LoveClassic Aprilアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 中畑みとも
芸能 1Lv以上
獣人 フリー
難度 やや難
報酬 不明
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/25〜04/27

●本文

『LoveClassic』とは、世界各国で行われたオーケストラの演奏会を収録し、放映している番組だ。
 そんな番組の中に、数名の若手演奏家が演奏するコーナーがある。毎回、オーディションを行って演奏者を決め、確かな腕を持つ者だけを出演させているコーナーだ。コーナー自体は十数分と短い時間だが、そこに出演する事は若き演奏家たちの登竜門であり、修行の場でもあった。


 そしてこの日。再び番組に出演する演奏者たちを決めるべく、オーディションが開催された。耳の肥えたプロデューサーや、名立たる音楽家関係者たちの前で、若き演奏家たちはどんな音を奏でるのだろうか‥‥。


●オーディションにあたり
 番組のコーナーで演奏して貰う演奏家を選ぶ為、オーディションを行います。
 このオーディションに受かった者のみが、番組に出演する事が出来ます。
(出演料3万5千円は、出演者のみに支払われます)
 合格者の数は限定していませんが、選定はかなりシビアで、過去には合格者ゼロでコーナーが流れてしまった事もあったそうです。ですが、不合格者の方には審査員の方々がきちんとアドバイスして下さるので、修行の場としての参加も可能です。
 
 曲目・楽器は自由、声楽の方も参加可能です。ご自身の好きな楽器で、好きな曲をご披露下さい。ただし、原則として一般に発表されているクラシック以外の曲は使用禁止です。(定義として、一般に言われる古典音楽の他、現代音楽としてのクラシックが入ります。ジャズやポップス・オリジナルなどは禁止です。例外として『ジャズ風や民族音楽風に作曲されたクラシック』などは認めます)

 合格した場合、オーディションで演奏して頂いた曲で撮影を行います。
(尚、合格者内で曲が重なってしまった場合、撮影では他の曲をお願いしたりする事があります)

※オーディションでは複数での参加も可能です。ただし、その場合はそのグループ全員での審査となり、グループの中から誰か一人のみ合格という事はありません。声楽の場合も、伴奏者との1グループとします。

 曲をどのように演奏するのか、どこに気をつけるのか。しっかりと考えて演奏する事が合格への第一歩となります。

●楽器について
 自身の持っていない楽器を使いたい場合は、スタッフに相談して頂ければ極力用意致します。が、必ずしもその方にあった楽器を渡せるわけではありませんので、基本的に自身の使い慣れた楽器を持ち込みをして頂いております。
 例外として、ピアノなどの持ち込みが不可能な大きなものは、こちらで最善のものを用意しております。
 声楽の方は、オーディションではマイクなしでやって貰っています。撮影時は、こちらで用意したマイクを使用して頂きます。

●注意
アイテムや獣化による能力の上昇は禁止されております。例外として、何らかの効力を持つ楽器の使用は認めますが、効力自体は審査に加味されません。

●審査員
 審査員の中には著名な指揮者である、ジャン・ダイイ氏(fz1036)をお呼びしております。

●今回の参加者

 fa0595 エルティナ(16歳・♀・蝙蝠)
 fa0964 Laura(18歳・♀・小鳥)
 fa1126 MIDOH(21歳・♀・小鳥)
 fa1257 田中 雪舟(40歳・♂・猫)
 fa2457 マリーカ・フォルケン(22歳・♀・小鳥)
 fa2993 冬織(22歳・♀・狼)
 fa3960 ジェイムズ・クランプ(22歳・♂・犬)
 fa5030 ルナティア(17歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

●1組目
「1組目はエルティナ(fa0595)さんとルナティア(fa5030)さん。曲目はJ.S.バッハの『G線上のアリア』です」
 ステージに上がって来た2人は、お互いを確認するように顔を見せ合い、椅子に座った。エルティナはヴィオラを、ルナティアはチェロを、それぞれの手に持っている。
 ゆったりと穏やかな、優しい音色が響き始めた。緩やかな手つきで弦を弾く2人は、時折お互いの目線を合わせながら、リラックスした様子だった。メロディラインを弾くエルティナの音を潰さないように気をつけつつ、ルナティアの奏でるチェロの低い音色が、優雅な雰囲気を醸し出している。
「楽器のチョイスはなかなかいいんじゃないでしょうか」
「そうデスネ。んー、でも、ちょっとチェロが弱いカナ?」
「ヴィオラの音を消さないように、慎重になってる感じはしますね。パートナーの発展途上な部分をフォローしようとしてるのは判るんですが」
 耳慣れた有名な曲であるだけに、ジャン達の評価も厳しい。だが、ともすれば暗い雰囲気になりがちな所を双子らしい息の揃い方を見せ、お互いをカバーし合う姿は好評価のようだった。2人は曲を弾き終えると、鏡に映したように同時に頭を下げ、揃ってステージを下りて行った。


●2組目
「次はマリーカ・フォルケン(fa2457)さんで、サン・サーンスの『動物の謝肉祭』から『白鳥』ですね」
 そっとチェロの弦に指を添わせたマリーカは、一つ深呼吸をすると、ゆっくりと曲を弾き始めた。空間に染み渡るような低い音色が、じわじわとスタジオに広がって行き、その波にジャンが目を閉じた。
 優しく、柔らかく弓を弾くマリーカの眼裏には、月明かりに照らされる美しい湖を、白鳥が優雅に滑らかに滑っていく、そんな一枚の絵画のような情景が浮かんでいた。それを上手く表現するべく、身の内に溢れる思いを、自然な気持ちで音に乗せて行く。そんなマリーカを見て、プロデューサーが書類に目を落とした。
「これは以前にもやった曲ですね。リベンジって事ですか」
「でも、確かに上手くなってマスネ。これならいけるんじゃないデスカ?」
「ええ。これなら問題ないでしょう」
 気持ちよさそうに微かに身体を揺らしながら聞くジャンに、プロデューサーも納得したように頷く。緩やかなチェロの音色がスタッフ達の眠気を誘う中、マリーカはやり遂げたような気持ちで曲を弾き終えた。


●3組目
「えー、Laura(fa0964)さんとMIDOH(fa1126)さんのペアで、プッチーニの『ジャンニ・スキッキ』から『私のお父さん』です」 
 静かにステージへと上がって来たLauraが、ピアノの前に座るMIDOHと目を合わせる。それを受けて、MIDOHは滑らかな動きで鍵盤へ指を置いた。軽やかな、可愛らしいメロディが始まると、Lauraがゆっくりと息を吸う。伸びやかなソプラノがステージに響き始めた。恋をする少女の可愛らしい我侭を表現するように、Lauraは細かい強弱と子音と母音の減り張りに気をつけ、MIDOHはそれを強調するように滑るようなメロディを奏でていく。
「うん、気持ちよさそうに歌ってるし、問題ないんじゃないデスカ?」
「彼女の声だと、リリコはやっぱり歌いやすいんでしょうね」
「伴奏もちゃんと合わせられてますし」
 うんうんと頷くジャン達も満足げだ。その様子をLaura越しにチラリと目の端に入れたMIDOHが口元の笑みを深くすると、Lauraの明るい声がゆったりと伸び響いた。


●4組目
「次は冬織(fa2993)さんの、ヘンデル作曲『リナルド』より、『私を泣かせて下さい』ですね」
 ステージ上で恭しく頭を下げた冬織は、静かに息を吸い込むと、ゆっくりと顔を上げた。そして微かな笑みを浮かべつつ、清らかなソプラノを歌い始めた。
 囚われの身でありながら、愛する者への思いを綴り、自由と救いの希望を祈るアリアに、冬織は自らの境遇も重ね、蕩々と歌っていく。その歌声は十分な技術に加え、聞く者の心をも揺さぶるものとなった。
「いやー、いい声ですね。地声がアルトなんで、どうかと思ったんですが」
「いい裏切りでしたネ。聞かせ所もバッチリ掴んでマスシ」
「これは文句ないでしょう」
 真摯な感情が込められた歌に、上機嫌なジャン達の評価も高い。プロデューサーも、曲が終わる前に既にチェックを終えていたが、曲に没頭している冬織はそうとは知らず、最後まで一つ一つの澄んだ音の響きを大切に歌い上げた。


●5組目
「最後は田中 雪舟(fa1257)さんとジェイムズ・クランプ(fa3960)さんで、ディ・カプア兄弟の『オ・ソレ・ミオ』です」
 ステージに上がって来た田中は、ジャン達に深々と一礼すると、ピアノの前に座ったジェイムズへ目線を向けた。ジェイムズが頷いて、鍵盤へ指を置く。
 一度は聞いたことのある有名なメロディが始まった。それに合わせ、田中のテノールが高らかに響き渡る。身ぶり手ぶりも付けて伸びやかに歌う田中に負けじと、ジェイムズも練習の成果を出そうと鍵盤に指を滑らせた。周りの音を飲み込むようなテノールを、ピアノが追う。その様子に、ジャン達は目を閉じてウーンと唸った。
「流石に田中さんは貫禄があるけど‥‥惜しいなー。もうちょっと伴奏に頑張ってほしいなー」
「田中さんの技術が高過ぎて、逆に伴奏の粗が目立っちゃうのが残念ですね」
「ホントに惜しい所なんですケドネ。この、オヤ? っていうちょっとのズレが壁デスネ」
 何度も惜しいなあと呟くジャンは、それでもジェイムズに対してそれほどの低評価は持っていない。経験の豊富な田中の音に巻き込まれず、自分の音を出そうという心意気があるだけでも、彼は伸びて行くだろう。そんな事を考えつつ、ジャンがジェイムズを父親のような目で見ていると、満足げな田中と目が合った。


●審査中
「今回はどうしましょうか。とりあえず冬織さんは確定でしょうけど」
「マリーカさんも今回はいいんじゃないデスカ?」
「LauraさんとMIDOHさんもオッケィでしょう」
「この2組は如何でした?」
「うーん、そうだねぇ。出しても構わないラインなんだけど‥‥先の3組に比べてちょっと下がるのがなぁ」
「レベルはなるべく統一した方がいいでしょうから‥‥」



『LoveClassic』のメインであるオーケストラの演奏が終わり、若手演奏家たちのコーナーへと変わった。始めに現れたマリーカが『白鳥』を高らかに弾き上げると、MIDOHのピアノにLauraが楽しそうに『私のお父さん』を奏でる。
 そして、最後に冬織がオーディション時以上に感情豊かな『私を泣かせて下さい』を歌い上げた。
 こうして1コーナーが終わると、番組は再びオーケストラの演奏へと戻っていく。たった十数分のコーナーだったが、それでもプロデューサーとジャンはなかなかに満足気な様子で頷いていた。

●ピンナップ


マリーカ・フォルケン(fa2457
PCシングルピンナップ
十夢臣