SD2月増刊号アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.7万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
02/12〜02/16
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●本文
『SartoDisign』‥・・それは10代から20代の男女をターゲットにした、ファッション雑誌である。その雑誌の一番人気のページは、モデルたちが自ら選んだ服を着て、それを紹介するコーナーだが、増刊号ではまた別のテーマを持って撮影されたページがある。編集者である女性はたくさんの生地に埋もれながら、そのページについて話し始めた。
「通常のコーナーでは、数ある洋服の中からモデルたちにテーマの色に沿って好きな服を選んでもらって、それをオススメファッションとして毎回紹介してるのね。増刊号ではそれの拡大版みたいな感じで、色とは違ったテーマで服を着て貰って、全員で並んで撮るの。で、それを来月分のカレンダーにして付録にするのよ。ただし、普通に販売されてる服は使わないから。モデル一人一人の希望を聞いて、一点ものを作る予定なの」
今月用意した服のテーマは『桜』。モデルたちにはそのテーマを用いて、どんな服がいいか、希望やデザインを出してもらう。モデルのファッションセンスに加え、デザイン性も問われる仕事だ。
「勿論、モデル以外にも、スタイリストとかカメラマンとか来てもらってもいいし。あ、増刊号ではこっちで皆の服見て、背景決めるから。後はー、増刊号はテーマに関係した小道具以外は持ち込み禁止だから。ペットも駄目ね。そこんとこ注意して。あ、アクセとかは自分の持って来て貰っても構わないからね」
言い終えた女性編集者は、早速生地の吟味をし始めた。
●撮影にあたって
モデルの皆さんには、テーマに沿って服をデザインして貰います。この時、具体的にデザインが出来ると一番良いですが、それが出来ないモデルさんはイメージだけでも結構です。そのデザイン・イメージしたものを編集者に教えて下さい。
今月のテーマは『桜』なので、それに沿ったデザインを考えて下さい。テーマにさえ沿っていれば、特別な指定はありません。尚、このテーマに沿っていると思われる小道具のみ、持ち込みを許可します。(ペットの持ち込みは原則禁止です)
更に、増刊号では写真をカレンダーにして付録にする為、全員で揃って撮影致します。この際、自分がどこの位置に行くか、それぞれでポーズをつけるか、それとも全員が揃ったポーズをするかなどを、モデルの皆さんで相談して決めて頂きます。(特に要望がない場合は、こちらで指示します)並び方は、あまり広いスペースを取らなければ基本自由です。
●リプレイ本文
「個人的には夜桜って感じにしようかと思ってたんだけど」
「確かに。衣装も明るめのが多いし、背景が暗い方が映えるわね。じゃあ、濃紺でも使おうかしら」
「花吹雪とかって散らせる?」
「やってやれない事はないけど‥‥全体にってなるとちょっと厳しいわね」
「そうかぁ。じゃあ、カレンダーにする時、日にちとかの他に桜のモチーフ入れて貰うってのは?」
「ああ、それはこっちも考えてたから、それはOK」
カメラマンの有珠・円(fa0388)と、女性編集者が話し合い、準備を進めていく。そこにやって来たのは、ポニーテールを揺らした朱里 臣(fa5307)だった。
「何かメンバー見たら音楽方面で活躍してる人が沢山いるみたいだし、ミニライブみたいな感じでやってるポーズ撮ったら面白いんじゃないかなーなんて思ったんだけど。どう?」
「いいんじゃない? 俺はそういうの好きだよ」
にっこりと笑って答えた有珠に、編集者は渋い顔をする。
「うーん、確かに面白いとは思うけど、桜とはあまり関係ないんじゃないかしら」
「そうでもないんじゃない? ほら、花見で宴会とか」
「花見ねぇ‥‥因みに、そのミニライブは何人でやるの?」
「えっとねぇ‥‥」
編集者の言葉に朱里が答えようとすると、柊ラキア(fa2847)と佐武 真人(fa4028)がそれに気付いて近づいて来た。
「はい! 音楽連合が一員、柊ラキアです! 頑張るんで、了承お願いします!」
「同じく。楽器は、大きなものは使わないし、自前のを使うから」
ハイテンションに手を挙げる柊と、クールに笑う佐武に、編集者が悩む。そこに「さったけさーん!」と叫んで、倭和泉(fa5320)が駆け寄って来る。
「お久しぶりで‥‥ぎゃっ!」
振り返った佐武の目の前で、倭がコードを踏んで転んだ。強かに顎を打ち付けた様子に、後ろからついて来た両月昴夜(fa5428)が慌てて手を差し伸べる。
「あいたたた‥‥だ、大丈夫です。あ、俺もやりたいです、音楽連合!」
「音楽連合? 楽しそうだな。私も混ぜて貰っていいか?」
キラキラと期待の眼差しで見つめてくる5人に、編集者が諦めたように溜息を吐いた。
「しょうがない。編集長には何とか言っておくわ。好きにしなさい」
その言葉に、5人と有珠は楽しそうにハイタッチを交わした。
「ミニライブするんですか? わあ、楽しみです!」
そう言って喜んだのは、前髪をカラフルなピンで留めた南央(fa4181)だった。明るいグリーン地にブラックの入ったタンクトップと、イエローのキャミソールを重ね着し、その上にモスグリーンのボーダーTシャツを着ている。シャツの襟ぐりは広く取られ、インナーの肩紐が見えていた。
二段フリルで花柄のオーバースカートの下には、オフホワイトのパンツを履いている。パンツの裾にリボンがあしらわれ、可愛い印象を持たせた。靴は赤のラインがアクセントな、グレーのハイカットスニーカーだ。
「いつかも、そんな事をやっていたな。今日は更に間近で見れるのか」
ミニのトートバッグを持った柚木透流(fa4144)が楽しそうに微笑む。柚木は膝下丈のシフォン素材で作られた、淡い桜色のカシュクールワンピースと、総レースの白いロングカーディガンを着ていた。その上に、丈の短いホワイトボレロを羽織っている。
靴は白いハイヒールを履き、胸元には蝶のトップがついたシルバーチェーンのペンダントが揺れていた。こげ茶色をしたウェーブヘアーのフルウィッグを被り、グリーンのカラーコンタクトを入れ、メイクはオレンジのアイカラーに、オレンジピンクのグロスと、普段とは大分印象が違う。
「ライブか‥‥そうなると、和装はちょっと浮いてしまうかな?」
「そんな事はないと思うわ。逆に引き締まるんじゃないかしら」
小首を傾げて呟いた蕪木メル(fa3547)は着物を着ていた。萌黄色に近い緑の長着には、右の前身頃に腰へ向けて、薄緑色の桜が舞っている。羽織った中羽織は軽く紅が差した淡い茶色で、こちらにも右の袖口から肩へ向けて、桜色の桜が描かれていた。
胸元に下がる羽織紐は無双タイプで、飾りに桜色の玉が止められている。濃緑に白系ラインの入った角帯、薄い茶縞の縞足袋と、全体的に淡い雰囲気で纏めていた。
一方でにこやかに蕪木に答えた椎名 硝子(fa4563)は、紺色のサテン生地で作られた、ボディラインを強調するスリップ型のワンピースと、シースルーのシフォン素材な淡い桜色のワンピースを重ねて作られたドレスを着ていた。サテンの方には裾に桜色の暈しが入っており、シフォンの方はサテンよりも裾が広がったデザインに作られている。
背中と両腕にかけられた、少し濃い目の桜色ショールも、シースルーのシフォン素材で作られていた。桜の花びらと銀を散らした模様が入っており、和風の雰囲気がある。靴は煌びやかなゴールドのオープントゥパンプスだ。
「じゃあ、音楽連合は真ん中って事で」
有珠の指示に、マイクを持った柊が背景の前に立つ。襟が広めの黒い長袖Tシャツには、右肩に薄墨色で流水と桜の模様が描かれていて、その上に着た裾の長い薄手のフード付きパーカーは少し灰がかった桜色で、シャツの模様が見えるように肌蹴て着ていた。
黒いジーンズにも左の太股から膝下まで、散る白い桜の花びらが描かれている。腰には桜のアクセントがついた銀バックルのごつい黒皮のベルト、靴はかっちりとしたワークブーツだ。
柊の右隣に立つ朱里は 胴丈を短くカットされた光沢の綺麗な薄桜色のサテンシャツに、レースがワンポイントに揺れるグリーンのジャケットを羽織っている。ジャケットの袖口にはシルバーの飾りボタンが光っていた。
ホワイトのシフォンスカートの裾は斜めにカットされ、細かいフリルを段々に入れてフレアにしている。足元のレザースニーカーは足首をベルトでホールドするタイプのもので、活動的なイメージを持たせた。
反対側には髪を後ろで緩く括った佐武がいる。オフホワイトのショールカラージャケットは、ボタンが外に響かないシンプルなもので、ベルトを締めてラインを綺麗に見せていた。その下にはカラフルな大柄チェックのシャツを覗かせ、遊び心を持たせている。
細身なライトグレーのカットオフパンツは、脚部にトライバル柄の枝桜が描かれている。腰にはブラックにシルバーのバックルが光る太いベルトを締め、靴は明るい茶色のウィングチップタイプなレザーの紐靴を履いていた。
佐武の隣には倭が、袖と襟、裾の部分に薄い桜色が指していたチャコールのレイヤード風な長袖Vネックシャツを着て立っている。ボトムには灰がかった空色の極太なカーゴパンツを腰で履き、シルバーのウォレットチェーンを下げていた。
その上に、桜色のパーカーを腰辺りで袖を使って縛っている。手首にはベルトブレスレッドを嵌めていた。
両月は朱里の隣だ。黒のレースキャミソールに白のキャミソールを重ね、その上に濃桜色のパーカーを着ている。パーカーの丈は短めで、裾にはレースが付けられていた。
ボトムは腰にリボンの付いた、黒のショートパンツだ。口はヒールの高めな、くしゅくしゅとしたロングブーツを履いている。ブーツの踝部分には桜色の蝶のアクセントが付いていた。
「よし、こんな感じかな。それじゃあ撮影に入るよ!」
モデルの配置を終えた有珠は、にっこりと笑ってカメラを構えた。
濃紺の背景の前で、モデル達が並んでいる写真があった。左から、南央、柚木、倭、佐武、柊、朱里、両月、椎名、蕪木の順だ。手にマイクや楽器を持った音楽連合は正面を、傍の者達は少し斜めになって音楽連合を見ている。
南央は楽しそうに笑って音楽連合に拍手を送っていた。柚木も耳を傾けながら、小さく手拍子をしている。
倭はギターケースを背負い、エレキギターは衣装が見えるように斜め前に上げて持っていた。佐武は腰の近くでタンバリンを構え、手を添えている。マイクを持った柊は、楽しそうに手を前に出して歌っていた。
ハーモニカを吹いているのは朱里だった。柊にウィンクをしながら、気持ちよさそうな表情をしている。両月は手拍子を交えつつ、大きく口を開けて、高らかに歌っているようだった。
そんな彼らを、椎名と蕪木が微笑ましそうに眺めている。椎名は小首を傾げて顎に手を沿え、蕪木は身体は逆向きだが首だけは音楽連合を振り返り、着物の袖に両腕を入れている。
有珠はそんな写真を見下ろし、満足気に頷いた。そして、ふと気付いたように編集者を振り返る。
「そういや、使った服ってどうしてるの?」
「モデルにそのままあげてるわよ。一点ものだし、元々モデルに合わせて作ってるから、誰かにプレゼントする事もできないしね」
その答えに、へぇーと頷きつつ、有珠はもう一つの疑問を口にした。
「カレンダー以外で普通にページはとってるのかな。デザイン画とか個人個人の写真を載せるのも充分面白いと思うけど」
「うーん。付録として撮影してるからページは取ってないし、提案してもちょっと無理ね。でも、デザイン画を載せるのは楽しそうね。いつか特集組もうかしら」
そんな事を話しつつ、有珠と編集者はカレンダーに使う写真を吟味していった。