WarCry3−1アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
16.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/11〜01/15
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●本文
バン!
テーブルに両手をついて、ファーナス・王は立ち上がった。
「やるぞリューキ! ラストだ。盛り上げるだけ盛り上げるぞ!」
それに関して、自作のチーズケーキを切り分けるリューキ・王が──。
「いいけど、ダド? オチは思いついているの?」
「やまあり! おちなし! いみなし!
つまり『やおい』だ!」
その理論で行けば、全ての作品はやおいとなる。
「ダド、酒控えたら?」
「なあ、リューキ、今回の映画はあまりにも犠牲が大きすぎた‥‥」
「また、そんな映画みたいな事を──最後に勝ったの我々ではない、農民達だ‥‥」
「うおう、先に言われた!」
「だから、そこで七転八倒してなくて」
マッチョ中年の七転八倒みたい人いますか?
「ともあれ、だ」
「新年早々に打ち合わせでしょ? あーあ、学校始まっているのにな‥‥」
話の課題は幾らでもある、海底神殿にいかにして入るか? 海戦をどうするか? ミーミルの首の暴走を止める方法は? そして、未来は決まっているのか?
それら全部をファーンは丸投げするつもりである。
カット48スタート。
●リプレイ本文
赤毛のバルガス役の烈飛龍(fa0225)はミーティングが始まると先んじて──。
「ラストまでの展開について現時点では腹案はない。
ただ、ミーミルの首を巡る最終決戦をハロルド、エイリーク、アクセルの三つ巴にすると見せかけて、その抗争の最中、最初にエイリークが脱落する展開を希望する──」
きっぱりフェイロンは言い切った。
「具体的な展開としては、バルガスはエイリーク一派を食い止める為にハロルドを先に行かせ、自分はその場に残る。
そして、三つ巴の戦いでエイリークがハロルドを追い詰め、いざトドメという際に背後から戦斧が投げつけられて、エイリークの背中を割る。振り返ったエイリークの目に映ったのは血まみれで今にも死にそうでありながら会心の笑みをたたえて仁王立ちするバルガス。その隙を突き、見事エイリークを討ち果たすハロルド、という流れを作る」
「いいけどな。でも、実はアクセルってば本当はファフニールの加護受けてたのよ〜〜。だから背中に龍なんて背負ってたの〜〜ってネタは最初ッから考えてたけど今更無理か。 シーン1で伏線張り忘れたのが不味かった〜〜
まあ良い有る物でやろう、取り敢えず案だし〜〜
フェイロンの案までに面子が、海底神殿にいかにして入るか?
光の柱の近くに接近した時に有資格者(ラル、ラルに呼ばれた人間、鍵持ってる人、謎なアイテム持ってるかもしれないエイリーク)な面々の場合は海底神殿に瞬間移動してしまうその他の人間で進入を望む者は根性で素潜りし到達」
「だから、竜と龍を都合良く混同するな──と」
ファーナス・王がアクセルを演じるところの九条・運(fa0378)に突っ込みを入れる。
「海戦をどうするか?
地味に弓矢と、投石と、殴り込みでバトルロイヤル!!
砕ける柱! 裂ける帆! 炎上する船体!
‥‥ヤベエ!下手すると俺、生き残れねえかも知れん!?」
「話の中心点がずれるから海底神殿にみんな根性ででも行ってもらおう」
ファーン、ちょっと酷い親爺かもしれない、ちょい酷親爺か?
「何の為に中盤にハロルドの率いる部族の悲劇を描いたと思っている? エイリーク一派が卑怯者で秘宝を受ける資格がないと観客に想定させる為の伏線のつもりだったんだが‥‥映画の中くらい、悲劇を負った者がその復讐を果たしても良いんじゃないのか?」
と答える。
エイリーク演じるところのルークは──。
「やられ役、結構。しかし、ミーミルの首を制御する役目が全部ラルに回ってくるな」
微妙に嫌なのか、単に若い衆に負担をかけたくないだけなのか判らない発言をする。
「そうだね、ミーミルの首の暴走を止める方法は?
王道なら制御する方法を知っている者が制御する事で暴走が停止‥‥ってのだが。
制御? そんな事は誰にも出来ない、それ故に封印されていたのだから‥‥って具合に破壊せにゃメーよってのも捨てがたい‥‥この辺りは積極的に関わる人次第で?」
と、一呼吸置いて運は──。
「未来は決まっているのか?
決まっているが、未来を知る者の行動で変動する。
決まっているが、一杯ありすぎて見てる方も困っちゃう」
未来論はさておき、エイリークを倒すと、状況をまともに把握しているのはアクセルだけなので、展開は彼次第だという気がする。多分、完全に把握しているアクセル役の運が突き放してしまうと、燐 ブラックフェンリル(fa1163)がパニックを起こす。
「時間とか言葉そのものという存在や権能は無いぽいですね」
「あるが? 過去(ウルド)、現在(ベルダンディー)、未来(スクルド)を司る女神がいるぞ。それが割り振ったノルンの加護だが?」
「はうぁっ。じゃあ、ヴォータンに匹敵するとゆー話なのでゲフィオンなどを候補にしようとした僕の立場は」
ない。
「で、神殿の事だけど運の話だとちょっと怖いので、神殿へは──。
1、不可思議ぱわーでその場の全員が強制転送される。
2、船が珍奇な力場に包まれて海底に引き込まれる。
3、神殿が浮上、上陸可能に」
「よし決めた神殿浮上だ!」
「生き延びた〜」
と運が吐息を漏らす。
「で、暴走した首
1、ハロルドが破壊。
2、ラルが制御、ないし停止させる。消失する。
でも、人は寄り添い、諦めない。
ラルとハロルドが二人でミーミルの首を止める、がクライマックス?
エンドは考えていません。
で、運が言っていた時間だけど、過去を変えようとしても、方法が積み重なるだけで既に起こった結果は変わらない。
未来はまだ確定していないので変革することが可能。
加護が何であろうとも、幻視した未来を変えようとするならば、変えようと願うラルの強い想いが不可欠。
未来を現実にするのは人の意志である、と。
で、覚醒(?)したラルの加護がハロルド陣全体に上乗せされパワーアップ、またはエイリークの力とか影とか嘘が暴かれたりとか?」
「いや、そのハロルド陣が壊滅なんだが? アクセル寝返る?」
さりげなく酷いことをファーンは囁く。
「それはどうあれ、まだ届かなくとも、いつか視た未来がまだ来ていないのなら、私は変えようと手を伸ばす。あの幻だけは現実にしたくないから──このような気持ちだと思いました」
フェイロンは落ち着き払ってウーロン茶を煽りながら──。
「小田原評定にならない様にしろよ。今まで撮った映像と矛盾が出ない範囲で、汚名を雪ぐ名案を次のリハーサルまでに出してくれ。今日はまだ相談の段階だからな」
「んじゃ、そういう事で、さあリューキ? 『カーミラ』と『KNUCKLE』どっちを着たい?」
と、ふたつのスーツケースにそれぞれのロゴが刻まれたそれを運は示した。
そこへ少女めいた、というより女の子の顔立ちに少年の眼差しを持ったリューキ・王が片方のスーツケースを指さして──。
「じゃあ、男らしく『KNUCKLE』で」
「安心しろ、リューキ、既に父が『カーミラ』を確保している」
ファーンよ、その行動力は何処から出てくる?
結局両方持って行かれた運であった。
そこへモヒカン(fa2944)が意気軒昂に──。
「さて如何にして殺られるかが問題だ。
今までのあざといまでの行動で与える印象度割合は、
推定──。
シネヤ! キサマ:30%
見苦しいんだよ:25%
ウチの子に悪影響を与えたらどうするザマス:20%
三流の所業だな:15%
低脳のブタめ:10%
死亡フラグ確認:未知数%
嗚呼筋肉:未知数%
ムキムキ〜〜キレテル〜〜:未知数%
めそ:ゲージ振り切り%
──位にはなるだろうと勝手に推測
あとはどうやって殺られるかだ。
殺られる相手がハロルドなら‥‥同じ相手の同じ戦法が何度も! の理屈で急所掻っ切られて死亡確認。
エイリークなら‥‥ミーミルの首に接触し増長して下克上を仕掛けた所であっさりと返り討ち、だがその前に殺されるのであったな?
その他の面子なら‥‥ケースバイケースで」
うむ、ここはイレーネの出番だな‥‥と、ファーンが呆気なくいなす。
「イレーネが女性とばれる。女性見ると──」
「うむ、よゐこには見せられぬ行動に出るな──」
ランディ・ランドルフ(fa4558)は眉間にしわを寄せ──。
「まず、股間にすくい上げるような一撃か──。
雑魚を叩き潰しただけで、ジョーカーか役無しかどちらになるかはこれから次第か。
予定としては‥‥相手の予定にもよるが、序盤はアクセルとの戦闘を継続、海戦時には乱戦か?
ラストは生き延びている場合はラルを見失ったので目立つ冒険商人達の追撃とするか、終盤で神殿なりなんなりでラルと遭遇するのなら命を狙いに行って、彼女を護ろうとする誰かに斬られるというのも良いかもしれない。もっともハロルドに殺されたのでは、何の為に来たのか、さっぱり判らないがな──」
自嘲気な笑みを浮かべるランディ。
「男装が剥がれるシーンは‥‥戦闘中の回避不十分で切り落とされる等の不可抗力が良いか。序盤のアクセルとの戦いで済ませた方が手早いだろうな」
「戦闘といえば、アクセル役の九条さんには悪いが、リハーサルと本番では急所や、手元狙いで攻めさせてもらう予定だ。
真面目に徒手で武器を相手にする場合、武器を潰すか、即座に命を潰すかが王道だからな、もしもの時は不可抗力で納得してくれ」
「世の中、映画の殺陣が、全て真剣勝負でやっているとでも、思っているのか? 危険な行動は、入念に打ち合わせた上で行う。
まさか、ランディもアクションはすべてぶっつけ本番でやっていたのか?
だとしても、悪いが本気の殺し合いを撮影するつもりはない」
断言するファーン。
「しかし‥‥、すっかりエイリークは悪の根源扱いだね。ふたつの勢力が善悪を越えてぶつかり合う映画になる予定だったのに。
まぁ、配下に恐面ばかり揃ったからしょうがないかな、人望だよね」
と、苦笑いする新井久万莉(fa4768)。
『未来はどうでもいいかな? ま、燐に任せようっと。
でも、ルシアはニヤッと笑って、まだ生きている内にエイリークに言うだろうね。
『あたしの未来はあんたを倒してお宝を手に入れ、この先も波瀾万丈に楽しく生きて行くって決まってるのよ?』
‥‥なんてね?
それから、エイリークの手に渡るまではミーミルの首持ってていいんだよね?
なら、ラルを庇い倒れる未来を見て、実際にそうしようと思う。それがラルが逆境から立ち上がるきっかけになるなんてどう?
あと、ルシアが冒険商人をやっている理由は生き別れの妹を探してるって事で。その辺は話にあんまり関係ないし、次回までにどんな風に演技するか台詞とか考えとくよ」
議論が出尽くしたスラッジ(fa4773)は──。
「じゃあ、それでウルベルトだが、前回、ハロルドに負かされているのであれからどうしたらよいだろう?
海を漂っている所をエイリークに拾われ最後のチャンスを請うか、狂戦士となってハロルドに戦いを挑むくらいしか思いつかない」
そこでファーンが一言。
「じゃあ、高笑いして、バルガスの更に背後から槍を突き立てて、バルガスの仇──! とか言って、ハロルドに討たれるあたりでいいんじゃないか?」
「じゃあ、そこに至るまでの演技プランを考えて──」
燐の一声で皆は鍋を突く事になった。ファーンの家には鍋の用品が無いので、高級飯店での食事である。
こうしてWarCryの最終局面が始まるのであった。