だらラジゆったりアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
中畑みとも
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
0.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/08〜08/10
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●本文
『だらだらラジオ』通称『だらラジ』は、演劇舞台俳優たちを呼んで、お菓子などを食しながら、だらだらと演劇について語り合うラジオである。
俳優たちは、スタッフが用意したお菓子や、自分で持って来たお菓子を食べながら、リスナーからの質問に答えていく。その内容は初主演舞台の話や、失敗談など。果ては「今ここで即興の演劇をしろ」など、無茶なものもあったりする。たまに俳優が暴走したりして、時間切れになってしまうなんてこともあるが、それでもなかなかメディアに登場しない舞台俳優の素が垣間見えるこの番組は、結構人気があったりするのである。
そんなこんなで、今日も『だらラジ』は始まるのである。
と、いうことで。
『だらラジ』に出演して下さる舞台俳優さんたちと、番組を進行する司会者さんを募集してます。舞台俳優さんたちは、舞台演劇をメインに活動している人はもちろん、最近舞台演劇を経験した方でも、舞台演劇の勉強をしている方でもOKです!
今回ご用意したお菓子は夏らしく『水ようかん』で、届いているリスナーの質問は、『リハーサルでの面白い失敗談とかありますか?』と『舞台で起こった不思議なこととかありますか?』の二つです。この質問に対する答えを考えておいて下さい。司会の人はその答えに対するツッコミなんかも考えておいてくれると嬉しいですね。あ、お菓子の感想なんかも一つ二つ用意しておくと、突然感想を求められたときに慌てずに済みますよ。もちろん、お菓子は司会者さんの分もありますからね。
あと、番組には出演しないけど、出演者の俳優さん絡みで、こんなことがあったんだよーっていうFAXやメールも随時受け付け中なので、リスナーや関係者さん、面白いのお待ちしております!
それでは、だらだらとラジオの方、始めてみますかー?
●リプレイ本文
のんびりと、それでいて陽気な音楽が流れる。
だらだらラジオのスタートである。
「リスナーの皆さん、こんばんわ。だらだらラジオ司会のリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)です。暑さで皆さんだらけ気味でしょうけど、この番組は暑さ寒さに関係なくだらだら行きまーす! それでは、今回のゲストの方々です!」
司会のリーゼロッテが挨拶をすると、ゲストたちが順番に自己紹介を始めた。
「青田ぱとす(fa0182)と申しますー。ラジオは初めての経験やね」
「愛瀬りな(fa0244)です♪ 今日はだらだらまったり楽しみたいです☆」
「伊達 斎(fa1414)です。皆さん、今日は宜しく頼むよ」
「あっしは伝ノ助(fa0430)と申しやす。宜しくお願い致しやす!」
「深森風音(fa3736)です。今日は楽しいラジオにしようね」
「弥栄三十朗(fa1323)と言います。どうぞ宜しく」
「美森翡翠(fa1521)ですの〜。宜しくお願いしますの〜。お土産も持って来たですの」
「ありがとう、翡翠ちゃん。その前に、今回のお菓子を紹介しましょっか。今回は夏らしく水羊羹です!」
ゲストと司会の前に水羊羹が運ばれてくる。
「おお、ありがたい!」
「水羊羹はひんやりしてツルリとした食感がいいよね」
「うーん、冷たくて美味しいっすー」
青田がいそいそと水羊羹を引き寄せ、甘いもの好きの深森が嬉しそうに笑った。伝ノ助も水羊羹に舌鼓を打つ。
「美味しいですの〜」
「甘いものは和洋問わず大好きですっ☆」
「やはり、日本の夏にはこの甘味が合いますね」
「熱いお茶と水羊羹・・・・風流だな」
美森と愛瀬が美味しそうに水羊羹を食べると、弥栄が満足そうに頷き、伊達が熱いお茶を飲みながら溜息を吐く。
「それで、翡翠ちゃんは何を持って来てくれたのかな?」
「くずきりですの〜。黒蜜と黄粉もあるですの〜。お母さんと一緒に作りましたの〜」
「私もスイカを持って来たので、水ようかんとくずきりとスイカを囲んで、だらだらと始めましょうかー」
リーゼロッテはそう言って、質問の書かれた用紙を手に取った。
「さて、今回の最初の質問はー‥‥舞台で起こった不思議な事とかありますか? だそうです」
「舞台演劇は勉強中だからまだ経験少なくて、そういう経験はまだないですの〜」
質問の内容に美森が困ったように言うと、青田がうーんと唸りながら答える。
「そうやねぇ‥‥本番中やったんやけど、先輩俳優の台詞が細かいとこ違っとって。台本の大まかな所は覚えとったから普通に進んだんやけど、終わってから大筋が全然ずれてしもとった事に皆で気付いたっちゅうことがあったなぁ。あれ、なんだったんやろ」
「不思議ですねー」
リーゼロッテが首を傾げると、伊達が思い出したように話し出した。
「台本と言えば、稽古の際についさっきまであった台本が忽然と消えてしまった事があったな。まあ、切羽詰った状況ではなかったから、探偵の出番だ! とか何とか言いながら皆で探したんだが、結局見つからなくてね。しょうがないから代わりの台本で稽古を続けたんだが、後日になってひょっこり出て来てね。しかもそこは一度探した場所だったんだよ」
「灯台下暗しってやつでしょうか?」
次に話し出したのは愛瀬だった。
「とある公演で、全公演同じ席にいらしてるお爺さんがいらっしゃったのですよ。関係者の方かしら? と思って気にしていなかったのですが、公演が終わってから他の方にお爺さんのことを聞いたら、あの席はずっと空席だったとのお答えが・・・・」
「うう・・・・不思議な話、というより怪談話ですの・・・・」
「ビックリ致しましたが、穏やかそうなお爺さんでしたので、怖さはありませんでしたけどねぇ〜」
その話の内容に美森がうつむくと、愛瀬が誤魔化すように笑う。すると、深森が静かに話し出した。
「僕の場合もそんな感じ。たまに泊り込み稽古なんかする時に、夜にみんなで怪談話とかする事があるんだよ。道具部屋のマネキンに衣装を着せておくと夜中に踊りだして、朝には必ずポーズが変わっているとか。他愛無い話なんだけど、本職の役者が雰囲気出して話すものだから、なかなかに笑い飛ばせない迫力があるんだよね。それで気になって見に行くと、本当にマネキンが・・・・」
「きゃー! 一気に涼しくなった気が!」
深森の話に、リーゼロッテが笑い半分で叫ぶ。それに続き、伝ノ助が話し出した。
「あっしのは、まだ駆け出しでエキストラで雇って貰えた時の話っす。恥ずかしい話、前日に緊張して碌に眠れなくて、起きたら時間ギリギリだったんすよ。遅刻なんて出来やせんから、真夏の炎天下の中猛ダッシュしてたら、駅に着いた時点で熱中症起こして倒れちゃいやして」
「気をつけんといかんでー」
青田が心配そうな顔で相槌を入れる。
「で、気がついた後、お詫びの電話しようとしたんすね。そしたら、今日はお疲れ様っ! って言われて。聞いてみると、どうもあっしが現場にいたみたいなんすよ。エキストラなので大して記憶に残っていなかったのか、はたまた・・・・ただ、気を失ってた時に演技している夢を見たのを微かに覚えてやす」
「もしかして、幽体離脱してたりしてね」
「ええー?」
伝ノ助を深森がからかう。続いて、弥栄が話す。
「私の場合は、私が演出を担当していたある舞台の、10人の役者で段取りして、リハーサルまできちんと済ませた、ある場面での話なんですが。事故で急遽一人欠けてしまい、替えを入れる余裕もなくて、9人で演じたにも関らず、なぜか観客も役者も10人目の存在を感じ取っていたという事がありましたね。参加出来なかった役者の執念なのか? それとも仲間の分まで頑張ろうという団結心が生んだ奇跡だったかは知りませんけどね」
「あ、もしかしてその10人目が伝ノ助さんだったりして☆」
「何であっしなんすかー」
弥栄の話に乗って愛瀬が伝ノ助をからかう横で、うつむいたままの美森に気付いたリーゼロッテが心配そうに声をかける。
「あれ? 翡翠ちゃん、大丈夫?」
「・・・・有名な怪談を演技する時には、開演前にお払いしたり神社にお参りするって言いますけど・・・・それ以外にも怖い話多いんですね・・・・」
「舞台と言うのは、人の念が溜まりそうな場所だからな」
「・・・・怖いの嫌いですの・・・・」
真面目な顔で頷く伊達に美森がさらに暗くなる。リーゼロッテはその雰囲気を吹き飛ばすが如く、明るい声で次の質問を読んだ。
「それじゃあ、雰囲気をがらっと変えて、二個目の質問行きましょー! リハーサルでの面白い失敗談とかありますか?」
「ありきたりですけど・・・・通し稽古の時にお兄様をお父様って言っちゃったりとか。初めの頃は言い間違いはしょっちゅうでしたの。最近では、別の仕事でご一緒した人の名前を本名じゃなくて、別の芝居の時の役名で呼んじゃったりとか。それは舞台に限った失敗じゃないですけど・・・・」
美森の話に、愛瀬も乗ってくる。
「あたしも、稽古中に台本の台詞が代わることが多々あるのですが、本番で変更前の台詞を言ってしまったことが一度・・・・タンスの横に隠れるのが、カーテンの裏に変更したのに、タンスと言ってしまって・・・・共演者の方にアドリブを入れて頂いて何とか続けることができましたよ。テレビは撮り直しが出来ますが、舞台はいつでもリアルタイム。舞台は生ものなんだな、と感じますね♪」
「本当ですの〜」
愛瀬に美森が頷くと、深森も当時を思い出しながら話し出した。
「僕もそうだね。舞台転換の時に慌てて違う役の人の衣装に着替えて出て行っちゃった事があるよ。舞台公演はけっこう時間との戦いみたいな所もあるし。映画みたいにカットとかやり直しはできないからね。本番だと例え間違っちゃってもアドリブや機転で何とかしないと。そんな前に進むしかない所が舞台の大変な所でもあるし、面白い所でもあるのかもしれないね」
続いて伝ノ助が恥ずかしそうに話す。
「あっし、普段はこういう口調っすけど、芝居の時までこれだと色々不都合なんすよね。なもんで時代劇以外では大体役に合った口調に直すんすけど、現代劇の役貰った時に、ついうっかり素の口調になっちゃいやして。そしたらそれが妙にツボに嵌ったのか、何故かそのまま行こう! という話に・・・・劇自体はいい感じになったんすが、元が失敗から来てる物だったのでちと恥ずかしかったっすね」
「でも良い舞台になったんやから、まだええわー。あたしなんか照明の仕込みやっとるときに、一日に五回も頭ぶつけた時は自分はアホかもしれんと思ったわ。皆に帰れって言われた。哀れそうな目で」
「お疲れ様っす・・・・」
苦い顔で話した青田に、伝ノ助が苦笑した。それに伊達が続く。
「僕の場合はリハそのものの失敗・・・・という訳ではないけどね。休憩明けに他の共演者の台本を間違えて持って行ってしまったことがあって。台本を読みながらのリハで、当然台本の筋書き自体は変わりがないので大した支障は出ることはなかったんだが、台本っていうのは個人個人が自分の台詞やト書きにチェックを入れたり書き込みをしたりしている事が多い訳で。しかも普通のチェックならともかく、台本の持ち主が若い女の子でしかも茶目っ気のある子らしく、ちょっとした落書きや共演者の方々についての個人的な感想のようなものを書いていてね。思わず面食らってしまったよ」
「伊達さんのことはどうか書かれてたんですか?」
「まあ、それは言わぬが花・・・・皆さんの想像にお任せってね」
「気になるー☆」
リーゼロッテに伊達が肩を竦めると、愛瀬が笑う。
「私の場合は失敗談ではないのですが、今でも思い出す事はありますね。私がまだ駆け出しの頃で舞台脚本家をしていた時なんですが、客演で入ったある大物俳優さんが私の書いた脚本がどうしても気に入らないと何度も何度も書き直させられた覚えがあります。後から先輩に聞いた話だと、見所のありそうな若手を鍛える為にわざとそういう試練を与えるそうですが、半分趣味でやっておられるような気がしましたね」
「今ではちゃんと認められてるんじゃないですか?」
「そうだといいですね」
弥栄が話し終えると、リーゼロッテは放送終了の時間が近づいているのに気付いた。
「おっと、もうこんな時間ですね! だらだらとお送りさせて頂きました、だらだらラジオ。今週はここでお別れです。それでは、また来週ー!」
陽気な音楽が流れ、だらだらラジオの放送が終了する。
放送終了後、リーゼロッテが挨拶をすると、弥栄と愛瀬が挨拶を返した。
「皆さん、今日はお疲れ様でしたー!」
「お疲れ様でした。また縁がありましたら、こんな風にお話しましょう」
「面白いお話が聞けて、楽しかったです☆」
それに伊達が微笑むと、深森が頷く。
「たまにこういうのに出るのもいいな」
「本当だね。のんびりする仕事なんて、そうそうないからね」
「お菓子も食べれたし、満足や」
「水ようかん、美味しかったですの。帰りにレシピの本を買って、お母さんに作ってもらうですの」
満足そうな青田と美森に、伝ノ助が水羊羹の数を数えて声を上げた。
「あれ? そういや今気付いたんすけど・・・・水ようかん、一個多くないっすか?」
「え? 人数分だけ用意したってスタッフさんが・・・・」
「・・・・・・・・」
沈黙がスタジオに流れた。