、何人配役しても構いません)
魔法学校校長/主人公の友人たち/町の人々/盗賊たち
設定
●5つの国
セント・セントロ
魔法学校がある、世界の中心国。ライバルの出身地。
守護龍は金色の双頭龍。双頭龍は魔法学校のシンボルともなっている。
ノルド・ノルテ
セントロの北に位置する、永久凍土が名物の冬の国。主人公と護衛の出身地。
守護龍は白龍。5頭の中で一番若い龍で、竜王の争い後に生まれたとされている。
ユーク・スール
セントロの南に位置する、自然豊かな常夏の国。
守護龍は赤龍。竜王の争いで国を守るためにその力を使い果たし、眠りについていると言われている。
デュシス・オエステ
セントロの西に位置する、山に囲まれた鉱山の国。弟(妹)分の出身地。
守護龍は黒龍。龍の中では一番の年寄りで、白龍との戦いで片目を無くしている。
オスト・エステ
セントロの東に位置する、広い土地と数千のアトリエのある芸術の国。
守護龍は緑龍。歳は双頭龍と同じだが、大きさは龍の中で一番小さい。
●竜王の争い
3000年前に起った戦争。当時の白龍が領地を広げようと他国を侵略し、5頭の龍とそれぞれの国が争った。最終的にセント・セントロの上空で双頭龍と白龍の戦いが始まり、双頭龍が白龍を制した。以後、5つの国に戦争らしい戦争は起っていない。
●守護龍
守護龍はその国の人々の思いによって生まれるため、その国民性が性格に現れる。
戦争時、常に冬の状態で厳しい生活を送っていたノルド・ノルテの人々が、他国に対して非常に強い妬み憎しみを持っていたが為に、前白龍のような冷酷な龍が現れたとされている。
●話数
同じ世界観を使って数個のシリーズを考えています。
今回のシリーズ『RojoCantar』は全5話です。
●リプレイ本文
第1話『ハジマリ ノ ソラ』
「汝らの旅路に、龍の加護のあらん事を」
赤地に金色の双頭龍が刺繍された旗の下、壇上から卒業生を見下ろし、激励の言葉をかけたのはセント・セントロ魔法学校校長であるアンリ・フォン・ブリュノール(相沢 セナ(fa2478))だった。黒衣のローブを纏い、白銀のサークレットを額に輝かせた校長は、水晶を持つ双頭龍を象った大振りな杖を掲げる。それに合わせ、卒業生たちも各々の杖を掲げた。
「ミメイア。もう行かれますの?」
魔法学校の制服である灰色のローブを着込んだミメイア・クンメナー(富垣 美恵利(fa1338))は、かけられた声に振り返った。同じく灰色のローブに、『和服』と言う遠い異国の服を着たビアンカ(夢想白露(fa4756))が、扇子と呼ばれるアイテムを手にニコニコと笑っている。
「うん、待たせてる人がいてね」
「あら? 彼氏?」
「違うわよ。私の姉さんみたいな人。旅の護衛を頼んだの」
言って、ミメイアはビアンカに手を振り、ローブを翻した。胸元で、緋色のペンダントが煌めく。
学校寮の玄関で、旅用の質素な服に着替えたミメイアを待っていたのはブリット・ベールヴァルド(ティタネス(fa3251))だった。身の丈程の大剣を杖にし、柄に寄りかかって立っていたブリットは、寮に帰って行く灰色のローブをボーっと眺めながら、大きな欠伸をする。
「おっきい欠伸ねー。ブリット」
「ああ、ミィ。もういいの?」
「うん。持って行く物なんて、殆ど無いしね」
幼児程の大きさの袋と杖を持ったミメイアは、一つ伸びをして大剣を背中に背負うブリットを見上げた。
「しっかし、魔法使いってのは面倒なもんだね。卒業したら絶対旅に出なきゃならないなんて」
「絶対ではないよ。貴族の人とかは旅に出る人ってあんまりいないし。すぐに故郷に帰って、そこで雇われる人もいるしね」
話しながら、二人は歩いていく。と、学校の門近くで、二人の男性と教師のラウレシア・フォン・エヴァディル(紅雪(fa0607))が立っているのを見かけた。
「マダム・ラウレシア」
「あら、ミメイア。卒業おめでとう」
「有難う御座います」
声をかけたミメイアに、ラウレシアが満足そうに頷く。そして、ミメイアの視線が二人の男性に向かっているのに気づくと、自らの眼鏡の縁に指をかけた。
「紹介しましょう。こちらは我が校の卒業生、つまりあなたの先輩ね」
「ライル・クロウドです。こっちは、俺の護衛でセスっての。宜しくね」
言ったのは濃紺色のローブを纏ったライル・クロウド(玖條 響(fa1276))だった。その横で、長剣を腰に携えたセス(蘇芳蒼緋(fa2044))が軽く頭を下げる。
「マダム、もしかしてこの子が今期の首席?」
「ええ、そうです」
「へぇー、凄いじゃーん。かく言う俺も、一応首席卒業なんだけどね」
にーっと笑って覗き込んで来るライルに、ミメイアが曖昧に笑って身体を引いた。それにラウレシアがゴホンと咳をして、ライルに話しかける。
「ライル。あなたには仕事が残っているのではないのですか?」
「あー、そうだったー。ミメイアちゃんだっけ? 聞いてよー、ブリューノル校長ったらさー、俺たち二人だけでトウゾ」
「ライル」
言いかけて、ライルの口がセスの手に塞がれた。何やらモゴモゴと言っているライルを無視して、セスがミメイアとラウレシアに頭を下げる。
「では、俺たちはこれで」
「まったねー」
ローブの襟を持ち、セスがライルを引きずって行く。ライルも、それを当たり前のように気にせずに、ミメイアに向けて手を振った。苦笑しながら手を振り返すミメイアの横で、ラウレシアが額を押さえて溜息を吐き、ブリットは肩を竦めた。
「えーっと‥‥地図と、薬草と、燃料と、食料と‥‥」
「ロープ買ったっけ?」
「あ、買ってない」
商店の立ち並ぶ街の真ん中で、噴水近くのベンチに座って荷物袋をごそごそと漁っているミメイアとブリットに影が差す。ミメイアがそれに気づいて顔を上げると、そこには腰に手を当てたクロウディア・フォン・フローライト(エルティナ(fa0595))が仁王立ちしていた。
「あれ? クラウちゃん」
「馴れ馴れしく呼ばないで頂けます?」
「その格好‥‥もしかして旅に出るの? クラウちゃん、家を継ぐんじゃなかったっけ?」
言ってミメイアが指差したのはクロウディアの簡素な服だった。と言っても姿形こそは旅人だが、生地や作りはミメイアの着る服よりも遥かに高価なものである。クロウディアの後ろには、恭しく頭を下げ、手にはこれまた高価そうな生地の荷物袋を持ったウィスタリア・ブローディア(シヅル・ナタス(fa2459))が控えていた。こちらもシンプルな動きやすそうな服を着ている。
「貴族たる者、庶民の暮らしや他国の情勢も知っておきませんと。勉学の為、お父様に旅の許可を頂いたのですわ」
「お嬢様はそれはもう、必死なご様子でお父上様に頼み込まれておりました。ライバルには負けたくないと仰られて‥‥」
「ウィス! 余計な事は言わないでくれます!?」
にこやかに言ったウィスタリアを、クロウディアが睨み付ける。それにウィスタリアは微笑んだまま「申し訳ありません」と頭を下げた。
「そっかぁ。クラウちゃんも旅に出るんだね。お互い頑張ろうね」
「ふん! いつかその飄々とした顔を崩してやりますわ!」
「それじゃあ、私たち、ロープを買いに行かなきゃならないから」
言って、ミメイアが立ち上がると、胸元にペンダントがしゃらんと滑り落ちる。と、ウィスタリアがクロウディアの腕を引き、一歩下がらせた。直後、赤茶の髪を後ろで一本に縛った少女がクロウディアとミメイアの間を駆け抜ける。少女とミメイアの肩がぶつかり、ミメイアが尻餅を着いた。
「うわっ! ‥‥あたたた」
「ごめんねー! 急いでるのー!」
「あの程度も避けられないなんて、のろまな方ね」
「大丈夫か?」
差し伸べられたブリットの手を取り、ミメイアが立ち上がると、少女の姿は既に見えなくなっていた。そして溜息を吐きつつ、落ちてきた横髪を後ろに流そうと手をやった時、ミメイアの手が止まった。
「ペンダントがない!」
「やられましたわね、ご愁傷様。きっと、さっきの子ですわ」
「は、早く追いかけなきゃ!」
慌ててミメイアが少女が走り去った方向へ駆け出す。と、こちらに向かって来ていたビアンカとぶつかりそうになった。
「あら? ミメイア」
「ビアンカ! ペンダントが盗られちゃったの! どうしよう!」
「落ち着いて、ミメイア。何がありましたの?」
にっこりと微笑むビアンカに、追いかけて来たブリットがスリに会った事を話すと、ビアンカは小首を傾げつつ話し始めた。
「それでしたら、裏通りにある赤い屋根の道具屋に行ったらどうかしら。確かあそこ、色々な物を買い取ってくれるみたいですから、もしかしたらスリの子もあそこに売りに行くかもしれませんわよ」
「有難うビアンカ! 行ってみる!」
礼を言って走って行くミメイアをブリットが追いかけ、ビアンカがそれを手を振って見送る。その後ろで、ウィスタリアがクロウディアに呟いた。
「裏通りの道具屋と申しますと、盗賊たちと繋がりがあるとの噂も御座います。護衛の方もおありとは言え、二人だけでは少々危険なのでは‥‥?」
「だからと言って、私が行く義理はなくてよ」
「貴族たる者、市民の生活を脅かす者たちを討伐するのも必要かと思われますが」
「‥‥そ、そうね。それも一理あるわ。仕方ないわね‥‥」
コホンと一つ咳をして、クロウディアがいそいそと裏通りへ足を向けた。そして少し赤くなった顔でウィスタリアに振り返る。
「何をしているの! 早く参りますわよ!」
その声にウィスタリアは楽しそうな笑みを口元に浮かべ、主人の後を追った。
「結構いい石だと思うんだけど、どう? ホントはもう一人の貴族っぽい奴から盗ろうと思ったんだけど、避けられちゃってさぁ」
言って、ペンダントを裏通りの道具屋の店主に見せているのは、赤茶の髪をふわふわと揺らすリーチェ・ロデム(榛原絢香(fa4823))だった。道具屋は難しい表情で、細かい細工のされた銀の土台の中央に嵌められた緋色の石を眺めている。
「見つけたー!」
「げっ! 見つかった!」
そこにやって来たのはミメイアだった。後ろからブリットも追いかけて来るのを見て、リーチェが慌てて店主の手からペンダントを取り返そうとする。だが、その直前にペンダントは別の男の手によって奪われてしまっていた。リーチェが振り返ると、そこには柄の悪そうな盗賊たちが、にやにやとリーチェを見下ろしていた。
「うっわ! 最悪‥‥」
「おいおい、リーチェよぉ。そんな顔すんなよなぁ」
嫌そうに顔を歪めるリーチェの肩に、盗賊の一人が手を置く。そして、持っていたペンダントをふらふらと揺らした。
「おーい、これ結構高いんじゃねぇか? 何で俺らに断わりもなく換金しようとしてんだ? なぁ? 行き倒れてたお前を助けて、面倒みてやったのは誰だと思ってんだ? ‥‥こいつは俺が貰ってくぜ」
「ちょっと待ちなさいよ! それは私のペンダントよ!」
ペンダントを懐に入れようとする盗賊に、ミメイアが叫んだ。瞬間、盗賊の懐の中でペンダントが強い輝きを放つ。その光に盗賊が目を閉じた瞬間、緩んだ腕からリーチェが逃げ出す。
「っのやろ、捕まえろ!」
盗賊たちがリーチェを追いかけ、手を伸ばした。その間にブリットが素早く割り込み、大剣を振り回して盗賊たちを薙ぎ飛ばす。その隙に、リーチェはわたわたとミメイアの背中へと隠れた。
「クレフティヒ!」
ミメイアの掲げた杖から黄色い光が溢れ出し、ブリットの身体を覆う。淡い黄色に包まれたブリットは盗賊たちの拳や剣をその腕に受けても動じずに、逆に投げ飛ばした。
「マグナブロー!」
杖の先が赤くなり、周りに3つの火球が生まれる。火球はブリットに群がっていた盗賊たちへ飛んで行き、その身体を押し飛ばした。
「こいつ、魔法使いだ!」
「何、ガキにびびってんだ! 相手は二人だけだ、やっちまえ!」
「‥‥二人だけと、誰が言いましたかしら? エアリアルブロークン!」
声と同時に、無数の風の刃が盗賊たちを切り刻む。声の元へミメイアが振り返ると、そこには杖を盗賊たちへ伸ばしたクロウディアの姿があった。彼女の横からウィスタリアが飛び出し、緩く弧を描いた細剣を鞘から抜き放つ。剣から放たれた風圧が、石畳に転がる塵や石と共に盗賊たちを吹き飛ばした。盗賊たちが唸りながら後退る。
「あれ? 何か騒がしいと思ったら子猫ちゃん達かぁ」
そこに、場にそぐわない暢気な声が聞こえた。見れば、セスを従えたライルが小首を傾げていた。
「子猫ちゃん達も鬼退治?」
「‥‥え? 子猫ちゃんって私の事?」
にっこりと笑うライルに、ミメイアが苦笑いをする。そんなライルに盗賊の一人が叫びながら飛び込んでいった。それにセスがライルを庇うように前に立つ。
「じゃあ、セス。後、宜しく」
「‥‥御意」
呟き、セスがすらりと剣を抜き放ったかと思うと、向かって来た盗賊を斬り払った。そのまま盗賊たちの中へ飛び込み、次々と斬り倒して行く。
セスの剣が立っていた盗賊たちを薙ぎ払った時、ライルがコートの内側から一つの小枝を取り出した。そしてその小枝を宙に投げ、呪文を唱える。
「ヴィルクムヴィオフカ」
瞬間、小枝が黄色に輝き、ぐんぐんと伸びて盗賊たちへ巻きついた。盗賊たちはあっという間に木のロープに縛られて、一箇所に集められてしまう。
「ほい、お仕事完了っと」
言いながら、ライルが盗賊の懐からペンダントを取り出し、ミメイアへと投げる。慌てて受け取ったミメイアは、にっこりと微笑むライルを見上げた。その横では、リーチェが瞳を輝かせながらミメイアを見つめていた。
「ご苦労さまです」
「って言っても、殆ど子猫ちゃん達が片付けてて、出番なかったけどね」
魔法学校の校長室で、アンリの労いの言葉に肩を竦めたのはライルだった。後ろには当然のようにセスが控えている。その様子を口元に笑みを浮かべながら横目に見て、アンリは窓の外を見た。
「ついに旅立ちですか‥‥」
「心配ですか?」
「いえ‥‥逆に楽しみです。彼女が‥‥自らの出生を知り、そしてどんな未来を定めるのか‥‥」
ライルの言葉にアンリがちらりと振り返った先では、ライルたちの他にラウレシアもこちらを見ていた。相変わらず厳しい表情をしているが、それがどこか誇らしげなのにアンリが微笑む。
「あの子の成長を、楽しみに見守りましょう‥‥」
アンリが呟きつつ見つめる窓の外で、ミメイアとブリット、そして二人を追うリーチェの姿が見えた。