バトルロイヤル赤ずきん南北アメリカ

種類 ショート
担当 小田切さほ
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 04/22〜04/26

●本文

 某月某日、某会館にて、グリム童話「赤頭巾」をもとにした舞台が上演されます。
 その舞台のキャスト募集のお知らせです。
 しかし、この舞台、よく知られている赤頭巾とはちょっと違います。いやかなり違うかも。
 注意して応募して下さい。えらい目にあいます。

☆ストーリー☆
 赤いマントの似合う可愛い女の子・赤頭巾はある日、森の奥に住む「おばあちゃん」のもとをたずねようと出かけます。
 しかしこのおばあちゃん、赤頭巾の実のおばあちゃんではありません。
 グリム童話の生みの親がグリム兄弟とすれば、彼女はグリム童話のいわば「助産婦」さん。
 グリム兄弟に童話の原型となる昔話を語って聞かせたドロテア・ヴィルトおばさんです。
 赤頭巾は、最近某大手映画社でDVDを出してもらったりして目立ってるシンデレラや、やっぱおとなしくて髪の長い子いーよねーと男子の間で人気爆発なラプンツェルに比べてちょっぴり地味な存在です。
 なので、赤頭巾は、ドロテアおばさんをたずね、自分がもっと目立てるよう、
「赤頭巾が一番輝くヒロインになるおはなし」
 ‥‥新しい物語を作ってもらおうとします。
 しかもこの赤頭巾ちゃん、森の道の途中で狼さんを誘惑して、ライバルである他のヒロインを襲わせたりするちょっぴり悪い子なのでした。
 もちろん他のグリム童話ヒロインだって負けてはいません。
「ちょっと赤頭巾、一人だけ目立とうなんてそうは問屋がおろさないわよっ」
 髪の毛を鞭のようにぶんまわして襲い掛かるラプンツェル、ハイヒールキックをお見舞いするシンデレラ、若いもんに負けちゃおれんと歯をむきだして襲い掛かるホレおばさんなど、赤頭巾の行く手には、新たなヒロイン(ヒーロー)の座を奪おうとする、グリム童話の登場人物たちが待ち構えていました‥‥
 さて、最終的にドロテアおばさんの新しい物語でヒロインの座を勝ち取るのは誰なのでしょうね。

☆募集キャスト☆

●赤頭巾ちゃん‥‥赤いマントの似合う美少女。ちょっぴり邪悪。
●狼さん‥‥赤頭巾ちゃんにあごで使われる、ノリの軽い小悪党。
 
 ※ドロテアおばさんは、話の進行によっては既に狼さんに食べられちゃってる可能性もありますのでキャストに立候補がなくてもOKです。
 
 その他のキャストは、まだ確定されておりません。
 赤頭巾のライバル、または手下などを自由に考案の上、ご応募下さい。
ただし、すべて「グリム童話の登場人物」ということが条件です。
 そこに設定を付け加えたりするのは構いません。
 
 例:●「眠拳」(眠くなるほど強くなる謎の拳法)を操る眠り姫
   ●ショタな魅力で迫るヘンゼル
   ●ロリではかなげ、なのに邪悪なグレーテル
   といった感じで、とんでもなく原作と離れててもOK。

 ※成長傾向‥‥格闘、発声

●今回の参加者

 fa0107 桐谷たつ(18歳・♀・猫)
 fa0318 アルケミスト(8歳・♀・小鳥)
 fa0430 伝ノ助(19歳・♂・狸)
 fa0769 凜音(22歳・♀・一角獣)
 fa1792 秋桜久(22歳・♀・ハムスター)
 fa2638 九重・コノヱ(16歳・♀・小鳥)
 fa2780 エクソシスト(8歳・♀・鷹)
 fa3366 月 美鈴(28歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

 あるところに、それはそれはキュートな、赤いマントの似合う女の子がおりました。
 その女の子は皆に「赤頭巾ちゃん」(=桐谷たつ(fa0107))と呼ばれていました。彼女は今から、グリム童話のほとんどの原案者であるドロテア・ヴィルトおばさんを訪ねに行くところです。ランラランララン♪ と彼女が森を歩いていくと、
「おっ美味そうな女の子っすねー。丁度七匹のこやぎを食べ損ねて空腹だったっす! いっただきやーす」
 そこへ、黒い耳と尻尾をつけた狼さん(=伝ノ助(fa0430))が飛び出して襲い掛かります。 バキッ! ドカッ!
 赤頭巾ちゃんの右フック、回し蹴りが炸裂しました。
 なんとこの可愛い赤頭巾ちゃん、マントの下にはメリケンサックを装着していました。
 キックのときには効果満点です。
「い、命ばかりはお助けくださいっす!!」
「だったらこれから、何でも言うこと聞いてくれるぅ?」
 赤頭巾ちゃんは可愛く小首を傾げて聞きました。青あざだらけの狼さんは土下座です。
「も、もちろんっす! これからは『赤頭巾姐さん』と呼ばせていただきやす!」
 というわけで、赤頭巾ちゃんはまた出発です。今度は、下僕な狼さんが彼女の後ろをついていきます。
 
 一方、白雪姫(=アルケミスト(fa0318))は「魔法の鏡」で狼さんを連れて森を行く赤頭巾ちゃんを映し出していました。肌は雪のように白く瞳は氷のよう、髪は金髪だが腹の中は炭のように真っ黒、そして唇はピンク色だが、彼女が通った後には真っ赤な血の雨が降るという噂の美少女です。
「あら‥‥赤頭巾ちゃん‥‥なにか企んで‥‥るのかしら」
 クレバーな彼女は赤頭巾ちゃんの様子を見守ることにしました。ついでに魔法の鏡さんに尋ねます。これは彼女の日課です。
「鏡よ‥‥鏡よ‥‥鏡さん‥‥世界で一番‥‥美しいのは‥‥誰‥‥?」
「えーとそれは。やっぱり永遠のヒロイン、シンデレラさんでしょうか」
「‥‥不良品の‥‥ようね‥‥割る‥‥わ」
「イキャー!! スッ、スミマセン、貴方様です!!」
 魔法の鏡さんはストレスでちょっぴり曇っています。

 しばらく行くと、赤頭巾ちゃんの目の前に、変なものが木からぶらさがっています。殴られ蹴られた上に荷物もちまでさせられてお腹ペコペコの狼さんには、それが海草に見えたようです。
「ガジガジ‥‥このワカメ、美味しくないっす! っていうか、これワカメじゃないっす」
 そうですね、森の中に海草がぶら下がってるなんて明らかに変ですね。と、そのワカメ? がブーン! とうなりをあげて、赤頭巾ちゃんの首に巻きついたではありませんか。
 木の上から飛び降りてきたのはラプンツェル(=秋桜久(fa1792))でした。ワカメならぬ長い髪の毛をブンブンと鞭のように振り回し、自在に操って赤頭巾ちゃんの首を背後から締め付けます。
「くっ‥‥うぅっ‥‥とうぁ!」
 赤頭巾ちゃん、気合でラプンツェルを肘打ち&背負い投げ。倒れたラプンツェルは泣き落とし作戦に出ます。
「悪気はないんです。私も近代女性らしく強く生きている姿を現す一つの機会だと思って!!」 
「だったらあんたのチャームポイントの髪の毛は置いて行きな!!」
 ラプンツェル姫は、髪の毛をぶっつり切られ、赤頭巾ちゃんの持っていたナイフで丸坊主にされて、泣きながら去っていきましたとさ。    
 また歩き始めた赤頭巾ちゃんは、今度は足元に敷かれた布団に気づき、「何これ」と蹴飛ばしました。
 すると、たちどころに布団から起き上がったのは 眠るほどに強くなる謎の拳法「眠拳」の使い手、眠り姫(=九重・コノヱ(fa2638))! なんと眠ったまま赤頭巾ちゃんに襲い掛かります!
「げっ、またライバルかよ! この先も何があるかわからないし、体力は残しておかないと‥‥というわけで頑張れ狼さん! あたしとあんたの為に!」
 赤頭巾ちゃんは狼さんをけしかけます。ですが狼さんはなぜかテンション急降下。
「えーだってこの人100年も眠ってたじゃないっすかー。きっとお肉とか固くなっちゃってるっすよー」
「ガタガタ言わない!」
 赤頭巾ちゃんのひと睨みに押されて、狼さんは眠り姫をカプッ。と、途端に目覚めた眠り姫、無敵の眠拳は眠っていなければ使えないのです。
「あ、あら。あたくしったら寝ぼけてはしたない真似をいたしましたかしら‥‥いえ、べ、べつにヒロインの座なんか、興味ありませんのよ」
「あっそ。じゃあこのまま骨董屋に売り飛ばそう。100年ものの骨董だもんね」
「誰が骨董品じゃコラァ! 離してよーっ!」
 赤頭巾ちゃんは非情にも眠り姫を布団に簀巻きにして狼さんに運ばせ、骨董店に売りさばいてしまいましたとさ。いちまい、にーまい♪ 結構好い値で売れたらしく、ご機嫌で赤頭巾ちゃんはお金を数えています。
 またまた歩き始めた赤頭巾ちゃん、今度は落とし穴にはまりそうになりました。
「きゃっ‥‥な、何よこれ!」
 なんと落とし穴の底には、鋭いナイフが逆さに何本も立ててあります。
「くっ‥‥こんなところで‥‥負けてたまるかっっ。あたしは‥‥ずぇっっったいに一番目立つんだから!!」
 痛いよぉ〜と泣き叫ぶ狼さんの尻尾につかまり這い上がった赤頭巾ちゃん。途端に、木陰に隠れて様子を見守っていた七人の小人さん、そして一人の中年女性が、
「ヤバイ、失敗した!」
 と叫びながら逃げていこうとします。七人の小人達はもちろん、白雪姫の手下。
 そして、中年女性は白雪姫の継母でした。最初は白雪姫をいじめる側だった継母ですが、白雪姫の返り討ちにあい、白雪姫に拷問され、今ではすっかり怯えきって、白雪姫の従順な手下です。今、赤頭巾ちゃんを落とし穴にはめようとしたのも、もちろん白雪姫の指図です。
 そんな心温まるひと時(?)もつかの間、またまた赤頭巾ちゃんの旅は続きます。
 そうしてやっとつきました。ドロテアおばさんの家です。
「やっとたどり着いたわ!」
 喜ぶ赤頭巾ちゃんが、ドアに手をかけます。しかし!
 屋根の上に潜んでいた何者かが、ザッ! と飛び降りて、赤頭巾ちゃんに蹴りを放ちます!
「あ‥‥あんたはシンデレラ!」
 そう、ジャックナイフのような鋭いハイヒールキックで赤頭巾ちゃんを狙うのは、流れる黒髪に白い肌、秋の空の色をした瞳、そして過酷な労働で鍛えた細く美しくも強い足腰を持つシンデレラ姫(=凜音(fa0769))でした。今はもちろんガラスの靴なんて履いていません。
「邪、邪道だよ、シンデレラの癖になんで靴が金属製なのよ?」
「おほほほ‥‥ガラスの靴は合コン専用よ。抗議は却下! ヒロインの座は頂いたわ!」
 ハイヒールキックで狼さんを気絶させ、不敵な微笑みでドアに手をかけるシンデレラ。しかし次の瞬間「ちゅどーん!!」
 ドアに仕掛けられていたブービートラップが炸裂し、シンデレラは顔面煤だらけ、髪はアフロになっていました。
 仕掛けたのはもちろん、白雪姫の仕業です。白雪姫の命令で、七人の小人のうちの誰かが仕掛けたのでした。
「お‥‥覚えておきなさい。今日だけは譲ってあげてよ」
 アフロシンデレラ、ふらふらしながらも美容院へ向かってダッシュです。しかし、最後に残ったライバルは最強暗黒美少女・白雪姫。折りしも白雪姫は、ドロテアおばさんの家を見下ろす崖の上から、大きな岩を赤頭巾の頭上に落とそうと、七人の小人を指揮していたところです。
「ちょっと‥‥疲れたわ‥‥ジュース飲も‥‥」
 さすがの白雪姫も久々の大仕事で疲れたのか、手下に作らせたりんごジュースを飲んで一服。ところがそのりんごジュース、ライバルに食べさせようと作った毒林檎が混入していたのです。これがいわゆる、「自業自得」ってやつですね。
「あすとら‥‥びすた‥‥べいべぇ‥‥がくっ」
 白雪姫、お陀仏(ちーん)。
 さて、やっとドロテアおばさん(=月 美鈴(fa3366))の家に迎えられた赤頭巾ちゃん。私を一番輝くヒロインにしてお話を作って、と赤頭巾ちゃんは訴えます。
 ちょうどその時、あまりに空腹で限界突破した狼さんが、「もう限界っす!! お話通り、ここで二人とも喰ってやるっす!」
 がぶっ! とドロテアおばさんに襲い掛かります。
 どかっ!
 がすっ!
 ドロテアおばさんは鍋&しゃもじで狼さんをふっとばします。続いて赤頭巾のスープレックス炸裂です。
 狼さんが小柄なので技がかけやすかったんですね。
 狼さん、お陀仏(ちーん)。
「赤頭巾、なかなかやるねぇ。なになに、道中もライバルとの戦い続きだったのかい?」
 赤頭巾は、森を歩く道中での出来事をドロテアおばさんに話しました。すると、おばさんは気絶した狼さんを、「げしっ」と暖炉の中に蹴り込みながら言いました。
「おぉ、赤頭巾の後には死屍累々といった感じじゃのう。しかし、その道中こそが、お前さんが一番輝くヒロインである物語じゃったというわけじゃ。私も、精々強い赤頭巾の物語を語り伝えるとしようかのう」
「そうだったんだ‥‥。ありがとう、ドロテアおばさん! あたし、今までで一番輝けた気がする!」
 赤頭巾ちゃんは、人々の記憶の中に、いつまでも「最凶のヒロイン」‥‥おっとちがった最強のヒロインとして、輝き続けることでしょうね。
 そこのあなた、「そうかなあ」なんて首を傾げてると、メリケンサックを装着した赤頭巾ちゃんが来ますよ。