LoveClassic Julyアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 中畑みとも
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 不明
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/30〜07/02

●本文

『LoveClassic』とは、世界各国で行われたオーケストラの演奏会を収録し、放映している番組だ。
 そんな番組の中に、数名の若手演奏家が演奏するコーナーがある。毎回、オーディションを行って演奏者を決め、確かな腕を持つ者だけを出演させているコーナーだ。コーナー自体は十数分と短い時間だが、そこに出演する事は若き演奏家たちの登竜門であり、修行の場でもあった。


 そしてこの日。再び番組に出演する演奏者たちを決めるべく、オーディションが開催された。耳の肥えたプロデューサーや、名立たる音楽家関係者たちの前で、若き演奏家たちはどんな音を奏でるのだろうか‥‥。


●オーディションにあたり
 番組のコーナーで演奏して貰う演奏家を選ぶ為、オーディションを行います。
 このオーディションに受かった者のみが、番組に出演する事が出来ます。
(出演料3万5千円は、出演者のみに支払われます)
 合格者の数は限定していませんが、選定はかなりシビアで、過去には合格者ゼロでコーナーが流れてしまった事もあったそうです。ですが、不合格者の方には審査員の方々がきちんとアドバイスして下さるので、修行の場としての参加も可能です。
 
 曲目・楽器は自由、声楽の方も参加可能です。ご自身の好きな楽器で、好きな曲をご披露下さい。ただし、原則として一般に発表されているクラシック以外の曲は使用禁止です。(定義として、一般に言われる古典音楽の他、現代音楽としてのクラシックが入ります。ジャズやポップス・オリジナルなどは禁止です。例外として『ジャズ風や民族音楽風に作曲されたクラシック』などは認めます)

 合格した場合、オーディションで演奏して頂いた曲で撮影を行います。
(尚、合格者内で曲が重なってしまった場合、撮影では他の曲をお願いしたりする事があります)

※オーディションでは複数での参加も可能です。ただし、その場合はそのグループ全員での審査となり、グループの中から誰か一人のみ合格という事はありません。声楽の場合も、伴奏者との1グループとします。

 曲をどのように演奏するのか、どこに気をつけるのか。しっかりと考えて演奏する事が合格への第一歩となります。

●楽器について
 自身の持っていない楽器を使いたい場合は、スタッフに相談して頂ければ極力用意致します。が、必ずしもその方にあった楽器を渡せるわけではありませんので、基本的に自身の使い慣れた楽器を持ち込みをして頂いております。
 例外として、ピアノなどの持ち込みが不可能な大きなものは、こちらで最善のものを用意しております。
 声楽の方は、オーディションではマイクなしでやって貰っています。撮影時は、こちらで用意したマイクを使用して頂きます。

●注意
アイテムや獣化による能力の上昇は禁止されております。例外として、何らかの効力を持つ楽器の使用は認めますが、効力自体は審査に加味されません。

●審査員
 審査員の中には著名な指揮者である、ジャン・ダイイ氏(fz1036)をお呼びしております。

●今回の参加者

 fa0595 エルティナ(16歳・♀・蝙蝠)
 fa0607 紅雪(20歳・♀・猫)
 fa0964 Laura(18歳・♀・小鳥)
 fa1257 田中 雪舟(40歳・♂・猫)
 fa1851 紗綾(18歳・♀・兎)
 fa2457 マリーカ・フォルケン(22歳・♀・小鳥)
 fa5030 ルナティア(17歳・♀・蝙蝠)
 fa5316 希蝶(22歳・♂・鴉)

●リプレイ本文

●1組目
「エルティナ(fa0595)さん、ルナティア(fa5030)さん、紅雪(fa0607)さんの3人で、ヘンデルの『クラヴィーア組曲ニ短調』から『サラバンド』です」
 3人がそれぞれステージへと上がる。エルティナはヴァイオリンを手に持ち、ルナティアはマリンバの前に立つ。そして紅雪がピアノの前に座ると、3人は目配せをし、頷いた。
 緩やかな舞曲が始まる。紅雪のピアノが優しくメロディーを紡ぎ、エルティナがそれに沿うようにゆったりとヴァイオリンを弾くと、トレロモに響くルナティアのマリンバが彩を添えた。その優しいメロディーを表現しようとして音が弱弱しくなりがちな部分に気をつけつつ、ゆっくりと曲を奏でていく。
 曲が中盤に入るにつれ、少しずつ音も大きくなる。次第に早くなるテンポにエルティナのヴァイオリンが力強く響き、紅雪のピアノに合わせるようにルナティアのマリンバもその音を強くしていく。
 そんな3人の演奏に、ジャンが唸った。
「うーん‥‥音の強弱にも気をつけているし、悪くはないんデスガ」
「ちょっと物足りない気がしますな」
「単に曲を弾いているだけって感じですね。曲のイメージがあまり伝わって来ない」
 顔をつき合わせて話し合うジャンとプロデューサー達を、エルティナがちらりと横目に見る。曲を弾き終え、頭を下げてステージを降りた3人は、難しい顔で紙面に評価を書いているジャン達に苦笑して顔を見合わせた。


●2組目
「次はLaura(fa0964)さんで、シューベルトの『野バラ』です」
 ステージの上に立ったLauraがぺこりと頭を下げる。そして大きく口を開けると、曲を歌い始めた。
 清らかに伸びるソプラノが、少年の見つけた真っ赤なバラの美しさを響かせる。綺麗ながらも可愛らしいリズムで日本語の歌詞を歌うLauraに、ジャンがふんふんと興味深そうに頷いた。気持ちよさげに声を響かせて歌うLauraを、プロデューサー達も面白そうに見ている。
 Lauraは日本語の歌詞の一番を歌い終わると、今度はドイツ語の歌詞で歌い始めた。同じ曲調であり、同じ一番の歌詞でありながら、日本語の時とはまた違う雰囲気が流れる。それにジャンとプロデューサー達が顔を見合わせた。
「声の伸びもいいし、本領発揮と言ったところでしょうカ。細かいところにも気を使ってますシ」
「でも、日本語でもドイツ語でもどっちでもいいから、どうせなら一番だけでなく、全部歌って欲しかったなぁ」
「メロディーは可愛らしくても、結構切ない歌ですからね。一番だけじゃ、物足りないかな」
 ジャン達が審査している間も、Lauraは語尾に気をつけ、言葉が切れ切れにならないように歌い上げる。そうして明るくドイツ語の歌詞を歌い終わると、余韻を噛み締めるようにゆっくりと頭を下げ、ステージを下りた。


●3組目
「田中 雪舟(fa1257)さん、曲はヴェルディの『リゴレット』から『女心の歌』ですね」
 ゆっくりと、堂々とした雰囲気でステージに上がって来た田中は、ジャン達の前に立つと、大きく息を吸い込んだ。スタジオ中に響きそうなほど大きな声量で歌い始める。
 女心は気紛れだが、女心も知らない者は本当の幸せが判らない。左手でタクトを振るようにリズムを取りながら、田中はまるで笑い飛ばしているかのように、高らかに張りのあるテノールを響かせる。酔っ払った男が、酒を片手に陽気に歌うようなその強めの声に、ジャンとプロデューサー達が満足そうに笑う。
「流石、ってところですね。もう、これだけ気持ちよさそうに歌われたらねぇ」
「一歩役作りを間違うと嫌らしい感じになりがちなんですガ、田中サンのは好印象デスネ」
「これは文句ないでしょう。やっぱりプロですねぇ」
 ラストを強く歯切れよく歌い上げた田中は、うんうんと頷くジャン達に深々と頭を下げると、すっきりと遣り遂げたような表情でステージを下りて行った。


●4組目
「次は紗綾(fa1851)さんで、ショパンの『ノクターン第2番 変ホ長調』です」
 リベンジの緊張に頬を軽く染めつつ、ステージに上がって来た紗綾は、ジャン達の前まで来ると勢いよく頭を下げた。そしてピアノの前に座り、小さく深呼吸する。
 ゆっくりと鍵盤に指を置き、紗綾は静かに曲を弾き始めた。聞き覚えのある幻想的で美しい、有名な旋律が流れる。
 紗綾は歌いだしそうなくらい上機嫌な表情で、曲を弾いていた。澄み渡った空気と、宝石の如く輝く夜の星。甘く切ない、恋する気持ち。ピアノがキラキラと煌き出すようなイメージを込めつつ、滑らかに鍵盤を弾く紗綾に、ジャンがうっとりと目を細める。
「ああ、いいですネェ。キラキラしてますネェ」
「ただ静かな心地よさだけじゃない、乙女の可愛らしさがありますね」
「本人の個性が出てて、実に面白いですね」
 終盤を淀みなく綺麗に弾き終えて、心地良さそうに顔を上げた紗綾に、ジャン達はにこにこと微笑む。そうしてたっぷりの余韻を響かせ、ピアノから立ち上がった紗綾は、自分なりの手応えを感じながら満足気にステージを下りた。


●5組目
「マリーカ・フォルケン(fa2457)さんで、J.S.バッハの『無伴奏チェロ組曲第1番ト長調』から『プレリュード』です」
 ステージ上でマリーカが深々と頭を下げる。そして、横に立てかけていたチェロを構えると、静かに弓を弦に乗せた。
 チェロの心地よい低音で紡がれる聞き覚えのある有名な旋律は、紙が水を吸うようにスタジオの中にゆっくりと染み渡り、広がって行く。目を閉じ、うっとりとした表情でチェロを奏でるマリーカはその音の波に揺蕩うかのように微かに身体を揺らしていた。その様子に、ジャンがニコリと笑う。
「彼女は来る度にどんどん腕が上がって行きますネ。でも、腕が上がるにつれてちょっと勿体無い部分が目立って来ましたネェ」
「ああ、確かに。何というか、楽譜に忠実なのはいいんですが、彼女自身の音が見えませんね」
「個性ですか。まあ、先人に共感するのは良いことなんですけどね。もう少し、自分自身の音を出してもいいかと思いますね」
 マリーカの奏でる曲を聴きながら、ジャンとプロデューサー達が話し合う。それに気付いているのか気付いていないのか、マリーカはマイペースに曲を弾き終えると、始めと同じように深々と頭を下げ、ステージを下りて行った。


●6組目
「最後は希蝶(fa5316)さん、曲はハイドンの『ジプシーロンド』です」
 その声に頭を下げた希蝶の横には、グランドハープがある。頭を上げて、ジャンやプロデューサー達ににっこりと笑いかけた希蝶は、ハープを構えると、優しげな手つきで弦へ指を添えた。そして、すぅっと深呼吸すると、流れるように弦を弾き始める。
 ハープ特有の余韻を活かしつつ、滑らかな指の動きで弾むような旋律を奏でる。それぞれの音をしっかりと強調するように消音に気を配ってめりはりをつけ、ハープではあまり簡単ではないスタッカート部分は周りの音に影響が出ないようにアレンジを加えて演奏していた。盛り上がり部分はしっかりと主張し、華やかに、そして力強く曲を弾いていく。
「ハープって聞いて大丈夫かと心配したんですけど、ちゃんと弾けてますね」
「全体的なアレンジも綺麗に纏まってますシ、いいんじゃないでしょうカ」
「ジプシーにハープかぁ‥‥ファンタジックでなかなか面白いチョイスでしたね」
 にこにこと話し合うジャンとプロデューサーを後目に、希蝶は満足気に弾き終わると、深々と頭を下げてステージを下りて行った。


●審査中
「さて、どうしましょうか。まず田中さんは合格ですよね」
「今回Lauraさんがねぇ‥‥ちょっと残念だったなぁ。この3人も惜しいんですけど」
「紗綾さんと希蝶さんも、良かったですよね」
「マリーカさんはどうします?」
「うーん‥‥まあ、綺麗な演奏でしたし、今回はギリギリ合格と」
「次は厳しいかもしれませんけどね」


『LoveClassic』のメインであるオーケストラの演奏が終わり、若手演奏家たちのコーナーへと変わった。始めに、黒の落ち着いたロングドレスを着たマリーカが『プレリュード』を奏でる。
 次に出て来たのは紗綾だった。『ノクターン第2番 変ホ長調』を静かに弾き終えると、希蝶が踊るように『ジプシーロンド』を紡ぐ。
 そして最後に田中が高らかに『女心の歌』を歌い上げた。こうして1コーナーが終わると、番組は再びオーケストラの演奏へと戻っていく。たった十数分のコーナーだったが、それでもプロデューサーとジャンは至極満足気な表情で頷いていた。

●ピンナップ


マリーカ・フォルケン(fa2457
PCシングルピンナップ
十夢臣