邂逅、ツンデレ美少年!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 成瀬丈二
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/26〜05/28

●本文

 明日出来る事を今日するな、という諺が世界の各地にあるが、台湾のテレビ映画の若手某監督もその言葉が好きだった。
 撮影日を8日後に控えた今日になるまでは、シナリオを依頼したのは同じ心情の若者だった。
 いや、少なくともその若者はそう見えた。単に某監督にだけは。
 ともあれ、今回は『美』の一言をタイトルに挿入しただけでキャストの集まりがどうなるか、微妙な実験でもあった。その為、『主役』のオーディションには『男装可、外見年齢8〜16歳』という縛りを予め、入れておいた。
 しかし、そんな現状とは裏腹に時間は無為に流れていく。時間はこの宇宙に於いては使うか、浪費するかの二択しかない。
 ADが出世払いだの泣き落としだので、スタッフを募る一方で、TOMI−TVからの電話を某監督はさりげなくやり過ごす。
 阿鼻叫喚の坩堝に終わりは来るのか? それは8日後になってみないと判らない───。そう、最後の夜明けまで‥‥。
 カット60スタート。

●今回の参加者

 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa3571 武田信希(8歳・♂・トカゲ)
 fa4203 花鳥風月(17歳・♀・犬)
 fa4611 ブラウネ・スターン(24歳・♀・豹)
 fa4942 ラマンドラ・アッシュ(45歳・♂・獅子)
 fa5164 ミズキ(13歳・♀・猫)
 fa5302 七瀬紫音(22歳・♀・リス)
 fa5615 楽子(35歳・♀・アライグマ)

●リプレイ本文

 巻 長治(fa2021)曰く───。
「明日できることを今日するな、という人間に限って、
 明日になっても何一つできなかったりするものです」
「まあ、そう言わないで。メイク室のBGM、爽やかなボーイソプラノにしておきますね」
 皆のメイクを終えた楽子(fa5615)が楽しげにCDをチョイスする。
 スピーカーから流れる、神様の悪戯とまで言われた歌声。
「あー天使の歌声だ〜」
 弛緩しきる監督。
「残り47時間切っていますよ」
 マキさんが言う中も無情に時はすすみ、撮影は大あわてで進んでいった。

 就職活動を一段落させて、未央(七瀬紫音(fa5302))は公園のベンチで一休みしていた。
 白い肌に、纏め上げた黒髪。
 ナチュラルに整えられた化粧が爽やかな印象の女の子。
 チャコールグレーのスーツに、ヒールのある黒のパンプスは未だ身体に馴染みきらないといった様子。
 彼女の視線の先にはサッカーに興じる少年たち。
 そのうちの一人・真田大介(武田信希(fa3571))の姿が初恋の少年───泰とだぶっていく。
 なんとなく見つめていると、ボールが未央の足下に転がってきて、大介がそれを取りにきた。
「はい、ボール。飛ばす方向に気を付けてね」
 と未央は微笑む
「勘違いするなよな、ボールの方が汚れちまうだろう?」
 大介は白いTシャツにジーンズ姿。西洋系の血でも混じっているのか、風に靡く紅い髪に、つぶらな青い瞳。
 少年らしい柔らかな肌と髪に、女の子顔負けのまつげがエキゾチックである。
 ボールを返しつつ優しく声をかける未央に、なぜかツンツンした態度をとる大介。
 未央はその様子にますます泰と似たものを感じる。
「ねえ‥‥泰って名前を聞いた事ない?」
「ふん、そんな奴関係ないね。何だよ、人の顔じーっと見て」
「ごめんなさい───あなたのお兄さんや叔父さんとか従兄弟の人にもそんな名前の人はいないのね‥‥」
 やがて少年たちのサッカーも一段落し、三々五々散っていく。その人混みから外れた大介が未央の近くを通りかかる。
 未央はそんな彼に声をかけ、自分の昔の話を始めた。
 回想の中で語られるのは、今と変わらぬ、白い肌に黒い瞳の少女(ミズキ(fa5164))。汚れを知らぬ少女らしい、ふんわりとした花柄のワンピース。
 ――成長した未央を演じる紫音と少女時代を演じるミズキを似せるメイクは楽子渾身の作。
 そんな彼女とは対照的に泰(ノブ二役)の子供時代は真っ白なシャツと薄茶のハーフパンツが普段着であった。
「おはよう! ねぇ、宿題やってきた?」
「ああ───それが?」
「なんで、いつもそんなに冷たくするの?」
 少女時代の彼女は、泰と仲良くなりたくて、よく彼に話しかけていたが、いつも彼はツンツンした態度をとるばかり。
「私のこと嫌いなら嫌いって言えばいいじゃない! ‥‥泰君なんて、大嫌い!」
 それが悲しくて、ある日の学校帰りに公園で話しかけた時、つい『嫌い』と言ってしまう。
「引っ越した!? ‥‥まだ、謝ってなかったのに」
 その後はあまり会話もなくなり、やがて泰は引っ越してしまった。

「‥‥悪かったな他人のそら似で」
 未央の話にも大介は特に態度を変えず、自分はその泰という人とは無関係だと冷たく告げる。
 未央がガッカリして涙を流すと、大介は優しい態度に変わる。
 今まで少年の態度に戸惑いつつも優しく声をかけていた声が震え、泣いていると大介が初めて優しく声をかけてくれてハンカチを渡してくれる
 ハンカチを受け取り、目頭を押さえて俯く未央。
 大介からハンカチを手渡され、少し俯き加減で目頭を押さえるようにしているところへ、大介の方から声をかけていく。
「ほら、泣くなよおねーさん、少しは綺麗に見えるから」
「大人なのに‥‥泣いたりして変ね‥‥ありがとう‥‥」
 その声に顔を上げて、視線があって、それでお互いにはっと気づく。
「べ、別にもう一度合いたいとか、ハンカチを返してくれとかそういう意味じゃないからな!」
「えっ‥‥泰くん?」
 そこへ、一人の青年が心配して声をかけてくる。
 顔を上げた未央が見たのは、あの泰の成長した姿だった。
 僅かにやけた肌に、すっきりと大人びた顔立ちの青年。
 長く伸ばされた髪は落ち着いた黒に染められているが、覗く瞳は別れた時の少年の頃と変わらぬ青。
 スニーカーと合わせている流行(はやり)のジーンズと、ボーダーのシャツ。
「ひょっとして───未央か? 何年振りだ?」
「泰くん、大きくなったね───」
「やれやれ‥‥ご馳走様」
 大介はそう言うと自分の面影のある青年『泰(マキさん2役)』の傍を横切っていく。
「少し話をしていかないか? ───時間があれば」
 GIRL MEETS BOY───
 邂逅、ツンデレ美少年! END