戦え! ツンデレロボアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
成瀬丈二
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
0.6万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
0人
|
期間 |
04/10〜04/12
|
●本文
「今度は日本市場をメインターゲットに据えてみた」
台湾の某監督が踏まれても踏まれてもめげない雑草のように、ツンデレ企画を立て始めた。
今回は小さいお友達から大きなお友達まで万人に受けるであろう要素、ロボットを盛り込んでみた。
「で、ロボットってどんなロボットです? 全高0.1メートルから、5.0キロメートルまで色々ありますよね?」
ここで監督は卓袱台を、精神上の卓袱台をひっくり返した。
「ロボットっていったら、ロボットなんだよ。判るか? この俺のメカ魂が───判ったらとっととやれ!!」
だが、監督のメカ魂が判る人間は居なかった。ひとりまたひとりと、櫛の歯が抜け落ちるようにスタッフは辞して、あるいは勝手に現場を去っていく。
残った僅かなスタッフを集めて彼らの伝手で、世界中の面々を呼び集めて、再び出来る連中で再編成されることになった、今回もタイムアタックなスケジュールである。
───カット55スタート。
●リプレイ本文
「なるほど、逃げられる側から逃がす側へ変わったわけですか」
今回も脚本のまとめなどを主に担当する巻 長治(fa2021)が出会い頭のカウンターを一発、監督に叩き込む。
かんとくのろぼだましいは100のダメージをうけた。
話は元に戻り、ドラマ進行。
上月 一夜 (fa0048)演じるのは度々、ストレス解消とか称してお忍びに出掛ける癖のある某国の王子、数馬。
そんな中、彼の身を心配する妹「絢」の手配で周囲を世話する侍女がやってきた。
でも、何だかツンツンしてる娘だな‥‥。
時はしばし遡り、最上さくら(fa0169)制作するところの、『科学者の研究室』にて───。
そこは無機質な感じの白を基色とした広めの部屋によく分からない四角い機材がごろごろとあり、床にもケーブルが足を引っ掛けそうなほどうねっている。
卓上にはビーカーや三角フラスコ、試験管等が無造作に置いてあり、真ん中には手術台を髣髴とさせる金属製のベッドがある。
辰巳吾郎、通称『博士』(弥栄三十朗(fa1323))はそこにいた。
外見はというと、ぼさぼさの髪に無精髭、瓶底メガネ。よれよれのYシャツの上から、よれよれの白衣を着用している。
これでも、人間型アンドロイド開発の第一人者。
研究馬鹿で構い付けない性格で知られており、ごく最近試作アンドロイドの設計図を盗まれている事は極秘だった。
だが、それとは別設計の新たな娘が寝台の上から立ち上がった。春雨サラダ(fa3516)演ずるところのアンドロイド『チハル』である。
衣装は、白を基調、所々にスカイブルーのラインが入ったスポーティなもので、関節部は隠れて見えないが、微妙な膨らみがああり、こめかみの所にはマウスのような白い部品が取り付けられていた。
「目覚めましたか我が娘よ。お前はひとりの男を守護する為に生まれた。インプット済みだが、改めて見てください」
「博士、そんな悠長な事をやっている場合では───今日お願いした事なのですが、実は私の兄についてなのです。兄はプライベートで出掛けてしまう事が多く、その際には護衛が手薄になってしまうのです。そこでチハルさんに兄の護衛をお願い出来ないかと思いまして」
「待って下さい、物事には手順というものがあります」
と数馬の妹姫『絢』(葉月 珪(fa4909))は博士を急かす。
穏和な性格で年下や身分の低い者に対しても分け隔て無く敬意を払って接する彼女は、兄想いのしっかり者であり、度々お忍びで出掛けてしまう数馬を心配していた。
この殺風景な場所に似合わない、ふんわりとした可愛らしいピンクローズの姫ドレス着用している。
とチハルは、警護対象である一馬の写真を見せられて、格好良い彼にどきりとするものの、ぱっと目をそむけて
「ふん、任務だったら仕方ないわよねっ」
「本当に大丈夫なんでしょうか‥‥」
と、絢。博士は───。
「‥‥‥‥性格設定に問題があったか?
まあ、これはこれで面白いから良しとしよう」
───をい。
「任務だけはきちんと果たすようにな。それがお前のただ一つの存在意義だから。
少しくらい壊れても私がきちんと直してやるから思い切りやりなさい」
そこで秘書風の衣装を上からまとったチハルを博士の下から連れ出し、別宅の数馬にチハルを紹介する絢。
「今日からお兄様の監視をして頂く事になりましたチハルさんです。お兄様はすぐに何処かへとお出掛けなさいますからね‥‥。最近では王族の者を狙う不審な動きがあるとの噂も聞きますから、くれぐれも不用意な行動はなさらないで下さいね」
そんな注意を受け入れる筈も無い兄と、ツンデレな護衛ロボットを不安気に見送る絢。
「本当にあの二人、大丈夫でしょうか‥‥。心配ですね‥‥」
ため息ばかりが数が増える。
一方、別宅を監視する影がある。
「ふふふ、今日こそは‥‥私が王族に代わって‥‥」
藤間 煉(fa5423)演じるところの王室を狙う科学者兼ボス 侑は。エセ科学者っぽく、ちょい偉そうな容貌に加えて、勝気でプライド高め。辰巳博士を尊敬し、科学者を目指すも‥‥最近では一方的にライバル視する当たり微妙に屈折しており、打倒王族!! の為活動する、変な金持ち。
出で立ちは黒Yシャツに、薄汚れた白衣。スラックスに黒革靴という、白衣を脱ぐとエセホストといった所であった。オプションとして、髪はオールバック、白衣時は眼鏡・それ以外は黒サングラス使用。
「新人を連れて、数馬は別宅を離れた模様。接触して確保します」
とマキさん演じるところのやられ役が侑に連絡を入れる。
ともかく、お忍びにチハルを伴って街へと出掛けた数馬。
出掛ける時に絢から聞かされた『王族を狙ってる奴らが居る』と言う話は心配ではあるが、まぁそれはそれ。
ただ、もし襲って来たらチハルを逃がす程度の心配はしてる位の心持ちは持っていた。
そこへ、やられ役が接触する。チハルのさりげない動きで、ワンインチパンチでなぎ倒す。
「何かあったか?」
「さあ? 別にあんたの事が心配だからじゃないからねっ!
任務だから仕方なく一緒にいるんだからね」
そして話に出てた通り襲って来る襲撃者達。
何体かは気がつかないうちにチハルがこっそりと倒してくれていたのだが、遂にバレてしまう。
もし襲撃されたらチハルを逃がす筈だったのに、逆転してチハルに守られる事になった数馬。
取り敢えず、後方に下がって見守る。
「凄い武術の達人だな。守るつもりが守られてばっかりだ」
そこへメイド服姿のアンドロイド燕(天羽遥(fa5486))が現れる。
王子『数馬』を見つけ「王子『数馬』サーチ完了です」無線で命令を受けて───
「この者を倒せば良いのですね」
と、確認。侑からの指示を受けると、「はい、マスターご命令のままに」。
「場所変わるわよ! こんな所で戦えない!」
と、飛びかかってくる燕の攻撃をやり過ごし、海岸の倉庫まで誘導、内部で迎撃する。 燕がチハルを投げ飛ばす感じで始まり、チハルに反撃されて、空箱にぶつかり箱が崩れる、互いに激しい攻撃の応酬。無意味にバク転したり、側転したりと派手なアクションを組み込んで非常に見栄えがする。
メイド服やスーツが互いに敗れ、チハルは白地にスカイブルーをあしらった基本衣装が、燕は黒地に紫をあしらった基本衣装が露呈し、互いの人工皮膚も破れている。しかし、最後にチハルの回転蹴りの一撃がまともに入り燕は倒れる。
「マスター‥‥」
燕は機能を停止した。
そして、数馬の目にするチハルの内部構造。
戦闘シーンでは表面の皮膚が剥がれ機械部分が露出している、というメイクを。
こちらも人工皮膚と組み合わせて、有機的な痛々しさと無機質な冷たさを強調。
楽子(fa5615)渾身の破れた人工皮膚の下に見える機械部分は「血管の様につたうコードと鋼鉄の骨」であった。
「き、君は───」
正体がアンドロイドだとバレて、ちょっと泣きそうになるチハル。しかし、涙腺はついていない。
しかし、数馬はアンドロイドだと知った時には取り敢えずビックリはするが、深くは気にしなかった。
「な、何でよ!?」
何やら理由は───。
「少なくとも下手な他人よりは信用出来るから」なんだそうで。
数馬に気にしないと言われて、凄く嬉しく思ってはいるのだが。
「っ、べ、別にそんな事、嬉しくなんかないんだからねっ」
と、強めに言い放ち、頬を染める。
こうしてひとつの戦いが終わった。しかし、油断してはいけない。侑の元には博士の所から盗み出した試作型アンドロイド108体の設計図があるのだ。
戦えチハル!