SD1月増刊号アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
12人
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サポート |
0人
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期間 |
01/13〜01/17
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●本文
『SartoDisign』‥・・それは10代から20代の男女をターゲットにした、ファッション雑誌である。その雑誌の一番人気のページは、モデルたちが自ら選んだ服を着て、それを紹介するコーナーだが、増刊号ではまた別のテーマを持って撮影されたページがある。編集者である女性はたくさんの生地に埋もれながら、そのページについて話し始めた。
「通常のコーナーでは、数ある洋服の中からモデルたちにテーマの色に沿って好きな服を選んでもらって、それをオススメファッションとして毎回紹介してるのね。増刊号ではそれの拡大版みたいな感じで、色とは違ったテーマで服を着て貰って、全員で並んで撮るの。で、それを一月分のカレンダーにして付録にするのよ。ただし、普通に販売されてる服は使わないから。モデル一人一人の希望を聞いて、一点ものを作る予定なの」
今月のテーマは『マフラー』。モデルたちにはそのテーマを用いて、どんな服がいいか、希望やデザインを出してもらう。モデルのファッションセンスに加え、デザイン性も問われる仕事だ。
「勿論、モデル以外にも、スタイリストとかカメラマンとか来てもらってもいいし。あ、増刊号ではこっちで皆の服見て、背景決めるから。後はー、増刊号はテーマに関係した小道具以外は持ち込み禁止だから。ペットも駄目ね。そこんとこ注意して。あ、アクセとかは自分の持って来て貰っても構わないからね」
言い終えた女性編集者は、早速生地の吟味をし始めた。
●撮影にあたって
モデルの皆さんには、テーマに沿って服をデザインして貰います。この時、具体的にデザインが出来ると一番良いですが、それが出来ないモデルさんはイメージだけでも結構です。そのデザイン・イメージしたものを編集者に教えて下さい。
今月のテーマは『マフラー』なので、それに沿ったデザインを考えて下さい。テーマにさえ沿っていれば、特別な指定はありません。尚、このテーマに沿っていると思われる小道具のみ、持ち込みを許可します。(ペットの持ち込みは原則禁止です)
更に、増刊号では写真をカレンダーにして付録にする為、全員で揃って撮影致します。この際、自分がどこの位置に行くか、それぞれでポーズをつけるか、それとも全員が揃ったポーズをするかなどを、モデルの皆さんで相談して決めて頂きます。(特に要望がない場合は、こちらで指示します)並び方は、あまり広いスペースを取らなければ基本自由です。
●リプレイ本文
「結構、強い色が多いから、背景は淡い色の方がいいと思うんだけど」
「それならクリーム色とかどうかしら? 薄水色とかだといかにも寒そうだけど、クリーム色なら暖かい雪って感じがするでしょ?」
言いながら、カメラテストの時に一人ずつ撮影したモデルたちの写真を真剣な表情で並べているのは、カメラマンの有珠・円(fa0388)だった。テーブルを挟んだ前では、担当である女性編集者がスタッフに指示を出している。
「並びはどうしようか?」
「俺的にはオーソドックスに正面見てとか、一方向を全員で見るってのも考えたんだけど‥‥あと、街を歩いてる人って感じで、ばらばらに歩くポーズを取るのも面白いかなって」
「ねぇねぇ」
顔を付き合わせて話し合う有珠達に声をかけたのは朱里 臣(fa5307)だった。その横には蓮 圭都(fa3861)も立っている。
「私達、手を繋いで並んだポーズでもいいかしら?」
「あのね、仲の良い友達とお出かけ中ーって感じを出したいの」
「あー、いいんじゃないかしら。そしたら、街を歩いてる設定で行けそうじゃない?」
「そうだね。よし、それじゃあそう言う事で」
言って、有珠がオッケーサインを見せると、朱里と蓮が嬉しそうに笑いながら駆けて行く。それを見て、女性編集者はスタッフ達に再び指示を出し始めた。
「街を歩いてるポーズ? それって走ってる感じでもいい? マフラーが靡いてる感じ、出したいんだけど」
そう言ったのは、黒革のダブルライダースジャケットにナイトブルーのバイオウォッシュブーツカットジーンズ、赤いライダーブーツを履いたMAKOTO(fa0295)だ。。
靡かせたいと言ったマフラーは、薄手の赤いシンプルなものを首の後ろで縛り、正面からはコンパクトに見えるようにしていた。結び目から先は風が吹くと綺麗に靡く長さになってるなど、なかなか細かい調節が為されているらしい。
「それは俺も考えてたから、送風機用意して貰ってるよ」
有珠が笑えば、女性編集者が用意した送風機を誇らしげに叩く。それにMAKOTOがグッと親指を突き出した。
「ちょっと寒いかもしれないけど。髪型崩れない程度の風だから」
「皆マフラーしてるから、大丈夫だろう」
有珠の言葉に微笑んで答えたのは柚木透流(fa4144)だった。白のVネックニットセーターに黒のスタンドカラーハーフコートを羽織り、インディゴブルーのローライズブーツカットジーンズと黒のピンヒールパンプスを履いている。コートは前が開いており、その襟の上にパシュミナ生地で織られたピーコックブルーの幅広ロングマフラーが巻かれていた。手には黒の手袋と白いミニボストンバッグを持っている。
「そうね。あまり強くなければ平気よ」
「そうですね」
続いて答えたのはかちりとしたライトグレーのパンツスーツに、ダークグレーのハーフコートを羽織った楊・玲花(fa0642)である。コートの上にくるりと巻かれた淡い桜色のマフラーが、硬いイメージを柔らかくし、一本に束ねた長い髪がマフラーの間から肩口に流れ、大人の色香を感じさせる。
その隣では烏丸りん(fa0829)が同意するように頷いていた。白のコーデュロイブラウスに、タイトなシルエットのジャケットとマーメイドシルエットのスカートを合わせた、濃いベージュのスエードスーツを着ている。その上にくるくると巻かれた、薄水色の細いマフラーが、硬いイメージの中にも甘さを醸し出していた。マフラーもスーツも飾り気のないシンプルなものだが、それが烏丸の艶やかな髪を上手く引き立て、落ち着いた雰囲気となっている。
「並びはどうすればいいのかな」
「あたしはここら辺でいいニャ?」
大海 結(fa0074)が有珠と女性編集者に指示を伺う後ろを、アヤカ(fa0075)がぴょんぴょんと跳ねながら通って行った。
赤・オレンジ・黄色・ピンクなど、暖色系の混ざったニットマフラーに、同じ毛糸のフラワーコサージュを付けた大海は、マフラーと同色の耳当ての付いたニット帽とアームウォーマーをしている。服はグレーのハーフパンツを履き、白のダウンベストにプリントの入ったピンクのロングTシャツ。靴は茶色のロングブーツだが、男にしては小さな足である大海の履いているものはレディースだ。
アヤカは黒いセーターの上に白のムートンランチコートを着て、ブラックコーデュロイのパンツと白のブーツを履いていた。マフラーは白と黒のストライプが入ったスラブマフラーで、白のニット手袋と、薄緑色のニットキャスケットを被っている。
「それじゃあアヤカちゃんはそこで‥‥結くんは一歩前に来ようか。うん、そしたらその左斜め後ろに舞ちゃんね」
「はーい。ここですねー」
有珠の指示を受けて楽しそうに位置に付いたのは姫乃 舞(fa0634)だ。シルク素材の幅広ロングマフラーは、色が青から水色へと変わる、彩度が高めなグラデーションで、スカーフのように首にふんわりと巻き、青色の両端を身体の前に垂らしている。
その下のコートはウエスト部分に絞りの入った、ワンピースのようなホワイトコートで、飾りの少ないシンプルなものだ。全部留めた釦が、身体のラインを強調している。頭には白い別珍のベレー帽を被り、水色の手袋に同色のブーツを合わせていた。
「あ、MAKOTOさんも前に来て貰えるかしら? そう、そこ。楊さんはその右ね。柚木さんも前がいいかな、アヤカさんの左。で、柚木さんの右に朱里さんと蓮さんの2人組み、と」
女性編集者の指示に移動する朱里の着ている、大きな縫い目でざっくりと編まれたオフホワイトのマフラーとニットは、どちらもリング状の薄いグリーンの柄が描かれていた。一般的な長さのマフラーはぐるりと首を一周し、両端を前に流している。ニットは身体にフィットした作りで、裾と袖部分が二重に編まれて厚みを持っていた。その上に、ファーの付いた丈の短いベージュダウンジャケットを羽織っている。
下は派手過ぎない色合いの、ピンクのシフォンミニスカートと、チャコールグレーのニーハイソックスとベージュのショートブーツが、軽やかな印象を持たせている。
その朱里と手を繋ぐ蓮は、黒地に花のプリントが入ったエンパイアウェストのミニドレスに、大きなチェック柄のAラインジャケットを羽織っていた。ジャケットは厚手で、膝上のスカート部分は柔らかいフレアになっている。
下はカジュアルなブーツインカーゴで、薄いブラウンのブーツと合わせていた。ブルーグレーのショートファーマフラーは大きなボタンをポイントとして留めている。
「結くんの左にりんちゃん来ようか。それで、その左にあずさちゃんと希蝶くんね」
「オッケー! りょーかい!」
「可愛く撮ってくれよ!」
有珠にピースサインを出しながら位置につくあずさ&お兄さん(fa2132)‥‥と言っても、お兄さんの方は部屋の隅にある椅子に座って待機中だが、あずさは親指が袖に隠れるくらい大き目のホワイトパーカーと、ギリギリ膝下丈の黒っぽいデニムのスカート、レッグウォーマーを履いている。濃いピンク色をメインに淡いピンクも入ったチェックで幅広のラムウールロングマフラーは簡単に首を二周し、両端を前に流していた。
隣でニカッと笑う希蝶(fa5316)が着ている柔らかそうな生成色のアンゴラハーフコートの下からは、ワインレッドのストレッチセーターがちらりと見える。下はゆったりしたシルエットの薄茶のコーデュロイパンツと、結んだ紐がクラシカルな雰囲気のショートブーツを履いていた。
マフラーは絹とカシミヤの混紡生地で編まれた薄手のマフラーを、3本使ってゆったりと巻いている。マフラーの色はそれぞれ違い、メインとなる2つのマフラーがソフトラベンダーとオパールグリーン、それにメインより細めのクリームイエローがアクセントになっていた。そのマフラーを留めるのに、アゲハ蝶のピンブローチが使われている。
「よし、それじゃあ撮るよ!」
有珠の言葉に、それまでわいわいと騒いでいたモデル達の顔が、一瞬で引き締まった。
クリーム色の背景の前で、モデル達が並んでいる写真があった。左からアヤカ、柚木、朱里、蓮、楊、MAKOTO、姫乃、大海、烏丸、あずさ、希蝶の順だ。どのモデルも全身が写るようにお互いの距離が考えられている。
アヤカは右を向き、手を頭の後ろで組んで上機嫌そうに歩いていた。その半歩前では柚木が正面を向いてバッグと手袋を片手に腕時計を気にしている。蓮の手を握った朱里は蓮の一歩前に進んで笑いながら振り返り、蓮もそれに答えながら左に歩いていた。
真ん中ではMAKOTOがマフラーを靡かせ、左に向かって急ぐように走っている。それに驚いたように身を引いているのは楊だ。姫乃がそんなMAKOTOたちの様子をちらりと振り返りながら右に歩いている。
その隣で、大海がロングTシャツの裾をぎゅっと握り締めながら、正面のやや上を向いて立っていた。斜め後ろでは烏丸が片手で文庫本を読みながら右に歩いている。
烏丸の半歩前では、あずさが携帯電話で何やら話をしながら正面を向いていた。その横に、右奥にいるという設定の仲間たちに向かって馬鹿笑いをする希蝶が写っている。
女性編集者は『信号待ちの交差点』とタイトルのつけられたその写真を満足気に見下ろし、写真を撮った有珠と共にハイタッチを交わした。