奇妙! ツンデレ女!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
06/11〜06/13
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●本文
「ADッ! 俺は人間をやめるぞォォォッ!」
台湾で某監督がジャパンコミックの海賊版をつけて妙なポーズ、そう───デッサンの限界までの奇妙な立ち方をしていた。
そんな某監督に殴りかかるAD。
「君がッ! まともな脚本家を見つけてくるまでッ、僕は殴るのを止めないッ!」
多分永遠に殴られ続けるだろう。
「まあ、待て───脚本は出来ている」
そういって某監督が取り出した冊子の表紙には『奇妙! ツンデレ女!』と墨痕鮮やかに認められていた。
「僕はこの中身が白紙な方に魂を賭けます」
「グッド!」
と、言いながら逃げる準備を始める某監督。
「待て、こら!」
放り出された冊子の中身は白紙であったが、振り返らないADの目には映らなかった。
世界中からスタッフが集められるが、これはツンデレ好きはツンデレ好きと呼び合う世界法則にしたがってのものだった。
多分‥‥。
かくして72時間でドラマを一本造ろうというチャレンジャー達への呼びかけが始まった。
カット60スタート。
●リプレイ本文
「さしずめ『やれやれだぜ』というところでしょうか」
毒々しい原色のトカゲ獣人姿で、ブラックコーヒーを呷りながら、巻 長治(fa2021)が某監督に完成台本を叩きつける。
「ツケの領収書です」
その血と汗の結晶を読みながら鶸・檜皮(fa2614)はカメラのセッティングと、自分の役作りに余念がない。
その台本を双葉 敏明(fa5778)は片目で見ながら、急ぎセットのプランを作る。
「まさに『時よ止まれッ!』という心境ですね」
マキさんの毒舌が止まらないまま、撮影は進行する。
「恥は生命なりッ!」
常盤 躑躅(fa2529)演じる所のバイオレット・バイオレンスが、頭にパンダ覆面を被り、羽織ったコートの下は股間に石仮面だけというマッチョで怪しい姿を晒し───。
「汝! 俺の生命となるか!」
襲われる少女(というには些か薹が立ちすぎているが)弐条翔子(月詠・月夜(fa5662))がセーラー服の上に着込んだ学ラン、学帽を靡かせながらこの変態から逃走しようとする。
「絶対却下!」
「ぬふふふーん!」
したたたっと、走り来るバイオレット・バイオレンスの変態疾走で迫り来る。
「そこまでです」
鶸・吉影(鶸・檜皮カメラマン兼務)の声。
遙かにバイオレット・バイオレンスよりも真っ当そうな出で立ちであるが、醸し出すオーラのやばさはひけを取らなかった。
「黄金律の手をさすりながら血を頂くのは我ひとり───この鶸・吉影 今まで乗り越えられなかったトラブルなど‥‥1度だってないのだ!」
「良く判らないけど、誰か助けてッ! さもないと暴力に訴えるからね!?」
「誰でも良ければ助けてあげるからね──別に困っているから助けたい訳じゃないからね」
鶸は───。
「何だ春奈かッ!?」
「全く、あなたたちみたいのがいると、私まで変態扱いされるじゃないのッ」
黒いカクテルドレスに身を包んだ幼い影が現れる。
謎の女、春奈(あずさ&お兄さん(fa2132))である。
「あなたの血を吸った吸血鬼は、次代の王になれる――あなたは狙われているのよ」
「んな無茶な」
注意が逸れた春奈に飛びかかるバイオレット・バイオレンス。
「オラオラオラオラオラオラッ!」
壁の様な拳のラッシュに対し、割って入ったメイド姿のルシア(パトリシア(fa3800))が片手で突き返すッ!
「春奈様の障害となる者はすべて排除します‥‥───‥‥邪魔、邪魔邪魔邪魔邪魔ッ!」
拳がバイオレット・バイオレンスの股間の石仮面に決まり、迸った血を浴びて石仮面から骨針が飛び出して局所に食い込む。
「う、美しくない───」
鶸はその惨状を見ると逃走する事にした。
「一体、何が?」
「知りたいのなら私の瞳を見なさい───」
反射的に春奈の瞳をのぞき込む翔子。
本来は魅了して血を吸うつもりであった春奈であるが、何故か自分の───自分たちの過去を見せてしまう。
「あなた達選ばれし者の中から、次代の王ないし女王が選ばれます。方法はただ一つ‥‥黄金律を持つ者の血を吸い、その力を得た者が次代の後継者となるのです」
吸血鬼の女王(天羽遥(fa5486))が、魔力で、水晶球ににひとりの人物の姿を現させる───弐条翔子であった。
「この者が、その黄金律を持つ人間です。あなた達に栄光を持たらすか敗北を持たらす、命運の担い手、その手に勝利あらん事を」
───女王は半ば興奮を押さえ込むように、半ばは扇動するように手を挙げると謎めいた笑みを浮かべる。
その光景を見せ終えた春奈が───。
「『黄金律の人』じゃあ今いち呼びにくい! この春奈が名づけ親(ゴッドファーザー)になってあげるわッ!」
「そうね‥‥‥『メキシコに吹く熱風!』という意味の『サンタナ』というのはどう!?」
「だが断るッ、この翔子の一番スキな事は、自分が絶対強いと思っている相手に対してNOと言ってやる事だッ!」
「じゃあ、何と呼べと───」
「弐条翔子───縮めてジョショ。友達はそう呼ぶわ」
「べ、別に友達に成りたいからそう呼ぶのじゃないわ。サンタナが嫌だって言うからそうよぶだけよ」
慌てる春奈にルシアはハンカチを手渡す。
「お嬢様お気を確かに───」
こうして3人の奇妙な生活が始まった(第三部完ッ!)。
「誰がこの弐条翔子の代わりをつとめるって?」
‥‥等という事もなく。
学校に通うジョショが登校すると、ジョショの家の下駄箱の中で春奈は封筒を見つけた。
謎の執事レン(夏姫・シュトラウス(fa0761))の仕業であった。
「何よサンタナったら、私に血を吸われる覚悟が出来たから───出逢ったあの場所で改めて会いたいなんて──別に血を吸いたいから護ってやったわけじゃないのよッ!」
「エーークセレント」
レンが手を叩きながら春奈の頭上から現れる。
「さーーすが、エクセレントな私が立てた、エーークセレントな策なだけはあります。見事に引っかかりましたねー」
「私、ベラ様の付き人を務めておりますレンと申します。理由は申せませんが、エーーークセレントな足止めをさせてもらいます」
「ベラ───あのしつこい女、全く吸血鬼界には私以外に真っ当な人材は居なくなったのかしら?」
「何故、ベラ様とッ!?」
「自分で言ったんじゃない」
「エーーーークセレントじゃないッ! しかし、食らえ、半径20メートルの画像結界を!」
上方から思いっきり、春奈やジョショの肌も露わな写真がばらまかれる!
「エーークセレントッ!?」
自分で視界を失い、足元の写真で滑って頭を打ちつけるレン。
「ルシア───ここの片付けをしておきなさい」
「はい、ご主人様」
ベラ(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))は、
「あの〜、ちょっといいですか〜? 実は、道に迷ってしまいまして〜」
などと全く敵意のない様子でジョショを油断させて、近くの公園に連れ込んで本格的に魅了開始。
「さあ、私の目をじ〜っと見てくださいね〜。そう、じ〜っとですよ〜クゥエップッ?」
こめかみへのミドルキックを受けて吹っ飛ばされるが、辛うじて体勢を立て直すベラ。
「ベラ───お行儀が悪いわよ」
「よくも邪魔してくれましたね、このちんちくりんのわがまま吸血鬼!
だいたい、あなただって吸血鬼のくせに、何でその人を守ったりしてるんですか!?」
「───な、なによ私の勝手でしょう」
「吸血鬼と人の関係は───特にそんな悪趣味な帽子を被った女は───」
その言葉にプッツンときたジョショがスタンド使い免許皆伝の腕前を振るい電気スタンドを引っこ抜き、ベラの脇ギリギリをかすめる。
「ひょっとして次は右ッ?」
「NO! NO! NO!」
「左からッ?」
「NO! NO! NO!」
「もしかしてオラオラですかッ!?」
「YES! YES! YES!」
「回頭! 回頭! 退却にあらず! 春奈さんが女王にならないなら、いつか私が必ず女王になってみせますからね〜!」
「こんなドタバタ、終わるなら春奈なら───吸われても良いかな?」
春奈は嬉し涙を隠すように、視線をそらしてこう言い放つ。
「別に私は女王の座になんか興味ないけど、他のヤツに大きな顔されるのが嫌なだけよ!ッ」
その光景を水晶球で見ていた女王は苦笑して───。
「次代の後継者はまだまだのようですね」