爆発! ツンデレ女!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 成瀬丈二
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 0.7万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 06/24〜06/26

●本文

 ところで微妙にスケジュールが被っているような気がするが───。
 逃げられ度アルティメットの台湾の某監督がスタッフに問い質す。
「今までうまく行っているからって仕事量を増やしたのは監督でしょう? タイトル以外に何か決まっている事を聞きたいのですが」
「まあ、待て納品まで8日しかない。急いては事をし損じる」
「いま、急かないで、何時急くっていうんだ」
「‥‥ふう───ネットの海は広大だわ───」
「突然少佐喋りになっても、誤魔化されません」
「大丈夫、出来るわ───私のゴーストがそう囁くのよ」
 そんなどこか行ってしまっている監督をよそに携帯電話から、インターネットまでスタッフ急募の報せが流されるのであった。
 タイトルだけが決まっている中、72時間でテレビドラマは出来るのか? 出来る! 出来るのだ!
 カット62スタート。
 それが獣人の本性であるかのようにスタッフは連絡によねんがないのであった。成功か? つまはじきか?

●今回の参加者

 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa3470 孔雀石(18歳・♀・猫)
 fa3571 武田信希(8歳・♂・トカゲ)
 fa4203 花鳥風月(17歳・♀・犬)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)
 fa4361 百鬼 レイ(16歳・♂・蛇)
 fa4487 音楽家(13歳・♂・竜)
 fa4874 長束 八尋(18歳・♂・竜)
 fa5423 藤間 煉(24歳・♂・蝙蝠)
 fa5541 白楽鈴(25歳・♀・狐)

●リプレイ本文

 ツンデレエキスパートもとい脚本家の巻 長治(fa2021)曰く───。
「急いては事をし損じる、急かねば事が間に合わぬ。
 ならば急いだ方がまだ可能性があるというものでしょう」
 と、監督に毒を吐くと、撮影スタッフの統括に入る。
「さあ、みなさん、もう時間はありませんよ」

 ツンデレ女子大生の夏(白楽鈴(fa5541))は、いつものように弟で高校生の春(長束 八尋(fa4874))、彼の同級生の名木崎 冬貴───ナギサキ フユタカ(百鬼 レイ(fa4361))、そして彼らの部活の先輩で大学生の秋(藤間 煉(fa5423))の三人と一緒に帰宅する途中、春が部室に忘れ物をしたことに気づく。
「やば、部室に忘れ物‥‥困ったぁ、明日絶対要るのに」
 そんな春の言葉を聞いた冬貴はごまかすために肝試しを提案する。
「こんな暑い中───ただ、学校に行くのも俺うざいし───どうかな?」
「面白そうだね♪ しかけは幾らまでかな〜?」
 と春。
「何言ってるのよ莫迦! そんなの勝手に一人で行けばいいでしょう」
 夏はそう言って断る
「肝試しって時期でもないっしょ? ‥‥俺パス‥‥」
 気怠げに秋。
「そんなーつれない。でも、丁度良い‥‥ね、確かめてみない? 心霊現象」
 しかし、冬貴は諦めない。
「冬、あなたの脳味噌は幼稚園児並み? 人生やり直してみる気ない」
 それを聞いた秋は一瞬目を見開くと。
「あー‥‥やっぱ、楽しソーだし、ついてっちゃおっかねぇ♪」
「え? し、仕方ないわね、皆が行くから、ついていってあげるわ」
 と、夏。
 秋と合った視線を首を乱暴に振って引き離す。
「ほんと夏姉ったら秋には‥‥痛ぁ!」
 春は鞄の角で夏にどつかれる。
 そして、夜の校舎。
 人の気配はなく、昼間の青春の雑踏とおぞましいまでのコントラストを際だたせている。
「さあ、さっさと行きましょう。春、あなたからよ」
 強がってみせる夏だが、同じく怖がりな春を先頭に行かせようとする辺りで他にはバレバレ。
「ふーん知ってる? この学校、本当に『出る』んだって」
「ちょ、ちょっと子供騙しはやめなさいよ」
「助けを求める声がする‥‥とかね」
「言わなきゃ、気付かなかったのに」
 と春を睨む。
「べ、別に怖いわけじゃないわよ。とにかく、春、いい加減にしなさい」
「へへ。でも‥‥ヤだな。冬貴、ホント遭遇したらどーする?」
 それを面白がった秋がからかい半分に怖い話をし始めた。
「‥‥確かに、、この学校‥‥夜になると出るらしいって‥‥」
 からかう様に。
「秋、今時そんな話で怖がる人なんていないわよ」
 と声が震える夏。しかし、自制心のネジが飛ぶ!
「やめてー!」
 夏の恐怖がピークに達し、暗闇の中から見つめる金色の瞳を見つけた瞬間、ついに暴走を始めてしまう。
「何か居るーッ! 悪霊退散!! 悪霊退散!!」
 最初はその様子を観察していた秋も、夏が物を壊しながら走っていくに至ってようやく大変さに気づき、慌てて止めに入る。
「やめろ、夏!」
「あ、秋?」
 秋に止められ、相手の顔を見た瞬間、ホッとして、いつもと違って甘え口調で相手に抱きつく。
 泣きそうになりながら───。
「秋‥‥秋‥‥怖かったの‥‥‥‥何かが光ったの‥‥秋、怖いから離れないでね」
 秋の顔を見て恐怖から解放された夏は、その反動で急に『デレ』モードに入って秋に抱きつく。
 そこに再び現れたあの瞳の主‥‥‥‥。
「にゃあ〜」
 そして足音と間延びした声。
「ネコさ〜ん‥‥。どこ〜?」
「え? えぇぇー猫? あ、あっ‥‥やっぱり、そんな事じゃないかと思ってたわ」
 と秋から離れる。
 そして、騒ぎを聞きつけてやってきた宿直の女教師(孔雀石(fa3470))により、瞳の正体が彼女がこっそり飼っていた黒猫だったことが判明。
「この猫、他の先生にはナイショで宿直室で飼っているの。ばれたらどうなるか判らないから、お願い黙ってて。今晩の事は私もナイショにするから」
 若作りのその女教師は、一同に取引を持ちかけ、損のない事を確認して一同は同意した。
「ほら、ごらんなさい、幽霊なんているわけないんだから」
 全てこの猫の仕業だったと気づいて我に返り、慌てて取り繕う夏だったが、
「猫だったんですかぁ‥‥」
と春は心底安堵。
「うん、猫なら可愛い」
 と、頷きつつも。
「でも何だったんだろ‥‥ほら、途中何か声がしなかった? 悲鳴っぽい声」
 皆にはきょとんとされ、春は小首を傾げる。
「あれ‥‥聞いたの俺だけ? ‥‥ま、いっか」
 実は本当に霊が居たのかも?
 黒猫だけでは説明のつかないこともあったような、なかったような‥‥‥‥?
 そんな春の不信な言葉に夏は───。
「猫の仕業に決まってるじゃない」
───と言いつつシッカリ秋の服を掴む。
「しっかり掴んでいろよ。俺は離さないからな──」
 こうしてツンがデレに替わった様は朝の番組欄を賑わすのであった。