DARKライダー〜再生アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/20〜04/24
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●本文
TOMI TVがお送りする青春特撮アクション番組「DARKライダー〜再生」では、ただいまキャストを募集中です。
「DARK〜」は、愛する人を殺され、闇の組織によって囚われた青年が、人工知能を組み込んだバイクの力を借りて組織の手から逃れ、復讐を誓う。
しかし、死んだはずの恋人が組織の手で邪悪なサイボーグとしてよみがえったことを知り苦悩する‥‥というSF風味の特撮アクションです。
愛と復讐という相反する二つの宿命を描くこの作品に、あなたも出演してみませんか?
☆ストーリー☆
運動神経に恵まれた大学生・浅倉涼。ある日恋人のつばさと共に甘いひとときを過ごしていた彼は、突然何者かに襲われ、意識を失う。
見知らぬ場所で目覚めた彼が目にしたものは、つばさの惨殺死体。そして、目の前に現れた、仮面の人物。
その人物が告げる。
「お前はこれから、サイボーグ化され、わが組織の忠実な兵士となるのだ‥‥」
必死に抵抗する涼。彼に呼応するかのように、組織の地下室から現れた真紅のバイク。
誰も乗っていない。なのにそのバイクは仮面の男を体当たりで倒し、涼に告げた。
「乗レ」
と。
そのバイクは、組織によって開発された、人工知能バイク「LUCIFER」。
自ら考えて動き、人語を話すという、夢のような機能を持つバイクだった。
だが、高度な頭脳を持つがゆえに、組織に反発し、解体されようとしていた。
涼は「LUCIFER」に乗り脱出。組織への復讐に燃える涼だが、ある日、驚愕の事実を目撃する。
それは、組織の追っ手の一員となり、無表情に自分へ襲い掛かるつばさの姿だった。
つばさは瀕死状態でサイボーグ化され、洗脳されていたのだ。
復讐と、断ち切れぬ愛のはざまで苦悩する涼。
つばさの記憶は戻るのか。
彼はつばさを倒さなくてはならないのか、それとも‥‥
☆募集キャスト☆
※LUCIFER(ルシファーと読みます)の配役は声の出演のみとなります。ご了承ください。
浅倉涼‥‥大学生(アクション要(スタント可)。外見年齢20歳前後)
つばさ‥‥涼の恋人(アクション要(スタント可)。外見年齢20歳前後)
LUCIFER(声の出演)‥‥高度な人工知能を持つバイク。ドリル、銃などの武器が内蔵されている。
仮面の男‥‥謎の組織のリーダーらしい
☆補足事項☆
正義の味方も日常にはごはんを食べたり風呂に入ったりしなくちゃならないので、涼の家族や友人、バイト先の上司など、主人公を取りまく人々の役もひそかに募集中です。
尚、半ばサイボーグ化されていたという設定で、劇中での主人公の半獣化・獣化はOKです。悪役も同じく、サイボーグという設定下であれば半獣化・獣化OK。
●リプレイ本文
映画館から出て、夜の街を歩く香月つばさ(=草壁 蛍(fa3072))と、浅倉涼(=雨堂 零慈(fa0826))のカップルは、いつものように口げんかをしていた。
「意外とつまんなかったな、ケビン・クルーズの新作映画」
「なによ、ケビンの悪口言うと許さないからっ!」
つばさは、優秀な大学院生だ。分子生物学の分野では大学最強の才媛とも呼ばれている。だが意外にミーハーで天然なのを涼だけは知っている。つばさの興奮して振り回す手が、涼の頬に偶然あたる。痛そうに涼が頬を押さえる。
「あたっ!」
「ご、ごめん‥‥大丈夫?」
心配そうに覗き込むつばさ。顔が近づき、仲直りの軽いキスになる。
いつまでも、こんなときが続くと信じていた。いつまでも。
だがーー
忍び寄る影が、2人を引き裂いた。
『‥‥雨の音?』
デートの途中襲われ、気を失い、拉致された涼が最初に気づいたのはその音だった。
滴る水音‥‥だがそれは、すぐ傍の手術台に横たわっているつばさの惨殺死体から滴る血の音だとわかった。『つばさ!』涼はもがく。だが、すぐに気づいた。自らも彼女と同じように手術台に縛り付けられていることに。
「無駄だ。貴様は今から我が組織の忠実な『駒』となるのだ。ホーク、始めろ」
気がつくと、白い仮面をかぶった男に見下ろされていた。仮面の男(=夏姫・シュトラウス(fa0761))は意外に華奢で、繊細な印象さえある。だが、声には感情の動きすら感じられなかった。
「ご命令のままに‥‥」
瞳に狂気をやどした学者風の若者‥‥「ホーク」(=志羽・武流(fa0669))がメスを手に、近づいてくる。
絶望−−そして転瞬。グォン! と激しいエンジン音とともに、壁を突き破り、真紅のバイクが手術室に現れた。バイクは無人である。だが、バイクが自ら動き、そして両脇からウィングカッターが突き出し、縛られた両手両足を解くのを涼は見た。
「我が名はLUCIFER(=声:草薙歴(fa0129))。乗れ」
機械的で、中性的な声でバイクが言う。驚きよりも、憎しみと怒りが涼を支配していた。
「‥‥よくもつばさを!」
仮面の男に向かい、蹴りを放つ。仮面の男はかわしたが、涼の脚があたった壁には大きな穴があき、ボロボロと崩れた。人間離れした力だった。
涼も既にサイボーグ手術を施されていた。後は延髄の辺りに、洗脳チップを埋め込まれていれば、涼は仮面の男の忠実な部下に成り果てていただろう。
「一旦退くぞ。乗れ!」
LUCIFERが言った。涼を乗せ、LUCIFERが走り出す。まるで一体のいきもののように。
「LUCIFERのヤツが裏切るとはな」
仮面の男は呟く。悔しげではなく、むしろ面白そうに。
「私にお任せくださいませ」
彼に近づくのは、高価そうなスーツをまとった美女‥‥実は仮面の男の配下サイボーグ、暗号名「クレオパトラ」(=大豪院 さらら(fa3020))である。
「その前に‥‥使えぬ駒に用はない」
仮面の男が指を鳴らす。涼とLUCIFERに蹴散らされた手下達が炎に包まれ、苦悶しながら消滅した。
「では、私一人にお任せ下さると?」
嬉しげなクレオパトラ。
「いや、いま一人、使える駒がある。来い、SHADOW」
『SHADOW』が、進み出る。顔といい体といい、全身包帯でぐるぐる巻きになった人間である。
クレオパトラは仕方なさそうに頷き、SHADOWを伴い出かけていった。
「あの包帯の下の顔を見たときの浅倉涼‥‥どんな顔をするでしょうな」
仮面の男に影のように寄り添っていた腹心の部下「レイス」(=ヴォルフェ(fa0612))‥‥漆黒のコートに同色の仮面で顔半分を隠した若い男‥‥は、うっすらと笑った。
「レイス。貴様も裏切り者の末路、楽しんでくるがよい」
「仰せのままに‥‥行ってまいります」
レイスが優雅に一礼し、地下室を去った。
◆
涼はLUCIFERを駆りひたすら渋谷へと向かっていた。
燃料補給に立ち寄ったガソリンスタンドで流れていた、深夜放送のニュース。『東京中心部の下水道からマグマが噴出、都市は渋谷を中心にパニック状態にある』と。それを聞くなりLUCIFERが言った。奴らの作戦に間違いないと。
「ヤツらの思い通りにさせない‥‥つばさの為にも!」
涼はLUCIFERのハンドルを折れよとばかり握り締める。
奴らに今一度対峙すること。そしてつばさの仇をとる。涼の心に今あるのは、それだけだった。
渋谷繁華街。
避難しようとする人々を、クレオパトラが襲っている。クレオパトラはそれが本性の、獅子と人の獣人形態となり、怯えて逃げ惑う人々に電磁鞭と爪で襲い掛かる。
「お前達の相手は俺だ」
人々を背中にかばって立ちふさがる涼。涼の体もまた、怒りのボルテージにつれ変化していた。
銀色の髪が逆立ち、龍に似た姿へと。
LUCIFERにまたがり、クレオパトラの電磁鞭をジャンプで避ける。同時にLUCIFERのウィングカッターが鞭を切り裂いた。
空中で涼がターンし、鋭いキックがクレオパトラに見舞う。
「ぐ‥‥わが組織は‥‥永遠‥‥だ‥‥万歳‥‥!」
クレオパトラは妖笑とともに力尽きた。かわって包帯に包まれた人影がゆっくりと現れた。
「待っていたぞ、DARKライダー‥‥」
包帯がほどけた。その顔は‥‥
「つ‥‥ばさ!?」
涼は目を見開いて、その愛くるしい顔を見つめた。生きていたのか‥‥想いの全てを言葉にするよりも早く、涼はつばさを抱きしめようと腕を広げた。
だが。
「エクスプリスチェンジ!」
つばさはその言葉と共に白銀の髪と牙を持つ獣人形態へと変化していた。弾みをつけるとスキだらけの涼に右手の剣で襲い掛かった。
「何もいらない‥‥DARK、貴様との決着以外には」
「つばさ‥‥どうしたんだ」
なおも歩み寄ろうとする涼に、LUCIFERが告げた。
「首筋の傷を見ろ。洗脳チップを埋め込まれている」
「どうすれば洗脳は解ける」
涼の問いに、LUCIFERは沈黙で応えた。
「無駄だ、DARKライダー! 洗脳は解けぬ」
哄笑が響く。
対決の場を見下ろすビルの屋上から、レイスが見下ろし、嘲笑を響かせていた。
「埋め込まれたチップは、すぐに成長し延髄にナノ単位の擬似神経糸を張り巡らせた状態で定着する。チップを切り離せば、延髄を破壊する。つまり死ぬのだ」
「貴様ら‥‥っ! どこまで‥‥」
「涼、来るぞ!」
LUCIFERが涼の体をすくい上げるように、スキをついて襲い掛かるつばさの攻撃からかわさせる。
レイスの姿は、いつのまにか消えていた。ビルの谷間を飛び交い、不吉に鳴く無数のカラスに紛れたかのように。
◆
同じ頃。組織の地下室で、仮面の男が「ホーク。座興にDARKも洗脳してはどうだ」と、白衣の男‥‥「ホーク」に話しかけた。
ホークはゆっくりと首を振る。その表情がいつもと違い、ひどく苦しげだ。
「違う‥‥私の‥‥名前は‥‥香月鷹史‥‥」
ホークの体がぐらぐらと揺れる。
クレオパトラが下水道にマグマを誘導したその熱で、空中を飛び交う電磁波に狂いが生じた。組織が配下の者やサイボーグに向けて放つ洗脳電波も同様であった。
「洗脳が解けたか‥‥その通り、貴様は香月つばさの兄だ。お前は自らの手で妹を殺人機械に改造したのだ」
「うわあああ!」
ホーク‥‥いや香月鷹史はパニック状態で仮面の男につかみかかる。だが、仮面の男は鷹史の首筋に針のようなものを刺し、鷹史は糸が切れた操り人形のように倒れた。
「貴様の頭脳は惜しい。もう一度洗脳してやろう。駒は駒らしく、役割を果たしてもらうのみ」
仮面は動かないが、その声は笑いを含んでいた。
◆
洗脳電波の狂いは、涼と対峙するつばさにも影響していた。
「涼‥‥?」
「つばさ!?」
「たすけ‥‥て‥‥手が‥‥勝手に‥‥イヤアア!」
洗脳チップはまだ半身に干渉し続けているらしかった。剣を持つ右手を、つばさは押さえ込もうともがいた。
LUCIFERのタイヤ部に一本のパイプが通っている。そこには、超合金の剣が内蔵されている。涼はそれを抜いた。剣が白銀の光をおびて一閃する。そして‥‥
「自由に‥‥してくれたのね‥‥ありが‥‥と」
つばさの体から離れた首が微笑む。涼の両手の中で。
「ごめん‥‥つばさ」
涼は言う。泣くよりも深い、苦悩に満ちた声で。
「謝らないで。ちっとも苦しくないもの‥‥でも心配だわ‥‥涼、私がいなくても‥‥ちゃんと‥‥やっていける‥‥? ハンバーガーばかり食べてちゃ‥‥駄目‥‥だよ」
つばさが目を閉じる。今度こそ、永遠に。
雨が降り出した。
つばさの首を抱いて立ち続ける涼の肩に、そっと誰かが手をかけた。救援活動に奉仕していた、近くの教会の神父(=伊達正和(fa0463))である。
「大切な人を、亡くされたのか」
神父の問いに、涼は応えなかった。だが、神父は
「 その苦しみ、父と子と聖霊の御名によりて清められよ‥‥アーメン」
祈りを呟くと、涼の肩に、自らのコートを脱いで掛け、去っていった。
LUCIFERがゆっくりとターンし、止まる。涼に乗れといわぬばかりにその足元に寄り添って。涼はつばさの首を抱きしめたまま、LUCIFERに乗った。
「行くぞ‥‥LUCIFER」
「共に行こう。お前とならばどこまでも」
新たな対決のときを向かえるために。