DARKライダー〜女神アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
小田切さほ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/01〜07/05
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●本文
TOMI TVがお送りする青春特撮アクション番組「DARKライダー〜女神」では、ただいまキャストを募集中です。
「DARK〜」は、正義感ゆえに殉職した女性刑事が、サイボーグとして甦り、警察機構の開発した究極武器である、人工知能を組み込んだバイクを駆使して悪と戦う‥‥という、SFアクションです。
そんなストーリーに、あなたも出演してみませんか?
☆ストーリー☆
女性刑事・早田亜里沙(はやた・ありさ)はある日、テロ事件から人々を救出中、殉職した。
だが彼女の正義感と運動神経に注目した警察機構は、極秘のうちに彼女をサイボーグとして甦らせる。
そして甦った亜里沙が警察機構上層部から与えられた『相棒』。
「私ハ『かさんどら』。アナタト共ニ使命ヲ果タス」
それは高度な人工知能を組み込まれ、言葉をしゃべり、自ら動く純白のバイク「CASSANDRA(カサンドラ)」だった。
新たな使命を自覚しつつも、もう「人間」ではなくなったことで、同僚をはじめとする人間関係に溝が生まれ、苦悩する亜里沙だが、カサンドラと共に、自らの殉職の原因ともなったテロ事件の捜査を開始する。
そのテロリスト達はバイオの知識を持ち、開発したレトロウィルスを使って動物の遺伝子をみずからに組み込み、その特殊能力を使い人々を襲ったりしているのだった。
やがて、テロの中心人物であり天才的頭脳を持つ凶悪犯「神宮寺薫(じんぐうじ・かおる)」が警察に犯行声明を送りつける。
カサンドラとの捜査で神宮寺の所在をつきとめた亜里沙は、神宮寺との対決を決意する‥‥
☆募集キャスト☆
※CASSANDRA(カサンドラ)役は、声のみの出演となります。ご了承下さい。
●早田亜里沙‥‥男勝りで、正義感の強い女性刑事。テロ事件により殉職するが、サイボーグとして甦る。(外見年齢23〜30歳位。アクション要)。
●CASSANDRA(カサンドラ)‥‥人工知能を組み込んだバイク。ウィングカッター、電磁鞭・高感度センサーなどの装備が内蔵されている。(声のみの出演)
●神宮寺薫‥‥テロリストのリーダーであり、一種の「悪の天才」(外見年齢?・アクション要)。※男女いずれでも可。
※「アクション要」とあるキャスティングには、リアルなアクションを追求するためにも、可能な限りスタント無しで演じていただきたいと思います。
※上記以外のキャストは確定されておりません。亜里沙の上司、あるいは神宮寺の手下など、自由に考案の上ご応募下さい。
☆補足事項☆
ヒロインはサイボーグ化されている設定なので、獣化・半獣化OKです。
「神宮寺」やその配下のテロリスト役も、レトロウィルスにより改造したという設定で獣化・半獣化OK。
※成長傾向‥‥格闘、射撃、芝居
●リプレイ本文
それは忌むべきテロ事件だった。地下街で突然、数人の人間が鳥あるいは獣のような姿に変化し、一般人を襲った。通報を受けて警官隊及び武装した刑事が突入した。早田亜里沙(=梓弓鶴(fa4048))もその一人だった。
「止まりなさい、さもなければ発砲するわ!」
熊のような爪を持つ半獣人が取り分け凶暴だった。亜里沙は反射的に発砲した。が、同時にその獣人‥‥赤毛の女性である‥‥は亜里沙に飛び掛り、頚動脈に爪をつきたてた。
そして全ては闇に消える。
「おはよう。具合はどうだい?」
それは亜里沙の上司たる杜山明彦(=志羽・明流(fa3237))の声だった。亜里沙は目を開ける。
確かに傷を受けたはずなのに痛みがない。あれは悪夢だったのか。だが杜山は告げた。
「君は三日前、殉職した。今はサイボーグというわけだ」
呆然とする亜里沙。
「あたしは‥‥もう人間ではないの?」
「こんな運命を君に強いるのは酷かもしれない。だが‥‥わかってくれ。これは緊急措置だ。君が戦ったテロ事件の首謀者はまだ活動している。君の相棒だった仁科刑事も殉職した」
杜山が胸の痛みをこらえる口調で告げる。亜里沙もクッと唇を噛んだ。
「君の新しい相棒が、支えになってくれることを祈る」
亜里沙を地下ガレージで待っていた「新しい相棒」。それは一騎の純白のバイクだった。
「私ハかさんどら。貴女ト共ニ使命ヲ果タス」
「バイクが喋ったわ!」
「このバイク‥‥いや彼女には世界トップレベルの人工知能が組み込んである」
ふっと亜里沙は自嘲的な笑いを浮かべた。
「人間でなくなった私には人間でない相棒を、ということですか」
「名こんびトイウワケデスネ」
カサンドラ(声=水無月鈴(fa3502))が応じた。
「少し‥‥心の整理をする時間を下さい」
亜里沙には、人間でなくなった自分を受け入れるために、会っておきたい相手がいた。
恋人の神崎悠(=神楽坂 紫翠(fa1420))だった。
小説家を生業とする悠は少々浮世離れしているが、そんなところも亜里沙の心を癒してくれる大切な存在だった。
「何だよ、怪我したって聞いて病院に駆けつけたらもう退院だって!? まったくドキッとしたよ、仕事となると突っ走るんだからな亜里沙は」
呼び出された喫茶店に悠は文句を言いながら現れた。それも嬉しさと安心の反動だと亜里沙には分かる。それだけに告げるのが辛かった。
「本当は私、一度死んだのよ。今の私はサイボーグ‥‥人間としての幸せはもう望めない。だから刑事として、貴方や皆を守ることに全てを賭けるつもりよ。もう‥‥会わない方がいいと思う」
「冗談だろ‥‥?」
だが亜里沙の真剣な表情が、事実だと告げていた。亜里沙の携帯電話が鳴る。杜山の声が告げた。
「また獣人が現れた。A町5丁目のゲームセンターだ。カサンドラと共に急行してくれ」
ゲームセンター。
「ふ、他愛ない‥‥な」
高野明良(=鷹見 仁(fa0911))は退屈そうに呟いた。バサッ。純白の翼がその背中で羽ばたいた。
『好きなだけ暴れてくるがいい。その新しい体で』
神宮寺に告げられた言葉が脳裏に甦る。何もかも壊したいと思っていた。裕福に育った彼に、何の不満があるのかと人は問うかもしれない。だが与えられたレールの上を走るだけの人生は徹底して空しい。だから。「危ない」と噂されるクラブに出かけてみた。そこで「神宮寺」と名乗る人物に会い、光る液体を満たしたグラスを薦められ。
「人生が変わるぞ」
明良は一気に飲み干した。そして目覚めるとこの体があった。神宮寺は遊んで来い、と命じた。だから彼は「遊んだ」。いかにも強そうな、ガタイのいい男に喧嘩を売ってみた。もはや獣並みのスピードと反射神経を持つ明良には、他愛ない相手だった。おまけにこの翼を披露してみせたら、腰を抜かして気絶したのはお粗末至極。生き恥を晒すのも気の毒と、親切ついでに殺してやった。
つまんねーなといつもの口癖が出かけたその時。
「ちょっとそこのあなたーっ! 止まりなさーい! でないと撃つわよ! 私は機嫌が悪いのよっ。もうーっ、せっかくパトロール中に『Q’S』のバーゲンでヒットなワンピ見つけたとこなのに事件を起こすなんてーっ!」
どこかズレた脅し文句を並べながら、拳銃を構えている。ミニスカートからはみ出した脚はすらりと美味しそうだが、構えは堂に入っていた。婦人警官の制服姿である。しかも射撃の腕はかなり上級。明良はその婦人警官‥‥左文字秋子(=宮内・ミリー(fa1784))をそんな風に見てとった。だが、今の明良はせせら笑った。
「じゃ、隠れんぼと洒落込もうか? ついてこいよ」
ダン! 鈍い銃声が響いた。翼からはらはらと白い羽が舞い散る。明良の胸底から激しい怒りが湧く。
秋子に襲い掛かろうとしたその時ーー
舞うように、一騎のバイクが高々とジャンプし、前に立ちふさがった。
「それ以上、罪を重ねることは許さない! 投降しなさい、そして全てを話して頂戴」
純白のバイクにまたがった‥‥純白のライダースーツの女。信じられないことに、呼吸も乱していない。
どうやらゲームらしくなってきたな。明良は呟き、舞い上がり、ビルの谷間を縫って逃げる。
「うぃんぐかったーデ、攻撃シマスカ?」
「いいえ‥‥説得するわ。そして自分から投降させて見せる」
「ソレハ、非論理的デハアリマセンカ?」
「かもね。でも心は論理では割り切れないの。‥‥行くよ、カサンドラ!」
町外れの廃ビルに追い詰められた明良は、屋上から飛び降りようとする。翼を閉じて‥‥死ぬつもりか。
「死なせはしない! 待ってて、カサンドラ!」
カサンドラから飛び降り、亜里沙はビルの階段を駆け上がる。サイボーグのスピードが功を奏した。
ぐらりと宙に舞おうとする明良を、亜里沙は自らも屋上から身を躍らせるばかりにして抱きとめた。亜里沙の右手の指先だけが、ビルのフェンスにかろうじて引っかかっている。
「なぜ助けた!?」
「意味も無く死のうとするからよ! あたしは助けられる命を見捨てるためにこんな体になったんじゃない!」
錆びきったフェンスはもろく、たわんできた。亜里沙は明良の体を屋上に投げ上げるようにして救った。自分は落ちるというのに‥‥だが、一瞬早く翼を広げた明良が亜里沙を救い上げた。
やがて駆けつけた警官隊に保護された明良は全てを打ち明けた。獣人テロの首謀者と見られる『神宮寺』の居場所。
「港のA列第3倉庫だ。そこに『神宮寺』ってヤツがいる」
ほどなく、獣人テロリスト対策チームが緊急に結成され、明良の証言した倉庫に突入することとなった。
「とにかく先手必勝だ。不意をつけば、未知数の戦闘能力を持つ獣人テロリスト達相手といえど、さほどの犠牲は出まい」
チームを指揮することとなった杜山が、何度撫で付けてもおさまらない癖っ毛を揺らしながら作戦を立てていた。チームには左文字秋子も加わっていた。単身獣人に挑んだ度胸と射撃の腕を買われてのことだが、本人はサボる隙がないと不満たらたらである。
だが、その作戦会議中、杜山宛に一通のメールが届いた。
『私のペットがそちらに世話をかけたようだな。ついでにこちらの居場所も知れたようだ。ゲームとしてはなかなか公平ではないかな? ともあれ是非部下達を連れて遊びに来てくれたまえ。たっぷりと御礼をしよう‥‥神宮寺 薫』
行動を読まれていることに慄然としながらも杜山はあえて挑発に乗る作戦をとった。
今を逃せば、神宮寺たちは場所を変え、また新たな犠牲者を生むだけだ。
「今度こそ、殉職した時の無念を晴らそう、早田」
突入寸前。普段は陽気な杜山が、固い口調で言った。
「いいえ‥‥今のあたしは他の人を守ることだけが使命です」
「違う。君を殉職させたことは‥‥俺の無念でもある。この戦いは、部下を死なせた俺の償いだ」
「ソレハドノヨウナ論理ナノデショウカ?」
カサンドラが口を挟む。
「ああ、君にはわからないかな。論理では‥‥割り切れまい。人間の『情』ってヤツさ。‥‥カサンドラ、君にも頼んでおく。早田をサポートしてくれ」
「私ハ早田亜里沙刑事ノ言葉ニハ絶対服従スルヨウぷろぐらむサレテイマス」
突入のときがやってきた。ちらりと亜里沙の脳裏を悠の顔がよぎる。それを振り切るようにしてカサンドラを駆り、倉庫の壁をぶち抜いて突入した。
「うわああ!」
同時に突入した警官隊が、なんともいえぬ声を上げて倒れる。鋭い爪を持つ赤毛の獣人が立ちふさがっていた。改造銃らしきものを乱射しつつ突進し、警官たちを右に左にその爪とリーチの長い蹴りでなぎ倒す。
「貴女は‥‥ッ」
地下街で戦闘し、亜里沙の殉職の原因となった獣人‥‥テロリストとしてのコードネームは「マックス」(=シヴェル・マクスウェル(fa0898))と言うらしい。
マックスは亜里沙を見て、にやりと笑った。
「お互いに死して尚闘いを強いられる身とはな。こちらもレトロウィルスの作用で生き返った身だ。リセットしてゲーム再開というわけか」
「レトロウィルス‥‥? なぜ‥‥そこまでしてこんなことを!?」
「レトロウィルスはあくまで手段だ。人間の虚飾をはぎ、しょせん欲望のために生きるケダモノに過ぎないことを馬鹿どもに思い知らせるための」
「人間は‥‥ケダモノとは違うわ」
「そうかな? 私の父親は12のとき、金のために私を見知らぬ男に売り飛ばした。おっと、訂正だ。人間は確かにケダモノとは言えぬな、ケダモノ以下の存在だ。‥‥無駄口は終わりだ。雑兵もろとも葬ってやる」
襲い掛かるマックスの長い腕を、髪をなびかせた亜里沙が間一髪かわす。
ダン!
鈍い銃声が響いた。銃を構えた杜山がマックスの背後にいた。マックスは杜山に目標を変え、襲い掛かる。ダン! ダン! ‥‥続いて秋子の発砲した数発の銃声が続き、ようやくマックスは倒れた。
だが杜山も血まみれだった。肩のあたりが爪で折られたのだった。
「秋子さん。‥‥杜山警部補をお願い!」
「えっ私ぃ? あのーでも服とか髪に血がついちゃう‥‥って早田さーん! 聞いてないのねー!」
杜山の応急手当と応援要請を悪運強く無傷でいる秋子にまかせ、亜里沙は倉庫最奥へと向かう。そこには‥‥
「やあ。招きに応じてくれたとは嬉しいね。断っておくが、君の情報は全て押さえているよ。早田亜里沙刑事‥‥私が神宮寺薫(=鷹野 瞳(fa2151))だ」
「貴方が‥‥」
亜里沙の体が震えた。怒りか、武者震いか。亜里沙はカサンドラごと体当たりを敢行した。が、神宮寺の背おう翼がばさっと羽ばたくや、神宮寺の体はふわりと宙に浮く。
ターンして舞い降り、亜里沙の肩にナイフを投げつける。肩をかすめた傷に痛みはないが、やや右腕の動きが鈍くなる。神経伝達のメカニズムに狂いが生じたらしい。
それでも亜里沙は立ち向かった。だが神宮寺は軽やかに舞うように交わし、ナイフを投げる。亜里沙にあせりの色が濃くなる。
「よほど負けたくないと見えるな」
「負けられない、のよ‥‥っ、貴方が苦しめた人々のためにも」
「ゲームの駒がもう一つ」
神宮寺は倉庫に積み上げられている木箱を突き倒す。そこから転がり出たのは‥‥縛り上げられた悠だ。
「悠! どうして!?」
「恋人を心配するのは当たり前だろ‥‥ッ。けど、うっかりこいつらに気づかれて‥‥」
「馬鹿っ‥‥今のあたしは」
「サイボーグだって何だって‥‥亜里沙は亜里沙だ! 心配ぐらいさせろよな‥‥」
駄々っ子みたいに悠が、殴られ腫れた目で見上げる。亜里沙の中で、カッと何かが燃え上がった。涙腺を除去され代わりに赤外線センサーを組み込まれた瞳から涙は出ない。
だが悠を傷つけられたらと思うと、亜里沙は動けない。
「では、負けを認めると言うわけだな。その興味深いバイクをこちらへ渡してもらおう」
「カサンドラ‥‥行って」
カサンドラは亜里沙をヘッドライトに組み込まれたセンサーアイで見上げ‥‥ゆるゆると神宮寺の方へ向かう。と、カサンドラが急に加速した。
「何っ!?」
亜里沙の言葉には絶対服従するはずのカサンドラの予期せぬ行動だった。カサンドラがそのまま、神宮寺に体当たりをする。神宮寺の顔に始めて動揺が走る。
「うっ‥‥貴様‥‥」
「なぜ!? カサンドラ」
『自分デモ‥‥驚イテイマス。命令ニハ絶対従ワナクテハナラナイノニ‥‥』
半壊状態のカサンドラが歪んだセンサーアイを苦笑いするように瞬かせる。
「カサンドラ‥‥ありがとう、あたしの相棒」
いまだ! 亜里沙は本能的に千載一遇のチャンスを悟った。助走をつけてジャンプし、態勢を立て直そうとする神宮寺の心臓部めがけて蹴りを放った。
「ぐわっ!!!」
神宮寺が倒れる。その翼がゆっくりと地面に伏せられる‥‥終わった。
亜里沙の携帯電話が鳴った。秋子からの画像通話だ。病室で横たわる杜山が映る。
「早田‥‥ご苦労だった」
「はい。やっと解決できました」
亜里沙は万感の思いをこめて、杜山に告げた。
「あのー早田さん? 服に血がついたんですけどクリーニング代って会計課に言ったら清算してもらえますよねーって聞いてます? もしもしぃ!」
秋子の思考回路は相変わらずズレているらしい。
悠を解放してやり、その血で汚れた顔をハンカチで拭ってやる。なぜこんな危ない真似をしたのよと文句を言ってやりたいのに、胸がいっぱいで亜里沙は無言だった。
「丁度いい‥‥タイミングが出来た。やっとコレを渡せる」
悠が無理に傷ついた顔を歪めて笑い、ポケットから小さな箱を取り出し渡す。開いてみると、亜里沙の誕生石が光っていた。
婚約指輪だった。