悪は許さない『撃つ』ヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
5Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
27万円
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参加人数 |
15人
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サポート |
0人
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期間 |
10/31〜11/02
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●本文
それはギリシャの片田舎の事。カトリックでもないギリシャ正教の土地で、ハロウィンパーティーと称し、カボチャを的にして銃器だの、弓矢等といった飛び道具でどれだけ破壊するかを競う乱痴気騒ぎの真っ最中であった。
ひとりの参加者の携帯電話が鳴り出す。相手はWEAのお偉いさんだ。
「周りが煩くて聞こえないんだ! もっと大きな声で言ってくれよ! 何、強力なナイトウォーカー? 全長6メートルの赤い蛇で火を吐く!? ジョークはエイプリルフールの時に言うもんだぜ?」
(こちらは本気だ。相手は肉弾戦に持ち込まれる前に、射程10メートル以上の火炎の息と莫迦力で、肉弾戦を封じてしまう。凄腕が本気で相手をしなければ、大被害が出るぞ! 幸いこちらが車で囮になって、そちらに向かっている。対処してくれ。もう一度言う肉弾戦は死を意味するぞ)
「了解だ──おい、ギースども! 仕事の時間だロックンロール!」
銃声をも圧する声で戦いの──命を懸ける戦いが始まる事が宣言された。
──カット38スタート。
●リプレイ本文
目標から90m離れた地点から望遠視覚を使い狙いをつけ、全開の破雷光撃で遠間のナイトウォーカーに向かい、鶸・檜皮(fa2614)が先陣を斬る。
「攻撃は最大の防御だ‥‥一方的で悪いがこちらから先手をとらせてもらう‥‥」
「‥‥ふむ。火を吹く蛇なら『火の蛇(シウコアトル)』と言った所でしょうか。
尤も、此方の蛇が雌とは限りませんが。シウコアトルはアステカおける女神ですからね」
御影 瞬華(fa2386)は一瞬物思いに耽りながら。
「‥‥まぁ、軽い冗談はさて置きとして、では鬼軍曹どうぞ」
──緑川安則(fa1206)曰く。
「今回の作戦は空対地、地対地戦闘の連携が重要だ。絶対に近接戦闘を挑むなよ。耐火服装備していても火炎放射でダメージ受けるのは確実だ。無駄な傷を受けるなんぞ、素人のそしりを受けるぞ」
そんな張りのある声とは裏腹に、どうやら、囮となっていたWEAの関係者は途中でエリュトロンオピスとコードネームがつけられたナイトウォーカーに補足され、美味しく頂かれたようだ。
待機して──と言っても具体的な指示の出されていなかった事から指揮系統に混乱が生じ──ベルシード(fa0190)は囮役を買って出ていたが、もろに真ん前に出る形になってしまった。
「ヒャッホウ! トラブル上等!!」
予め作っておいた分身にもエリュトロンオピスは反応を見せず、注意を散漫にさせようとして放った狐火だが、その間合いは炎の息と同じだった。弾薬は誘爆し、辺りを硝煙に煙らせる。
「──拙者、必ず仇は取り申す」
天音(fa0204)の決意。
「しかし、コアを潰してから、止めを刺すと考えておったが、コアを潰せばナイトウォーカーは滅することが出来るのではないのか?」
他の空中部隊が注意を逸らしている隙にコアの位置を鋭い目で発見しようとするが、中々に発見できない。
ザジ・ザ・レティクル(fa2429)は油を撒いて、火あぶりにナイトウォーカーをしようとするが、相手とて動く存在狙って乱射できるサブマシンガンと違って、油の持てる絶対量の限界と相まり、大きな戦果はあげられなかった。
「コアに当たらなくたって、確実に体力は奪えるはず‥‥。
楽観視? とんでもない。全弾撃ち尽くすまで、絶対退かないわよ。
戦いは、数。そうよねミカ姉様?」
「炎の間合いは15メートルといった所でござろう」
コアの位置は見つけられずとも、火力で押す。戦闘は火力。数ではこちらが圧倒的に押しているのだ。
最後のカートリッジを捨てて、身構える天音。
「しかし──策はある」
破雷光撃の一撃を口の中に放つ間合いを、見きるべくその一瞬を待つ天音。地上班が追いついてくる。
「冗談にも程があるな‥‥全長6メートルってほとんど怪獣だろ?」
シャルト・フォルネウス(fa1050)がフードの下、ぼやく。
「シャルト、日本で少しは鍛えたそうだな? ‥‥フォローする。しっかりやれ」
ゲオルグ・フォルネウス(fa4218)がアーチェリーを構え──。
「それなりに射撃は得意なつもりだが‥‥弓は初体験だな」
と、本気で信じているのかいないのか判らない繰り言を述べる。
アーチェリーと虚闇撃弾が乱射される。
どちらも速射性に問題は無かったが、動きを止めるにはあまりにも脆弱過ぎたようだ。 しかも地上を炎で舐め尽くされる。父のアーチェリーの矢は燃え尽き、息子の弾丸は爆散する。
しかし、その瞬間は天音は見逃さない──。
おもむろに敵の前で精神集中に失敗して浅傷を追わせただけの、周囲からすると何がやりたいのか判らないまま黒こげになって落ちていった。
落ち着け! と、やーくんの一喝。
「目標補足! 各員連携を保て!! 弾幕展開!! 撃て!!」
「とにかく攻撃を受けないようにしていけ! 時間をかければ必ず勝てる!」
戦友が先走ったり無謀なことをしないように声を変えていきながら、負傷した戦友がいれば庇いつつ。少し後退。応急処置を行っておく。
「まったく‥‥接近して突撃零距離射撃っていう、格好いい攻撃ってのもしてみたいんだがな。あの火炎では無理か。まったく、やっかいなやつだ」
何が楽しいのか微笑んでやりながら仲間の支援を行うやーくん。
「戦いは、Maguna2944マグナムを撃つべし、撃つべし」
飛呂氏(fa1674)が檄を飛ばしながら引き金を引き落とす。暗夜に霜の降る如く。
しかし、あっという間に弾が尽き、波光神息に切り替える。味方の銃声の中、意識を集中する先生。
はたして動きは鈍ったが、まだまだ健常そうである。
緑川メグミ(fa1718)は──。
「なんで‥‥私が耐火服きて任務に当たらなければならないの。久しぶりの兄様とのお仕事がこんなヤバヤバなのって‥‥ほんと兄様はトリガーハッピーね‥‥」
少しあきれながらもM92を両手で握り締めていく。
「あーあ、体力がもう少しあればIMIUZIを装備できて高速飛行との併用で凶悪な対地攻撃能力が得れたのに‥‥もう少し鍛えようかしら?」
元々の地力が一般人程度では結果は判っている。
「見せてあげるわ。ナイトウォーカー。小鳥だからって馬鹿にしないでね。飛行能力だけで言えばすごいんだから。
空圧風弾を離れたところから、放ちながら高速飛行で接近し、射撃を行い即座に離脱を行うわ」
空圧風弾の威力は多寡が知れており、彼女の銃そのものの腕前も完全獣人化しても多寡がしれており、有効打にはならない。
「ほんと、NWって厄介ね‥‥なんでこんなのがこうして存在してるのかしら?」
疑問をつぶやきながらも容赦なく、弾を撃ちこんで行く。但し、外れであるが。
それに何を勘違いしたのか、メグは──。
「ふふふ‥‥結構楽しいわね。射撃って。ストレス解消にさいっこう。だけどこの火炎だけは嫌ね。今度のデートはもう少しいいところに誘って欲しいわ!!」
ぶつくさ言いながらもガンシューティングゲームでもするつもりで銃撃戦を展開していく。戦力には欠片もならなかったが。
だが、命にコンティニューはなかった。羽毛に火が付き、落下しながら炎上、やーくんがスライディングキャッチする。
「死ぬ‥‥なよ」
群青・青磁(fa2670)が獣人としての能力を存分に発揮し、身軽な動きでナイトウォーカーの動きを牽制する。とにかく、8メートル以上離れること。
叢雲 颯雪(fa4554)も軽業を活かした射撃を試みる。しかし、虫程度の脳味噌のナイトウォーカーではどれだけ引きつけられているか甚だ怪しい。
磯野兵衛(fa4673)はこの肝心な状況に、自分が活かされているのだと気づいた。代わる代わるに囮になる態勢でシリンダーからカートリッジを振り落とし、熱くなったシリンダーにカートリッジを装填する。
それが世界の全てとなっていた。
誰か、誰か──。あのナイトウォーカーのコアになる部分をー。
「‥‥あの‥‥コア‥‥判っちゃい‥‥ました‥‥」。
あせりの声に湯ノ花 ゆくる(fa0640)が先程コアの位置を特定できたと告げる。
飛羽針撃が使える要員に一瞬の反撃にかけるべく、獣化能力で一同の情報がリンクされていく。
その前にゆくるが炎の届かない間合いから虚撃弾闇を加える。これで完全に無力化されるナイトウォーカー。
幾枚もの風切り羽がナイトウォーカーのコアを直撃し、止めを刺したのは高白百合(fa2431)であった。その手傷で情報生命体は消失する。悪は滅んだ
ゆくるが無傷のままメロンパンを取り出しながら消毒薬の薬臭立ちこめるWEAの支部で治療してもらっていた。
何はともあれ、命をうしなったものはいなかった。
ミッションコンプリート!
なお、ゆくるはメロンパンが日本固有のものと知って持参してきた固いメロンパンを囓るのであった。