こちら王立造幣所アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
猫乃卵
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/16〜06/20
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●本文
このバラエティ番組『こちら王立造幣所』では、『架空の王国で硬貨・紙幣をデザイン・制作する』を行います。
最初に言っておきますが、これは現実社会における偽造行為ではありません。実社会で使用されている硬貨・紙幣と形状が異なる部分が相当有る事を前提としますので。たとえば、球状の硬貨とか、普段着のシャツ状の紙幣とか。あ、くだらない例えですみません。でも、この番組、くだらなさ100%を目指していますので、出来ればそちらの方向で、ひとつお願いしたいなぁ‥‥と。
で、番組では、企画会議から、設計、試作までを収録します。無茶な要求でない限り、こちらで材料・工具は用意しますので。あ、もちろん番組で使用・作成した物を持ち帰る事は出来ません。記念にしたい、と言われてもダメです。
それでですね、まず最初に決めていただきたいのは、王様/王女様役を誰にするかです。どちらか一人か、両方を一人ずつ出演者の中から選出して下さい。その方には王族用の衣装を着てもらいます。
次に決めるのは、王様/王女様が命令してお金を設計して生産しなくてはならなくなった理由です。小さな島国で物々交換で生活していたが、よその国から船が来るようになって、その国のお金が島に行き渡る前に自分達が作ったお金を普及させようという事になった、とかです。ん‥‥真面目過ぎましたね。くだらない理由大歓迎です。
さらに、お金の単位、硬貨・紙幣が何種類あるか決めてください。何種類あるかで作業量が決まりますので。あ、お金の単位は、実際に使われているモノや、既存の創作小説・ゲーム等で使われているモノ以外、つまり独創性高いモノであればOKです。できれば脱力するような‥‥1もーもーとか、5駄目じゃんみたいな名前が嬉しいななんて。あ、これは使わないでくださいね。恥ずかしいですから。
それから、それぞれ分担して構いませんが、各硬貨・紙幣を設計してください。ただし、最高額の紙幣には一番偉い王様/王女様の顔を入れてくださいね。材質によって工程が違うでしょうから、完成させる為にどういう作業をするのかという事をまとめておいて下さい。それに合わせて工具をお貸ししますので。
最後に念の為言いますが、これ、バラエティですからね? 立派な硬貨・紙幣を作るより、作る物と過程を楽しく見せる事が大事なのです。視聴者がくだらなくて笑えるポイントは適時入れといてくださいね。
以上、制作スタッフのチーフからでしたぁ。よろしくね?
●リプレイ本文
日本から多少離れた海の上。ここに、地図にも載らない小さな島がぽっかり浮かんでいます。
島の人たちは、メロンパンが大好きな湯ノ花 ゆくる(fa0640)王女の下でメロンを栽培しては平和に暮らしておりました。
でも、最近王女様の頭を悩ませている事があるのです。今まで王女様の大好きなメロンパンを島の貨幣として国民に使わせていましたが、メロンパンにだって賞味期限はあります。王国で焼いてから3、4日が限度です。最後の人はもったいないので食べてしまいます。そうしてメロンパンを好きになった国民が、王女様の許可無しにこっそりと小麦粉を練ってメロンパンを作り、食べたり物々交換を始めたりしたからさぁ大変。あふれたメロンパンによる市場の混乱に心を痛めた王女様は、メロンパンを貨幣として使う事を改め、よその国の様に保存の効く偽造のされ難い硬貨と紙幣を作る事を決めたのでした。
「国民の‥‥皆さんに‥‥愛される‥‥お金とは‥‥いったい‥‥どのような‥‥モノ‥‥なんでしょうか‥‥?」
1文節毎に、ゆくる王女様はメロンパンを一口食されます。メロンパンの誘惑と新しい貨幣への興味が、王女様の心の中でせめぎ合っているのです。
「ゆくるさん、任せて! 私が島のみんなと会議して試作品作るから!」
ゆくる王女様の学友であるあずさ&お兄さん(fa2132)が張り切ります。さっそく国民全員が集会所に呼ばれました。
「さて、何かアイデア有る人いますか?」
最初に手を上げたのは、DarkUnicorn(fa3622)です。
「はい、ヒノトさん。どんなのですか?」
「大、中、小、3種類あるサイコロ状の硬貨はどうじゃな? 大には100刻みで100から600までの数字。中には10刻みで10から60まで、小には1刻みで1から6まで数字がそれぞれ刻まれて居って、支払いの時に振って出た目の数が金額になるというギャンブル性の高いお金じゃ。紙幣の方も、双六で使われる様な感じで、千、二千、三千、四千、五千、六千の六種類の数字の刻まれたミニルーレット型で、これも出た目の数字で金額が変わる仕様じゃな。運が良ければ大儲けじゃが運が悪ければ大損じゃな。まぁ、多少刺激があった方が日々を充実して過ごせるというものじゃろう」
「でも、サイコロ幾つ振るかでもめそう。サイコロの目の期待値は単位となる金額の3.5倍。『900』の買い物の時に大3つ振るとちょっと損するよ?」
眼鏡のずれを人差し指で直すしぐさをしながら、あずさ嬢がツッコミを入れる。さすが王女様と同じ日本で義務教育を受けた帰国子女だけの事はあると皆が感心していると、パイロ・シルヴァン(fa1772)が手を上げました。
「俺が一番に推すのは、フンドシ型の紙幣で、単位は1ツキミンだね。デザインは様々。1ツキミンから100000ツキミンまで、25種類、全部、別柄だよ」
26種類になるんじゃないかとの指摘もありましたが、それはさておき、この島には日本からの漂流物が時々流れ着くのでした。褌も例外ではありません。王女が保管・管理している褌は十着を超える程、ここではありふれた布製品です。
「一応、半ズボン型の紙幣で、単位は1ショタというのも考えては見た‥‥」
年下のかわいい男の子が好みのあずさ嬢の理性がこの瞬間壊れました。
「あぁん、私に支払って〜!」
「こらぁ! ひっぺがすなぁ! やめろ〜!」
その半ズボンをめぐる攻防を見ていた深森風音(fa3736)が呟きました。
「これ、どっかで見た事ある。日本の、時代物のドラマの、ええと、そう、お代官様が女性の帯をクルクル〜って引っ張って着物を脱がす‥‥」
古河 甚五郎(fa3135)が頷きます。
「自分もそれが良いと思います。紙幣は地紋が描かれた細長い布で作り、身体に巻きつけて持ち運ぶのです。単位は『あ〜れ〜』でしょうか」
ひょんな事から、司会不在のまま紙幣のアイデアが固まっていきました。
後日、女王様の意向と風音の提案をあずさがまとめ、硬貨の方の設計案も決まりました。女王様の見守る中、さっそく試作に取り掛かります。
硬貨って言っても、ゴム製ですから硬くないのです。以前の通貨メロンパンをそのままにデザインして、数センチの大きさにします。
硬貨の通貨単位は『メロメロ』で、100メロメロ=1あ〜れ〜です。
まず最初は、1メロメロ、1センチ大のメロンパン硬貨です。あずさはゴムのボールを半分に切り、丁寧にヤスリがけをして切断面の角を取ります。メロンパンの形が出来た所で、白の塗料を塗りました。ゴムに色を付けて成形した方が色落ちしなさそうですが、今回はこの方法にしました。
5メロメロ硬貨は3センチの大きさになります。同様の製作手順です。10メロメロ硬貨は5メロメロと同じ大きさですが、ビスケット生地の着色が加わり、よりリアルになっています。50メロメロ硬貨は、贅沢にチョコチップメロンパン仕立てです。
更に、100メロメロ硬貨は銀のメロンパン、500メロメロ硬貨は金のメロンパンと、ゴージャス度はどんどんアップしていきます。
試作を終えた時点で、硬貨を見つめる王女様の『そのメロンパン食べたい』欲求が限界に来ていましたので硬貨の試用は中止されました。
一方、紙幣の試作ですが、甚五郎がせっせと作業している脇で、女性陣が着物に着替えています。
帯は幅を変えて、10あ〜れ〜紙幣、50あ〜れ〜紙幣、100あ〜れ〜紙幣の3種類を作ります。
淡い地紋が入った反物に飾り刺繍を施します。100あ〜れ〜紙幣にはゆくる王女様の肖像を入れました。それから縫って帯を仕立てます。裏面に糊をつける事も検討されましたが、繰り返しの使用に耐えないのと、うっかり髪の毛をくっつけてしまうと大変な事になるので止めました。
さぁ、完成しました。さっそく紙幣の試着です。
まずはニコラ・リリェフォシュ(fa3724)がお手本をみせます。
甚五郎がパントマイムでドアをノックする真似をします。
「ちわ〜 新聞の集金で〜す」
「あら、いつもご苦労様です。50あ〜れ〜でしたよね? さぁ、どうぞ!」
ニコラが着物の帯の端を甚五郎に差し出します。
「ご愛読ありがとうございます〜 それでは失礼して‥‥」
甚五郎が帯を引っ張ると、ニコラは身を任せその場でくるくる回り出します。
「あ〜れ〜! お殿様〜 お戯れを〜!」
やがて帯がほどけ終わり、ニコラが回転を止めます。
「こんな感じですね」
番組のフィナーレはみんなでお代官様ゴッコです。
「もっとちこう寄れ!」
「なにをなさいます。お戯れはおやめくださいませ!」
「良いではないか、良いではないか〜」
「堪忍してくださいましぃ、お代官様〜」
楽しそうです。くるくる、くるくる、回っています。
最後に夕焼けに染まる島の全景のイラストが映されます。今日も、ゆくる王国は平和でした。