オシャレSHOW!?アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
易しい
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
05/20〜05/24
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●本文
今、下は幼稚園児から上は十代後半の少女を中心に人気が出て来たゲーム「オシャレ探偵〜チェリー&ライム」。
美形キャラクターをTPOにあわせて色々なファッションに着替えさせ、その「オシャレ度」がゲームのポイントになるというゲームである。
今回のイベント「オシャレSHOW」は、このゲームのキャラクターが画面から飛び出したという設定で行われる。
生身の俳優たちに、「チェリー&ライム」のキャラになりきってもらい、会場の子供達とトークしながら、リクエストに応えて色々なファッションを見せるという内容だ。
目の前で、ゲームから飛び出した人気キャラクターと会話し、ファッションのリクエストができる‥‥ということで、早くも子供達の間では、このイベントへの期待が高まっている。
そこで、キャラクターになりきってくれるキャストと、会場の進行や迷子の誘導などを務めてくれる人を募集中である。
キャストについては、外見年齢及び雰囲気を重視して選出してほしいとのこと。髪型はできるだけカットやカールでキャラに近づけてもらいたいが、ウィッグが必要な場合は用意しますとのこと(眼鏡・カラーコンタクトなどの小道具も同様)。
☆募集キャスト☆
●チェリー‥‥姉とともに父の探偵事務所を手伝う少女。TPOにあわせたオシャレな変装を練習中。ドジで可愛い妹系(15歳前後)。ひたむきで健気な言動が少女たちの共感を集める。髪型は肩より長めのストレート。ファッションはスポカジ系中心だが、浴衣やフェミニン系ゴスロリまで幅広い。
●ライム‥‥頭の切れるお姉さま系キャラ(18歳位)。物言いはやや高飛車だが知性に裏打ちされたクールさがうけている。ファッションはスパイシー系またはマニッシュ中心。ドレスアップ時には和服やカクテル風ドレスなどもあり。髪型は長めのソフトウルフ。
●バジル‥‥サッカー選手を目指す直情径行タイプの少年(15歳前後)。髪型はショートで茶髪、ややくせ毛。ストリート系&アメカジ系中心だが、今回のイベントではタキシードなどにも挑戦して欲しいという声がある。
●ローレル‥‥芸術を愛する優しいお兄さん(20歳前後)。髪型は肩下までの長髪を後ろで束ねている。眼鏡をかけている。普段はフレンチカジュアル系中心だがたまに革ジャンなどトンガったファッションも着こなしている。将来の夢は映画監督。
☆募集スタッフ☆
●司会進行役(いわゆる「司会のおにーさんおねーさん」。愛嬌と説得力要)
●迷子の誘導など会場係(親しみやすいキャラクターの人に最適)
☆補足事項☆
※チェリーとライムは姉妹、バジルはチェリーの同級生でけんか友達、ローレルはチェリー姉妹の近所に住む「あこがれのお兄さん」という設定になっています。会場での言動は、挨拶や自己紹介以外は、この設定をもとにしたアドリブで対処してください。
※どの役割につくにせよ、お子様相手の仕事は根性と体力要です。
●リプレイ本文
某ドームの楽屋内。「オシャレSHOW」の準備中である。
チェリー役になりきるために髪を肩よりやや下の長さにばっさりカットした小塚さえ(fa1715)は、メイク係りの女性に何度もため息をつかれた。
「勿体無い‥‥艶といい色といい、理想的なロングだったのに」
「でも、お客さんをがっかりさせられないもの」
「さえさん、そろそろ出番だね。行こっか」
同じく、長さはさほど変えてはいないものの、髪形を惜しげもなくソフトウルフに切り整えた月居ヤエル(fa2680)も、笑顔を見せた。二人が舞台に向かってあるいていくと、見知らぬ男女が二人を呼び止めた。「チェリー&ライム」のゲーム制作会社で、キャラデザインを担当しているスタッフ達だという。
「チェリーとライムは私達の娘みたいなものなの。それをこんなにそっくりに演じてもらえるなんて嬉しくて」
「大事な髪の毛まで切ってなりきってくれたんだってね。‥‥つまらないものだけど、これ、お礼です」
と、手渡された箱を見ると、ザッハトルテやミルフィーユの類の高級ケーキがぎっしり。
「嬉しいけど、食べきれない‥‥よね絶対」
「うん。プロダクションに持って帰って皆で食べてもらおうか」
クスッと笑ってヤエルが応えた。
◆
鮮やかなライムグリーンのTシャツに古着風ジーンズの姿で、司会のアイリーン(fa1814)が舞台上に飛び出した。
Tシャツの胸には箔プリントで「チェリー&ライム」のロゴが入っている。
「今日は<オシャレSHOW>に来てくれて、ありがとう!
私は司会進行のアイリーン、今日はヨロシク♪ うーん、やっぱりオシャレな子ばっかりだね」
アイリーンが客席を見渡して言うと、会場にいっぱいの少女たちから嬉しそうな笑い声があがる。
「それじゃあ、長々と喋って皆に物を投げられちゃうのは嫌だから、さっそくチェリーやライム、バジルやローレルに登場してもらうわ。せっかく来てくれた彼らが機嫌を損ねちゃわないように、マナーを守って楽しい一日にしましょ♪ それでは……Its Showtime!」
「こんにちはー! チェリーです。会場に来てくれたお友達の皆さん、いつも応援してくれてありがとう、チェリーです。今日はたくさんお話しようね」
「チェリーの姉のライムよ。皆さんにお会いできて嬉しいわ」
最初に舞台上にチェリー役のさえと、ライム役のヤエルが現れると、一瞬会場がどよめいた。
比較的年齢層の高い少女たちからは「そっくり‥‥」という驚きの声、小さな女の子達は本当にゲームのキャラが飛び出してきたと思ったらしく、しきりにチェリーやライムの名を叫ぶ声。さえは鮮やかな花柄プリントのチュニックにサブリナパンツ、ヤエルはミリタリー風ジャケットに細身のパンツ。少し高めのヒール靴がオトナっぽい。
「まだまだ驚くのは早いよ〜、バジル君、そしてローレルお兄さん、どうぞ」
バジル役の海風 礼二郎(fa2396)がサッカーボールを片手に登場、ローレル役の新田・昌斗(fa3726)が登場。会場のどよめきがほぼ叫びに変わった。黄色い悲鳴というやつだ。
イベント最初のプログラムは、キャラクター達とのトーク。自由にチェリー達に質問ができるということで、会場の熱気と同調するかのように、会場の客〜ほとんどが10代の少女だ〜が手を挙げる。アイリーンは照明の熱さと会場の熱気で汗びっしょりだが、笑顔を崩さず、まんべんなく会場を走り回り、次々と少女たちにマイクを向けてあげる。
「えと、チェリーちゃんはぁ、ローレルさんとバジル君のぉ、どっちとけっこんしたいですか」
幼稚園児と見える幼女から、おませな質問が飛び出す。
「ん〜、チェリーちゃんは優秀な探偵さんになる勉強中だから、恋は二の次三の次、ってとこじゃないかなあ。どう、チェリーちゃん?」
アイリーンがフォローしつつ、水を向ける。
「アイリーンさんの言う通り。今はどじっ子だけど、一生懸命勉強して、クールな女探偵になるのが一番の夢なんだ。ねぇ、お姉ちゃん、どう思う?」
「そうね。努力しだいってとこじゃない? 皆さんも、チェリーのこと、応援してあげて頂戴」
さえとヤエルが、チェリーとライムそのものの口調で答えると、幼い少女も納得したようだ。
ちょっと緊張気味ながら、アドリブで礼二郎がツッコミを入れる。
「ホント、ドジは早く直せよな」
「何よぉ、目線が同じ男の子に言われたってなんともないもん! 少しはローレルお兄さんを見習ったら! ‥‥あ‥‥言い過ぎちゃったかな‥‥」
二人のやりとりに、会場がわっと湧く。
「えと‥‥ローレルさんは、映画監督が夢だそうですけどぉ、どんな映画撮りたいですか」
「人の心を楽しませるだけじゃなく、訴えかけるような映画かな。クリント・イーストウッドみたいな、役者としても通用する監督が理想なんだ。‥‥夢、だけどね」
シンプルなカットソーに、白いシャツを羽織った姿の昌斗が、髪をかきあげながら答える。「ほわ〜」というような感嘆のどよめきが起こる。その仕草、実はゲーム画面のローレルの動きとそっくりなのだ。受け答えもローレルがいかにもしそうな雰囲気を醸している。
「それでは、チェリー達にお洋服をコーディネートしてあげたい人、手を挙げてね。順番にリクエスト聞いていくよー!」
「はーい!」
またしても会場にぎっしり詰め掛けた少女達が熱心に手を挙げる。
◆
舞台の上も大変だが、同じく多忙を極めたのが、会場係。
迷子は「ママ〜」と叫びまくり、「うちの子来てませんかっ!」と血走った眼で迷子を捜しに来るママ達、「ケータイ落としちゃった〜」と騒ぐ女子高生達もおり。
「はいはい、急がないで順番に‥‥迷子のお子さんの服装は?」
深森風音(fa3736)は迷子探しの母親の手伝いをしたり、転んだと泣く子供に絆創膏を張ったり。
「このくらいで泣くものではないよ。せっかくチェリーやライム達とお話できるチャンスなんだから笑顔で行こうね」
「わー、ちっちゃい子もたくさんいるねー、可っ愛い〜☆」
姫乃 唯(fa1463)はポニーテールにきゅっとまとめた髪を揺らしつつ、泣き叫ぶ迷子を慰めている。
「うぇ〜ん、ママどこぉーっ」
「お名前、言えるかな〜? あ、ここに刺繍でお名前書いてあるね。あ・や・ねちゃんっていうのね? あやねちゃんもチェリーちゃん好き? お姉ちゃんも大好き♪」
ハンカチで涙を拭いてもらって優しく話しかけられ、迷子も口がほぐれる。
「‥‥あやねはね、(ヒック)‥‥らいむちゃんも大好き」
「そっかあ。ライムちゃんもかっこいいよね。じゃああやねちゃん、お姉ちゃんがマイクでママに呼び出ししてあげるからね(にこっ)」
同じく会場係のアカネ・コトミヤ(fa0525)。迷子コーナー前でうろついている小学校低学年くらいとおぼしき少年に声をかけた。
「ボク、一人でどうしたの?」
「ん? 俺? ‥‥いや、姉貴のお供で来たんだけどよー、暇でさ。もしお前も暇なら、二人でここ抜け出してドーナツでも食いにいかねえか? おごるぜ」
ませた口調で、親指を出口に向けて誘ってくるではないか。
「(しょ、しょうがくせいの分際でナンパかいっ!!)‥‥あのにゃ。おねーさん(強調)はお仕事中だから。ここの迷子案内係りなのっ」
「えっっ!! 俺と同い年くらいかと思ってたっっ!」
マジで驚く少年。若く見えすぎるのも辛いところだ。
◆
ゴスロリテイストを加味したドレス姿、というリクエストで、チェリー役のさえはレースとフリル満載の純白のミニドレスに黒のエプロンドレスにブーツと長手袋。ライムには真紅のチャイナドレスのリクエストである。さえは髪をカーラーで縦ロールに巻いて、ヤエルはラフなまとめ髪。
そしてバジルはタキシード、ローレルはレザーのライダースジャケットにジーンズ+ブーツというワイルドな服装、という、ゲーム画面では見られないリクエストに応えることになった。
舞台上に並んださえと礼二郎に、会場から「結婚式のお色直しみたい」という声が上がる。
「えっ‥‥」と、思わず二人は顔を見合わせ、あわててそらした。(「で、でもこのまま黙ってたら何か変‥‥?」)ややあって、チェリーことさえの方から、少しぎこちない声をかけた。
「バジル、に、似合ってるわよ、タキシード」
「お、お前も、な」
さえのアドリブの台詞にアドリブで応えた礼二郎だが、一瞬本当に気になる女の子から言われたような錯覚を覚えたらしく、ちょっとどぎまぎした表情がよぎった‥‥
最高潮に達した会場の熱気の中、アイリーンが明るくイベントを締めくくる。
「今日は楽しんでもらえたかな? 残念だけど、チェリー達はそろそろまた探偵修行に戻らないといけない時間なの。またきっと会えるから、元気よくお別れしようね。ではチェリー、ライム、バジル、ローレル。『バイバーイ!』」
「バイバーイ!」
少女達が手を振る中、さえ達は楽屋へと退場してゆく。
色々な洋服や髪型、靴や小物をとっかえひっかえ、忙しい一日だった。こんなに凝ったオシャレを色々試せたのは、女の子として幸せなことかもしれない。‥‥でも。
会場にひしめく少女達の、胸いっぱいの憧れ。
その思いをきちんと受け止めて、舞台の上で表現してあげられたのなら、それだけで十分嬉しいと思うさえだった。