恋チョコ!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 中畑みとも
芸能 2Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 2.5万円
参加人数 12人
サポート 0人
期間 10/09〜10/12

●本文

 とある会議室の一室で、数人の中年男性たちが一つのチョコレートを囲んで、うんうんと唸っていた。
 チョコレートは淡い赤色の可愛らしい箱に入っており、箱の上面には『恋するチョコレート・スィートハート』と書かれていた。どうやら、某お菓子会社の新作らしい。
 そして男性たちは、その新作を世に送り出すために効果的なCM作成について悩んでいるのだった。
「やっぱり、恋するチョコレートと銘打ってるわけですから、ここは少年少女の甘酸っぱい告白シーンを作ってみるとか」
「まあ確かに、それはいい案なんだが‥‥何かいい告白の台詞とかあるか?」
「いや、そう言われましても‥‥ねぇ‥‥」
「名前や見た目からしても、ターゲットは女性ですから、女性の心に響くようなものじゃないと‥‥」
「だからと言って、あまり幼稚なものを考えてもなぁ」
「俺、毎朝味噌汁を作ってくれ、くらいしか思いつきませんよ」
「お前、いつの人間だ。それにそれはプロポーズの台詞だろうが」
「それ以前に、私ら既に40近くですよ。甘酸っぱい少年少女の告白フレーズなんて思いつくわけありませんって」
「あ、それじゃあ、告白フレーズやシーンを役者の方々に考えて頂くってのはどうですか?」
「ほお。いいな、それ」
「んじゃ、そういうことで」
「え? いいんですか? そんな丸投げで」
「恋心なんて当の昔に忘れちまったオヤジが考えたフレーズより、ピチピチの少年少女が考えたフレーズの方がいいだろうよ」
「ピチピチって‥‥」
「では、役者の方々を探してきますねー」



 と、いうことで。
 新作『恋するチョコレート・スィートハート』略して『恋チョコ』のCMを作成します。
 役者の方々は女性の方の胸がキュンッとするような告白シーン・フレーズを考えて下さい。勿論、男性の方が胸キュンするようなフレーズでも構いません。要は胸キュンできれば、それで。


●撮影方法
 セット・ロケーションの希望を出して頂ければ、こちらで準備します。
 一人での撮影でも、何人かで組んで撮影してもいいですが、一人一パターンでお願いします。ただし、ストーリー的に繋がりを持たせたい場合や、男性女性の数が合わなかった場合はこの限りではありません。
 細かいストーリーや裏設定なども決めて頂いて構いませんが、細かい部分はカットされる場合がありますのでご了承下さい。


●恋チョコについて
 甘酸っぱいストロベリーチョコを、ほろ苦いビターチョコで包み、ココアパウダーをたっぷり振り掛けた、一口サイズの真ん丸のチョコレートです。
 箱の裏側に書いてあるチョコの説明には、
『ストロベリーチョコは甘酸っぱい初恋の味』
『ビターチョコはちょっと苦い大人の恋の味』
『ココアパウダーは愛しい人への口付けの味』
 と書いてあります。

●今回の参加者

 fa0155 美角あすか(20歳・♀・牛)
 fa0475 LUCIFEL(21歳・♂・狼)
 fa0634 姫乃 舞(15歳・♀・小鳥)
 fa1590 七式 クロノ(24歳・♂・狼)
 fa1773 海斗(14歳・♂・小鳥)
 fa2029 ウィン・フレシェット(11歳・♂・一角獣)
 fa2680 月居ヤエル(17歳・♀・兎)
 fa2989 稲川ジュンコ(24歳・♀・ハムスター)
 fa3280 長澤 巳緒(18歳・♀・猫)
 fa3393 堀川陽菜(16歳・♀・狐)
 fa4144 柚木透流(22歳・♀・狼)
 fa4790 (18歳・♂・小鳥)

●リプレイ本文

●ウィン・フレシェット(fa2029)編
 真っ赤に熟した苺がチョコレートの中に溶け込み、ピンク色に変わっていく。ウィンの可愛らしくも甘い声が「ストロベリーは切ない初恋の甘酸っぱさ」と読んだ。
 ピンク色のチョコレートがくるんと丸くなると、上からとろりとした濃茶のチョコレートがピンク色のチョコレートをコーティングした。それにウィンの声が「ビターは少し苦い大人の気持ち」と続く。そして、丸いチョコレートにココアパウダーがサラサラと振り掛けられると、「ココアパウダーは乙女の口付け」というウィンの言葉とともに、恋チョコの箱とチョコレートが映し出された。
「それは恋するチョコレート、スィートハート」
 ウィンの声に合わせ、チョコレートの商品名が紹介される。


●美角あすか(fa0155)編
 カジュアルなドレスを来た美角が銀杏並木が美しい公園のベンチに腰を下ろしている。カメラに向かって楽しげな笑みを浮かべていた美角はハンドバックから恋チョコを取り出し、一つを摘むと口に含んだ。そして、カメラに向かって微笑んだかと思うと、すぐに俯いてしまう。
「ねぇ、男女の友情って成立すると思う?」
 美角がぽつりと呟き、切なげな顔をする。間を置いて、美角がまた恋チョコを一つ摘んでカメラに向き直った。美角が真剣な顔でカメラを見つめ、摘んだチョコレートを差し出す。
「私は、あなたとは友達のままでいたくないんだけどな」
 言って、美角がにこりと笑う。
 銀杏並木を背景に、恋チョコの画像が映し出され、美角の声で商品名が紹介された。


●七式 クロノ(fa1590)×長澤 巳緒(fa3280)編
 長澤が恋チョコの箱を持ってフレームに入って来る。一瞬、チョコがアップになり、長澤がギターを弾いていた七式の隣に座る。
 長澤は恋チョコを一つ取り出し、七式へ「食べる?」と首を傾げた。それに、七式がギターの演奏を止め、「ああ」と頷く。
 長澤はチョコレートを七式の口元に持っていくが、ふいに手を戻してチョコレートを自らの口に入れた。七式が少し目を丸くして「なんだよ」と言いつつ、テーブルに置かれた恋チョコの箱に手を伸ばすが、長澤に取られる。
 眉根を寄せる七式に、長澤が恋チョコを一つ取り出し、七式に食べさせる。素直にチョコレートを口に入れる七式に、長澤の笑顔がアップになった。
「キスの方が良かった?」
 それに、少し照れながらも微笑み返す七式の顔がアップされる。
 七式が再びギターを弾き始め、長澤はそれに寄り添う。カメラが引き、テーブルの上に置いてある恋チョコの箱へ移る。二人の声で「この気持ち、君だけに気付いて欲しい」と流れ、チョコレートの商品名が紹介された。


●LUCIFEL(fa0475)編
 スーツを着た女性が疲れたように自宅へと帰って来る。ヒールを脱ぎ捨てた女性は部屋へ入ると、持っていたバッグを床に放り投げ、ソファに沈み込んで溜息を吐いた。そして、テーブルに置いてあった恋チョコへ手を伸ばし、その中からチョコレートを一つ摘み出す。
 女性が疲れた表情でチョコレートを口に入れた。すると、肩越しに男の手が伸び、女性を優しく包む。LUCIFELの顎が女性の肩に乗せられ、驚く女性にLUCIFELは優しげににこりと微笑んだ。LUCIFELが女性の耳元に口を近づけて囁く様子がアップになる。
「思い出まで抱きしめて、二度とキミを離さない」
 LUCIFELの声に被さるように、恋チョコの画像と商品名が紹介される。


●海斗(fa1773)×柚木透流(fa4144)編
 オフショルダーでプリンセスラインのウェディングドレスを着た柚木が、鏡の前でロングヴェールを上に上げる。すると、鏡越しに海斗が部屋に入って来るのが見えた。
「おめでとう‥‥似合ってるね」
「ふふ、ありがとう」
 にこりと微笑む海斗に柚木も鏡越しに微笑む。しかし、すぐに切なげな顔になってしまった海斗に、柚木も俯いてしまう。
 カメラのアングルが海斗の斜め後ろに変わり、海斗はテーブルに置いてあったグラスに近づく。グラスには丸いチョコレートが幾つか入っていて、海斗はその中から一つ摘んで口に放り込んだ。そして、海斗は意を決したように柚木に近づき、手を取って立たせる。
 首を傾げながらも立ち上がった柚木を見上げ、海斗が柚木の手をぎゅっと握る。
「好きなんだ。‥‥攫って行っても、いいかな‥‥」
 言って、海斗が少し背伸びをしながら柚木にキスをした。驚いたように目を見開く柚木の顔がアップになり、柚木はゆっくりと微笑んで目を閉じる。
 カメラが引いて、二人が顔を近づけ合う。ピントがぼやけたと思うと、テーブルのチョコレートが入ったグラスと恋チョコの箱が映し出される。二人の声で「そのキスは、恋するチョコレートの味がした」と流れ、チョコレートの商品名が紹介された。


●姫乃 舞(fa0634)編
 ふわふわとぼたん雪の振る住宅街の道路を、男性が歩いている。寒そうにコートの襟を寄せながら男性が道路の角を曲がると、家の前に姫乃が立っていた。姫乃の肩や頭には白い雪が積もっており、かじかむ手を擦り合わせて真っ白の息を吐いている。
 慌てて駆け寄る男性に、姫乃が気づいて振り返った。姫乃は男性を見て嬉しそうに輝く笑顔を見せる。が、すぐに顔を赤くし、切なげに俯いた。
「ごめんなさい‥‥どうしてもあなたに会いたくて‥‥」
 呟き、姫乃は顔をあげて男性を見る。
「ただ、会いたかったの‥‥!」
 言って、姫乃が男性の胸に飛び込んだ。カメラが姫乃の持っている恋チョコの箱をズームで撮る。そして、姫乃の声でチョコレートの商品名が紹介された。


●慧(fa4790)×月居ヤエル(fa2680)編
 綺麗に整頓された部屋の中。ソファの上で横になって眠っている慧を、月居が「ねぇ」と言って揺らしている。が、慧は気乗りしないようで生返事を返すばかり。月居は拗ねたように頬を膨らませて、ソファの下に座り込むと、テーブルの上にあった恋チョコの箱を手に取った。そして、中からチョコレートを一つ取り出して自分の口元に運ぶ。と、何かを思いついたようにその手を止めて、自分の口に入れるはずだったチョコレートを慧の口元に突き出した。慧は驚きつつも、突き出されたチョコレートを口に入れる。
「甘い‥‥キミのキスより甘いかな?」
 チョコを食べた慧が急に起き上がって、月居の額に自分の額をくっ付けた。その、近い距離に月居が嬉しそうに笑って囁く。
「どっちも恋の味がするよ」
 二人はお互いを見つめ、少し照れながらも幸せそうに笑い合う。カメラがテーブルの上の恋チョコの箱にピントを合わせると、二人の声で「一粒で、もう恋の中」という言葉とともに、チョコレートの商品名が紹介された。


●堀川陽菜(fa3393)編
 赤く紅葉した葉が舞い落ちる中、木の幹に隠れるように堀川が立っている。その目線の先をカメラが追うと、サッカーをしている少年が映った。少年は堀川に気付く様子もなく、真剣な表情で仲間たちに指示を出している。
 カメラが再び堀川に戻った。制服を着て、マフラーを巻いただけの堀川は寒そうに息を吐きながら立っている。その両手は胸元で合わせられ、恋チョコの箱を持っていた。
「私のハートにあるチョコも、溶かしてくれないかな‥‥」
 呟いて、堀川が熱っぽい目で少年を見る。カメラが引き、堀川の背後へと回ると、恋チョコの画像が映し出され、堀川の声で商品名が紹介された。


●稲川ジュンコ(fa2989)編
 荒野の真ん中に、軍隊風に迷彩服を来た稲川が現れる。その手には恋チョコの箱を持ち、中からチョコレートを一つ取り出すと、気合を入れるかのように口に放り込んだ。
 その稲川の目線の先には、稲川より年下であろう、スーツ姿の美青年が立っていた。美青年が稲川に気付いて振り返ると、稲川が意を決したように近づく。そして、気合の入った声で「付き合って下さい!」と叫んだ。それの迫力にちょっと引きつつ、美青年が困ったような表情で答えた。
「僕、年上の人とは‥‥」
 言い終えると同時に銃声が轟き、迷彩服の稲川が苦しそうに胸を押さえると、一瞬にして背景がビルの屋上へと変わり、稲川の服も会社の制服へと変わった。
 稲川がよろよろと地面に倒れ込み、カメラは稲川の持つ恋チョコの箱にズームインする。稲川の声で「甘くない恋もある」と流れ、商品名が紹介された。