SartoDisign藍之巻アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 中畑みとも
芸能 2Lv以上
獣人 フリー
難度 普通
報酬 2万円
参加人数 15人
サポート 0人
期間 01/27〜01/29

●本文

『SartoDisign』‥・・それは10代から20代の男女をターゲットにした、ファッション雑誌である。その雑誌の一番人気のページは、モデルたちが自ら選んだ服を着て、それを紹介するコーナーらしい。編集者である女性はたくさんの洋服に埋もれながら、そのコーナーについて話し始めた。
「数ある洋服の中からモデルたちに好きな服を選んでもらって、それをオススメファッションとして紹介してるんだけど。毎回、テーマに沿って洋服を用意するから、その中から自分に似合う服とか、好きな服とか探してね」
 今回用意した服のテーマは『藍』。モデルたちにはその藍系の服をコーディネイトしてもらう。モデルのファッションセンスが問われる仕事だ。
「一応、モデル以外にも、スタイリストとかカメラマンとか来てもらってもいいんだけどね。今回の背景は橙・中紫の二色で、小道具は要望があればできるだけ用意するし、持ち込みもOKよ。ペットとかも全然大丈夫だから」
 言い終えた女性編集者は、再び洋服の調達へと向かって行った。


●撮影にあたって
 モデルの皆さんには、たくさんの洋服の中から好きなものを選んで、上手くコーディネイトして頂きます。どんな洋服を選んで、どんな風に着こなすのかを、編集者に教えて下さい。
 今回のテーマは『藍』なので、『藍系』の洋服が中心です。もちろん、それに組み合わせる別の色の洋服もありますが、メインは『藍』にして下さい。
 あと、どんな風に撮られたいか、なども教えて頂ければ、カメラマンに話しておきます。撮影は室内です。小道具などはあまり値段の張るものではなく、成人男性が一人で運べるくらいの大きさのものであれば、こちらで用意することができます。モデル自身の小道具持ち込みや、動物と一緒の撮影もOKです。

●今回の参加者

 fa0075 アヤカ(17歳・♀・猫)
 fa0388 有珠・円(34歳・♂・牛)
 fa0642 楊・玲花(19歳・♀・猫)
 fa1463 姫乃 唯(15歳・♀・小鳥)
 fa1814 アイリーン(18歳・♀・ハムスター)
 fa3072 草壁 蛍(25歳・♀・狐)
 fa3411 渡会 飛鳥(17歳・♀・兎)
 fa3487 ラリー・タウンゼント(28歳・♂・一角獣)
 fa3611 敷島ポーレット(18歳・♀・猫)
 fa3742 倉橋 羊(15歳・♂・ハムスター)
 fa3846 Rickey(20歳・♂・犬)
 fa3936 シーヴ・ヴェステルベリ(26歳・♀・鷹)
 fa4769 (20歳・♂・猫)
 fa4790 (18歳・♂・小鳥)
 fa5280 ケイト・フォーミル(28歳・♀・一角獣)

●リプレイ本文

「さて、最初の曲は‥‥」
 カメラのセッティングを終えた有珠・円(fa0388)は、自らのバッグの中から数枚のCDを取り出し、楽しそうに口元を緩めた。

●アヤカベスト!
「あ! あたいの曲ニャ!」
 もこもことした藍色のモヘアセーターに身を包み、橙の背景の前に立ったアヤカ(fa0075)は、流れて来た曲に嬉しそうに飛び跳ねた。それに有珠は笑い返して、カメラを構える。
「ずーっとアヤカちゃんの曲聴き続けてたら覚えちゃった。カラオケ行ったら、全曲歌えるよ」
「じゃあ今度カラオケ行くニャ! それで、あたいとどっちが曲を覚えてるか勝負するニャ!」
「そんなの、アヤカちゃんが勝つに決まってるじゃないかー」
 あははは、と笑いながら、有珠がシャッターを切っていく。と、そこに子猫が歩いて来た。それを見て、アヤカが何か思いついたようにパッと表情を明るくすると、子猫を手招きする。素直に近づいてきた子猫を抱き寄せると、己のセーターの中に包み込んだ。
「あったかいニャー」
 ひょこんと胸元から顔を出した子猫に、アヤカが頬摺りする。それに微笑みながら、有珠はシャッターを切った。


●ウクレレ×リコーダー×カルテット
「ありゃりゃ。どこ行ったんかと思ったら」
 パタパタと中紫の背景の前に駆け寄って来たのは、ホワイトシャツの上にやや大きめで薄い生地の藍色ハーフコートと、藍染のデニムパンツを着ている敷島ポーレット(fa3611)だ。胸元にはラピスラズリのペンダントが揺れている。
「その猫、キミが連れて来た猫だったのか」
「そー。あかんでー、勝手に歩いたらー。猫缶やらんよ?」
 言って、敷島が子猫を抱き上げると、その耳に何やら癒されるような気の抜けるような曲が聞こえてきた。ウクレレとリコーダーのみで演奏されているらしいその曲に、敷島が振り返る。
「何やったっけ、それ。アイネ何とか‥‥」
「アイネ・クライネ・ナハトムジークだね」
 そうそれ、と笑う敷島を、有珠がファインダー越しに覗く。それに、敷島はにまっと笑うと、子猫を腕に乗せ、両腕を広げて軽く前屈みになった。その腕の上を子猫が歩いてくのを、有珠は笑いながらシャッターを切った。


●アジアンスローライフ
「あら、いい曲ね」
 そう言ってふわりと笑ったのは、橙の背景で黒のバックを腕にかけて立つ楊・玲花(fa0642)だった。藍色の生地に梅の花が白糸で描かれている長袖のアオザイを着て、白絹で作られたアオザイ用のパンツであるクワンと、藍色のミュールを履いている。
 楊は一本の三つ編みに纏めて、肩口から前に垂らしていた髪を整えると、手を上げる有珠に視線をやった。銀製のピアスがきらりと光る。
「耳慣れた音楽の方が自然な感じが出るかと思ってチョイスしたんだけど、雰囲気バッチリだね」
「ふふふ、有難う」
 カメラへ斜めに向けた椅子にゆったりと座って足を組む楊に、有珠は話しながらシャッターを切り続けた。それに、楊が軽く前屈みになって、両手の肘を膝の上に乗せる。そして、組んだ両手の上に顎を乗せて、カメラに向かってにこりと微笑む。有珠がその表情に口角を上げ、シャッターを押した。


●フォルテピヤーナ
 中紫の背景の前に置かれた、オフィスによくある回転椅子に座って何やら書類を見ているのは、全体的に細く見えるシャープなデザインの濃い藍色のスーツを着ているケイト・フォーミル(fa5280)だ。真面目な顔で見ているケイトに、有珠が話しかける。
「何が書いてあるの?」
「真っ白の紙よりはいいだろうと思って、このコーナーの企画書を借りてきた。なかなか面白い」
 言いながらケイトが書類を捲ると、静かなピアノの音に混じってシャッター音が響く。ケイトの着ている薄藍色のシャツは一番上のボタンが外され、黒のネクタイはオレンジのタイピンで止められていた。
 ケイトは、所々に暖色系のビーズで模様が描かれた黒のローヒールを履いた足を優雅に組むと、また書類を捲った。真剣そうな表情で読むケイトの耳には、雫の形をしたダイヤのピアスが光っている。
 どうやら没頭しているらしいケイトに微笑みながら、有珠はシャッターを切った。


●アート・オブ・トイピアノ
 カンコンと鉄琴にも似た可愛らしい音で綴られる曲に合わせて、ふわふわとたっぷりのレースが付いた藍色のプリーツシフォンスカートを翻し、橙の背景の前でくるくると回っているのは姫乃 唯(fa1463)だった。軽やかに跳ねる姫乃の足元で、ローヒールのストラップパンプスについたリボンが揺れる。
「一度こっち見てにっこり笑おうか」
 言われて、姫乃は足を止めると、有珠に振り返った。全体的に甘い雰囲気の服だが、正面を向けばスカートよりも薄い藍色のショート丈のデニムジャケットが、適度にラフな感じを出し、甘くなり過ぎなところを抑えているのが判る。
「こんな感じ?」
 姫乃は右手でスカートを軽く摘み、右足をやや折り曲げると、身体のラインを緩いS字にして首を傾げた。まるで可愛らしい人形のようなポーズに、有珠が満足げに笑って、シャッターを切った。


●何気ない音、交差する一瞬
「体格は似てるけど、渡会さんの立ち姿の方が何かカッコいいのよねー」
 そう言って顎に手をやったのは、アイリーン(fa1814)だ。カシミヤ素材で身体のラインに沿う位の細めのデザインをした、藍色のタートルセーターを着て、左胸には金色のブローチを留めている。
 インディゴブルーのスキニージーンズは、脚部がラインストーンで飾られており、足元には焦げ茶のファーがついていた。コツコツと爪先を鳴らすブーツが、全体的にボリュームをアップさせている。
「アイリーンさんもカッコいいですよ」
 にこりと笑って答える渡会 飛鳥(fa3411)はお尻の半分以上が隠れるほど大きい、オフホワイトと淡い青色のティアードが3段付いている七分袖のチュニックを着ていた。黒のボーダースパッツの上に履いた、藍色の膝上丈キュロットパンツは裾の部分を折り返し、同系色のマドラスチェック模様が見えるようにしている。
 ベルトは紐を編み込んだデザインで、靴は藍色の靴紐がアクセントの白い布製のスニーカーを履いていた。耳にはシルバーのハートイヤリングが揺れ、腕には紐が長い麻色のA4サイズトートバックを持っている。
「じゃあ2人とも、お願いね」
 カメラを構える有珠に言われ、2人が中紫の背景に立つ。カフェでよく聞くような何気ないクラシックが静かに流れる中、それぞれが左右に立ち、真ん中へ向かって歩いて行った。それを追うようにシャッター音が響き、2人が真ん中で2歩ほどすれ違った所で、渡会がアイリーンを振り返る。が、アイリーンは気付いていない様子で、強い視線を真っ直ぐ前に向けている。その様子に思わず、と言ったように渡会が小さく腕を伸ばした。瞬間、クラシックの音も静まり、しんとなったスタジオに、一際高くシャッター音が響いた。


●古琴の調べ
「おや。いいCD持って来たじゃないの」
 妖絶に笑って、有珠にしな垂れかかった草壁 蛍(fa3072)は、七分丈の藍色ベルテッドコートを羽織り、白のスリムパンツを履いていた。黒のローヒールパンプスがスリムパンツと相まって、足の長さを強調している。
「草壁さんには琴の音かなーと思ってね」
 近い距離にも動じず、有珠が飄々と答えるのに、草壁はにやりと笑って離れて行った。流した銀の髪がさらさらと揺れる。
 それに有珠はにっと笑って、ファインダーを覗く。橙の背景の前に立った草壁が振り向くのを連続して撮り続けた。それに草壁は挑戦的な笑みを向けると、佳境へと入ったらしい琴の音が、大きな音を奏でた。


●オルゴールと冬の星
 ゆっくりと、小さな音の粒が弾ける中で、白地に紺色で星柄が刺繍されたシャツに、黒のTシャツを重ね、その上に藍色のミドル丈ファー付きのダウンジャケットを羽織っている慧(fa4790)は、手にマグカップを包み、うっとりと目を閉じていた。
「綺麗な曲だねー」
「冬の夜空って感じするでしょ?」
 中紫の背景の前に吊るされた、星型のモビールの下で、慧は小さな椅子に腰掛けていた。ブーツインのスキニージーンズに、黒のワークブーツを履き、指にはラピスラズリの付いた大き目のシルバーリングと、胸元には揃いのシルバーチェーンネックレスをしている。ファインダー越しに自分をみる有珠に、慧は伊達眼鏡であるセルフレームの藍色の眼鏡を押し上げた。
 暖かいココアの入ったマグカップを唇に寄せ、慧はぼんやりとモビールを見上げる。空調の風で小さく揺れる星を見つめながら、自室から見える夜空を思い出した。墨を零したように暗い空に、砂糖をまぶしたかのような星々を想像すると、頬が緩んで来る。そんな慧の表情を見て、有珠はちょっと苦笑したように笑うと、シャッターを切った。


●休日のボサノバリラックス
「これ、個人的に昼下がりのリラックスタイムにオススメな一曲」
「へぇー。いいね、こういうのも」
 有珠がかけた曲に、ラリー・タウンゼント(fa3487)は興味深そうに目を丸くして笑った。心持ちゆったりとしたウィンターブルーのハイネックセーターに、藍色のブーツカットダメージジーンズを着て、床に腰を下ろし、橙の背景の壁に背中を凭れかけ、膝を立てている。
 壁と背中の間にはアイボリーのクッションが挟まっていて、周りには英語で書かれた映画雑誌が何冊か散らばっていた。その中の一冊はラリーの手元にあり、膝の上でページを開かれている。
 逆の手には私物であるブルーのマグカップがあり、まるで自室にいるかのようなリラックスした雰囲気が流れていた。見れば、ラリーの足は裸足だ。
 ボサノバを聞きながら、ラリーがマグカップに入った紅茶を一口飲み、雑誌のページを捲る。それを有珠が楽しそうに口元に笑みを浮かべながらシャッターを切った。その実にリラックスした雰囲気に、家に帰りたくなったスタッフが数人いたらしいという事は、また別の話。


●クラシックオーケストラ
「若いって、羨ましいわね‥‥」
 オーケストラのクラシックが密やかに流れる中、中紫の背景の前でぼそりと呟いたシーヴ・ヴェステルベリ(fa3936)に、有珠が驚いたようにカメラから目を離した。
「何言ってるの。充分若いじゃない」
「有難う。お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞じゃないんだけどなー」
 苦笑する有珠に、シーヴはスタジオの隅できゃっきゃと笑っている若者たちをチラリと見て、カメラに視線を戻した。大きく背中の開いた藍色ノースリーブに、同色のロングスカートを履き、上には白のストールを羽織ったシーヴは、まるでドレスを着ているかのように見える。
「私、ここにいても大丈夫なのよね?」
「大丈夫だってば。だから、ね? 大人の女性の目線、頂戴?」
 有珠に言われて、シーヴはふっと目を細めると、余裕を感じさせる笑みを浮かべる。それに、有珠は満足げに口角を上げ、シャッターを切った。


●京都でポップ&ロック!
「シノちゃん! この番傘、綺麗!」
 明るい曲に合わせて番傘を回しているのは、倉橋 羊(fa3742)だった。足の付け根くらいまでの長いスタンドカラーのジャケットは、デザイン性の高い襟に、裾が少し膨らんでいて可愛い印象を持たせる。
 アイボリーの七分丈パンツにスニーカーを履き、斜めがけの三日月形バックには、ポケットに和柄のアクセントが入っていた。手にはベルトで抑えた黒いリストバンドに二種類のシルバーリング、そして先ほどから見せびらかしている番傘は、深い青紫から青へのグラデーションが綺麗なものだ。
「あ、ホントだ。綺麗だねー」
 ニコニコと笑っている忍(fa4769)は、白いニットハイネックの上に、センターベンツのミディアムトレンチコートを着ている。麻のような手触りのそれは、かなり鮮やかな印象を残す藍色で、どうやら倉橋と同じブランドのようだった。センターの襟折り返し部分と、腰ポケットの部分が、銀のダブルジッパーになっている。
 下は彩度の低い藍色をしたダメージジーンズで、靴は黒のショートブーツ、左手には倉橋と揃いのシルバーリングが光っていた。
「ほらほら、2人とも。お仕事しようねー」
 有珠に苦笑気味に声をかけられ、2人は慌てて橙の背景の前に立った。傘を肩にかける倉橋に、忍が並ぼうとしたとき、足元に紙風船が落ちているのに気付いた。それを拾おうと忍がしゃがみ込んだとき、倉橋の目がキラリと光った。
 倉橋は素早く回りこむと、忍の背中に圧し掛かった。全体重をかけてくる倉橋に、忍が変な声を上げる。楽しげな倉橋の笑い声と共に、にやにやと笑う有珠がシャッターを切った。


●ジャズの流れる駅前で
 ダークグレーのハイネックシャツに、やや色褪せた藍色のジーンズを履いたRickey(fa3846)は、橙の背景の前で立ち位置のチェックをしていた。焦げ茶色のシンプルなベルトに、洒落た感じのする藍色のスーツタイプジャケットを羽織り、ベルトと同色のコインローファーの爪先をコンコンと鳴らすRickeyに、ファインダー越しに覗いていた有珠がオッケーのサインを出す。
「それじゃあ、撮ろうか」
「宜しくお願いしまーす」
 有珠の言葉ににっこりと笑って、Rickeyが頭を下げる。そして、誰かと待ち合わせでもしているかのように、腕時計を見て、落ち着きのない仕草をする。全体的にシンプルに纏められた中にも、お洒落なカジュアルさが見える服装が、少し緊張気味に感じられるのがまた初々しく、有珠は楽しそうに口元を緩め、シャッターを切った。