はじめてのお使い0アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
9Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
不明
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/04〜03/12
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●本文
「という事だ。映画もしばらくは休んで、オーパーツ探しに専念させようと思う」
映画監督にして元トレジャーハンターである、父『ファーナス・王』の言葉に、息子の、とても遺伝子の半分を共有しているとは思えない、金髪碧眼の少年、リューキ・王はディスプレイの前に居座っている、父の首根っこに齧り付いて疑問の言葉を発起した。
「お前ももう中学生だ。学生の本分はトレジャーハンティングだ。日本には何度か行っているだろう。そこで日本書紀に出てくる神剣『フツノミタマ』を一本持ってこい。
「一本って、二本三本もあるものなの?」
「ある、伝承上ではな」
ファーンは言い切った。
「石上神宮と、鹿島大社どちらかにあるらしい。昔、調べて面倒くさくなったので、イヤになったので、行くのをやめた。
まあ、多分、オーパーツだろう。高天原から日本書紀によると腰に帯びて、降り立ったタケミカズチがNWか、獣人かは判らんがな」
「随分、リスキーに聞こえるけど」
「リューキよ。獅子は子を千尋の谷に突き落とす、はい上がっては突き落とし、はい上がっては突き落とし、最後に自分で羽ばたいて舞い上がった者を自分の後継者とするのだ」
●リプレイ本文
「確かに鹿島大社の方が有名だし、国宝だわ。でも逆を言えばそれだけ丹念に調べているのよ。つまりWEAへの報告書そのまんまな情報ってこと。
逆を言えばあまり表立っていない石上神社にあるものの方が実際に戦いに使われたもの。本物のオーパーツって可能性があるわ。それに石上神社は武器庫としても使われたという説がある‥‥でしょう? だから逆に真実味を感じるのよね。あ、女の勘だからって馬鹿にしないでね」
緑川メグミ(fa1718)がナイアガラの大瀑布の様にまくし立てて顔を近づけるのに、一歩引くリューキ・王(fz1001)。
「女性の勘を莫迦にしている訳ではありませんが、鹿島大社に祭られているフツノミタマは奈良時代のものと判明していますよ?」
AAA(fa1761)は一応反論するリューキの成長具合を頼もしく想いながら肩を抱き寄せる。
「ね、リューキは別に女の勘って真っ向から否定している訳じゃないわ☆ だって、メグミの言っていることが正論だもの? 正論に、前提を変えないで反論する程、頭が悪くない、というのは判って貰えるわね?」
「女を莫迦にしてるわけじゃなさそうね」
「そうよ。おひさしぶりぶりーなのね。一緒にオーパーツを探すことをや・く・そ・く。
リューキのためなら、フツノミタマの一本や二本がんばって探してきちゃう勢いで。
ファーナスに立派になったリューキを見てもらうためにも、絶対成功させる!」
鼻息も荒いエースである。猿獣人というよりは牛獣人なノリだった。
「えっと、フツノミタマの捜索で‥‥石上神宮を希望です‥‥。
それ以外が発見された場合は、此方の物となるとの事なので、其方の方も頑張りたいと思っています‥‥」
等と叢雲 颯雪(fa4554)は夢見るように───。
「フツノミタマかー。確か‥‥記紀神話にある布都御魂劔、建御雷神が葦原中国を平定するのに用いた神剣‥‥だったかな?」
「日本書紀だと剣の神そのものだったそうです。というより日本書紀しか出てきませんが」
「そうね、で。荒ぶる神を退ける力を持つとか何とか‥‥もし建御雷神が獣人なら、荒ぶる神はNWかな。‥‥ほら、フツノミタマに荒ぶる神を退ける力があるなら、きっとNWを追い払う様な効果がありそうな気がしない?
それはさておき、私も調べるなら石上神宮が良いかなぁ。
こっちはヤマト政権の武器庫として使用されていた説もあるし、何より御神体のフツノミタマが発掘された場所だからね。
禁足地から出土する品の事もあるし、他のオーパーツを探すにしても打ってつけの場所だと思う‥‥かな?
勾玉とかに混じってラーの瞳とかあったりして。
でも一番欲しいのは『白夜』だったりするんだけどね。
武器庫としての側面を持っていたのなら、若しかしたらあるかも? ‥‥何てね。探してみようかな。
‥‥問題は、この依頼が身の丈に合っていない事なんだよね‥‥」
そこへ、磐津 秋流(fa5271)からのメールが届く。
『データ在り転送する』
如何にも裏方一筋の男らしい簡潔なメールであった。
時を同じくしてリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)からもメールが来た。
「宮司らしい人とネットで接触できたから、リアルで確かめるかはお・ま・か・せ」
ヴァッツからの情報は鹿島大社の関係者のものとの対話で、展示されているフツノミタマがあくまで祭器に過ぎず、ぶっちゃけフェイクらしい、という事だった。
「ほら言ったでしょう?」
メグは勝ち誇ったように皆に問いかける。
「表向きはドキュメントのためのロケの準備、調査ってことにするのかしら?」
「いや、宮司という人と会ってから確かめましょう」
「オーパーツハンターと言っても、展示してある国宝に手を出すような真似をすべきで無い。
他にもあるというならそれを探せばいいだろう。俺も宜しく頼む」
スラッジ(fa4773)が語る中、夢見るようにメグが───。
「あー硝煙の匂い嗅ぎたい‥‥高速飛行突撃に一撃離脱攻撃‥‥早く終わらせたい‥‥なんで日本だと銃器使用に制限掛かるのよ。銃刀法の馬鹿‥‥」
別に海外に行けば銃器の使用が無制限になる訳ではない。フルオートの火器を容認している国は非常に少ないだろう。
場所は変わって、京都の街。その辻道を、メグはエプロンドレスのアリス服。ピー歳の女性の着る物ではないが、彼女はそれを淑やかに着こなしていた。
高白百合(fa2431)はつらつらと───。
(目標のお宝は決まってるんですけど、リーダーの親御さんの思惑を考えると、目標のお宝と同レベルのお宝が手にはいるならそれで十分っぽい気がします)
「えーっと‥‥。別の大物アイテムを盗掘‥‥‥‥けふんけふん‥‥ゲット出来たすることになった場合は、リーダーがその大物アイテムをゲットして、他のは皆で山分けってことでどうでしょう?」
リューキをリーダーと呼ぶ彼女に、リューキは返して曰く。
「リーダーはやめてください‥‥恥ずかしい。えーと、多分父に同格の───それこそ、神話に出てくるようなシロモノと同等のオーパーツを発見しても、修行が足りない、という理由でまた、試練を出されそうな気がしますね」
「そういう方ですか、ファーナス殿は? んー、私って正月前後に真面目に神社にお参りしますし、改まった場では皇族方のお名前には必ず尊称をつけて話す人ですけど、こういう遺跡の盗掘を忌避する気は全くないです。
神話と歴史は別物ですし、NWに関連した遺跡なんて危険物そのものですから」
(でもお役所に目をつけられるのはとっても面倒なので、身元がばれないよう、がんばりましょー、おー!)
胸の中で拳を突き上げる百合であった。
甘味処の二階を借り切って、宮司という者と接触が取れた。鍋橋と名乗ったその男は現在祭られているフツノミタマがフェイクであり、その納められている石棺をずらす事で、真のフツノミタマが封じられているらしいという、洞窟らしい何処かに繋がっているらしい、と切り出した。
「『らしい』ばかりですけど、何故、それをぼくたちに?」
リューキが切り出すと、鍋橋は応えて───。
「別に神託があったとか、そういう訳ではありませんよ。フツノミタマを探すWEAの関係者は半年に一度位はやってきます。ただ、誰も帰って情報を持ち帰った者がいないだけですよ」
まるでブラックホールである。
とりあえず、山中に分け入って、禁足地を皆それぞれの方法で信仰を表明しつつ、踏み入っていく。
荘厳な石棺を押すと、確実にずれていく。リューキが準備していたロープを垂らし、地下へと踏み入っていく。
すると、そこは十数メートルの広間であった。
壁に何やら光るものがぶら下がっている。
その下を見ると、自分は幾つか持っているので、このオーパーツは置いていく。帰る決意であり、必ずこれを持って帰る旨があった。日付は皇紀であった。戦前のものだろう。 エース曰く。
「これは幸運のメダリオンね。他にも手入れが悪いから半分以上の品が使えないけど、修理できる所に回せば、それなりの金になりそうね☆」
そして、壁の一面が半透明になっている。まるで入る事を望む婬唇の様に。
その向こうに何か、馬サイズの影が見えた。
「危ないリューキ!」
スラッジがナイフを構えて、前に出るが。
相手は気付かないようで通り過ぎた。息を潜める事十数秒、一同はロープを伝って上方へと抜け出した。
「はあはあ、何匹いたように見える?」
メグが尋ねると───。
「十匹以上は確実に居たわね? でも、こちらに気付いていないみたい?」
エースが返す。
ナイトウォーカーは群れない。異常な状況でなければ。
どうやら、フツノミタマは異常な状況らしかった。