WarCry1−1ヨーロッパ

種類 シリーズ
担当 成瀬丈二
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 8.2万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 09/11〜09/15

●本文

 香港の『誰でも頭を空っぽにすれば楽しめる』ハッタリに満ち溢れた活劇映画の監督で知られる、竜人にしてイギリス系中国人ファーナス・王(−・うぉん)が長期間、ノルウェーの首都、オスロに滞在し、前作の劇場公開より先に、関係者に構想だけは漏らしていたバイキング映画──タイトルだけは決まっている──『WarCry』のメガホンを取る日が来たと知れたのは9月に入ってからであった。
 ファーンの前作である『香港山海経』の熱気も冷めかかっている頃合いである。当時のスタッフから、ひとりの少年を大人達がもり立てるスタイルではなく、友情などといった方向を打ち出してはどうか? やたらとアクティブなアジア圏の俳優をストーリーに組み入れるために、非白色人種の、異人ぶりは神からの恩寵の証しとしてはどうか、等々の案が引き出されていた。そのフィードバックを受けて──筋骨逞しい黄色人種である父親のファーンの息子、母親である英国人──もちろん獣人である──の特徴を色濃く打ち出した12歳になる、おなじく竜人のリューキ・王(−・うぉん)がパソコンの前で唸っているのに対し、呼びかける。
「ねえ、ダド? 今回はボクに出番ありそうかな」
 華奢な体格に、中性的というよりまるっきり女の子顔、柔らか気な金髪が所々はねているリューキ少年がディスプレイをのぞき込む。
 無論、彼は、父親に付き合わされて、映画に出場すべく、香港から留学してきたのである。
 その青い眼に映る、シナプスの画面は真っ白。
「まあ、待て。俳優達の意見もあるだろう。とりあえず、お前とルーク以外はまだ公募もしていない。彼らがどんなハッタリに溢れたバイキング像を持っているか、それを確認してからもで遅くはないだろう」
 ルークとは碧の目に白面。それ以外はパーティーに総髪にした銀髪を含めて、白銀一色でコーディネイトした名の通ったアクション俳優である。大学を休学して、遺跡発掘に、芸能活動に励んでいる青年であった。
 しかし、その本性は白銀の毛並みを持つ狼の獣人である。
 ファーンとは年の差があるが、まだ幼弱な頃、NWを通じて知り合った中である。
 最近、パーティーで再会したが、今は定時連絡のようなメールを寄越すだけで、映画の骨子に関する部分では連絡をくれ、と言い置いている。
 ファーンの頭の中では主人公、副主人公、ライバルのいずれかに位置づける事がWarCryの中では確定していた。
 一方、息子のリューキの方は、当人は嫌がっているが、ヒロインが居なければ女装もファーンは辞さない覚悟である。何しろ前作はヒロインの登場が間に合わなければ、CG合成で主人公とヒロインのひとり二役をこなす羽目になっていた所である。
 もっとも、主役をこなした前作以前ではしょっちゅう、女装しては映画に出されていた訳だが。
 このリューキを出すか、出すとしてどういう位置づけにもってくるか? それもまだファーンにとっては未定である。
「──まあ、いい。とりあえず、ネットを通じて公募を出そう。求む──熱意とハッタリに満ち溢れた老若男女。長期間ヨーロッパに拘束の仕事故、専念できる者のみ」
 こうして、WarCryは始動した。
 まずは全体のプロット決めからである。
──カット33スタート。

※WarCryはひとつの映画の撮影の内、重点となる3シーンを、それぞれ、3シナリオかけて構成、リハーサル、本番の3段階を追って執筆されます。
 リハーサルでどんな映像が撮れても、本番のシーンでその役の人物が参加できなかった場合、常に本番の方がストーリー上優先されます。
 スケジュールには余裕を持ってご参加を。
 また、撮影は全て、ヨーロッパで行われます。
 本番となるWarCry1−3、2−3、3−3のみがEXとなります。
 次回は25日頃から募集を始めます。

●今回の参加者

 fa0225 烈飛龍(38歳・♂・虎)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa1163 燐 ブラックフェンリル(15歳・♀・狼)
 fa2944 モヒカン(55歳・♂・熊)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa4616 グライス・シュタイン(32歳・♂・猿)

●リプレイ本文

 黒檀の如き肌に、碧の瞳と、ふわふわの銀髪を持つ、少女めいた容姿の、燐 ブラックフェンリル(fa1163)曰く──。
「刀剣、または銃の天球。心をえぐる必殺の言葉」
──などと思いついた事を、監督のファーナス・王に向かい、テキトーに言ってみる。
 ‥‥本当に言ってみただけであった。
「とゆーか、はっちゃけるって、どゆ意味?」
 ファーンから帰ってきた返答は──。
「日本のスラングでだな、テンションが上がりすぎて、派手な動きをしたり奇声を発したりする様の事だ。
『ハイになる』や『はじける』等と同義語。近年ではこちらの意味で使われる事の方が多いようだ」
「──勉強になりました」
「久しぶりだな、ファーナスにリューキ。又良いものを作ろうぜ!」
 固まった場を解きほぐすかのように、烈飛龍(fa0225)が、いつもとは打って変わった、赤い髪に赤黒い髭を生やし、顔や身体の至る所にいくつもの傷があることで歴戦の勇者ぶりを表す、というか既に役に入っていた風体である。流石に戦装束までは身につけてはいないが──。
「提案する筋書きとしては、前回の香港山海経のような勧善懲悪ではなく、ふたつのグループがお互いに争い、ひとつの目標に向かっていく、と言うものにすることだ。
 例えば、一方のグループがある襲撃の際、偶然バイキングの秘宝『オーディン・オーブ』の在処を示した地図を発見。
 そのことを知ったもうひとつのグループがそれを奪いに来る。必死の防戦もむなしく地図は奪い取られる。だが、機転を利かした仲間の一人が写しを作っていた為事なきを得る。
 秘宝を手に入れる為に相争うふたつのグループ。その行く手に待つものは‥‥?
『オーディン・オーブ』‥‥かつてのバイキングの統一王が大神オーディンから授かった宝珠。これを手にしたものが再びバイキングを統一するとされる。また、統一王が隠したと伝えられる莫大な財宝の隠し場所を探し出す手掛かりともされている 
 俺が演じるのは最初に地図を手に入れた方のグループの戦士バルガス。グループの若リーダーの後見役。
 あと、バルガスが属するグループの若リーダーにはリューキを、もう一方のリーダーにはルークを推す」
「光栄だな」
 別に皮肉を言うわけではなく、只単に端的な感想を述べただけの銀髪に白面、碧の瞳に、銀一色の装束の男──髪を総髪にしてはいるが──ルークが頷く。
「とりあえずは親子の葛藤とかはなしなんだね、ありがとう」
 と、ふわふわの金髪の少年、リューキ・王がフェイロンに向かって頭を下げる。
「ま、それは監督の采配ひとつだがな、ともあれ、俺の案はこんな所だ」
 金髪の若者、九条・運(fa0378)が笑みを浮かべながら──。
「リューキ。まさか、何も選択がない、なんて思ってはいないよな? フェイロンさんの筋書きでも」
「え゛」
「俺の希望する役柄は流離いの冒険商人in北欧、って感じの、商船護衛等の傭兵業務と貿易業務、入植地の捜索を生業とするヒーローサイドのバイキングの典型だな。
 香港山海経では悪役だったんで今回は一見悪役の様な善玉っぽい役で行きたい。
 シナリオへの絡み方は今の話を聞いた所では‥‥未定、し・か・し」
 と、顔の前で人差し指を左右に振り。
「善意の協力者を装って主人公陣営に属し、自分の目的の為に利用して行く。
 とはいえ、主人公に関わってゆく内に徐々に友情が芽生え‥‥って感じのルートか。
 両陣営の抗争に乱入して一度両方の陣営の面子と交戦した上で──。
『お前達、どちらか俺を雇え。より高い値を付けた方に黄金の翼は輝く』
──って感じで自分を売り込み絡んでゆく‥‥ってルートか。ざっと考えただけでこれだけある」
「売り込みコースの方が面白そうだな、ただし黄金の翼云々の台詞はは獣化のネタを前もって振っておくか、別のアイディアでの伏線を張っておかないと、意味がわからない人間の方が多いだろうがな」
「そっか。ともあれ、アクションの舞台は最終決戦は海戦が良いな〜って事以外は全く考えてない。
 できれば海戦2:陸戦1くらいが良いんじゃないかな?」
「じゃあ、WarCry1−3と3−3は海戦。2−3は陸戦程度にメリハリをつけるか」
「では、自分の案を」
 と、モヒカン(fa2944)が意見を述べ出す。
「前作の『香港山海経』が自由度の高いエンターテイメントな映画だったので自分も参加を希望する。
 自分が参加を希望する役柄は典型的な悪の海賊。これはルーク殿の配下でいいのだろうな。
「ああ、その方がメリハリがつく」
 と、応えるルーク。
「スレッジハンマーと、スパイクシールドで武装し角付きのヘルムを被りスケイルメイルに身を包んだ典型的な北欧系悪役海賊ルックをコスチュームとする。
 教会や商船や町村の襲撃と略奪と強奪を専業とし酒と宝と女を好む火と剣で弱者を嬲る悪逆非道の海賊そういう倒されるべき悪の海賊を希望する。
 今の話し合いを聞いても筋書きが、如何なるものかは具体的にはまだ確定してはいないのようなで、性格や設定の変更も考慮はしているが、できる事ならシンプルな悪で行きたいと思っている。
 その『やられ様』を観て観賞した100人の内、80人以上が爽快感を覚えるような非常にシンプル且つ極悪な悪党を演じたいと思っている」
「たとえば──宝を目の前にして裏切ったところを、俺がうしろからばっさり斬っても、当然だな──と思われる程度にだな」
「ルーク殿は主役な思考はできないであるな‥‥」
「冗談だ。シンプルな悪はシンプルな善に滅ぼされる。竜の小僧っ子を人質に取ろうとして、返り討ちに遭う、といった所か?」
「え、ぼくがモヒカンさんをですか?」
 驚くリューキ。身長2メートルはあるモヒカンと、少年であるリューキの身長を比べれば‥‥頭ふたつ、いやみっつは差があるのではないだろうか?。
「その程度の殺陣はできるのだろう? やってみての爽快感ならな。監督がそのシーンまでにどういう話を積み重ねていくかで観客からの憎まれ度は変わるだろう」
 あくまで監督に話をふるルーク。
 最後に黒髪の女性、ランディ・ランドルフ(fa4558)が、自分の腹案を告げる。
「私はランディ・ランドルフ。
 本格的な仕事は全くの始めてだが、よろしく頼む。
 私の希望する役柄は『略奪に耐えかねたキリスト教徒達が設立した海賊狩り機関の武僧』、軍隊を設立して聖地奪還に出かけた実例が有るだけに、何かしらの理由が在れば‥‥例えば海賊に奪われた宝の中に貴重な聖遺物が含まれていた場合‥‥そういう機関が設立されても不思議は無いからな
 そういう機関に務める武僧として奪われた宝を奪還に来た。という役を希望する。
 性格や行動は特に捻りは無い。
 一応、敬虔主義なカトリック教徒ではあるが、異教に対して威圧的という訳ではない程度で尼僧と言うよりは神父よりの人物でやってみたい。
 アクションは多分できると思うが、演技となると加減が良く判らないので。最も手馴れ、体に染込んだスタイルでのアクションをメインに持ってゆく形で、関わって行きたいと思う」
「OK、OK。全体の話としては、バイキングの金髪の小僧VS銀髪の魔狼。そこにローマからの女性パラディンが関わってきて、謎のお宝、世界の全てがそこにあるとされたオーパーツ『ミーミルの首』の争奪戦になるわけだ。
 第1シーンはイギリスの修道院に略奪をかける金髪の小僧の艦隊。そこで発見された謎の地図。しかし、そこへ銀髪の魔狼の艦隊が強襲をかける。この修道院にその地図があると知っていたのは運。お前の役目だ。地図は半分に、フェイロンとモヒカンの一騎打ちで分かたれ、両者の艦隊が引き上げた所で、ミーミルの首──ローマではジーザスの頭と呼ばれている、それの地図の保護をしようと、ランディがやってきて『遅かったか!』と舌打ちする。後でどう絡むかは当然プランがあるのだろう? そこで、鍵となるのが、役目の決まっていない燐──お前さんだ。キャスティングボードを握れる上、後出しで状況を決められるのだ。相応の演技はしてもらうぞ」
 いきなり、役が決まっていない燐に話がふられ、唐突に(多分)世界の命運を握ることになってしまったらしい。
 ちなみに有色人種は、どの神かはさておき、神の加護の証しという様に、以前の話し合いで決まっているので、燐が有色人種な以上、大きな重しを世界の運命という秤に載せる事が出来そうだ。
 それがどちらに傾くかはまだ誰にも判らない。WarCry1−2を待てである。