ツンデレVSツンデレ!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
成瀬丈二
|
芸能 |
1Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
難しい
|
報酬 |
0.9万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
0人
|
期間 |
09/09〜09/11
|
●本文
「ふう、夏が終わったな───」
ツンデレ稼業の長い某監督が台湾で過ぎゆく夏を惜しみながら、きっとあったに違いない一夏の出会いとか、アバンチュールなどと縁もなく今年も、そう今年も夏が終わった事を嘆いていた。
タイトルのみ決まり、白紙状態のシナリオを扇子代わりにして、ねっとりした大気を動かそうとするが、大した成果が挙がっているとは思えなかった。
「で、どうします? 監督」
このままでは再びドラマに穴が空くと危惧して、スタッフが注意を喚起する。
「判っている、ああ判っているさ、そんな事は、だがなツンとされる事が判っていても告白しなければいけない刻がある、デレられると判っていても振らなければならない刻がある!」
「つまる所ツンデレ撮りたいんですね───修羅場覚悟で」
「地獄なら見飽きた、今の俺には血の池であろうが、針の山であろうが、紅蓮地獄で血潮を華と散らすも恐ろしくはない!」
「あの修羅界と地獄界は仏教の通説では別物ですけど───‥‥ああ、そうですかじゃあ。スタッフ集めます。コネをフル活用して」
「その意気や良し!」
こうして、ツンデレVSツンデレ! とタイトルだけ決まっているドラマが創る物語が加速していく。
残り192時間。
カット63スタート。
※注釈:このシナリオは途中で、サーバーのメンテナスを挟みます。
●リプレイ本文
物語の舞台は小中高、一貫教育のマンモス校とします。
武田は初等部の生徒ですが、体育祭の時に一目見た花鳥に電撃の恋に落ちてしまい、ストーカー紛いの行為に及びます。
それまではストーカーと思ってツンツンしていた花鳥も、かわいい子だと眦を下げます。しかし、そんな態度にぼくの知っている花鳥さんじゃない、武田はツンデレモードに入り、こうしてツンデレ戦争が勃発。
最終的にはお腹を減らした武田に、見かねた花鳥がお握りを差し入れして終戦。
ふたりはドツキマンザイ凸凹カップルとして学園中に認識されるのでした。
見た目がまだ幼い武田信希(fa3571)が記したこのプロットを見て、リクエストを出した某監督は一抹の不安を感じた。
しかし、手持ちのカードはあまりに少なく、リカバリー手段ももはや無かった。
こうしてツンデレVSツンデレ! はクランクインした。
黒い肌に金髪緑目というエキゾチックな特徴を持った花鳥風月(fa4203)演じる所の花鳥は、武田くんに対して、ツンデレ。しかし、相手がデレに入った瞬間、ツンで返す役回りを演じていた。
はち切れんばかりのたわわな胸を揺らしながら、体育祭で走るその姿に───武田少年は電撃の恋に落ちる。相手の容姿や性格、更には社会的身分といった外的要因を一切無視して、落ちるもの───それが電撃の恋である。
それからというもの、花鳥の周辺に出没する怪奇現象は多発の一途を辿り、花鳥は一計を案じた。
あえてひとりになり、この見えざる影をおびき出すのである。
その奇計は効をを奏し、花鳥の視界の中に、小さな赤毛の武田少年の姿が見えてきた。
ダッシュで距離を詰める花鳥、武田少年は逃げようとするが、基礎体力が違いすぎる。
タックルで花鳥は武田少年の足を止める。
「何が目当てだ! このいたずら小僧!?」
「あ、あのその───」
「何よ?」
「当たってる‥‥胸が───」
「当ててんのよ!」
「‥‥‥‥」
「黙ってないで何か言いなさい!」
「その───‥‥好きです!」
「はぁ?」
「だから、花鳥さんを恋愛対象として見ています」
「漢字を多く使えば知的に見えると思っている口はこれか? おら!」
その光景を遠くから見ていた、花鳥の担任である、欧州からの赴任教師グリー(グライス・シュタイン(fa4616))はそんな二人の様子を暖かく見守っていた。
「いやぁ───青春、青春‥‥。相手が些か年下過ぎる気がしないでもないが‥‥」
同じく暖かく見守っていたラム教頭(ラマンドラ・アッシュ(fa4942))も同調して頷く。
「ま、大人の領分ではないという事で」
「そうですか?」
「そうです」
等というやりとりが交わされているともつゆ知らず。花鳥はほほを夕日に赤く染めて───。
「でも、ちょっと可愛いかな? なんて思ってみたり」
「ウソ‥‥」
「ウソじゃないって」
「そんなの僕の知っている花鳥さんじゃない〜!」
泣き出す武田。
「何よ、あんたがどれくらい、この花鳥の事を知っているっていうの!」
「隅から隅まで!」
「このストーカーがー!」
「求めているものを知りたいと思うのは当然の欲求じゃないか!」
「だから、何言ってるのよ! 可愛い顔して」
「反逆してやる!」
こうして武田が一方的に宣戦布告。後の世に言うツンデレ戦争が勃発した。
「うむ、青春、青春」
ラムは頷くのであった。
(本当にいいのか‥‥)
微妙にラム教頭に同調できず、グリーは無言のまま立ちつくすのであった。
そして、花鳥の行動パターンを熟知した武田少年のいたずらが始まったのであった。
戦争と振っておいて、悪戯とは、やけにみみっちいが、初等部の生徒では限度がある。
「これで今日は8度目‥‥精神的に参るわね───」
数日続く、武田少年のいたずらに精神的に参る花鳥であった。
しかし、花鳥が赴いた先で武田少年が倒れている。
「いちおう、聞くけど。どうしたの?」
「な、何でも───」
しかし、体は正直、武田少年の腹の虫が騒ぎ出す。
微妙な間隙の後、笑みを浮かべる花鳥。
「お腹‥‥空いているんだ?」
「ち、違うって」
そこでもう一度鳴る腹。
「いいわ、ちょっと早いけど。ランチのお握りがあるから、一個分けてあげる」
花鳥から渡された大きなお握りをむさぼる様に食べる武田少年。
「こら。食べ盛りが食事を抜くのは良くないぞ☆ ちゃんと体の管理が出来てから、人様にちょっかいかけなさい───“はい”は?」
「───うん」
「いやぁ、青春とはまさにこれ。恋愛とはまさにこれですね、グリー先生?」
ラム教頭の言葉に頷けないでいるグリー先生であった。
こうして、武田と花鳥のふたりはドツキマンザイ凸凹カップルとして学園中に認識される。